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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2015年07月05日

高円宮杯プレミアEAST第8節 FC東京U-18×清水ユース@小平

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0705kodaira.jpg8日前にトップチーム同士も対峙した両者の文月決戦。首都の青赤と王国のオレンジが激突する90分間はおなじみ東京ガス武蔵野苑多目的グランド、"小平"です。
昨シーズンはクラ選で準優勝、Jユースカップでベスト4と全国でも結果を残し、さらに昨年末の参入戦を力強く制して、プレミア創設史上初めての"復帰"チームとなったFC東京U-18。帰ってきたステージを戦う今シーズンは、「プレミアはサッカーがしっかりしているというか、結果にコミットするサッカーかなと(笑)」と佐藤監督も笑う中、ここまでわずか1敗ながら3つの引き分けを数えるなど、なかなか勝ち切れない試合が多く4位という順位に。それでも、先月行われたクラ選の関東予選では並み居る強豪を相次いでなぎ倒し、見事に関東連覇を達成。「今年は狙って獲った優勝」と佐藤一樹監督も明言するタイトル獲得の勢いをリーグ戦に繋げたい所です。
シーズン途中で6年半に渡ってチームを率いてきた大榎克己監督がトップチームの指揮官へ就任。優勝争いを繰り広げていたプレミアEASTは夏場以降の失速で2位に甘んじたものの、Jユースカップでは準決勝まで進出し、その実力を改めて示してみせた昨シーズンの清水ユース。迎えた今シーズンは開幕戦こそJFAアカデミー福島との"新・静岡ダービー"を3‐1で制しながらも、現在は3連敗中の7位とやや苦しい状況にありますが、「楽観視はしていないんですけど、内容的には決して悪い試合はしていないと思う」と平岡宏章監督。東京V、柏、大分と"死の組"に放り込まれたクラ選へ弾みを付ける意味でも、このアウェイゲームは勝ち点を持って帰りたい一戦です。小平は英国を思わせるような鈍色の空も、試合前には雨も上がる悪くないコンディション。注目の好カードは東京のキックオフでスタートしました。


お互いに手数の出て来ない静かな立ち上がりを経て、ファーストシュートを放ったのは13分の東京。ボランチの安部柊斗(3年・FC東京U-15むさし)が左へ流し、小山拓哉(3年・FC東京U-15むさし)の折り返しがこぼれると、走り込んでいた安部はエリア外からフィニッシュ。GKも動けなかったボールは枠の左へ外れましたが、まずは「ボール奪取能力はこの年代でもトップクラスだと思う」と指揮官も評価する安部が、攻撃で会場を沸かせます。
ただ、以降はそれまで同様になかなか双方の攻撃がフィニッシュまで繋がらず。「こっちも動かすは動かしたんですけど、全然前に人を掛けられない感じで、それはビルドアップしていて自分らで難しいなと思っていた」と東京のキャプテンを託された渡辺拓也(3年・FC東京U-15深川)が話したように、東京は柳貴博(3年・FC東京U-15深川)、渡辺、岡崎慎(2年・FC東京U-15深川)の3バックでこそボールは回るものの、前にボールを入れようとしても清水が敷いたブロックに阻まれ、テンポアップするポイントが見つからず。「エスパルスさんの消し方が上手だったので、思った以上に背後も取れないし、ボールも縦にいつも以上に入っていかなくて、『どうしたのかな?テスト期間中だから選手が勉強し過ぎたのかな?』とか思いましたけど(笑)」と佐藤監督が話せば、「相手のラインが裏に蹴ろうとしたら凄く下がって全然蹴れなくて、でも中盤もあまり空かないしというような感じ」と渡辺も同様の感想を。続く膠着した時間帯。
「あまり勝負をしてどんどん仕掛けると彼らはカウンター返しというか、スペースが空いた所の勝負は非常に強いので、『前半は別に行かなくてもいいよ』という話をしていた」と平岡監督が明かした清水は、村松航太(3年・NPO藤枝東FC JY)と立田悠悟(2年・清水エスパルスJY)のCBコンビを中心に、ある程度はラインを深く取りながらもきっちり守備をコントロール。21分には左SBに入った田口雄太(3年・清水エスパルスJY)が中へ付けると、ボランチの長谷川歓大(3年・清水エスパルスJY)が枠の左へ外すも、チームのファーストシュートを記録。うまく相手の持ち味を消しながら、時計の針を進めていきます。
25分は東京。生地慶充(2年・FC東京U-15むさし)、大熊健太(3年・FC東京U-15深川)と細かく繋ぎ、左から鈴木喜丈(2年・FC東京U-15むさし)が折り返すと、安部が枠へ収めたシュートは清水のGK水谷駿介(2年・FC.フェルボール愛知)がキャッチ。27分には清水も梅村豪(2年・清水エスパルスJY)、沼野誠也(3年・清水エスパルスJY)と回ったボールを、右へ開いた福井悠陽(3年・F.C.コーマラント)がクロスまで持ち込むも、東京のGK波多野豪(2年・FC東京U-15むさし)にキャッチされると、30分には東京に決定機。岡崎が左へ振り分けたボールを小山は中へ送り、安部が左足で右スミギリギリを狙ったシュートは水谷がファインセーブで回避。32分も東京の決定機。渡辺が中央で粘って残し、生地のパスからリーグ得点ランクトップを快走する佐藤亮(3年・FC東京U-15むさし)がミドルにトライするも、水谷がファインセーブで掻き出し、詰めた安部より一瞬速く水谷がキャッチ。水谷の好守連発でスコアは変わりません。
37分も東京。左サイドでのアタックから生地のパスを中央で佐藤が受けるも、良く戻っていた田口が間一髪でカット。40分は清水。武田夏輝(3年・清水エスパルスJY)のパスを鈴木魁人(2年・清水エスパルスJY)が右へ展開し、沼野が上げ切ったクロスはそのまま無人のファーへ。44分は東京。岡崎のサイドチェンジを引き出した柳の右クロスはDFをかすめ、佐藤が叩いた枠内ヘッドはここも水谷がビッグセーブで仁王立ち。45分も東京。左CKを佐藤がグラウンダーで蹴り入れると、フリーで飛び込んだ大熊のシュートはクロスバーの上へ外れ、デザインされたセットプレーもゴールには結び付かず。「無理に前掛かりになって引っ繰り返されるよりは、90分でしっかりゲームを創っていこうということもある」(佐藤監督)「前半は45分をゼロで、チャンスがあったら1点取るという感じで、そんなに無理をしないサッカーをと言っていた」(平岡監督)。両者ともにある程度思惑通りの前半はスコアレスでハーフタイムへ入りました。


後半に入っても攻撃の手数は東京。52分に佐藤が左から蹴ったFKはDFのクリアに遭ったものの、53分には鈴木喜丈が浮かせたボールを安部が収め、ゴール右へ外れるシュートまで。56分にも小山が左から折り返したボールを大熊が枠内へ蹴り込むも、好守連発の水谷がここもファインセーブで弾き出し、リバウンドへ突っ込んだ安部のシュートも再び水谷が体でブロック。57分にも右CKの流れから佐藤が2人をかわして中へ返すも、安部のシュートはクロスバーの上へ。「ボランチなんですけど結構点も取りたい人」と渡辺が評した安部に再三チャンスが訪れますが、なかなか清水ゴールを打ち破れません。
先に動いたのは「後半のどこかでパワーを掛けていかないといけないなと思っていた」佐藤監督。57分に生地を下げて、半谷陽介(2年・FC東京U-15深川)をそのままの位置へ送り込み、全体のギアアップを図りましたが、突如として牙を剥いたのはオレンジ軍団。60分、田口、福井、武田と流れるようにパスが回り、沼野が右へスルーパスを送ると、ここで待っていたのはフリーの福井。GKと1対1になって放ったシュートはクロスバーを越えてしまったものの、このゲーム初めての決定的なシーンにどよめくスタンド。
64分には東京も佐藤の左CKから、大熊が水谷にキャッチを強いるヘディングを打ち込みましたが、66分の決定機はまたも清水。武田を起点に沼野が左へラストパスを通すと、福井は逆サイドを狙って強烈なシュート。波多野が懸命に左手で叩き落とし、小山が何とかクリアしたものの、一気にパスワークのリズムとテンポが上がった清水。ただ、この流れは予定通り。「後半も最初は別に無理する必要はないと。残り30分くらいからチャンスがあったら仕掛けていこうよということで、彼らはプラン通りに遂行していったのかなと思います」と平岡監督。まさに残り30分間となる60分前後から踏み込まれたアウェイチームのアクセルが、ホームチームを自陣へ押し込みます。
67分には平岡監督も1人目の交替を。前線の鈴木魁人に替えて中野優太(2年・F.C.コーマラント)を送り込み、さらなる前への推進力向上へ着手すると、69分のチャンスも清水。福井のパスを受けた田口は、ゴール前の密集をすり抜ける絶妙のグラウンダークロスを中へ。ファーへ突っ込んだ沼野のシュートはわずかにゴール左へ外れたものの、「エスパルスさんもやっぱり凄く力があって、テンポ良く動かされて縦にグッとスイッチが入った時にはどうにもならない所もあった」と素直に認めたのは佐藤監督。完全に反転したゲームリズム。
73分に東京が掴んだ右CKを佐藤が蹴り込み、舞った渡辺のヘディングが枠の左へ外れると、直後には清水に2人目の交替が。右SBで奮闘した中島杏輔(2年・清水エスパルスJY)の足が攣ってしまい、佐野皓平(2年・清水エスパルスJY)をボランチへ投入。「元々サイドバックの選手なんですけど、彼のボール奪取能力が高いのでボランチで使っている」(平岡監督)という梅村を右SBへスライドさせて、残された15分間へのバランスを整えます。
苦しんだ青赤に歓喜がもたらされたのは78分。「今日は自分で言うのもなんですけどちょっと調子が良かったんです」と笑った鈴木喜丈は、「自分で中盤からゴール前に持っていって、パスを出した後には自分で行こうという意識は強かった」と縦に付けてそのままゴー。半谷の丁寧なリターンを受けて完全に1対1となったシチューションも、飛び出したGKを冷静にかわすとそのままボールをゴールネットへ流し込みます。「半分は勢いと言えば勢いですけど(笑)、落ち着いてGKも見て決められました」という2年生レフティの貴重な先制弾に「ゴールに対しても貪欲さが最近出てきたので、これでまた味をしめてもっともっとゴールに向かっていってくれたらいいなと思うんですけど」とは佐藤監督。東京が終盤に差し掛かった時間帯で、1点のアドバンテージを手にしました。
「あそこで1つ取れていたら違う展開になっていたと思う」と平岡監督も話したように、自分たちの流れの中で得点を奪えず、逆にビハインドを追い掛ける形になった清水は、83分に佐藤の際どいハーフボレーを水谷がキャッチするのを見ると、84分に3枚目のカードを。福井と望月陸(2年・清水エスパルスJY)をスイッチして、その望月を右SHへ、右SHの沼野を左SHへ、左SHの武田をボランチへ、ボランチの佐野を最前線へそれぞれスライド。「ウチはジュニアユースから2つ3つのポジションをできるということをやってきていますから、最低でも2つというように複数ポジションをできる選手たちが揃っている」と指揮官も言及した通り、複数人の配置を入れ替えて最後の勝負に打って出ます。
とはいえ、「前節の大宮戦も同じような状況になって、最後に追い付かれてしまった」(佐藤監督)という東京は、しっかり1週間前の反省を生かして終盤のゲームをコントロール下に。90+1分に佐藤と西元類(3年・FC東京U-15むさし)、90+2分に鈴木喜丈と品田愛斗(1年・FC東京U-15深川)を入れ替える万全のゲームクローズで最終盤は清水にチャンスを与えず、迎えたタイムアップのホイッスル。「後ろは前節カウンター1本でやられたので凄く集中していて、前回の失点があったから今日の試合に生きているんだと思います」と渡辺も話した東京が、ホームできっちり勝ち点3を獲得する結果となりました。


「内容的にはここ数試合も悪くはないので、それがサッカーなので何とも言えないんですけど、もっともっと1つ1つのプレーにこだわりを持ったり、ポジションにもこだわりを持っていかないといけないのかなと思います。あとはブレずにやっていくしかないですから」と平岡監督が語った清水は、90分間のデザインという意味ではかなり狙い通りのゲームだったようですが、「最後の所を決め切れるかという所」(平岡監督)がそのまま勝ち点ゼロという悔しい結果に直結してしまったかなと。ただ、粘り強く守っていたディフェンス陣の中でも2年生でCBを任された立田は個人的にMOM級の活躍を見せてくれたと思います。平岡監督も「ここの半年ぐらいでグッと成長した選手なんですけど、まだ線が細い子なのでどうしてもぶつかられたりするとよろけてしまう所があって、そういうのに負けないようにということと、75分を過ぎると少し集中力が欠けてきたり走れなくなったりしてくるので、そういう所をという話はしています。非常に期待は持てると思うんですけど、これからじゃないですか」と期待と課題を。「2人のCBコンビは良いコンビだなと思います」と指揮官も認めるように村松との補完性も高く、彼らを軸により一層守備の安定感を打ち出せれば、自ずと結果は付いてくるような気がします。
「選手が前の試合から何かを学んで、しっかりと1-0で勝ち点3を手にすることができたというのは、プレミアで毎試合毎試合良い経験を積ませてもらっている成果が出たのかなとは思っています」と佐藤監督も言及した東京は、前節の反省も生かしながら確実に勝利をゲット。「こうやって1点取って0点に抑えるというのは、渋いんですけど後ろにとっては凄く良いなと思いますし、前もしっかり最後の最後で取ってくれたので今後に繋がるゲームだったと思います」とキャプテンの渡辺も手応えを口にしていました。また、今シーズンの立ち上げから佐藤監督が我慢しながら起用し続けてきた鈴木喜丈が、ここにきて大きな存在感を放ち始めています。「去年はベンチにもメンバーにも入れなくて苦しい思いをしたというのはありますけど、今年からスタメンを獲って、まだまだですけど最近は結構自信も付いてきました」と本人もさらなるステップアップへの扉に手を掛け始めている様子。「中学校の時も夏、冬と全国大会に行けなくて、やっぱり全国大会で活躍したいというのはある」とその鈴木喜丈も語り、「あそこで負けるという同じ経験はもうしたくないので、僕らもしっかり日本一になることだけを目指して毎日努力している」と渡辺も話したクラ選の全国大会は、もう1か月弱で開幕。1月から着々とレベルアップしている彼らの全国行進はどこまで続くのかが、非常に楽しみになるような90分間でした。      土屋

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