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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2015年05月21日

T1リーグ第9節 関東第一×横河武蔵野FCユース@私学事業団G

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0520sigaku.jpg3ポイント差の1位と2位が激突する水曜ナイトゲーム。関東第一と横河武蔵野FCユースの首位攻防戦は新小岩私学事業団総合運動場です。
リーグ戦はここまで怒涛の7戦7勝。関東大会予選も決勝で國學院久我山を撃破して優勝するなど、新チーム結成後は引き分けすらない驚異の公式戦11連勝を続けている関東第一。ただ、「こんなのは絶対にどこのチームも狙ってやれるものではないと思うので、いつ負けが付いてもおかしくないと思っているし、子供たちもそこに対しての恐怖はない」と小野監督。「勝っているのはたまたまじゃないですか?」とボランチの道願翼(3年・VIVAIO船橋)が話せば、「このまま満足したら勝てなくなると思う」と司令塔の冨山大輔(2年・FC習志野)。チーム内に慢心の気配は微塵もなし。この試合も目の前の勝利を奪い取るだけです。
こちらもリーグ戦は開幕から圧巻の5連勝を達成。先週の都立東久留米総合戦は0-2で落としたものの、首位を走る関東第一を3ポイント差で追い掛けている横河武蔵野FCユース。とはいえ、この日はベンチスタートとなったキャプテンでありポイントゲッターの太田翔(3年・三菱養和調布JY)を筆頭に、複数のケガ人を抱えていることに加え、週末には横浜FCユースと対峙するクラ選関東2次予選も控えている難しいシチュエーションの中、2人の1年生を含むフレッシュな布陣でこの90分間に挑みます。スタンドは会社帰りのサラリーマン的な方々も含め、かなりの数の観衆が。注目の首位攻防戦は横河のキックオフでスタートしました。


電光石火の歓喜は32秒。主役は「立ち上がりは前から行こうと思っていた」という11番。相手のビルドアップに猛然とプレスを掛けた岡崎仁太朗(3年・杉並ソシオ)は1人でボールを奪い切ると、そのままエリア内へ侵入してシュート。一旦は横河のGK西村大樹(2年・レッドスターJY)も好セーブで回避しましたが、リバウンドに反応した岡崎はそのままダイレクトボレー。ジャストミートしたボールはカバーに戻ったDFの頭上を破り、綺麗にゴールネットへ飛び込みます。「昨日ああいう体勢からのシュートを練習していた」という岡崎の、まさに"練習通り"の一撃で関一が早くも1点のリードを手にしました。
2分の決定機も関一。再び高い位置でボールを奪った岡崎が素早くスルーパスを通すと、走った冨山のシュートは西村がファインセーブで何とか防いだものの、同じようなハイプレスからまたも惜しいシーンを。横河も6分には成実浩太郎(2年・Forza'02)のドリブルで獲得した、ゴールまで約30mのFKを田代雄大(3年・Forza'02)が直接狙ったキックは、絶妙のコースにコントロールされるも右のポストにハードヒット。同点とはいきません。
ポストに救われた格好で失点機を免れた関一は以降もゲームリズムを掌握。10分には左ショートコーナーから浦川眞世(3年・三井千葉SC)のリターンを冨山が上げたクロスはDFにクリアされましたが、12分にも同じ左ショートコーナーから冨山が好クロスを放り込み、飛んだ鈴木友也(2年・VIVAIO船橋)のヘディングは枠の右へ。20分には流れの中からチャンス。キャプテンの鈴木隼平(3年・Forza'02)が粘って右へ繋ぎ、上がってきたSBの二瓶亮(3年・江戸川葛西第三中)はクロス。こぼれを叩いた鈴木隼平のボレーは左スミギリギリを捉え、ここも西村のファインセーブに阻まれるも、多彩なアタックに滲ませる追加点への意欲。
さて、良い距離感でボールを動かし、中央へグサリと入れた縦パスからスピードアップというようないつものアタックがほとんど出てこず、防戦一方となってしまった横河。時折右ウイングの成実がドリブルで仕掛けた時には可能性を感じさせたものの、「角度の付いたボールを入れられないように意識はしていました」と小野監督も話した関一が中央をきっちり閉めていたこともあって、エリア付近はもちろんバイタル周辺にも立ち入ることができません。
24分は関一。ここも「初速をごまかしていきなり走るので、ちょっと日本人ぽくないような感じ」(小野監督)という岡崎が相手陣内でボールを奪い、鈴木隼平のパスから高橋快斗(3年・P.B.J)が放ったシュートは枠の右へ。29分も関一。CBの中村翼(3年・大豆戸FC)が右のハイサイドへフィードを落とし、岡崎のダイレクトクロスに鈴木隼平が飛び込んだヘディングは枠の左へ外れるも、ダイナミックなフィニッシュを。30分も関一。浦川が外を向きながら中央へクサビを打ち込み、受けた冨山の反転ミドルは西村がキャッチ。31分も関一。相手の縦パスを浦川が奪い、リフティングでマーカーを外した冨山の左足ボレーは枠を越えましたが、「自分はいつもスロースターター的な感じ」と話す冨山の連続フィニッシュでホームチームにさらなる勢いが。
36分に高橋の粘り強いボール奪取から岡崎がミドルを枠の左へ外したシーンを経て、38分には"らしい"崩しから追加点が。浦川のパスを起点に岡崎が右から中央へ流すと、冨山はダイレクトヒールでさらに左へ。開いた高橋はマーカーを引き連れながら縦に運ぶとそのままシュートまで持ち込み、懸命に戻ったDFも掻き出しきれずにボールはゴールネットへ転がり込みます。「とっさに出た感じですけど、快斗くんなら決めてくれると思っていました」という冨山のヒールで勝負あり。点差が広がりました。
止まらない関一タイフーン。39分、相手のパスミスを拾った道願が右へラストパスを送り、岡崎のシュートはギリギリで戻ったDFに当たって枠の右へ。42分、道願が右から蹴ったCKがこぼれると、反応した鈴木隼平のシュートはDFが何とか体に当てて、ボールはクロスバーの上へ。「夕方のゲームなので子供たちも動きやすかったのかもしれないですね」と小野監督。容赦のない連続攻撃。
43分、右サイドのCKを道願がショートで始め、高橋のリターンを道願は正確に中央へ蹴り込むと、このクロスがオウンゴールを誘発して3点目。45分、浦川が右へ振り分け、二瓶のクロスをGKがこぼすと、鈴木隼平のシュートは西村がリカバーのファインセーブ。45+2分、冨山が左へ展開したボールから、高橋は縦に鋭く運んでニアへクロスを届け、突っ込んだ岡崎のヘディングがゴールネットへ突き刺さって4点目。「今日は相手がブロックを組んでいたので、1回ボールをずらしてからだと弱いと思って、ショートコーナーを結構使うようにしていました」とは道願で、「快斗が絶対にニアに上げてくれると信じていたので、あとは自分は飛び込むだけでした。自分はあまりヘディングで決めたりしないので珍しいですね」とは岡崎。最初の45分間は関一が大量4ゴールを奪ってハーフタイムに入りました。


小さくないビハインドを負った横河は後半スタートから3枚替え。GKの西村、1年生CBの猿渡菖汰(1年・横河武蔵野FC JY)、中盤シャドーのモリソン健太郎(2年・東京ベイFC U-15)に替わって、稲川琢馬(2年・ヴェルディSSレスチ)、渡辺基希(2年・横河武蔵野FC JY)、堀切川遼(3年・クラブテアトロ)がピッチへ。CFの渡辺将矢(3年・浦和レッズJY)が何と最終ラインに下がり、左SBだった森田幸紀(2年・三菱養和調布JY)とCBを組むことに。他にも3人の選手のポジションを変更して、残された45分間に向かいます。
46分の後半ファーストシュートは横河。左ウイングからシャドーに移った中川海(1年・横河武蔵野FC JY)のパスから、梅原陸(3年・FC PROUD)が枠へ収めたミドルは関一のGK円谷亮介(3年・FC東京U-15深川)にキャッチされましたが、積極的なフィニッシュを。47分には関一も冨山が際どいミドルを見舞うも、51分は再び横河。最前線に入った堀切川、中川と繋ぎ、梅原のシュートは円谷が何とかセーブ。直後の右CKを梅原が蹴り込むと、右SBから左SBへスライドした田代のヘディングはクロスバーの上へ。ようやく踏み込まれた横河のアグレッシブ・アクセル。
小野監督は55分に1人目の交替を決断。ドッピエッタの岡崎と大原優也(3年・東急SレイエスFC)をそのままの位置で入れ替えると、57分に飛び出した10番のゴラッソ。左サイドでSBの佐々木功輝(3年・アルドール狭山FC)を起点に、高橋が中へ送ったボールに鈴木隼平が潰れ、冨山はミドルレンジから右足一閃。右スミへ向かった軌道は綺麗にゴールネットへ吸い込まれます。「思い切り振ったらたまたま入っちゃったという感じでビックリしました」と振り返った冨山の一撃。スコアは5-0となりました。
決してリズムの悪くなかった時間帯に失点した横河は、60分に堀切川、梅原と回ったボールを、中川がミドルに変えるも円谷にキャッチされると、ここからは中盤より前の守備が完全に崩壊。アンカーを務める初田優真(2年・横河武蔵野FC JY)の両脇を自由に使われ、一層押し込まれ続ける展開に。
62分は関一。大原、高橋、道願と繋ぎ、鈴木隼平のシュートは稲川がファインセーブで応酬。63分に浦川と名取虎之介(3年・FCクラッキス松戸)をスイッチさせると、64分も関一。右から道願が放り込んだピンポイントFKを、鈴木隼平が頭でねじ込んで6点目。66分も関一。冨山が左へ振って、高橋の折り返しを冨山が自ら狙った左足ミドルはわずかにクロスバーの上へ。68分には高橋と丹野祐貴(3年・GRANDE FC)も入れ替え、「1年生の頃からハードワークはずっと藤山コーチに言われ続けていた」(岡崎)3年生を次々にピッチヘ解き放ちます。
75分は交替出場のアタッカーでチャンス創出。丹野、大原と回し、冨山とDFがもつれたボールを大原が狙うも、ボールはゴール右へ。直後には鈴木隼平に替えて野村司(3年・レッドスターJY)をボランチへ投入し、道願が右サイドハーフへ。80分には道願とのワンツーで抜け出した名取がラストパスを丁寧に送り、丹野のシュートは稲川がファインセーブで弾き出しましたが、替わって出てきた選手たちもきっちりアピールの姿勢を打ち出し、関一の勢いはまったくと言って良い程に落ちません。
横河も79分には太田が、81分には和田朋也(1年・Forza'02)が相次いで投入されましたが、次に得点を記録したのも関一。82分、富山、野村と回ったボールを大原は左から浮かせて中へ。混戦の中でいち早くボールを収めた野村のシュートは至近距離からゴールネットを射抜く7点目。「今は本当にトレーニングをちゃんと毎日しっかりとやれていて、トレーニングの中で伝えたいことは全部伝えられるので、試合になったら自分たちでやってこいというような感じ」という小野監督の言葉を証明するかのように、交替選手も含めて健全なトレーニングでの競争が窺えるスムーズな連携からトドメの一撃。87分には太田が意地のミドルを放つも、DFに当たったボールは円谷がキャッチ。89分には冨山との交替で7分前にピッチインした新翼(3年・Forza'02)が、稲川にファインセーブを強いる枠内シュートまで持ち込むと、これがこのゲームのラストチャンス。注目の首位攻防戦は思わぬ大差で関一に軍配が上がる結果となりました。


これで公式戦の連勝は12まで伸びた関一。それでも「僕もそうですし子供たちもそうですけど、自分たちがそんなに強いと思ってやっていないですし、僕も今年は絶対にそういう勘違いはさせたくないし、自分の中でもしたくないと思っているので、本当にあまり先がどうこうというよりも1個1個ちゃんとやっていこうと話している」と小野監督。試合後にも「ボール回しも去年は上手かったと思うんですけど、今年は個があまりなくて、それをチームで補っていっているのでまだまだです」(道願)「自信は付いてきたんですけど、まだまだ足りない部分は多いですし、もっと点も取れると思うのでまだまだです」(岡崎)「まだまだ自分の力が足りないなと思いました」(富山)と三者が三様の"まだまだ"を口にするあたりに、今年の関一の強さが隠されているように感じました。おそらくは"まだまだ"の追求に終わりが来る日はないはず。今月末には関東大会に挑む新小岩のカナリア軍団がどこまで勝ち続けるのかが、今シーズンの東京を語る上で大きな見所の1つになってきているのは間違いありません。     土屋

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