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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2015年04月01日

JALチャレンジカップ2015 日本×ウズベキスタン@東スタ

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0331tosta.jpgハリルホジッチ体制のセカンドゲームはアジアで鎬を削ってきたライバルとの対峙。ウズベキスタンをホームに迎えた一戦は懐かしの名称・東京スタジアムです。
昨年のブラジルワールドカップでアルジェリアを率いてベスト16進出。最後はドイツに屈したものの、世界のフットボールファンへ鮮烈な印象を残したチームの指揮官が、次のステージに選んだのは日出ずる国。そのハリルホジッチ監督の一挙手一投足に注目が集まる状況の中で、チュニジアと激突した初陣は岡崎慎司と本田圭佑の同級生コンビが1点ずつを奪って、2-0での勝利と上々の船出を。大分から東京に舞台を移し、中3日で臨む第2戦の相手はこれからW杯予選で対戦する可能性も十分のウズベキスタン。このタイミングできっちり叩き、今後の優位性をしっかり保っておきたい90分間です。
アジアカップではここ4大会連続でベスト8以上を記録。日本がベスト8で敗れた今年1月のアジアカップでは、やはり同じベスト8で韓国に敗れたとはいえ、接戦を演じた末に涙を呑むなど、依然としてアジアの中では常にワールドカップを狙えるような実力をキープし続けているウズベキスタン。ここ2大会のワールドカップ予選では日本相手に1勝2分け1敗とまったくの五分で伍しており、決してアウェイゲームといっても日本へ嫌なイメージを持っていないことが予想される難敵。こちらも6月から始まるワールドカップ予選へ向けて弾みを付けたいゲームに挑みます。久々の代表戦開催となった東京スタジアムのスタンドには46007人の大観衆が。アジアのライバル諸国も注視するゲームはウズベキスタンのキックオフでスタートしました。


2分のファーストチャンスは日本。香川真司が倒されて獲得した右FKを香川が自ら蹴ると、ボールはDFにクリアされたもののまずはセットプレーで窺う好機。3分にはウズベキスタンも日本の最終ラインが連携にもたついた隙を突き、ボヒド・ショディエフが強引に打ちに行ったボールは高く上がって川島永嗣がしっかりキャッチ。逆に6分には日本も森重真人を起点に、本田、岡崎、本田、乾貴士と繋がり、香川のシュートはDFにブロックされましたが、直後にスタンドを沸騰させたのは「入りが良かったのでリズムが掴めたかなと思います」と振り返った28番。
6分、乾貴士が左から蹴ったCKをウズベキスタンのGKアクバル・トゥラエフがパンチングで弾き出すと、そのボールに反応したのは青山敏弘。「来たら打とうと思っていたので、ふかさないようにはしましたけどあまり何も考えずに」ミドルレンジから放ったハーフボレーは、ゴール右スミへ糸を引くような弾道で突き刺さります。「監督もミドルを狙って行けというのは今日のミーティングでも話をしていた」という青山は「一昨日娘が誕生日だったので、ゴールは意識していましたね」とも。広島の頭脳が代表8試合目にして初ゴールを記録。日本が早くもリードを奪いました。
これで一気にペースを掴んだ日本のラッシュ。7分には香川が左へスルーパスを通し、岡崎のシュートはDFに当たって枠の左へ。10分にも左サイドをドリブルで運んだ乾が枠へ収めたミドルはアクバル・トゥラエフがキャッチ。同じく10分には本田も枠内ミドルにトライ。11分にはウズベキスタンも左SBのアレクサンドル・メルズリャコフのパスから、バイタルでフリーになった10番のサルドル・ラシドフが狙ったミドルは枠の上へ。14分は再び日本。森重がフィードを左のハイサイドへ送ると、走った乾は1人かわしてシュートを放つも、最後はカバーに入ったDFにブロックされましたが、15分間で5本目のシュートと日本が一方的に攻め込みます。
ただ、18分にFKの流れからアジスベク・ハイダロフ、ラシドフ、サンジャル・トゥルスノフとボールが回り、ルトフラ・トゥラエフが打ったシュートを川島がキャッチした一連の前後から、ウズベキスタンにもフィニッシュへの意欲が。21分にはトゥルスノフが枠を越えるミドルを放つと、日本もその1分後には乾の左CKから、この試合が代表デビューとなった昌子源が頭で合わせるも、ボールはクロスバーの上へ。23分はウズベキスタン。ルーズボールを拾ったショデイェフのミドルは川島がキャッチしましたが、ミドルこそ多いとはいえ、フィニッシュで終わる回数が多いのはウズベキスタン。
「相手が2トップ気味になったから、別に2トップに2CBで対応して俺がこぼれ球を拾えばいいかなと思っていたんだけど、そこは監督も結構気になったみたいで俺が『とにかく残れ』みたいな感じだった」と話したのは今野泰幸。結果、「ダブルボランチだったんだけど途中からワンボランチ気味になった」(今野)ものの、相手のバイタル攻略は着々と。26分にはトゥルスノフの左CKをCBのアンズル・イスマイロフが叩いたヘディングはクロスバーの上へ。27分にはショディエフが収め、バホディル・ナシモフが縦に素早く送ったボールはラシドフに届かず川島がキャッチ。30分にもトゥルスノフがクイックで始めたFKからメルズリャコフが左クロスを送り、ショディエフのボレーはヒットせずにトゥルスノフがオフサイドとなりましたが、SHコンビのラシドフとトゥルスノフが推進力を発揮して、ウズベキスタンの手数が増加します。
33分もウズベキスタン。メルズリャコフのリターンをルトフラ・トゥラエフが左クロスに変え、飛び込んだムハンマディエフのヘディングは枠の右へ外れるも、左サイドバックから始まったアタックを右サイドバックがフィニッシュで完結。35分には「行ける時は行こうと思っていました」という今野が相手ボールを奪って左へ展開。香川のクロスはDFに跳ね返され、そのまま走り込んだ今野のボレーは枠の左へ。37分にも本田のパスから乾が抜け出し掛けるも、最後はムハンマディエフがカット。「やっぱり縦に早いし、みんなムリヤリにでも縦に入れるから、『凄く早いな』と思いながら見ていました」とは今野。縦への速さがチャンスに結び付きません。
42分はウズベキスタン。右からラシドフが左足で鋭く放り込んだFKは、ファーに潜ったCBのイスロム・トゥフタフジャエフがヘディングで合わせるも、ボールはクロスバーの上へ。45分は日本。本田のクイックリスタートから右サイドを運んだ香川のシュートはアクバル・トゥラエフがきっちりセーブ。中盤以降はウズベキスタンの好リズムが続いた前半は、1-0で日本がリードしてハーフタイムに入りました。


後半はスタートから動いたハリルホジッチ監督。内田篤人と今野は45分間でお役御免。交替で太田宏介と水本裕貴がピッチへ入りましたが、太田が左SBに入って酒井高徳が右SBへスライドしたのはある程度想定通りでしたが、水本はそのまま今野のいたボランチの位置へ。起用の理由を「空中戦に強いと感じていたからで最初から伝えていたが、水本は『このポジションはやったことがない』と驚いていた」と語る新指揮官は、意外な人選でチームに新たな刺激をもたらします。
後半のファーストシュートはこちらも2トップの一角に入っていたショディエフを下げて、ゾヒル・クジボエフを投入したウズベキスタン。49分に右FKをラシドフがマイナスに戻すと、フリーで走り込んだムハンマディエフのシュートはクロスバーを越えましたが、中央のケアは万全だった日本も虚を突かれた格好で、アウェイチームが同点への意欲を打ち出します。
49分は日本。香川がうまく落とし、水本がすかさず左へ展開。カットインしながら放った乾のシュートはゴール右へ外れましたが、「練習でもちょっとやっていたので」という水本が1つ攻撃の起点として関与。52分にも香川、岡崎とボールを繋ぎ、乾のスルーパスに走った岡崎はエリア外からダイレクトでミドルにチャレンジ。ボールは枠の上に消えたものの、スムーズなアタックで日本も虎視眈々と狙う追加点。
2度目の歓喜は57分。カウンターから香川が左へ振り分けると、乾はカットインしながらシュートを窺うもDFがきっちり寄せてブロック。しかし、このこぼれを拾った太田のピンポイントクロスはファーサイドの岡崎へドンピシャ。もはやこの9番の代名詞とも言うべきダイビングヘッドがウズベキスタンゴールに突き刺さります。後半からピッチへ解き放たれたレフティのアシストで、日本が世界に誇るストライカーがさすがの一撃。点差は2点に広がりました。
リードを広げられたウズベキスタンは58分に2枚替え。トゥルスノフとメルズリャコフに替えて、ファルーフ・サイフィエフとサルドル・ミルザイェフを投入し、両サイドの推進力アップに着手。一方のハリルホジッチ監督は63分に決断。4日前のチュニジア戦で代表デビューを飾った宇佐美貴史をベンチに呼び寄せ、念入りに指示を与えてから乾との交替で左FWの位置へ投入。「ボールを持ってからのプレーの多彩さは自分の特徴」と話す宇佐美は、投入直後の64分に本田のパスを引き出すと、岡崎へあわやというアーリークロスを送るなど、あっという間に存在感を満員のスタンドへアピールして見せます。
66分はウズベキスタン。ムハンマディエフの折り返しからラシドフが狙ったシュートはクロスバーの上へ。67分もウズベキスタン。ルトフラ・トゥルエフを起点にハイダロフは右へ。ラシドフの折り返しにサイフィエフはゴール前で空振りをしてしまい、フィニッシュには至りませんでしたが決定的なシーンを創出。この時間帯はウズベキスタンの前に出るパワーが目立ちましたが、どうやらこれは「後半は罠を仕掛けた」(ハリルホジッチ監督)ことの影響も。「ハーフタイムにはオーガナイズとブロックを指示して、カウンターから2点目、3点目と狙っていこうと伝えた」とその指揮官。中盤を完全に仕切っていた青山も「後半はしっかり考えてカウンター狙いの攻撃だった」と明言。相手の出てきた裏返しを狙う明確な意図はチームの共通認識。
68分に香川の左CKを本田が枠へ収めたヘディングはGKを破るも、カバーに入ったミルザイェフに掻き出されると、69分にハリルホジッチ監督は3枚目の交替カードを。香川と柴崎岳をスイッチして、中盤に新たなパワーを注入。70分には青山が左の裏へ素晴らしいタイミングでパスを落とし、走った柴崎のクロスを宇佐美はシュートまで持ち込めませんでしたが、早くも92年組でチャンスの芽を。72分に日本の指揮官は本田と大迫も入れ替え、さらなるゴールへの欲求をピッチへ落とし込みます。
74分に奮闘の目立った右SBのムハンマディエフとアクマル・ショラメドフを交替させたウズベキスタンは、76分にビッグチャンス。5本近くダイレクトでパスを繋ぎ、ルトフラ・トゥラエフのパスからラシドフが利き足の左で叩いたボレーはわずかに枠の左へ。77分には最前線で戦っていたナシモフを下げて、シャフゾドベク・ヌルマトフを投入し、何とか1点を取りに行きたい采配をミルジャラフ・カシモフ監督も振るいましたが、次のゴールは意外な形から。
79分はウズベキスタンのFK。ゴール右寄り、約25mの位置からラシドフが直接狙ったキックはカベに跳ね返り、駆け寄ったウズベキスタンの選手が蹴ったボールを大迫がブロックすると、ボールは前方へ。すると、GKのアクバル・トゥラエフはかなり距離があったにもかかわらず、前に出てきてしまいます。ヘディングでボールをコントロールした柴崎は、飛び出したGKの頭上を越えるシュートを放ち、ボールは正確にゴール方向へ。追走した岡崎は触れそうなタイミングでしたが、カバーに戻ったルトフラ・トゥラエフを体でブロックすると、ボールはルトフラ・トゥラエフも掻き出せず、そのままゴールネットへ収まります。「こういうゴールはどこにも存在しない。皆さんが気付いたかわからないが、これは素晴らしいゴールだ」とハリルホジッチ監督も賞賛した、岡崎の記録に残らない"アシスト"による貴重な追加点。両者の点差は3点に開きました。
一矢報いたウズベキスタン。82分に左CKをサイフィエフが蹴り込むと、イスマイロフが頭で戻し、ルトフラ・トゥラエフのシュートはDFにブロックされましたが、こぼれをクジボエフが落とし、トゥフタフジャエフは右足一閃。巻かれたボールはゴール右スミへそのまま吸い込まれます。静まり返る東京スタジアム。再び点差は2点に戻りました。
漂い掛けた嫌な空気は誰もが待っていた男が一掃。岡崎と川又堅碁が交替した直後の83分、右から酒井高徳が中央へ付けると、大迫とDFがもつれたボールは中央へ。これを拾った宇佐美は「こぼれてきたボールだったので、より自分で最後までフィニッシュまで完結させることが大事かなと思いながら、飛び込んでいったら前が空いた」とエリア右で縦に持ち出し、「この間はサイドで転がしてああなったので、今回はパンチというか、思い切り打ちました」と右足を強振。ボールはGKがまったく反応できないスピードでゴールネットへ突き刺さります。代表初ゴールの宇佐美へ真っ先に祝福へ向かったのはやはり柴崎。「この間決定機をミスしたのに、今日またああいう良い時間帯に使ってもらえて、今日こそは決めたいと試合の中でも思っていましたし、少しだけですけど期待に応えられたかなと思います」と話した宇佐美のゴラッソで、点差はまたも3点に戻りました。
多少双方がほどけた終盤はチャンスの創り合い。85分は日本。酒井高徳が左へ送り、宇佐美は一気に縦へ突破して中へ戻すと、ニアに入った川又はシュートを打ち切れず。88分はウズベキスタン。ショラフメドフの右クロスに完璧なタイミングで合わせたヌルマトフのヘディングは、しかし川島が片手で弾き出すファインセーブで仁王立ち。89分は日本。大迫のパスから川又が打ち切ったシュートはアクバル・トゥラエフがファインセーブ。90分も日本。青山が左へシンプルにはたき、右スミを狙った宇佐美のシュートはここもアクバル・トゥラエフがファインセーブ。「後半は効果的で素早い攻撃ができた」とハリルホジッチ監督。躍動する途中出場の新戦力。
トドメの一発は代表2試合目の野武士系ストライカー。90分、柴崎の右CKに森重がドンピシャで合わせたヘディングはGKに弾かれましたが、左へ流れたボールをGKの鼻先で森重が中へ戻すと、ここに体で突っ込んだのは川又。泥臭く頭に当てたボールは、ゴールネットへ静かに転がり込みます。「この間は香川さんとか本田さんとか途中から出た選手が点を取っていたし、あれはあれで悔しかったから、今日はもし出たら自分があれをやりたいなという想いでやっていました」と語った川又の代表初ゴールに、ベンチもほとんど総立ちで祝福ムードを。「得点はスペクタクルなものだったし、選手にはおめでとうと言いたい」というハリルホジッチ監督の就任シリーズは、見事に2連勝という最高の幕開けとなりました。


非常に理想的なゲームだったと思います。前半早々に素晴らしい形でゴールを奪い、以降はややリズムを持っていかれる時間帯もあったものの、監督の采配で落ち着きを取り戻し、エースストライカーの追加点に、途中出場の国内組がさらに3ゴールを追加。もちろん失点が余計だったことは間違いありませんが、その抽出された課題さえも含めて様々なことを経験できた90分間だったのかなと。「チームとしてやろうとしていることが凄く明確。でも、それを実践していくのは凄く難しいことだし、そんなにすぐ習得できない。チームでやっていることとは、ここで要求されていることはまったく違うので、早く慣れないとという危機感もある」と今の状況に言及したのは今野。「代表に来て急に上手くなることはないし、普段からやっていることしかできないので、そこに自信を持って臨もうと思っている」とはチュニジア戦でスタメンフル出場を果たした権田修一。「この2試合で27人のプレイヤーを使った。これはものすごいリスクだ」と話しながら、チームの一体感を言葉だけではなく行動で示したハリルホジッチ監督に率いられる日本代表の行く末が、色々な意味で楽しみになるようなこの2試合だったのではないでしょうか。         土屋

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