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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

Jリーグレポート 2015年06月16日

J2第18節 群馬×岡山@正田スタ

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0614syoda.jpg勝ち点20で14位の群馬と勝ち点22で13位の岡山。中位からの浮上を狙うチーム同士の対峙は正田醤油スタジアム群馬です。
首位の磐田、4位の千葉と自動昇格を狙うリーグ屈指の強豪を相次いで撃破し、J2戦線を掻き回しながらもシーズン初の3連勝を懸けた前節の北関東ダービーは、栃木に5失点を喫して完敗するなど、なかなか安定して結果を残すことができていない群馬。「『やはり我々は常にチャレンジャーであるし、あそこで2連勝して少し入り方がぬるかったり、やるべきことをやらなかったらああいう結果になってしまうんだ」と話した」と服部浩紀監督。仕切り直しのホームゲームは勝ち点3だけを目指して戦います。
失点は金沢と並んでリーグ2位の少なさ。完封試合も7試合と守備の安定感には定評があるものの、得点はリーグ5番目の少なさと課題ははっきりしている岡山。前節も東京V相手にシュート4本と抑え込まれ、ホームで0-1と悔しい敗戦に。とはいえ、「ウチのチームとしては勝っても負けても、順位がどうであれ『ずっと続ける』ということでやっているので、そのへんはブレずに戦っていけるチームだと思います」と話したのはJ2参入初年度からチームに在籍する澤口雅彦。ブレない意志を結果でさらに強固なものにするべく、アウェイでの勝ち点奪取に挑みます。日曜ナイターということもあってか、スタンドは2312人とやや寂しい数字に。お互いの意地がぶつかり合う一戦は群馬のキックオフでスタートしました。


ファーストシュートは開始30秒の岡山。右サイドから竹田忠嗣がフィードを送り、1トップに入った押谷祐樹が落とすと、片山瑛一はダイレクトでボレー。ボールは大きく枠を越えるも、まずはアウェイチームがゴールへの意欲を打ち出しますが、最初の決定機は直後の群馬。2分、左サイドをドリブルで抜け出した吉濱遼平がそのまま強烈なシュートを枠内へ。ここは岡山のGK中林洋次がファインセーブで弾き出したものの、8試合ぶりのスタメン起用となったレフティもいきなり存在感を発揮します。
9分には小林亮の縦パスを受けたカイケが、鋭いターンで1枚剥がすとそのまま縦に大きく出して独走。左クロスはゴールキックになりましたが、個人の突破からスタンドを沸かせるシーンを創出すると、16分にもカイケは中央右寄りでボールを引き出し、ゴールまで35m近い距離からミドルにトライ。左スミギリギリを捉えたボールは、中林が懸命のファインセーブで掻き出したものの、直後に吉濱が蹴った左CKにもカイケがヘディングで合わせ、ボールはクロスバーを越えるも「練習から凄く積極的にマジメに取り組んでいる」と指揮官も認める9番を付けたブラジリアンが手繰り寄せるゲームリズム。
一方「ちょっと入りが硬かった」(長澤監督)岡山は開始早々のシュート以降、フィニッシュへと繋がるシーンをなかなか創れない中で、23分にはサイドアタックから決定機。右に開いたボランチの渡邊一仁が縦へ付けると、ギャップに潜った押谷はそのまま縦へ運び、好クロスを中へ。飛び込んだ片山のヘディングは枠を捉えるも、群馬のGK富居大樹が何とか弾き出し、こぼれに反応した矢島慎也のシュートも有薗真吾に体でブロックされたものの、「論理的に崩して正面からヘディングで入って行った」と長澤監督。にわかに漂い出した先制への予感。
すると、30分にスコアを動かしたのはやはり赤雉軍団。自陣深くで小林竜樹が自ら「単純に僕のイージーなパスミス」と振り返ったパスがズレると、このボールを奪った渡邊は素早く右へスルーパス。矢島はマーカーを1つ外して、角度のない位置から柔らかいシュート。小林亮に当たったボールはフワリとゴールネットへ吸い込まれます。「パスを何本も繋いで崩すのもサッカーの一部ですけど、やっぱりああいう高い位置に一気にシステムを押し上げた状況で、相手のボールを取って時間のない内に仕留めるというのも元々我々が持っている強みのスタイル」とは長澤監督。岡山が1点のリードを手にしました。
「1つ先にこじ開けて非常にペースを握ろうかという矢先」(長澤監督)で点差が霧散したのはわずかに2分後。中林のキックを有薗真吾が跳ね返すと、カイケが浮かせたボールを吉濱が競り合い、江坂任が粘って残したボールを吉濱が縦へ持ち出しながら左足一閃。対角線上に打ち込んだボールはゴールネットを激しく揺さぶります。「カイケと吉濱に関して、まず2人のストロングというのは積極的にドリブルで仕掛けること」と指揮官も評価した後者が2度目のドリブルシュートで見事に結果を。群馬がすぐさまスコアを振り出しに引き戻しました。
一瞬でアドバンテージが消え去った岡山は、34分にアクシデント。相手との接触で3バックの左を務める田所諒のプレー続行が難しくなり途中退場に。「後ろで出るというのも、途中から出るというのもあまりないですし、ミスしたら失点にすぐ繋がってくる場所なので、その点は気を付けて入りました」という澤口が急遽右CBに入り、竹田を左CBにスライドさせてDFラインを再編。40分には加地亮を起点に押谷が右クロスを放り込み、中央で収めた三村真のミドルがクロスバーの上へ外れると、これが前半のラストシュート。お互いに1点ずつを奪い合った45分間は、タイスコアでハーフタイムに入りました。


後半も先にチャンスを創ったのは岡山。47分、押谷の巧みなポストプレーから右へ開いた島田譲のクロスは富居がキャッチ。54分にも島田が右からFKを蹴り込み、矢島のヘディングはDFのクリアに遭いましたが、右サイドを中心にアタックへの意欲を。59分は群馬。左サイドから小林亮が中央へパスを打ち込み、吉濱の落としをカイケがダイレクトで狙ったシュートは大きく枠の右へ。お互いに決定的なシーンは創り切れません。
先にベンチが動いたのは岡山。64分にボランチの島田を下げて、そのままの位置に千明聖典を投入すると、「千明が入って割と真ん中で1回引き付けて、相手を動かしながらどこにスペースができるのという部分は共有されていた」と長澤監督が話したように、徐々に生まれ始めたパスワークのテンポ。67分には三村、押谷と繋いだボールを千明は左サイドから中央へ。「アレは結構狙っているんですけど、なかなか出し手と受け手のタイミングでボールが出てこないので合わせたいなという感じ」という加地が斜めに走り込み、ヘディングシュートはDFにブロックされたものの、「練習でもずっとやっていることですし、そこを見て欲しいというのもずっと言っている」というベテランがゴールへの欲求を積極的なプレーに滲ませます。
服部監督の決断は69分。そのドリブルがチームのアクセントになっていたカイケに替えて、ファン・ソンスを1トップ下へ送り込み、吉濱を右SHへスライドさせて攻守のバランス向上へ着手。72分には吉濱の左CKから一転、岡山のカウンターが発動。左サイドを走った押谷が走り込んだ片山を狙ったクロスは、小林亮がさすがの位置取りできっちりカット。後半は双方に決定的なシーンが訪れないまま、ゲームはラスト15分の攻防へ。
76分は群馬にビッグチャンス。右サイドからカットインしながら吉濱が放ったシュートはDFに当たりましたが、こぼれたボールを小林竜樹が拾うと視界の先にはGKとゴールだけ。「トラップもできた中で、逆にトラップしている間にGKにセットされたら難しいかなと思ってダイレクトを選んだ」シュートは、しかし中林も確実にパンチングで回避。79分も群馬に決定機。松下裕樹の右クロスはDFに弾き返されるも、松下が頭で繋ぐと吉濱がエリア外からミドル。これを中央でトラップした坂井洋平は頭で押し込むも、ボールはわずかにゴール右へ。3列目からの飛び出しで絶好の得点機を掴みましたが、逆転ゴールとはいきません。
82分の交替は岡山。片山に替わったのは、ファジアーノ岡山ネクストからの登録変更でトップチーム入りを果たした小林秀征。「自分はスピードとかで流れを変える力を持っていると思っていますし、とりあえず1-1の同点だったので点を取ることだけ考えてやりました」という20歳がJリーグデビュー戦のピッチヘ飛び出します。一方の群馬も吉濱の枠外シュートを経て、84分に2人目の交替を。小林竜樹を下げて永井雄一郎を送り込み、最後の勝負に打って出ます。
86分に光った20歳の新鋭。左サイドから三村がグラウンダーのボールを入れると、「自分でも持ったら仕掛けようと決めていて、それにミムくんがいいパスをくれたのでターンしてシュートまで持っていきました」と鋭い反転からフィニッシュ。「逆のサイドネットへ突き刺すようなイメージだったんですけど、落ち着きがなくて力んでしまった感じ」と本人も振り返ったシュートは枠の右へ外れましたが、「ちょっとシュートは当たらずでしたけど、ああいうシーンを期待して入れました」と話した長澤監督の狙いを体現するワンプレーを見て、最後の声を振り絞るのは勝利を信じる岡山サポーター。
89分も岡山。矢島の右FKに岩政大樹が競り勝つも、シュートまでは持ち込めず。90分も岡山。矢島が中央で粘って運び、そのまま左へ。受けた押谷は中央へ切れ込みながらミドルを放つも、ボールはクロスバーの遥か上へ。90+2分には服部監督が最後の交替カードとして坂井とアクレイソンをスイッチしましたが、3分のアディショナルタイムで結局シュートは生まれず。消耗戦は痛み分け。両者に勝ち点1ずつが振り分けられる結果となりました。


「もっと1人1人が危機感を持って試合に入らないといけないし、練習の入りもそうですけどやっぱりどこかでダラッと入るというか、ぬるく入ってしまう選手が1人でもいたら周りに伝染してしまうので、そういうことはなくしてもっともっとやっていこうということは先週負けた時点で伝えました」と服部監督が話したように、大敗からのリバウンドメンタリティもしっかり発揮した群馬は、勝ち点3を取れていてもおかしくない内容だったと思います。勝ち点1の意味合いを問われた小林竜樹も「ゼロよりは良いというしかないですね。今日の試合だったら3を取れた部分が多いと思うので、そこは大事に3を取りに行かなくてはいけなかったかなと思います」と正直な気持ちを口にしていました。ただ、カイケや吉濱といったスタメン出場の少なかった2人や、常にゴールの可能性を感じさせる江坂など、前線のタレントには面白い顔ぶれが。次節はホームで迎える北関東ダービーのセカンドラウンド。この90分間で今の群馬の真価が問われるのは間違いありません。
先制直後の失点で追い付かれ、引き分けの数が8に増えてしまった岡山。守備陣はアクシデント発生にも関わらず、澤口が素晴らしいパフォーマンスでCBを務め上げましたが、やはり課題はここ5試合で2得点という攻撃面。「点が取れていないというのがなかなか難しいんですけど、まあとにかく辛抱強くやるのと、落ち着いてやらないとなと思いますね」と話した加地は「やっぱりどうしてもバタバタ攻撃しちゃっている感じがあって、全員が同じ方向に行くというか、全部が裏、裏になったりとか、ボールが入っても落ち着きがない感じがしますね。攻撃がマジメ過ぎるじゃないですけど、もう少し遊び心があっても良いのかなと思います」と続けて。その点では途中投入された千明のテンポ良いパス捌きや、小林のシュートシーンからはそれまでのチームになかった"違い"が垣間見えたと思います。「監督やコーチも、これぐらいの成績だともっと結果を出さないとという焦りも凄く言葉の端々から出てくると思うんですけど、それはないので選手も良い意味で安心してというか、悪い意味で言ったら安心し切っちゃうかもしれないですけど(笑)、選手も積極的にやれていますし、考えた上でああいう雰囲気を創ってくれていると思うんですけどね」と加地が話す指導陣が醸し出すポジティブな雰囲気もこのチームの大きな強み。「勝ち点1がちょっと続いているのですが、我々の選手は必ずこういう局面を打破して勝ち点3を取れる選手だと信じています」と言い切った指揮官の信頼を形にするために、また今週も政田での大事なトレーニングが彼らを待っています。     土屋

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