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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2015年07月24日

クラ選グループステージBグループ 徳島ユース×長崎U-18@宮城総合

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0723miyagi2.jpg"2度目"と"初出場"が激突するフレッシュな顔合わせ。徳島ヴォルティスユースとV・ファーレン長崎U-18の対峙は引き続き宮城総合です。
2009年の初出場からここ5年に渡って、常に彼らの前に立ちはだかってきた最大のライバルとも言うべき愛媛FC U-18を退け、6年ぶりに全国の舞台へと帰還した徳島ヴォルティスユース。前日の初戦ではカターレ富山U-18を相手に、長野諒(3年・徳島ヴォルティスJY)がPKで挙げた1点を守り切って、悲願の全国初勝利を達成。勝てばグループステージ突破も一気に視界へ入ってくるこのゲームにフルパワーで挑みます。
創設わずかに4年で辿り着いた大舞台。ロアッソ熊本ユースやサガン鳥栖U-18など、"先輩たち"を相次いで破って、初めてとなる全国まで駒を進めてきたV・ファーレン長崎U-18。全国デビューとなった前日の鹿島アントラーズユース戦は、先制されながらも一旦は吉川心(3年・和歌山橋本高)のPKで同点にまで。最後は突き放されて惜敗したとはいえ、強豪相手の善戦に確かな手応えを。「初出場だし失うものはないという中で、ただチャレンジしてやるだけでは、せっかく全国大会なのにもったいないなというのもあったので、何かを残していこうというのもずっと言ってきました」と話すのは原田武男監督。その"何か"を手に入れるための80分間に臨みます。試合前から降り出していた雨で、気温も28.0度と一気に急降下。スリッピーなピッチ以外は絶好のコンディションの下、徳島のキックオフでゲームの幕は上がりました。


開始早々のビッグチャンスは長崎のFK。4分に中央やや左、ゴールまで約30mの位置から冨永恭平(2年・V・ファーレン長崎U-15)が左スミギリギリへ収めたキックは、トップチームに2種登録されている徳島のGK堀口皓平(3年・徳島ヴォルティスJY)がファインセーブで掻き出したものの、9分には中盤でのルーズボールを収めた吉川がボレーミドル。ここも堀口にキャッチされたとはいえ、「ウチはどうしても入りの所は不安定な所がある」という原田監督の心配とは裏腹に、長崎がリズムを掴んで立ち上がります。
一方の徳島は1トップの長野や2シャドーの後藤卓磨(3年・プルミエール徳島SC)と藤原志龍(中学3年・北島少年サッカースクール)にボールが入らず劣勢に。17分には河野力哉(2年・プルミエール徳島SC)を起点にエリア左へ長野が侵入するも、長崎のCB坂口拓生(3年・V・ファーレン長崎U-15)がタックルで回避。18分にも左CKを森本瑞生(2年・徳島ヴォルティスJY)が蹴り込み、ニアで吉村恒輝(3年・プルミエール徳島SC)がフリックしたボールはそのままファーへ。なかなか攻撃の形を創れません。
19分には長崎に決定機。右からキャプテンの池田久哉(3年・V・ファーレン長崎U-15)が蹴ったFKに、ドンピシャで合わせた平野暁大(3年・V・ファーレン長崎U-15)のヘディングはわずかに枠の左へ。雨が一段と強く降り始めた26分も長崎。右サイドでSBの山崎蓮(3年・V・ファーレン長崎U-15)が縦に付け、平野の巧みなフリックに吉川が走るも、堀口が素晴らしい判断でエリア外へ飛び出してクリア。「形も創れていましたし、狙いとしている所も出ていたので非常に良かったんですけど、フィニッシュの部分が問題だなという所」とは原田監督。球際の強さと出足の速さで上回った長崎の続く攻勢。
35分も長崎。野中魁(2年・V・ファーレン長崎U-15)がFKをクイックで始め、左SBの坂本尚幸(2年・V・ファーレン長崎U-15)がクロスを送り込むと、こぼれを狙った山崎のミドルはクロスバーの上へ。36分も長崎。池田が左へサイドを変え、ダイレクトで巻いた野中のミドルはわずかにゴール右へ。「前半はよく耐えた40分間だったと思います」と正直な感想を口にしたのは徳島の羽地登志晃監督。0対5というシュート数でも明らかな長崎ペースの前半は、それでもスコアレスでハーフタイムに入りました。


後半のファーストチャンスも長崎。43分、山崎とのワンツーから小川颯(3年・V・ファーレン長崎U-15)が繋ぎ、吉川のシュートは堀口がキャッチしましたが、早くも先制への意欲をフィニッシュに滲ませるも、直後に決定的なシーンを迎えたのは徳島。44分に藤原の仕掛けで得た右CKを森本が蹴り入れ、キャプテンマークを託された岸龍太郎(3年・徳島ヴォルティスJY)が残すと、姫田耕大(3年・徳島ヴォルティスJY)が至近距離からシュート。GKを破ったボールは、カバーに入っていた坂本のライン上で掻き出すスーパークリアに阻まれたものの、ファーストシュートで徳島が長崎へ冷や汗をかかせます。
49分の決定機は再び徳島。姫田を起点に長野が右へ振り分け、後藤のクロスを弾いたDFのクリアは長野の目の前へ。バウンドを合わせて叩いたボレーは、長崎のGK山本祥輝(3年・V・ファーレン長崎U-15)が超ファインセーブで立ちはだかりましたが、直後の右CKを森本が蹴ると、ファーで岸が折り返したボールに姫田が頭で食らい付き、最後は山本が何とか押さえたものの、「守備面でのタフさは前半を見ても出てきたので、そういう所は前向きに捉えて後半に送り出した」と羽地監督も話した徳島が剥き出す鋭利な牙。
「後半の立ち上がりは向こうの方が入り方が良かった」と原田監督も認める中、51分には長崎に久々のチャンス。冨永がFKを左へ送り、野中のヘディングは枠の左へ外れましたが、52分にも「正直自分たちの実力を出せれば全国でも通用するんじゃないかなと思っていました」という池田が30m級の無回転ミドルを枠内へ打ち込み、堀口が何とかセーブしたものの、連続してフィニッシュを。53分にも左サイドで野中が仕掛け、こぼれを拾った冨永のミドルはゴール右へ消えるも、長崎が打ち出した反撃姿勢。
先に動いたのは徳島。56分に後藤に替えて送り出したのは、「少しケガ持ちなので時間を限定して使っているんですけど、期待はしている選手です」と指揮官も言及した桒原呂偉(1年・徳島ヴォルティスJY)。すると、57分には堀口のキックを吉村が繋ぎ、ボールを受けた桒原は巧みなステップを踏んで中へ。長野のシュートは山本がキャッチしましたが、早くも1年生レフティが自らの特徴を前面に押し出します。
61分は長崎。池田、野中と回ったパスに吉川が潰れ、拾った平野のミドルは堀口がキャッチ。同じく61分は徳島。長野が右へ展開し、吉村のクロスに突っ込んだ桒原のヘディングはゴール右へ外れるも好トライ。62分も徳島。藤原のパスを姫田は裏へ落とし、長野が抜け出しかけるも山本が飛び出して大きくクリア。66分に長崎は山崎と中田雄大(2年・V・ファーレン長崎U-15)を入れ替えるも、68分には徳島に訪れた先制機。右サイド、ゴールまで25m近い距離から桒原は完璧なFKを左スミへ。山本もこれまた完璧なセーブで弾き出し、ゴールとはなりませんでしたが、「連戦ということだったので足もみんな止まり始めていた」とは池田。終盤を前にゲームリズムは徳島へ。
勝負に出た羽地監督。68分に藤原と林優斗(1年・徳島ヴォルティスJY)、70分に森本と前田波嶺(1年・徳島ヴォルティスJY)を相次いでスイッチすると、73分に窪北賢太(2年・徳島ヴォルティスJY)、岸と時間を追うごとに安定感を増していく3バックを構成していた襷田卓也(2年・徳島ヴォルティスJY)が左FKを蹴り込み、林のヘディングが山本にキャッチされたのを見て、76分には長野と原田悠吾(2年・徳島ヴォルティスJY)も入れ替えて1点を、すなわち先制点をもぎ取りに向かいます。
坂口と畑田健吾(3年・V・ファーレン長崎U-15)のCBコンビを中心に、水際で踏みとどまる長崎。79分には左から冨永が蹴ったFKを坂口が残すも、シュートまでは持ち込めず。3分のアディショナルタイムが掲示されると、80+1分のチャンスは徳島。林が右サイドへパスを送り、シュート気味のグラウンダーで中央へ送った吉村のクロスは枠の左へ。悲鳴と溜息の交錯する両応援席。いよいよゲームはクライマックスへ。
フィナーレは唐突に。輝いたのは「アディショナルタイムに入ってチャンスも少ないと思ったので、自分が決めるしかないと思っていた」ストライカー。80+3分、鋭い攻守の切り替えから、冨永のパスを受けた野中は左サイドでドリブルスタート。「FWとしてはシュートがあまり打てていなかった」と感じていた13番が「とりあえず枠にぶち込んで、こぼれかその後のゴールを味方が決めてくれればという感じ」でシュートを放つと、長崎イレブンの想いを乗せたボールは一直線に左上ギリギリのゴールネットへ突き刺さります。とんでもない時間帯のとんでもないゴラッソに、「あれが彼の特徴なんです。シュートはいっぱい打つんですけど、簡単なシュートほど外すんですよ。それでああいう難しいシュートがたまに入ったりするのでね」と原田監督。直後に鳴り響いたタイムアップのホイッスル。「僕らは色々な人に支えられてここまで来れたし、その気持ちの部分では負けてはいけないと思って耐えていたので、最後に野中が決めてくれて嬉しかったです」とはチームを牽引し続けた池田。劇的な決勝ゴールを奪った長崎が劇的な展開を制し、全国初勝利をその足で掴み取る結果となりました。


創設4年目での全国デビューでいきなり初勝利まで辿り着いてしまったV・ファーレン長崎U-18。「最初はずっと負け続けて苦しい想いしかなかったので、この3年間積み上げてきたものを全国の舞台で出せて勝ったというのは本当に嬉しかったですし、自分たちがしてきたサッカーが間違ってはいなかったんだなと思いました」と話してくれたのはU-15の1期生でもあり、U-18で苦しい2年間を過ごしてきた池田。そんな彼らを1年時から指導してきた原田監督も「立ち上げて早々だったのでメンバーが少ない中、彼らが1年生の時から3年間で積み上げてきたものが、今この結果に表れていると思います」とその努力に比例した結果には、一定の手応えを掴んでいる様子でした。ただ、すぐさま「本当に今日の勝利というのは嬉しいんですけど、僕もそうですし彼らも満足はしていないと思いますので、明日からチャレンジしていきたいなと思います」と指揮官が気を引き締めれば、「まだ予選を突破した訳じゃないので、また切り替えて、明日は休みなのでリフレッシュして頑張りたいです」という池田が見据えるのも、さらに先で待ち受けている大きなステージ。勝利という目標をクリアした長崎U-18の進撃は果たしてどこまで。      土屋

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