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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2015年08月21日

高校選手権東京1次予選決勝 都立小松川×日工大駒場@私立武蔵G

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0820musashi.jpg盛夏の激闘を潜り抜けた者だけが辿り着くことを許される、都大会進出を巡るファイナルマッチ。都立小松川と日工大駒場の一戦は私立武蔵高校グラウンドです。
インターハイ予選では1次予選決勝で、全国出場経験もある東海大菅生に2点を先行。最後は試合終了間際に逆転を許し、悔しい負け方を突き付けられたものの、その独特のスタイルが見る者を惹き付けた都立小松川。進学校ということもあり、3年生は基本的にインターハイで引退するのが通例でしたが、「菅生に負けた試合のこともあって、リベンジしたいという想いもみんなあったと思います」とキャプテンの澤頭良介(3年・ジェファFC)が話し、「みんながやっている中で自分たちだけ辞めるというのは考えられなくて、どうしても周りの学校と同じ時期までやって、サッカーで戦いたいと思ったから残りました」と工藤翔太(3年・フレンドリー)も続けたように、11人の3年生が選手権までの現役続行を決断。1日でも長くみんなとサッカーを続けるためにも、重要な1次予選決勝へ臨みます。
新人戦は初戦で目黒学院に5-0で快勝したものの、2回戦では都市大高に3-3という激しい撃ち合いの末にPK戦で敗退し、インターハイ予選は支部予選初戦で東京立正に1-2と惜敗。新チーム結成以降はなかなか上位進出が叶わなかった中で、この最後の選手権予選は1次予選初戦で広尾学園を5-0、都立戸山を3-0で下して、公式戦連勝を達成した日工大駒場。同校名に変更後、初の都大会進出が懸かる大事なゲームに挑みます。江古田の空はパラパラ雨もちらつく曇天模様。1次予選ファイナルは小松川のキックオフで幕が上がりました。


立ち上がりはミドルシュートの応酬。2分は小松川。澤頭のパスから工藤が狙ったミドルは枠の左へ。4分は日駒。キャプテンマークを巻いた竹野彪雅(3年)がミドルを狙うも、ボールはゴール左へ。5分は小松川。澤頭のミドルは日駒のGK滋田輔生(3年)がしっかりキャッチ。同じく5分は日駒。衛藤凌平(2年)が左へ振り分け、橋本真志(2年)のミドルは小松川のGK林佑亮(3年・FCエスフォルソ)がキャッチしましたが、まずは双方がフィニッシュを取り合ってゲームはスタートします。
7分には工藤がシュート気味のクロスを枠の右へ外し、9分には中嶋祐太(3年・江戸川松江第六中)がクロスバーの上へミドルを外した小松川は、「最初はかなり相手が蹴ってくる中で自分たちのペースをなかなか掴めなかった」と工藤が話した通り、なかなか持ち味のコンビネーションを繰り出せずに攻撃もやや手詰まりに。逆に12分にはルーズボールを叩いた近藤端人(2年)の強烈なボレーが枠を襲い、林が何とかファインセーブで掻き出したものの、日駒もチラつかせる鋭い刃。
24分は日駒。最終ラインの裏に橋本が抜け出しかけるも、懸命に飛び出した林が何とかクリア。27分も日駒。右からのCKを井上海斗(2年)が短く蹴り出すと、竹野のクロスはDFがクリア。30分も日駒。竹野が入れた右CKに、溝口洸輝(3年)のヘディングはゴール左へ。直後も日駒。橋本のパスをバイタルに潜って受けた衛藤は、すかさずスルーパス。走った溝口にはわずかに届きませんでしたが、この時間帯は完全に日駒のそれ。
押し込まれた小松川の反撃は34分。加藤諒太(2年・両国FC)のクロスはDFに弾かれるも、中嶋が枠へ収めたボレーは滋田がファインセーブで回避。35分、左SBの管谷光(3年・江戸川松江第三中)、斉藤速太(2年・三菱養和巣鴨JY)と繋いで、加藤が放ったミドルは滋田が何とか触ってポスト直撃。跳ね返りを打った斉藤のシュートはDFが体で弾き、南匠汰(2年・ブリエッタFC)のシュートは枠の左へ。35+2分、「公式戦ということで縦に、縦に急いじゃって焦っている部分があった」と振り返る工藤が、ゴールまで25m弱の位置から直接狙ったFKはクロスバーの上へ。「相手ペースで前半は進んだかなと思います」と小松川の田代明彦監督が話せば、「前半はプラン通りだったと思います」とは日駒の森秀樹監督。右から中澤有斗(2年)、堀越健一(3年)、牛山悟(2年)、田辺希文(2年)の4人で構成した4バックも高い集中力を保ち続け、トータルで日駒がうまく時計の針を進めた前半は、スコアレスでハーフタイムに入りました。


「中に入れても前に進めないし、工藤と加藤の突破しか攻め手がないなと思いました」と田代監督が話したように、後半に入っても小松川のアタックは単発。38分、南、中島と回して、工藤が放ったミドルは枠の左へ。41分、澤頭のパスから中嶋が打ち切ったミドルはクロスバーの上へ。44分、加藤のボールカットを起点に、斉藤が右サイドをドリブルで運びながら蹴ったシュートはゴール左へ。45分、澤頭が右へ展開し、加藤がカットインから狙ったシュートは滋田がキャッチ。「そんなに練習試合では相手も引いてこないので、ちょっとやりづらかったです」と澤頭。打ち破れない日駒の堅陣。
45分に輝いたのは青の10番。高い位置でボールをかっさらった竹野は、そのまま持ち込んで豪快にシュート。ボールは枠の右へ逸れましたが、「10番のシュートを見た時に『これは一発あるな』と思った」と田代監督。確実に変化した会場の雰囲気。47分に竹野が入れた右CKはDFのクリアに遭うも、衛藤のワントラップボレーは林が何とかキャッチ。漂い出す先制の可能性。
47分は小松川。林のキックを斉藤が収め、工藤が放った強烈な無回転気味のミドルは滋田が冷静にパンチング。49分は日駒。左サイドで粘った溝口が、角度のない位置から打ち切ったシュートは林が何とかセーブ。その左CKを竹野が蹴ると、堀越が執念で残したボールを近藤が狙うも、小松川の右SB山田泰亮(2年・江東東陽中)が体でブロック。「後半も相手の足が止まるかなという想いはあったんですけど、15分くらいは止まらない時間が続いた」と田代監督。勝敗の行方はまったくの不透明に。
ようやく煌めいた"江戸川のサンパウロ"。53分、澤頭と中嶋が短くパスを交換し、澤頭は右へラストパス。斉藤が体を開きながら放ったシュートは、右スミギリギリのゴールネットへ飛び込みます。「先制点はポンポン繋げたのでウチらしくて良かったと思います」と澤頭も納得の先制弾。「後半は回すサッカーで自分たちのペースがちゃんと創れると、自分たちのサッカーができる時間が来ると思っていた」と工藤も口にした小松川が1点のリードを手にしました。
「点が入るとノっていくチーム」(澤頭)の真骨頂。59分、再三の突破がチームへ推進力を与えた加藤のパスを澤頭が繋ぎ、中嶋がミドルレンジから叩いたシュートは、綺麗な弧を描いてゴール左スミへ吸い込まれる2点目。61分、斉藤が右へ流したボールを加藤がマイナスに折り返すと、「ファーストタッチが成功した中で、かなりボールが止まる芝で持って行かれちゃったんですけど、気持ちで持って行ってフィニッシュは自分の得意な左足を振り抜くだけでした」という工藤が豪快にゴールネットへ突き刺して3点目。徐々に顔を出し始めた小松川スタイル。
62分には南と小川雄太(1年・ジェファFC)を、63分には山田と中久保雅貴(2年・SKオンゼFC)を相次いで入れ替えても、止まらない小松川のラッシュ。64分、左サイドをドリブルで運んだ工藤はシュートを打てそうな位置から、中央へ丁寧な折り返しを送ると、小川が難なくプッシュして4点目。「1年生が入ってきたのでどうしても決めさせてあげたいなと。決めるということが一番自信が付くことだと思うので、打たずに出しました」という工藤からのプレゼントで1年生もゴールを記録。65分にも斉藤速太と負傷を抱えながら走り切った大橋拓登(2年・両国FC)を下げて、斉藤僚太(3年)と竹森広樹(3年・FC西新井)を投入すると、66分にも工藤の右FKにファーヘ突っ込んだ竹森がファーストタッチで押し込んで5点目。試合の大勢は決しました。
岸本海斗(3年)と鳥居優人(3年)の3年生コンビをピッチヘ解き放ち、何とか1点を取りたい日駒も最後の力を振り絞ってアタック。68分、途中出場の秋山尚輝(1年)が思い切り良く狙ったミドルは枠の左へ。70分、鳥居が左へ振り分け、近藤がカットインから打ったシュートは林がキャッチ。70+1分、ラインの裏へ近藤が飛び出し、林がパンチングしたボールを秋山が直接狙うも、ボールは枠の左へ。70+2分、左サイドで粘ってキープした溝口のシュートもゴール左へ外れると、聞こえたのは江古田の空を切り裂くファイナルホイッスル。田代監督も「総体が終わってからトレーニングマッチをしてきたんですけど、ある意味で一番苦しんだ試合かなと思う内容でした」と認めたように、日駒のチーム力に苦しめられながらも、CBの山口大貴(3年・FCエスフォルソ)を中心に無失点を達成し、最後は5ゴールを奪い切った小松川が2年ぶりに都大会進出への切符を獲得する結果となりました。


「かなりプレッシャーはありました。昨日も寝れなくて、早く寝ようと思うんですけど1時間ぐらいずっと寝れなくて、緊張で朝2時に起きちゃって。そこからなかなか寝れずにボーッとしてました」と工藤が正直に明かしたように、小松川イレブンには"負けたら最後"というプレッシャーが相当掛かっていたようです。しかも、「結構続けるかどうかの話し合いはしましたけど、試合に出ているメンバーでも迷っている人もいて、僕は残って欲しかったので粘り強く説得しました」(澤頭)という中で、チームに残った3年生はなおさら。それでも、厳しいゲームを何とかモノにできたのは「1,2年生だけだったら経験もないので、3年生が残ったのは大きかったと思います」という田代監督の言葉を待つまでもなく、選手権に懸けている3年生に拠る所が大きかったのは間違いありません。菅生戦から得たものを問われて「やっぱり自信を凄く持ったことですね。『俺たちできるんだ』という。『全然通用しないんじゃないか』と思っていたけど、トレーニングで『もっと走ろう』とかじゃなくて、『もっと技術を磨こう』『もっと戦術を身に付けよう』ということをやれたので、その自信は財産になりました」と答えてくれた田代監督。「インターハイはベスト8決めで負けてしまったので、菅生と当たれれば菅生にリベンジしたいというのはありますし、西が丘でやるというのも1つの大きな目標です」と言い切った工藤。3年生が牽引する"江戸川のサンパウロ"は、かつてない自信を胸に都大会へと乗り込みます。     土屋

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