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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2015年06月07日

インターハイ東京1回戦 暁星×駒澤大学高@駒沢第2

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0606koma2-2.jpgクォーターファイナルを戦う最後の椅子を巡って繰り広げられるサバイバルマッチ。同じ赤を基調にした暁星と駒澤大学高の激突は引き続き駒沢第2です。
支部予選は都立八丈を5-0、東京を3-0と相次いでシャットアウトで撃破。一次予選も初戦は学芸大附属を3-0で一蹴し、近年メキメキと力を付けてきている大成にも激戦の末にPK戦で競り勝って、この二次トーナメントまで駒を進めてきた暁星。CBの沼崎和弥(3年・暁星中)、中盤の及川大翔(3年・FC東京U-15深川)と岩本将尭(3年・暁星中)、前線の渡邉創允(3年・暁星中)とセンターラインには昨年からのレギュラーがズラリ。16年ぶりの全国を視界の先に見据えながら、まずは2年連続の8強進出を狙います。
関東予選はベスト16で修徳相手に延長戦で惜敗。T1でも4勝1分け4敗とまったくの五分で5位と、ここまで結果という意味ではなかなか思ったような数字が残せていない駒澤大学高。ただ、今大会に入ってからは一次予選の初戦で対峙した成蹊を2-0で退けると、都立東に8-0、都立墨田川に4-0と3試合続けてのシャットアウトで堂々とこの二次トーナメントへ。東京連覇に向けて"7分の4"となる難敵相手の80分間に挑みます。スタンドには両チームの応援も合わせて相当な数の観衆が。ベスト8を懸けた一戦は駒澤のキックオフでスタートしました。


開始20秒のファーストチャンスは白の駒澤。左からSBの東方陸真(3年・FC東京U-15むさし)がロングスローを投げ込み、佐藤瑛磨(3年・立川第四中)がヘディングで流したボールはDFにクリアされましたが、キックオフの流れからいきなりエリア内まで侵入。4分と8分にも野本克啓(3年・FC多摩)がFKを蹴り入れ、どちらもシュートには繋がらなかったものの、先制への意欲を積極性に滲ませます。
すると、早くも200人近い部員で構成された赤き大応援団が沸騰したのは8分。左サイドでボールを持った深見侑生(3年・FC東京U-15深川)はエリア内へ潜ると、そのまま思い切り良く左足一閃。ニアサイドをぶち破った球体はゴールネットへ突き刺さります。「アイツは今までやんちゃで、怒られて謙虚になっていてそのままだったけど、謙虚だとチャンスに決められないもの。最近はちょっと吹っ切れて、色々なことを理解できた感じで点を取れるようになった」と大野監督も評した11番が一仕事。駒澤が1点のアドバンテージを手にしました。
13分にもGKの位置を確認した佐藤瑛磨が40m近いロングシュートをわずかに枠の右へ外すなど、先制弾も含めて駒澤ペースで推移する展開の中、14分には暁星に決定機。右サイドを抜け出した岩本がピンポイントクロスを送ると、走り込んできた梅澤廉(3年・暁星中)はまったくのフリーでヘディング。ボールは枠の左へ外れてしまい、同点とはいかなかったものの、少しずつ及川を中心としたパスワークに冴えが出始めた暁星にも、チャンスの香りが漂います。
17分に駒澤の左SHを任された本間玲(3年・大豆戸FC)が枠の左へ逸れるミドルを打ち込むと、19分には暁星にセットプレーのチャンス。右から及川が入れたCKにファーで合わせた沼崎のヘディングはフワリとクロスバーにヒットし、DFが懸命にクリア。21分にも今度は流れの中から暁星に決定機。沼崎のシンプルなフィードをDFが処理し切れず、こぼれを収めた渡邉はGKと1対1に。ここは駒澤の守護神を託された江口達也(3年・名古屋グランパス三好FC)がファインセーブで阻止しましたが、その直後のCKからも及川が枠外ミドルにトライするなど、「相手も思ったよりガツガツ来てなかなか自分たちのペースが握れなかった」と駒澤のキャプテン竹上有祥(3年・ヴェルディSSレスチ)も振り返ったように、少しずつ暁星に傾くゲームリズム。
28分も暁星。及川の左CKがこぼれ、佐藤優輝(3年・暁星中)のボレーはその前にオフサイドの判定。32分も暁星。右に開いた及川がクロスを上げ切り、収めた渡邉のシュートは駒澤のCB佐藤瑶太(2年・FC多摩)がきっちり体でブロック。直後の左CKを及川が放り込むと、ファーで舞った梅澤のヘディングは江口がキャッチ。セットプレーも含めて攻撃のタクトを振るう及川が放ち続ける存在感。
34分は駒澤。東方の左ロングスローから、こぼれに反応した福地恒太(3年・調布神代中)のミドルはDFが体で飛び込み、最後は暁星のGK梶谷研斗(3年・暁星中)がキャッチ。36分は暁星。SBの西村奏(3年・暁星中)を起点に、右サイドを運んだ梅澤のクロスにファーで合わせた渡邉のヘディングは枠の左へ。40+1分も暁星。及川を起点に梅澤が中央へスルーパスを通すと、諦めずに追い掛けてDFと入れ替わった磯村佳吾(3年・暁星中)は足を伸ばしてフィニッシュ。飛び出した江口も体で弾き出しましたが、あわやというシーンに沸き上がる暁星応援席。「あの先制の1点がなかったら前半は厳しかったと思う」とは竹上。中盤以降は暁星の時間帯が続いた前半は、駒澤が1点のリードを保ってハーフタイムへ入りました。


後半に入ってもペースは変わらず。43分には及川がドリブルで右CKを獲得すると、その及川が自ら蹴ったキックをCBの原田英明(2年・暁星中)が残すも東方が何とかクリア。45分に大野監督は1人目の交替を決断。福地に替えて長井虎之介(2年・Forza'02)を左SHへ送り込み、本間を佐藤瑛磨と2トップに並べて前線のパワー強化に着手。49分には高橋勇夢(2年・Forza'02)の素晴らしいインターセプトからFKを奪い、長井が直接狙ったキックはカベに当たったものの、直後の右CKも長井が鋭いボールを蹴り込むなど、「左利きで色々なボールが蹴れるし走れる」と指揮官も評した長井の投入でわずかに変わったゲームの流れ。
50分は暁星のサイドアタック。左サイドで粘った及川がスルーパスを繰り出し、走ったSBの木村哲(3年・暁星中)はマイナスにグラウンダークロスを送るも、戻った長井が懸命にクリア。52分も暁星の決定的なシーン。梶谷の長いキックを磯村が丁寧に落とし、梅澤が右から中央に切れ込みながら放ったミドルはわずかにゴール右へ。たまらず駒澤は53分に2人目の交替。佐藤瑛磨を下げて岩田光一朗(2年・大田東調布中)をそのまま最前線へ解き放つと、その采配が的中したのはわずかに2分後。
55分、左サイドで東方とのパス交換を経た長井は、中央を見ると最高のアーリークロスをグサリ。飛び込んだ岩田のシュートは梶谷も抜群の反応で掻き出しましたが、リバウンドに詰めた岩田が押し込むと、ボールはゆっくりとゴールネットへ到達します。「T3でやっているので試合経験はだいぶ積んできていている」と大野監督も話したように、ここまでT3で4ゴールを叩き出しているストライカーが、この局面で大仕事。途中出場の2年生コンビが監督の期待に応える活躍を見せ、点差は2点に広がりました。
「後半は大野先生にかなり檄を飛ばされて『自分たちでもっとやろう』という話になった」(竹上)中で追加点を奪った駒澤。57分には右SBで奮闘した松田拓海(3年・三菱養和調布JY)と栗原信一郎(2年・FC多摩)をそのままのポジションで入れ替え、整える全体の守備バランス。60分には佐藤優輝、梅澤とボールが回り、右へ流れた渡邉のシュートも江口がファインセーブできっちり回避。終盤へ向けて駒澤応援団のボルテージもさらに上がっていきます。
64分は駒澤。栗原の右スローインを深見が戻し、栗原が上げ切ったクロスに飛び込んだ長井のヘディングは枠の左へ。66分は暁星。佐藤優輝が左へ振り分け、岩本が右足で入れたアーリーに渡邉はボレーへトライするも、ミートまでは至らず。69分も暁星。木村が外に短く付け、渡邉がグラウンダーで入れたアーリーへ磯村が飛び出すも、良く戻った東方が確実にクリア。「攻守の切り替えで負けない」(竹上)というテーマも体現した駒澤。ゲームはいよいよ最後の10分間へ。
追い込まれた暁星はあくまで及川を中心に、諦めない勝利への執念を発散。78分には原田のパスから梅澤がミドルを狙うも、ここには佐藤瑶太と竹上のCBコンビが体で飛び込み、上空に上がったボールは江口が丁寧にキャッチ。80+1分にも梅澤、岩本と繋いで、沼崎が放ったミドルもきっちり駒澤ディフェンスが寄せ切って阻むと、これがこのゲームのラストシュート。暁星のアタックを凌ぎながら前後半で1点ずつを決め切った駒澤が、連覇に向けてまた1つ階段を上る結果となりました。


押し込まれながらも勝負強さを発揮して、難しい相手を寄り切った駒澤。実はなかなか結果が出なかった3月に「まったく勝てなくて自分たちのやりたいことができない中でどうしたらいいのかなと考えていた竹上は、「『気持ちを1つにするためには"ボウズ"だな』」とチームメイトに提案。結果的に3年生はその提案を受け入れ、全員が"ボウズ"になって結束を高めたのを見ると、「アイツらがみんな坊主にしてきたので応えなきゃと思った」大野監督も思い切って"ボウズ"に。さすがに竹上も「アレはビックリしました」と笑いましたが、「そういう覚悟を決めてきてから少しずつ良くなってきたというか、勉強なんかも頑張るようになってきて、そういう姿勢の部分が少し良くなってきたので、危ない場面でもやられなくなったりだとか、少し点が取れるようになっているのかなと思いますね」と大野監督。キャプテンの決断はチームを良い方向に導いてくれたようです。「はっきり言って今年の久我山と自分たちは力の差があるので、胸を借りるつもりで戦いたい」と謙虚に話した竹上は、「カップを持っているのは自分たち。そこは譲れない部分なので、優勝を目指して一戦一戦戦っていきたいです」と続けて確固たる決意を。好対照なスタイルの激突となる國學院久我山とのクォーターファイナルはもうすぐ1週間後です。        土屋

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