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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2015年08月04日

インターハイ1回戦 徳島市立×佐野日大@三木陸上

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0803miki2.jpg14回目と9回目の対峙。全国優勝経験を有する徳島のスカイブルーと復権を誓う栃木のピンクが激突する一戦は三木総合防災公園陸上競技場です。
2000年代は県内のライバルに押される格好でなかなか存在感を発揮できなかったものの、選手権では県連覇を達成し、昨シーズンはプリンス四国も堂々制覇。インターハイも今回で2年連続での全国出場と、名門復活を間違いなく県内外へ示している徳島市立。キャプテンの奥田雄大(3年・徳島ヴォルティスJY)や鏡洋人(3年・徳島ヴォルティスJY)、岸田大世(3年・徳島ヴォルティスJY)など1年時からの主力も最高学年になり、「今回は3年生を中心にメンバーを組んだ」と河野博幸監督も話すなど、勝負の夏となる今大会の上位進出を目論みます。
昨年のインターハイ予選と選手権予選、今年の新人戦と関東大会予選も含め、5大会連続でファイナルでの激突となった矢板中央との一戦に2-0で快勝。5回目にしてようやく"矢板中央超え"を果たして、夏の全国切符を強奪した佐野日大。今シーズンから同校OBでもある海老沼秀樹監督が指揮官に復帰し、関東大会では3連勝でBグループ制覇を達成するなど、その実力は県外でも実証済み。関東を飛び出したこの夏は「良い意味で自信が付いたと思う」と指揮官も言及した"矢板中央超え"の余勢を駆って、全国での躍進を狙います。12時のスタジアムは気温35.5度とまさに猛暑真っ盛り。徳島市立のキックオフでゲームの幕は上がりました。


先に攻勢へ出たのは徳島市立。2分に鏡が蹴った右CKはシュートまで繋がらなかったものの、5分にはGKの安丸諒(3年・徳島城西中)が蹴ったキックの流れから、最後は郡紘平(2年・徳島ヴォルティスJY)が枠の右へ外れるミドルを放つなど、積極的に立ち上がると勢いそのままに先制したのは7分。左サイドでボールを持った鏡がアーリークロスを送り込み、ラインの裏へ潜った高畑勇人(2年・徳島ヴォルティスJY)は右足アウトでシュート。左のポストを叩いたボールは、そのままゴールの中へ転がり込みます。「もう少し相手が出てくると思ったんですけど、好きなようにやらせてもらえるんだなと感じた」と河野監督も話した徳島市立が、最初の決定機で1点のリードを手にしました。
エースの矜持。先制された佐日の逆襲はわずか2分後。9分、徳島市立のDFが予想外のクリアミスを犯すと、こぼれを拾った10番の岩木艦(3年・FC駒沢U-15)はゴールまで35m弱の距離からGKの位置を見極め、そのままミドルを選択。美しい軌道を描いたボールはフワリとゴールネットへ吸い込まれます。ケガから帰ってきたエースが一撃必殺の大仕事。たちまち両者の点差は霧散しました。
以降も基本的な流れは徳島市立が攻めて、佐日が守る展開。11分は徳島市立。奥田のフィードから郡が狙ったシュートは枠の右へ。12分も徳島市立。ここもCBの上野謙太朗(2年・板野郡藍住中)がフィードを蹴り込み、右SBの吉川航平(3年・徳島ヴォルティスJY)がカットインから左足で放ったシュートはゴール右へ。佐日も17分にはキャプテンの小野智史(3年・町田JFC)が、26分には小矢島成輝(3年・ヴェルディSS小山)がそれぞれFKを蹴り入れるも、チャンスには至りません。
さて、「ボールを動かしてというのはできたので、もっと自分たちで動き出してやらないと厳しいですよね」と河野監督も話した徳島市立は、ボールこそ握っているものの、そこからのギアがなかなか上がらず。29分には左サイドをえぐった郡が優しいクロスを送るも、飛び込んだ吉川のヘディングは佐日のGK佐藤皐(3年・VIVAIO船橋05SC)がしっかりキャッチ。逆に34分には佐日も末岡北都(3年・羽生南中)を起点に、長崎達也(2年・足利両毛ユナイテッド)が裏へ落とし、走った岩木はエリア内でDFともつれ、主審の判定はノーホイッスルでしたが、あわやというシーンを創出。序盤の3分間で激しく動いた前半は同点のままで35分間が終了しました。


「初戦の堅さもあるのでなかなか前からの攻撃ができなかった」(河野監督)前半を経て、後半は徳島市立が一段階踏み込んだアクセル。43分、ボランチの蔭西竜之介(3年・徳島川内中)が縦へ打ち込み、山本史弥(2年・徳島FCリベリモ)が落としたボールを、郡が叩いたシュートはわずかにゴール右へ。44分、ここも鏡が縦に打ち込み、氷が落としたボールを、金丸雅(3年・三好井川中)が放ったシュートはクロスバーの上へ。45分に佐日が1人目の交替として長崎と加藤亮太(3年・町田JFC)を入れ替えるも、45分は再び徳島市立。郡のリターンを受けた吉川のクロスに、山本がボレーで合わせたボールは枠の右へ。次々と佐日ゴールに襲い掛かります。
46分には河野監督も1人目の交替を決断。金丸を下げて、「まだケガから復帰して2週間で、1試合持つかどうかわからないのでベンチスタートにした」という岸田をピッチヘ送り込み、さらなるギアアップに着手。47分に郡が左から蹴ったCKは佐日の右SB上野貴章(3年・ヴェルディSS小山)がきっちりクリア。49分に鏡のパスから、郡が左から切れ込みながら打ち切ったシュートはクロスバーの上へ。直後に海老沼監督は相良強(3年・ヴェルディSS小山)と松島巧(3年・ヴェルディSS小山)をスイッチして、こちらは吉川のオーバーラップで疲労感のあった左サイドにテコ入れを。
粘る佐日の真骨頂は51分。上野が出したパスに「彼のスプリントは最後まで落ちない」と指揮官も太鼓判を押す吉川が全力で走って折り返すと、ゴール前で混戦に。最後は至近距離から高畑が枠内へシュートを飛ばしましたが、カバーに入っていた佐日のCB木村皓亮(3年・クマガヤサッカースポーツクラブ)がライン上で決死のヘディングクリア。「選手が最後の所でしっかり体を張ってくれた」という海老沼監督の言葉をまさに象徴するような木村の超ファインクリア。残り20分。右から上野、木村、高柳洸太(3年・前橋JY)、平田悠太(3年・川崎西中原中)で組んだ佐日の3年生4バックは鉄壁。スコアは動きません。
「8割はああいう守りの形でも、残りの2割で1本でも相手コートに行ければ、ゴールまで行けるかなというのはあったので、我慢してワンチャンスでもいいから生かそうというのは常に狙っていた」(海老沼監督)"1本"は59分。自陣で前掛かった相手を外した松島はドリブルを開始し、岩木のリターンを受けて相手陣内に入りましたが、最後はオフェンスファウルで徳島市立ボールに。「ペナ付近まで行ったんですけどね」と海老沼監督。後半に入って佐日のシュートはゼロが続きます。
「去年よりは運べるはずなので、もっともっと積極的にバイタルの所を動かしながら外、中、外、中で思い切って行ったらいいんですけど、最後の方も誰も仕掛けなかったですね」と河野監督。50分過ぎからはサイドでこそ良いコンビネーションも出てきますが、肝心のバイタルではアタックが詰まり気味。60分には鏡、高畑と細かく繋ぐも、3列目から飛び出した四ツ谷直樹(3年・バンディオンセ神戸FC JY)には木村がしっかり対応してゴールキックに。63分に岸田が左から中央に流れて打ったミドルも枠の左へ。1-1。スコアは動かず。
67分に吉田顕生(2年・板野郡板野中)、69分に新居田涼(3年・徳島ヴォルティスJY)とアタッカーを相次いで投入し、試合を決めに行った河野監督でしたが、後半アディショナルタイムの主役は耐え続けてきた佐日。69分にこの日初めて奪ったCKを左から松島が蹴り込み、ここはDFのクリアに遭ったものの、70+2分には右サイドで加藤、岩木と回し、小矢島がDFに跳ね返されるクロスまで。70+3分、右から小矢島が蹴ったCKを木村が折り返すと、ボールは岩木の頭上へ。10番が放ったヘディングはDFに当たってゴールの右へ外れるも、後半ファーストシュートに佐日応援席も最高潮へ。70+4分、右から小矢島が入れたCKがファーに流れると、主審が吹き鳴らしたのはタイムアップのホイッスル。「絶対に勝たないといけない内容をPKまで持って行かれた」と天を仰いだのは河野監督。2回戦への切符はPK戦で争われることになりました。


気合いの円陣が解けると、そこはもう11メートルの果し合い。徳島市立の1人目は鏡。落ち着いて蹴ったかのように見えたボールは、しかしクロスバーを直撃。佐日の1人目は岩木。こちらも冷静に中央を狙うも、「たぶん真ん中に来るだろうと思って、高かったら仕方がないと思ったんですけど、下だったので最後まで見て足で止められたのが良かったと思います」という徳島市立の守護神を託された安丸が足でビッグセーブ。双方1人目が外す波乱の幕開けに。
徳島市立2人目の吉川は右スミへグサリ。佐日2人目の小野も左スミへグサリ。徳島市立3人目の奥田はGKの逆を突いて右スミへ。佐日3人目の小矢島はGKと同サイドもコース良く成功。そして徳島市立4人目の岸田は右スミに蹴ると、ここは佐藤がビッグセーブで仁王立ち。ところが佐日4人目の高柳が左へ蹴ったボールは緩く、「相手のシュートが弱かったし、練習でもそういったプレーヤーに対するPKもやったので大丈夫でした」という安丸ががっちりキャッチ。成功と失敗を繰り返し、5人目を前に2対2。両雄全く譲りません。
徳島市立5人目は蔭西。左スミを狙ったキックはGKの逆。成功。気持ちの入ったガッツポーズ。スタジアム中の視線を集める佐日5人目は80分間奮闘し続けたCBの木村。キックは左。「自信はありました」と話した安丸も左。駆け出すスカイブルー。崩れ落ちるピンク。「PKになったら自分が止めるしかないというのはあったし、今まで自分がミスして足を引っ張ってきた部分があったので、こういう大きな舞台でチームに貢献できたことは良かったです」と笑った安丸が驚異のスリーセーブ。徳島市立がPK戦を制して、2回戦へと勝ち進む結果となりました。      土屋

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