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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2015年04月07日

関西学生1部前期第1節 びわこ成蹊スポーツ大×近畿大@J-GREEN堺

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0404sakai2.jpg昨年度は一気にリーグ2位まで躍進した新鋭が、3年ぶりに1部復帰を果たした難敵と激突する開幕戦。びわこ成蹊スポーツ大と近畿大の対峙はJ-GREEN堺のメインフィールドです。
リーグ戦では並み居る強豪を押し退けて、2位という好結果を叩き出すと、6年ぶりに挑んだインカレでも国士舘大や福岡大などファイナル経験校を相次いで下し、ベスト4まで駆け上がるなど昨年は飛躍の1年となったびわこ成蹊スポーツ大。「自分らで判断してやるのが僕は好きなので、私がいなくても自分らで勝っていけるような、育っていけるチームになって欲しいなという気持ちでいつも接している」と話す望月聡監督の下、狙うのはさらに1つ上。すなわち関西の頂上です。
1999年に関西を初めて制したものの、それ以降は1部と2部を行き来するようなシーズンが続いている近畿大。ここ2年は2部生活を強いられていましたが、昨シーズンは2部Aリーグで優勝を果たして3シーズンぶりのトップディビジョンへ。日本代表経験を有する松井清隆監督は「僕も高槻出身やし、もう意地だけでやっているのでね」と笑いましたが、関西選抜にも選出されている刈谷聖哉(4年・近畿大学附属)を筆頭に面白いタレントも有しており、再び浮上のキッカケを掴みたい1年に挑みます。午後の堺はうららかなポカポカ陽気。絶好のコンディションの下、近大のキックオフでゲームはスタートしました。


先にリズムを掴んだのはびわこ。6分に高い位置でボールを引っ掛けた堂安憂(2年・創造学園)のパスから、田路大樹(3年・立正大学淞南)が枠内シュート。ここは近大のGK中前佑斗(3年・初芝橋本)がキャッチしたものの、まずは1つチャンスを創ると、9分にもフィニッシュを。またも堂安のパスを受けた田路はミドルにトライ。中前が弾いたボールへ反応した熊田克斗(2年・立正大学淞南)はオフサイドを取られましたが、少しシンプルに長いボールを使ったびわこがペースを握って立ち上がります。
一方の近大も12分、右サイドからルーキーの横山航河(1年・サンフレッチェ広島ユース)がロングスローを投げ入れ、こぼれを狙った布施俊樹(4年・野洲)のシュートはびわこのCB宮大樹(2年・清明学院)が体でブロック。橋本康平(4年・桃山学院)のミドルは枠を越えましたが、17分にも橋本の左クロスを刈谷がヒールでボレー。ボールは枠の右へ逸れましたが、飛び出した2つのシュート。こちらは右の横山と布施が推進力を出して、少しずつ窺い始めた攻撃の形。
「凄く調子を上げてきている」と指揮官も言及した11番のセンスが輝いたのは27分。右SBの柳田健太(2年・ロアッソ熊本ユース)、ボランチの嘉茂良悟(3年・藤枝明誠)とボールを繋ぐと、中央から堂安はスルーパスをグサリ。飛び出したGKと交錯しながら曽根田穣(3年・愛媛FCユース)がボールに食らい付くと、目の前に広がる無人のゴールへプッシュすることに成功します。「持ち過ぎたりあまり守備をしなかったのが、やっぱり守備をしないとウチの総合力からするとダメなので、離す所をちゃんと離すようになって、一番前で頑張ってくれているんですよね」と望月監督も評価した堂安のスルーパスで勝負あり。びわこが1点のリードを手にしました。
ところが、押し込まれていた近大も最初の決定機をそのまま成果に。29分、中央でボールを持った國分将(2年・コンサドーレ札幌U-18)は右へ綺麗なスルーパス。一瞬の躊躇もなく思い切って右足を振り抜いた布施のシュートは、ゴール左スミへまさに一直線と形容できるストレートボールで力強く突き刺さります。会心のゴラッソに布施を囲んだイレブンの歓喜の輪。あっという間にスコアは振り出しへ引き戻されました。
以降は左の刈谷や右の横山が有する縦への突破力も目だった近大にゲームリズムが。33分には刈谷のパスから横山がバウンドしたクロスを送り込み、黄山晃宏(4年・奈良育英)が合わせたボレーはクロスバーを直撃し、刈谷が残して國分が放ったシュートは枠の左へ。びわこも35分には嘉茂を起点に、曽根田のパスを熊田が落とすと、再び受けた曽根田のシュートはクロスバーをかすめて枠外へ。39分は近大。横山が左へサイドチェンジを送り、刈谷が縦へのドリブルからマイナスに折り返したボールを、黄山はシュートまで持ち込むも、1年生ながらびわこの左SBを任された瀬川尚輝(1年・ガンバ大阪ユース)が何とかブロック。「勝負の世界で、点を取った後の5分から10分はやられないぞというのはよく言われること」と望月監督も話したように、得点直後の失点でびわこから近大に少しゲームリズムが移った前半は、タイスコアで45分間が終了しました。


ハーフタイムに近大は1人目の交替を。黄山を下げて藤本拓臣(2年・東福岡)を右SHへ送り込み、右SHだった布施が2トップの一角にスライドして前へのパワーを高めに掛かりますが、後半も立ち上がりから攻勢に出たのはびわこ。52分に曽根田、堂安と回し、柳田のクロスがこぼれると、堂安が放ったシュートはDFのブロックに遭いましたが、惜しいシーンを。直後のCKを左から田路がニアへ蹴り込み、熊田のフリックは中前がキャッチしたものの、57分にも熊田が枠内ミドルを打ち込むなど、「攻撃も守備もすぐ関われる距離感でやるぞというのを凄く強く言っています」と指揮官が話した距離感も良好なびわこのラッシュ。
近大も59分には布施のパスを國分が左へ流すと、上がってきた橋本がシュートまで持ち込むもボールは枠の左へ。61分はびわこの決定的なチャンス。近大のDFがGKへ戻したボールは短く、抜け目なくかっさらった堂安のシュートは中前がワンハンドでストップしましたが、あわやというシーンが。直後に望月監督は1人目の交替として熊田と谷尾駿(4年・八頭)を入れ替えると、62分にも堂安の右クロスを嘉茂が残して、田路が放ったシュートはDFのブロックに阻まれるも、完全に流れは滋賀のスカイブルー。
63分にびわこは田路が、65分に近大は横山が、それぞれCKを蹴り入れるもチャンスには結び付かず。65分はびわこのカウンター。運んだ嘉茂は左へパスを送り、カットインから堂安が打ち切ったシュートは、キャプテンを託された近大のCB岩田淳司(4年・東福岡)に間一髪でブロックされたものの、やはり攻守に躍動感を持った堂安の存在はびわこへ小さくないアドバンテージをもたらします。
近大は68分に2人目の交替を。ボランチの福井秀(4年・大阪桐蔭)に替えて、白岩海斗(2年・ガンバ大阪ユース)がピッチへ。69分にはびわこのGK宮崎正明(3年・社)が負傷でプレー続行が難しくなり、ベンチの岡田慎司(2年・松山工業)がゴールマウスに入るアクシデントこそありましたが、70分には嘉茂の左CKをDFが掻き出すと、こぼれを田路はダイレクトボレー。ボールは大きく枠外へ逸れたものの、掛け続けるびわこの圧力。
76分に飛び出したのは1年生とエースのコラボ。左サイドでボールを持った瀬川はシンプルなフィードを裏へ。「あの時にちょうど閃いたのか、彼のセンスなのかわからないですけど、嫌らしいボールを出しましたね」と望月監督も認めた後方からのボールに、田路はダイレクトでGKの頭上を越えるイメージのヘディングをチョイス。そのイメージは2秒後、ものの見事に具現化されてボールはゴールネットへ弾み込みます。「あまり細かいことをしないで、時間帯だとか相手のことを見て、裏を取るパスも入れればとみんなで話していた」と指揮官も口にしたタイミングでのワンチャンスを確実に得点へ。びわこが再び1点のリードを手にしました。
80分にも谷尾のパスから曽根田のアーリーを、止めてすぐさま放った堂安のシュートはわずかに枠の左へ外れたものの、得点後もゲームリズムは変わらずびわこに。近大も失点直前の74分にはボランチの東宏樹(2年・ガンバ大阪ユース)と山田真史(4年・奈良育英)を入れ替えましたが、「4日5日前から凄く調子を上げてきた」(望月監督)というキャプテンの金田祐羽(4年・京都両洋)と宮のCBコンビ、嘉茂と山本義道(2年・作陽)のドイスボランチと、びわこのセンターラインが敷いた堅陣は少しも揺るがず。相手に付け入る隙を与えません。
90+1分は近大のラストチャンス。左から横山が蹴り込んだ鋭いCKを岡田がきっちりキャッチすると、アディショナルタイムも確実に消し去ったスカイブルーに凱歌。「新チームになって開幕戦で緊張したり難しい所で、ギリギリ競り勝ったというのが良かったですね。本当にの勝負強さというのは去年ちょっと感じたので、それを残してくれたのかなと思います」と望月監督も話したびわこが、開幕戦を競り勝って3ポイントを獲得する結果となりました。


失点後に関して前述したように、「勝負の世界で、点を取った後の5分から10分はやられないぞというのはよく言われること」と試合後に語った望月監督ですが、その話には続きがありました。曰く「プロの世界でもやられることはあるので、怒るとかよりも『やられたらしょうがないから次行こう』と。普段から僕は怒るというよりも、『過去を振り返ってもしょうがないから次に行こう』という感じです。彼らもそんな雰囲気でズルズル引きずることなくできていたのかなと思います」とのこと。確かに嫌なタイミングでの同点弾に前半の残り時間こそは少し押し込まれたものの、後半は相手のシュートを1本に抑える磐石ぶり。その陰には監督が日頃から刷り込んでいるポジティブシンキングが影響を及ぼしていたようです。「試合の時も口で言うのは簡単だけどやるのは大変なので、『よく見とこう』とか『考えとこう』とそういう問い掛けをして、自分らで『どうしたらいいのかな』ということを考える状況を作っています。自分たちで学習して進化する組織になって欲しいですからね」と望月監督。ポジティブシンキングと自主性のその先に何が待っているのか。びわこの今シーズンのチャレンジも非常に楽しみです。        土屋

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