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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2015年04月02日

T1リーグ第5節 國學院久我山×成立学園@駒沢補助

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0401komaho2.jpg久々に都内のリーグ戦で実現した、全国を知る者同士の再会。國學院久我山と成立学園。T1屈指の好カードは引き続き曇天の駒沢補助です。
2年連続で冬の東京を制して全国を経験。特に昨年度はGKの仲間琳星(首都大)、DFラインの内藤健太(中央大)、花房稔(国士舘大)、鴻巣良真(慶應義塾大)など守備陣に経験豊富な選手を揃え、最後は3回戦で京都橘にPK戦の末に敗れたものの、全国ベスト16まで躍進するなど、改めてその実力を示した國學院久我山。その全国を経験した選手も多数残った今シーズンは、T1も幸先良く2連勝スタート。ただ、「もう2節やっていたんですけど、基本的には今日がチームの初戦、新シーズンの始まりだと思って臨む試合」と清水恭孝監督。新年度のスタートを3連勝で飾るべく、この一戦へ挑みます。
2年連続で夏の東京を勝ち抜いて全国を経験。ところが、選手権予選は一昨年がファイナルで劇的なゲームを繰り広げながらも修徳に延長で屈し、昨年は初戦で東京朝鮮に足元を救われるなど、最大の目標でもある冬の全国にはなかなか手が届いていない成立学園。今シーズンは総監督だった宮内聡氏が監督に復帰すると、連敗スタートとなったT1もここ2試合は引き分けに勝ちと上昇傾向に。「お互いにボールを大事にしたサッカーをやろうというチーム同士」(宮内監督)の対峙は現在地を測る上でも格好の機会です。少し雨もパラつき始めた駒沢には少なくない観衆が。注目の90分間は12時ジャストにキックオフを迎えました。


少しお互いに中盤より後ろでボールを回しながら立ち上がったゲームのファーストシュートは7分の久我山。安藤謙生(2年・横浜F・マリノスJY)からのリターンを受けた鈴木遥太郎(3年・東急SレイエスFC)が左へ流すと、澁谷雅也(2年・ジェファFC)がコースを狙ったシュートはわずかに枠の右へ。9分にも山本研(3年・横浜F・マリノスJY)、名倉巧(2年・FC東京U-15深川)とボールが回り、澁谷のシュートは成立のCB小﨑魁(2年・浦和レッズJY)が何とかブロックしたものの、まずは久我山が2つのシュートシーンを創り出します。
14分も久我山。小林和樹(3年・ジェファFC)との連携から、鈴木が打ったシュートは成立のGK吉澤凌(3年・成立ゼブラFC)がキャッチ。15分も久我山。1年生ながらスタメンに抜擢されたCBの上加世田達也(1年・Forza'02)が左へ送り、澁谷が粘って上げたクロスは小林もわずかに届かず。前述したように新チームのスタートを強調することで「あえて緊張感のある状況をと思ったら、ものの見事に緊張してましたけどね」と笑ったのは清水監督ですが、ファーストシュート以降は久我山が一気に握ったペース。
一方の成立もCBの手塚翔太(3年・ヴェルディSS小山)と小﨑のCBコンビと、ボランチの河口海斗(3年・成立ゼブラFC)を軸に回せる時にしっかり回す意識はハッキリと。17分には中盤でボランチの長田一宏(3年・成立ゼブラFC)がボールを奪い、キャプテンマークを巻いた吉村伸(3年・アセノSC)のシュートはDFにブロックされたものの、19分には鈴木龍之介(2年・成立ゼブラFC)が思い切ったミドルを枠の左へ。フィニッシュへの意欲をシュートへ結び付けます。
21分は久我山。鈴木のパスから澁谷が打ち切ったミドルはクロスバーの上へ。22分は久我山の決定機。小林が右へスルーパスを通し、走った安藤のシュートは吉澤がファインセーブで何とか回避。小林が蹴った右CKもDFのクリアに遭いましたが、多彩なアタックで迫り続ける相手ゴール。成立は27分に左サイドで獲得したFKを山下侑真(3年・CLUB ATLETICO ALEGRE)が得意の左足で蹴り入れるも、飛び込んだ手塚にはわずかに合わず。ゲームリズムは変わらず久我山。
30分に山本がクロスバーの上へ外れるミドルを放ち、33分に直接狙った山本のFKもDFがブロック。同じく33分に安藤が枠へ納めたミドルも吉澤にキャッチされるなど、久我山も遠目からのシュートにはある程度トライする中で、最後のエリア周辺では成立のディフェンスも堅陣を。38分に名倉、鈴木、名倉と細かく回し、澁谷が放ったシュートは矢田部竜汰(2年・横浜F・マリノスJY)と手塚が2人でブロック。40分に小林とのワンツーから名倉が打ったシュートもDFがブロック。直後に安藤がやや強引に叩いたシュートも、DFに当たって吉澤がキャッチ。「前半はちょっと体が重かった」と宮内監督も言及した成立を久我山も崩し切れずに、最初の45分間はスコアレスでハーフタイムへ入りました。


「前半の終わりくらいに少し持ち直した」とチームを見ていた清水監督は、後半スタートからの交替を決断。小林を下げて内桶峻(3年・GRANDE FC)をピッチへ送り出し、アタッカー陣にさらなる推進力を加えると、46分には右に持ち出しながら安藤が枠の右へ外れるシュートまで。49分にも澁谷のパスから安藤が放ったシュートは吉澤が弾き出し、詰めた澁谷の目前でDFが何とかクリアしましたが、後半もまずは久我山が手数を繰り出します。
守備の時間が長かった前半を経て、「『1人1人バラバラに頑張ったってまったく繋がっていない』と。『まずお前らが攻守において繋がってサッカーをやっていく所をもう1回見せてくれ』と」指揮官に送り出された成立は、51分に長田がクロスバーを越えるミドルを放つと、53分には河口、長島滉大(3年・成立ゼブラFC)とパスを動かし、左からSBの西羽開(2年・鹿島アントラーズつくばJY)が上げたクロスは、久我山のゴールマウスを託された平田周(1年・FC東京U-15むさし)にキャッチされましたが、左サイドを中心にようやく成立にも出てきた攻撃へのパワー。
すると、56分には成立に流れの中から決定機。ここもやはり左サイドで西羽が粘って残し、マーカーに寄せられながらも前に運んだ吉村はそのままフィニッシュ。ボールはわずかにゴール左へ外れたものの、10番が創り出したあわやというシーンを得て、ピッチ内で声も出てきた成立。60分には久我山も名倉、内桶、安藤と綺麗にボールを回し、澁谷が狙ったシュートも吉澤がファインセーブで応酬。反攻するゼブラ軍団。
62分には宮内監督も1枚目のカードを。鈴木を下げて中里亮太(3年・成立ゼブラFC)を前線に投入し、縦への推進力向上に着手。63分は久我山。左から山本が蹴ったFKを、ファーでフリーになっていた野村京平(3年・横河武蔵野FC JY)がボレーで叩くも、ボールはクロスバーの上へ。68分は成立。カウンターから山下が左へ展開するも、長島は粘ったもののシュートまで持ち込めず。69分も成立。中里の短いパスを受けた長島が、ミドルをゴール右スミへしっかりコントロールすると、ここはそれまでも1年生とは思えない程の落ち着きを見せていた平田が横っ飛びのファインセーブ。「僕もちょっとびっくりしました。見ていて今までは「あっ」と思う所もあったのが、随分安定していましたね」と清水監督も言及した平田の好守に阻まれるも、成立にも漂い出した得点の匂い。
70分には久我山に2人目の交替。鈴木と国体選抜のマレーシア遠征から帰ってきたばかりの知久航介(2年・浦和レッズJY)を入れ替えて、中盤に新たな活力を。72分には内藤からキャプテンを引き継いだ宮原直央(3年・FC多摩)がバイタルに潜り、ミドルを放つとDFに当たったボールは枠の左へ。73分にも内桶、戸田佳佑(2年・FC多摩)と回ったボールを、澁谷がミドルへ持ち込むもクロスバーの上へ。「彼らがやろうとしていることを凄く表現したと思う」(清水監督)中でもなかなか遠いのは成立ゴール。
「コンパクトにするゾーンを少し後ろにして、奪ったら速く行こうぜという所」(宮内監督)で好機を窺う成立は75分、中盤でボールを持った中里が右へスルーパスを送り、3列目から長田が飛び出すも平田が冷静にキャッチ。78分は久我山。高い位置で内桶がボールを奪い、安藤がエリア内へ切れ込むも手塚が間一髪でクリア。79分も久我山。知久の右CKを野村が高い打点で合わせたヘディングはクロスバーの上へ。変わらない両者のゼロ。
79分は成立に2人目の交替。山下と木村凌(3年・アセノSC)をスイッチして、サイドの攻守にテコ入れを。86分は久我山に3人目の交替。名倉に替えて多嶋田雅司(3年・FC東京U-15むさし)を送り込み、最後の勝負へ。90+2分のチャンスは久我山。知久が右サイドへパスを送り、粘った安藤のシュートがクロスバーを越えると、これが双方にとって最後のフィニッシュ。「これが東京のサッカーだという風に見てもらえたら良いと思うんですけどね」と宮内監督も話したゲームは痛み分け。両者に勝ち点1が振り分けられる結果となりました。


「ゲーム自体は全然悪いと思わないですし、凄く不満がある訳でもないです」と清水監督が話した通り、久我山にとって十分に持ち味を発揮したゲームだったのは間違いありません。3トップと中盤のパスワークも滑らかで攻撃のバリエーションも多彩。見ていて楽しいスタイルは存分に見せてくれたのかなと。その中で「結果が出なければ前の選手も僕もそうですけど批判されても仕方ないなと。最後は結果が欲しいですね」と指揮官も認めた、ゴールという"結果"だけが足りないゲームはある意味で久我山の負けパターン。そう考えるといきなり公式戦デビューで安定感溢れるプレーを披露した平田や、昨年から主力を務める野村や宮原を中心にきっちり相手をゼロで抑えたことは評価できる部分でしょう。攻守がハイレベルで融合している久我山は今シーズンも要注目です。
押し込まれる時間が長い中でも久我山のアタックをゼロに食い止め、勝ち点1をもぎ取った成立。「今までこういったゲームで最後にポロッとやられたりしていることが多い」とは宮内監督ですが、90分間集中を切らすことなく無失点という事実を手にしたことは小さくない成果。「こういうゲームの積み重ねなんですよね。こういうことで彼らにちょっとメンタル的に勇気が生まれたりするんでしょう」と指揮官も一定の評価を口にしていました。とはいえ、もちろん成立も攻撃のメンタルを多分に持ち合わせたチームであり、「今度やる時はウチの柔軟性のある攻撃を絶対に見せようと話した」と宮内監督。ゼブラ軍団にとっては色々な意味で今後の指針になり得るような90分間だったのではないでしょうか。       土屋

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