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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。
全国制覇4回を誇る王国の名門に首都のニューパワーが挑む一戦。関東第一と清水桜が丘の対峙は総合グラウンドです。
激戦の東京予選で優勝を勝ち取り、8年ぶりに全国の舞台へと乗り込んできた関東第一。昨日の1回戦は3年前にベスト8まで躍進した山形の羽黒を相手に、セットプレーから中村翼(3年・大豆戸FC)のゴールで先制しながら、同じくセットプレーで追い付かれる展開に。結果的には岡崎仁太朗(3年・杉並ソシオ)の勝ち越し弾とオウンゴールで3-1と勝利を収めたものの、「これだけ多くの人が見に来てくれているんだから、本当はもっとやれないとダメだと思います」と小野貴裕監督も渋い表情。「自分たちはチャレンジャー」(鈴木隼平・3年・Forza'02)というメンタルで、関一らしさを解き放つべくセカンドマッチに臨みます。
平成元年、平成2年、平成6年、平成8年。いわゆる"キヨショウ"時代に過去4度も夏の覇権を獲得している、王国の中でも盟主と言うべき清水桜が丘。校名変更後で考えると初の全国大会出場となった今大会は、富山の水橋を山田柊斗(3年・FCヴァーデュア三島)のドッピエッタを含む3ゴールで下して、"清水桜が丘"としての記念すべき全校初白星を獲得。ただ、当然目指すのはそのさらに先。同校が獲得した19年前から遠ざかっている静岡勢の優勝も視野に、まずはこの2試合目を戦います。肌の焼ける音が聞こえてきそうなピッチの気温は38.5度。注目の一戦は関一ボールでキックオフされました。
「入りは良かったと思います」とキャプテンの鈴木隼平が話したように、立ち上がりから押し込んだのは関一。1分に相手DFのミスで獲得した右CKを道願翼(3年・VIVAIO船橋)が蹴り込んだボールは、清水のGK長倉駿介(3年・清水エスパルスJY)にパンチングで防がれたものの、5分にも道願が左へ振り分け、大里将也(3年・レッドスターJY)のクロスを鈴木隼平が頭で落とし、野村司(3年・レッドスターJY)がフィニッシュまで。7分にも岡崎のスルーパスに冨山大輔(2年・FC習志野)が抜け出し、シュートも狙えそうなエリアで選択したパスはDFにクリアされましたが、まずは関一がリズムを掴みます。
すると、流れそのままに先制したのは関一。8分、冨山のショートパスを受けた野村はすかさず縦にスルーパス。「司は昨日もアシストしてくれて、良いパスをくれるというのはわかっていたので、信じて走るだけでした」という岡崎は、GKとの1対1も冷静にゴール右スミへボールを送り届けます。これで11番のストライカーは2戦連発。今日も関一が先にリードを奪いました。
早くもビハインドを負う形となった清水は9分、右CKをキャプテンの杉本隼(3年・ACNジュビロ沼津)が蹴り入れると、こぼれを収めた山田のシュートは関一のGK円谷亮介(3年・FC東京U-15深川)がキャッチ。10分には関一も二瓶亮(3年・江戸川葛西第三中)のパスから野村がミドルを放つも、清水のCB大森圭一郎(3年・フォルトゥナSC)が体でブロックすると、15分は再び清水。左SBの八木涼太朗(2年・清水エスパルスJY)が高く上げたクロスに、落下点へ巧く潜った野木智大(3年・フッチSC)はヘディングを枠内へ。ここも円谷が何とかパンチングで掻き出しましたが、ボールは相手に握られる中でも、ジリジリと盛り返した清水に手数。
15分も清水。GKのパスミスを拾った稲荷田明秀(3年・LIBERO FC)がそのまま打ち切ったミドルは、円谷が自ら責任を取ってファインセーブ。直後に右から杉本が蹴ったCKを、ニアへ走り込んだ鈴木章司(3年・ジュビロSS浜松)は頭で合わせるも枠の右へ。23分も清水。連続シュートで奪った左CKはそのままファーヘ流れましたが、25分にも左から杉本がFKを流し込み、最後は稲荷田がミドルにトライ。体を投げ出した関一のCB中村翼(3年・大豆戸FC)が何とかブロックしたものの、「前半の最初は結構良いイメージでできていたんですけど、だんだん流れが向こうに傾いてからはあまり良い流れではなかった」と道願。ゲームリズムは少しずつ王国の名門へ。
青の応援席を静まり返らせたのは「色々と喝を入れられたので今日はやってやろうと思っていました」というストライカー。27分に杉本が蹴った清水の右FKはオフサイドで関一ボールになると、そのFKの流れから右サイドでボールを引き出したのは岡崎。「一瞬のスピードというのは自分のウリ」とそのスピードで中へ切れ込むと左足一閃。ボールはGKの届かないゴール左スミへ飛び込みます。昨日の試合後に小野監督からカミナリを落とされ、「『生まれ変わってこい』と言われたので、心を入れ替えて強気を貫きました」という岡崎が堂々のドッピエッタ。なかなかテンポの出て来なかった関一がリードを2点に広げて、最初の35分間は終了しました。
「自分たちがボールを持つ時間の方が長かったし、一発のボールで押し込まれていたので、そこは慌てないで『自分たちの時間が来るまで落ち着いてやろう』と中で話していた」と鈴木隼平が話したように、少しリズムの出ない時間を凌いで追加点を奪うことに成功した関一は、後半も良い入り方を。39分に道願が短く付けると、冨山は右サイドへスルーパス。二瓶のグラウンダークロスはDFにクリアされるも、らしい形のサイドアタックを。42分には清水も1人目の交替として稲荷田と出水大智(2年・DEMAIN SOLEIL福岡)を入れ替えましたが、45分も関一。冨山のシュートはDFのブロックに遭い、鈴木隼平が粘って上げたクロスはDFが何とかクリア。続けて清水ゴールへ迫ります。
ところが、次に歓喜の輪を創ったのは"セイオウ"。48分、右サイドから杉本がアーリークロスを放り込むと、山田が競り合ったこぼれを鈴木章司は完璧な右足ボレー。ジャストミートしたボールはゴール右スミギリギリへ一直線に突き刺さります。後半のファーストシュートは11番のスーパーな一撃。たちまち点差は1点に縮まりました。
畳み掛ける"セイオウ"。得点直後の49分、右サイドを抜け出した山田のドリブルへ果敢に円谷が突っ込むと、こぼれたボールは白井海斗(1年・清水エスパルスJY)の目の前へ。しかし、カバーに戻ったDFが目に入ったのか、白井のシュートはGK不在となったゴールの上へ外れてしまいます。天を仰いだ1年生アタッカー。一気に同点までは持ち込めません。
それでも流れはボールアプローチの速さで上回った清水へ。52分には白井と大屋寛太(1年・清水エスパルスJY)を、56分には八木と横山望(3年・有度FC JY)を続けざまにピッチヘ解き放ち、一気に勝負へ。57分には入ったばかりの横山がロングスローを投げ込み、こぼれに反応した山田のシュートはDFが何とかブロック。58分にも左サイドで鈴木章司が粘って残し、杉本が繋ぐと、鈴木章司のシュートはわずかに左へ逸れ、サイドネットの外側へグサリ。ゴールのように見えたであろう清水応援席が一瞬湧き上がるほどの際どいシュート。1点差のままでいよいよゲームは最後の10分間へ。
60分のゴラッソは新小岩のカナリア軍団を率いてきた頼れるキャプテン。左から冨山が入れたCKに中村が競り合うと、こぼれたボールは「ニアで合わせたかったんですけど、そこで合わなかった時にもう1回膨らんで動き直すというのは練習でやっていた」鈴木隼平の頭上へ。「相手の方が先にボールを触ろうとしていたので、前に入ってとりあえずシュートというよりは、ゴールの方向へ向かって行ったらいいなと思って」繰り出したのは何とオーバーヘッド。綺麗にミートしたボールはピッチの21人が見送る中、ゴール右スミへ吸い込まれます。前日は自らのゴールだと思った1点をオウンゴールとジャッジされ、「しっかりした点を取れなかったので明日は突き刺したいと思います」と言い切った男がさすがの有言実行。再び両者の点差は2点に戻りました。
小野監督も終盤に掛けて交替でゲームクローズに着手。67分には「みんな褒められている中で俺と仁太朗だけ相当怒られました」と岡崎同様に小野監督から喝を入れられ、「自分がああやって守備することでチームの雰囲気も良くなるし、守備もしっかり頑張ってやりました」と自ら話した通り、献身的な姿勢で闘い続けた道願を下げて、大須賀琢磨(3年・FC東京U-15深川)をボランチへ送り込み、69分にはこちらも前日の一喝で目を覚ました岡崎に替えて、新翼(3年・Forza'02)を最前線へ投入して、試合を終わらせに掛かります。
名門の執念。70+2分、中央をドリブルで運んだ杉本は渾身の左足ミドルを敢行すると、地を這うようなボールが到達したのは右スミギリギリのサイドネット。風間八宏が、小野伸二が、小林大吾が背負った伝統の8番を託されているキャプテンの意地。3-2。既に掲示されたアディショナルタイムは3分。残り1分にさらなるドラマは待っているのか。
70+4分のラストチャンス。左から横山が入れたクロスは鋭く関一ゴール前を襲いましたが、円谷が懸命にパンチングで弾き出すと直後に鷹取の空へ鳴り響いた試合終了のホイッスル。その瞬間、「今年新チームに入ってからこの1試合が一番キツかった印象だったので、『終わった~』というのが一番大きかったですね」という円谷はピッチにバタリ。「前が苦しい時は後ろが守れるチームですし、後ろがキツい時に前がやってくれるというのは、自分がトップチームに帯同してきた中でも今年が一番ハッキリしていて、チームの雰囲気というのが一番良いのかなと思います」とその円谷も話した通り、まさにチーム一丸となって掴んだ勝利。関東第一が同校初となる全国2勝目をもぎ取って、明日の3回戦へと駒を進める結果となりました。
苦しみながらもきっちり勝ち切ってベスト16への切符を掴んだ関東第一。2試合で6ゴールを叩き出している攻撃面もさることながら、最後の局面で体を張れる守備面がこの躍進に繋がっているのは疑いようがありません。「試合全体が見えているのがGKだと思うし、フィールドが苦しくなって声が出なくなった時にどれだけGKが声を出せるのかというのが勝敗を分けると思う」と最後尾から声を嗄らし続けた円谷も、「自信に満ち溢れていて、堂々と守っていますよね。『俺ら2人は高さがなくても守れるんだ』というのは後ろから見ていてもわかります」と目の前に構える中村と鈴木友也(2年・VIVAIO船橋)のCBコンビへ寄せる信頼を口に。彼らを中心にした粘れる守備は"15・関東第一"の大きな武器になっています。3回戦で対峙するのは前回大会準優勝の大津。「台風の目になりたいですね」と円谷が話せば、「明日は燃えるだけだと思うので楽しみです」とクールな道願も熱い想いを。「自分たちはもう大津とやりたくてしょうがないんです。自分たちは失うものが何もないので、しっかり明日もチャレンジ精神でやりたいし、自分たちが全国でどれくらいの位置にいるかというのを確かめる良い機会だと思うので、それをぶつけてきたいと思います」と鈴木隼平。関東第一の全国行進は果たしてどのステージまで。 土屋
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