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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。
2010年のインターハイでもベスト4を懸けて激突した両雄のリターンマッチ。米子北と西武台が再会する舞台は総合グラウンドです。
夏は今回で8年連続、冬も昨年までで5年連続と、もはや鳥取代表としての地位を独占しつつある米子北。「何とか鳥取県でも、日本一小さい県でもやれるんだという所を見せたいというがあるので、少しずつ力が付いてきた感じですよね」とは城市徳之監督ですが、前日の初戦では佐賀学園を相手に岡本悠太郎(3年・鳥取セリオFC)と江口大輝(3年・ヴィッセル神戸U-15)が揃ってドッピエッタを達成するなど、7ゴールを奪って完勝。まずは昨年敗れたこの2回戦突破を目指して、埼玉の難敵へ挑みます。
参加165校の頂点に立ち、激戦の埼玉を2年続けて勝ち上がってきた西武台。新人戦、関東大会予選、インターハイ予選と既に県内3冠を獲得したチームは、関東大会でも最後は昨年度の選手権でベスト4まで躍進した日大藤沢に屈したものの、準優勝と一定の手応えを。今大会も初戦でいきなり実現した中京大中京との好カードは、先制されながらも10番を背負った川田航平(3年・GRANDE FC)が連続ゴールを叩き出し、3-2で競り勝ってこのステージへ。こちらも昨年は手に入れられなかった全国2勝目を狙います。10時の鷹取は既に気温37.5度とジリジリするような猛暑に。注目の70分間は米子北のキックオフでスタートしました。
2分のファーストチャンスは西武台。相手のクリアを自陣で拾ったボランチの佐藤健太(3年・プレジールSC入間)は、GKの位置を確認して50mロングにチャレンジ。ボールはわずかに枠の右へ逸れたものの、佐藤がいきなりその視野の広さを披露すると、3分には米子北も反撃。岡本が右へはたき、江口が上げたクロスへニアに飛び込んだ小嶋海斗(3年・Foltizone)のヘディングは枠の右へ外れましたが、まずはお互いが手数を出し合ってゲームは立ち上がります。
ただ、以降は「前半は意外に僕らが想像していたより攻められた」と城市監督も話した米子北が攻勢に。8分に山室昂輝(2年・FCバイエルン ツネイシ)が自らのシュートで獲得した左CKをショートで始め、田中宏旺(2年・サンフレッチェくにびきFC)のクロスはDFのクリアに遭い、11分に右から岡本が蹴ったCKを山室が打ち切ったボレーも、西武台のボランチ今井祐太朗(2年・Forza'02)に弾かれますが、12分にも左から山室が入れたCKはファーへ弾み、頭から突っ込んだ鶴ヶ久保哲太(3年・FC Sword大阪)のシュートはわずかに枠の右へ。セットプレーから連続してチャンスを創出すると、1度目の歓喜はその直後。
13分、相手の縦パスに対して抜群の反応を見せた右SBの魚橋良輔(3年・VIVOニッケ)は、インターセプトしたボールをそのままダイレクトで縦へ。このパスを絶妙のトラップで収めた谷口喬亮(3年・米子後藤が丘中)が右足を強振すると、ボールはゴール左スミへ力強く突き刺さります。「ウチの選手は常にパスカットのボールをもらう準備をしているので、そこからのダイレクトプレーがカウンターの第一歩」と指揮官も言及した、まさに狙い通りの先制弾。米子北が1点のアドバンテージを手にしました。
先に得点を許した西武台は24分、右から佐藤が蹴り込んだFKのこぼれを橋本陸(3年・坂戸ディプロマッツ)が狙うも、ボールはゴール右へ。直後の左CKを新行内一輝(3年・ヴェルディSSレスチ)が入れると、このこぼれを拾った川田は素晴らしいテクニックで2人をかわしてクロスを上げるも、DFがクリア。逆に31分には西武台DFのパスミスが中央に飛んでしまい、奪った岡本のミドルは西武台のGK照井進太郎(3年・朝霞エステレーラ)が何とかキャッチ。「リズム的には前半は非常に良かったと思います」と城市監督も認めたように、前半は米子北がペースとリードを掴んだままで35分間が終了しました。
後半はいきなり西武台に決定機。37分、相手のGKへのバックパスが短くなった所を見逃さなかった川田がボールをかっさらうと、すかさず中へ。佐藤はやや力んでしまい、左足でのシュートを無人のゴール右へ外してしまいましたが、あわやというシーンを創出。41分にも左SBの村上秀斗(3年・浦和レッズJY)が股抜きから正確なクロスを送り込み、川田の落としを叩いた山口大輝(3年・FCカーニョ)のシュートもゴール右へ逸れたものの、後半は立ち上がりから同点への意欲を前面に押し出します。
一方、「このままでは絶対に終わらないと思っていた」と指揮官が話した米子北も43分にチャンスが。谷口の右クロスをキープした岡本はそのままフィニッシュ。西武台の右SB林一輝(3年・東川口FC)も体で飛び込み、ボールはゴール左へ外れましたが、44分に右から岡本が鋭いCKを蹴り入れると、GKが掻き出したボールはクロスバーにヒット。こちらも追加点を虎視眈々と。
47分は西武台。新行内、橋本、山口、新行内と細かくパスが繋がり、最後は川田がシュートを放つも、魚橋が懸命に体でブロック。48分も西武台。山口の折り返しをまたも川田が枠へ収めましたが、ここもGKの中原創太(2年・FCバイエルン ツネイシ)と田中が2人で飛び込んでボールをブロック。52分も西武台。山口が右からドリブルで切れ込み、橋本がアイデアのあるヒールで残すも、中原が確実にキャッチ。「今日はゴール前も良く体を投げ出したと思いますよ。いつもはちょっと淡白な所があるので、サイドバックも含めて粘り強くやってくれたと思います」と城市監督。スコアに変化は起こりません。
先に動いたのは米子北。53分に先制ゴールの谷口と﨑山誉斗(2年・FC琉球U-15)を入れ替えると、「お互いに足がピタッと止まっていた時間帯」(城市監督)でゴールを記録したのはまたも米子北。55分、岡本の右CKはGKが一旦パンチングで回避したものの、ルーズボールを収めた嶋田遼允(3年・VIVOニッケ)がシュートを放ち、DFに跳ね返ったボールを再び嶋田が蹴り込むと、軌道はゴール前のDFをすり抜けてゴール右スミへ吸い込まれます。1年時からレギュラーとしてチームを支えてきたCBが大仕事。米子北のリードは2点に広がりました。
追い込まれた西武台も57分に1人目の交替を。新行内を下げて杉内聖弥(3年・HAN FC)をピッチヘ送り込むと、61分に大きなチャンス。村上の左クロスを橋本が捌き、エリア内へ飛び込んだ江口はDFともつれて転倒。笛を吹いた主審はペナルティスポットを指差します。キッカーは橋本。短い助走から選択したのは右。GKは左。揺れたゴールネット。両者の点差は再び1点に縮まりました。
62分に山室と中鉱佑(3年・米子美保中)を入れ替えていた城市監督は、続けて64分に少し傷んだ鶴ヶ久保と池澤裕翔(2年・鳥取VAMOS FC)のスイッチというアクシデント的な交替も経て、「ブロックを創りながらカウンターを狙う」意識を明確に。65分には左サイドを駆け抜けた中の折り返しを、﨑山がミドルレンジから枠内へ。照井が何とか弾いたボールはクロスバーを直撃しましたが、「単発的なスプリントはあるのでカウンターは機能する」(城市監督)中と﨑山のコンビがフィニッシュを取り切ります。
何が何でも追い付きたい終盤になかなか手数の出て来なかった西武台は、70+1分にようやくチャンスが。橋本が左へ振り分け、再三好クロスを供給していた村上がここも鋭いボールを送り込みましたが、嶋田が執念のクリアでボールを大きく弾き出すと、これが西武台にとってのラストチャンス。最後は70+3分にDFの古屋野雅希(2年・サウーディFC)を送り込む万全のゲームクローズを見せ、キャプテンの小長裕也(3年・ガイナーレ鳥取U-15)を中心に守り切った米子北が、5年前のリベンジに成功。3回戦へと勝ち進む結果となりました。
「ウチも運動量が落ちましたけど、相手も落ちていたので、かなりタフな試合になりましたね」と城市監督も振り返ったように、猛暑の中の消耗戦を力強く勝ち切った米子北は、これで2010年以来のベスト16進出。同校を率いて17年目となる指揮官は「昔だったら埼玉県のチームに勝てるチームじゃなかったので、少しずつ近付いてきているかなとは思いますけど、まだウチの方が下手ですし、能力も低いので何とか頑張らんといけんなという所ですよね。本当に粘り強く頑張ったという感じです」と選手たちの頑張りを称えていました。野球部と共用のグラウンドを使用しながら、スペースと時間の使い方をを工夫することで、ここまでのチームを創り上げてきた城市監督は、それでも「まだまだ色々とやらなきゃいけないチームですから」とさらなる向上を視線の先へ。全国8強を懸けた3回戦の相手は、城市監督も「良く知っていますよ」という小松晃監督率いる明徳義塾です。 土屋
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