mas o menos

メルマガ

お好きなジャンルのコラムや
ニュース、番組情報をお届け!

メルマガ一覧へ

最近のエントリー

カテゴリー

アーカイブ

2015/02

S M T W T F S
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28

このブログについて

J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2015年02月14日

T1リーグ開幕戦 横河武蔵野FCユース×成立学園@横河電機G

mas o menos
  • Line

0214yokogawa.jpg東京の高校年代を愛する人々にとっては待ちに待った開幕。都内最強を巡るT1リーグのオープニングマッチは横河電機グランドです。
2013年シーズンはT1リーグを堂々たる成績で制し、最後は参入戦で敗れたものの、プリンス関東昇格というステージを間近に感じる経験を得た横河武蔵野FCユース。今年も当然「Tリーグ優勝でプリンス参入戦に進んで勝つこと」(田代雄大・2年・Forza'02)という目標を掲げる中で、先週末に行われたクラブユースU-17選手権の3位決定戦では、三菱養和SCユースに2-5と悔し過ぎる完敗を喫してしまいましたが、「チームとしてもこのままじゃダメだという風に話したので、養和戦の次の練習から雰囲気が変わりました」と田代。ホームで戦える仕切り直しの開幕戦を勝利で飾るべく、大事な90分間に挑みます。
昨年はインターハイこそ2年連続で全国大会出場という素晴らしい成果を残したものの、選手権予選は初戦で東京朝鮮の軍門に降り、T1リーグでも目の前で優勝を決められるなど、シーズン終盤は悔しい想いを突き付けられた成立学園。新チームが結成して初めて臨んだ地区新人大会でもPK戦での敗退を強いられるなど、少し結果の出ない日々を送っていますが、「2年生だったら2年間、1年生だったら1年間やってきて、その中で自分たちがやりたい、追及したいサッカーを表現するために今はトレーニングしている」と話す宮内聡氏が監督に復帰した今年は勝負の1年。新たなシーズンのスタートを勝利で切りたい一戦です。会場のフェンス沿いには少なくない観衆の姿も。Tリーグの開幕を告げる注目の一戦は、横河のキックオフでスタートしました。


ファーストシュートを放ったのはアウェイチーム。3分に中央で獲得したFK。ゴールまで約30mの位置から長島滉大(2年・成立ゼブラFC)が直接狙ったキックはゴール右スミを捉えるも、横河のGK西村大樹(1年・レッドスターJY)が丁寧にキャッチ。4分は横河に決定機。右SBの田代が中央へ鋭いパスを通すと、抜け出した太田翔(2年・三菱養和調布JY)が1対1から放ったシュートは成立のGK吉澤凌(2年・成立ゼブラFC)がファインセーブ。まずはお互いに枠内シュートを繰り出し合って、ゲームは立ち上がります。
9分には横河のアンカーを務める渡辺基希(1年・横河武蔵野FC JY)が枠内ミドルを放ったものの、序盤の主導権を握ったのは「入りは自分たちのやろうとしている、前からハイプレスを掛けて守備から入ろう」(宮内監督)という狙いがハマッた成立。「自分でちょっと降りてスペースを創って、他のヤツが入ってきたりというのを自分でもやりたいみたい」と指揮官も言及した町田ジェフリー(1年・浦和レッズJY)が広範囲に動いてボールを引き出し、左サイドでは長島が果敢にドリブルを敢行。11分から2本続けてハイサイドを取った流れからCKを得ると、12分に長島が蹴り込んだ右CKをニアで町田が競り勝ち、吉村伸(2年・アセノSC)がやはり頭で合わせたシュートはわずかに枠の左へ外れるも、セットプレーからチャンスを創出。13分には初田優真(1年・横河武蔵野FC JY)のスルーパスからまたも太田が抜け出した横河の決定機も、吉澤がファインセーブで仁王立ち。失点を許しません。
すると、先にスコアを動かしたのはゼブラ軍団。16分、ここも中盤に降りてきていた町田が中央から左へ巧みにスルーパス。斜めに飛び出した右SHの山下侑真(2年・CLUB ATLETICO ALEGRE)はルックアップすると、GKの股下を綺麗に抜いてボールをゴールネットへ滑り込ませます。「個人的にもユニットで崩すのも割と面白い所もある」と宮内監督も話す、ユニットでの崩しが見事成果に。成立が1点のリードを手にしました。
「相手に持たれる時間が続いたので、後ろでしっかり耐えなきゃいけないなと思っていた」(田代)状況でビハインドを負った横河も、20分過ぎからはようやくボール回しにもテンポが少しずつ出てきましたが、「みんながボールを欲しくて降りてきて、ボールを動かしたい想いはあるんだけど、近付いてくるだけでそこをチョンチョンやっていても相手に潰されるだけ」と増本監督も振り返ったように、シビアなゾーンへの侵入はできず。バイタル周辺に潜り切るもう一手が出てきません。
むしろ手数は成立。29分、右SBの矢田部竜汰(1年・横浜F・マリノスJY)がフィードを送り、吉村のドリブルは大きくなって西村にキャッチされましたが、シンプルな狙いでチャンスの芽を。36分にも河口海斗(2年・成立ゼブラFC)が左へ流したボールを町田はスルー。長島がエリア内へドリブルで切れ込むと、飛び出した西村が何とか掻き出し、上がっていた左SBの西羽開(1年・鹿島アントラーズJYつくば)がさらったボールは田代が必死にカバーしたものの、あわやというシーンが。37分にも長島の抜け出しには西村がうまく対応し、吉村がループ気味に狙ったミドルは枠を越えるも、「コンパクトにして、裏を怖がらずに狭くして守ろう」(宮内監督)という狙いも徹底する成立に漂う追加点の香り。
40分に迎えたのは成立の得点機。CBの小﨑魁(1年・浦和レッズJY)が絶妙のフィードを放り、吉村は完璧なラインブレイクから独走。GKとの1対1は、しかし枠の左へ外れてしまい、逃した2点目を記録する絶好のチャンス。逆に42分には横河も太田が左サイドからドリブルで切れ込み、放ったシュートは吉澤が弾き出し、再び太田が押し込んだボールもライン上で西羽がきっちりクリア。43分にも横河は田代の縦パスから初田が右サイドをえぐって中央へ戻すと、左SBの森田幸紀(1年・三菱養和調布JY)が枠へ収めたシュートは吉澤がこの日4本目のファインセーブ。徐々に横河も左サイドを中心にアタックを繰り出しましたが、「横にドンドン動かしてマイボールにして、どこかで入れていこうという狙い」(宮内監督)が良い形で現れた成立が1点のアドバンテージを握って、最初の45分間は終了しました。


横河にとっては6日前の西が丘と同じリードを許して迎えたハーフタイム。ただ、「ほとんどハーフタイムは戦術の話はしていない」6日前とは対照的に、「『今日はホームで開幕で、ここで負けたらもう優勝はあり得ないから』という話だけはしましたけど、それ以外は戦術的な話しかしていないです」と増本監督。続けて「今日もロッカーの外でこっそり聞いていたら中で色々話していたし、意外と笑いが漏れていたので『なんだ、コイツら結構追い込まれていないんだな』と思ったら冷静に話ができたのかな」とも。「前回の養和戦はああいう不甲斐ない試合をしたので、絶対勝ちたいというのはあった」(田代)中でも、6日前とはまったく違う雰囲気で横河のイレブンは後半のピッチへ向かいます。
49分のチャンスは横河。渡辺基希が縦パスを打ち込み、右へ流れながら放った見木友哉(2年・横浜FC鶴見JY)のシュートはわずかに枠の左へ外れるも、いきなり同点への意欲を前面に。53分も横河。左サイドでボールを持った森田が裏へ落とすと、走った渡辺将矢(2年・浦和レッズJY)はわずかに届かず吉澤がキャッチしましたが、シンプルな狙いも披露。54分も横河。ここも森田が左へ付け、太田が縦に運びながら鋭く切り返し、枠へ収めたシュートは吉澤が押さえるも、「90分で1試合だから、残り45分でどう引っ繰り返すのか」と指揮官に送り出されたホームチームが踏み込んだアクセル。
「後半の最初の10分くらいで向こうの勢いが付いちゃった」と宮内監督も認めた成立を尻目に続く横河の攻勢。56分にはらしいパスワークから成実浩太郎(1年・Forza'02)が繋ぎ、太田のシュートはDFが何とかブロック。58分には増本監督も1人目の交替を決断。成実に替えて梅原陸(2年・FC PROUD)を中盤に送り込み、「凄く良くて起点になっていた」と見ていた初田を右ウイングに移して、目指す同点とその先。60分には成立もクイックリスタートから、セカンド回収で存在感を発揮していた長田一宏(2年・成立ゼブラFC)が枠内シュートを打ち込むも、西村がしっかりキャッチ。流れは完全に横河へ。
輝いたのは「SBのプレーも試合を追うごとに良くなっているかなという感覚はあります」と語った6番の右サイドバック。62分、「前半からあそこは狙っていこうかと思っていたので、こぼれを待っていた」中央寄りの右サイドでボールを拾った田代は、少し距離のあるレンジにも「打つ気で最初からいました」とミドルを敢行。DFに当たったボールはGKの頭上を破り、そのままゴールネットへ吸い込まれます。「うまく相手に当たって入ってくれたので、結果オーライかなと思います」と笑ったのは本人ですが、養和戦でも積極的な姿勢の目立った田代がゴールという最高の貢献を。スコアは振り出しに引き戻されました。
「もう1回前からボールを奪いに行ってやろうと言っていた」中で失点を喫した状況を受けて、宮内監督も62分に1人目の交替を。吉村を下げて野口斗哉(1年・成立ゼブラFC)をそのまま最前線に送り込むと、63分には町田の積極的な仕掛けから長田がミドルをゴール左へ。66分にも町田が左へ振り分け、スクリーンした野口の折り返しはDFにクリアされましたが、小﨑と中里亮太(2年・成立ゼブラFC)のCBコンビを中心にディフェンス面で持ち堪えつつ、何とか反撃したい意識を再び手数に滲ませます。
ところが、67分に見木と太田の連携から森田が枠内シュートを放つと、成立へ降り掛かったアクシデントは69分。太田のドリブル突破にたまらず体を寄せた選手のファウルに対し、主審はイエローカードを提示。前半にも警告を受けていた選手は退場処分を課されてしまいます。「相手にとっては不運な退場」と敵将の増本監督も口にしたようなプレーでしたが、ジャッジはジャッジ。成立は残された20分あまりを10人で戦うことに。
70分は横河。左サイドでボールを引き出した太田は、そのままカットインしながらミドルを放つも軌道は枠の右へ。71分も横河。細かいパス交換から梅原が左へ展開。太田の高速グラウンダークロスは中と合いませんでしたが、活性化の目立った左サイドがやはりキーゾーンに。72分、ここも細かい繋ぎから左へ運んだボールを森田がクロスに変えると、エリア内でDFの手に当たったという判定を主審が下し、横河にPKが与えられます。キッカーは太田。右スミを狙ったキックへ、懸命に飛び付いた吉澤もボールに触ったものの、勢いが勝って揺れたゴールネット。「アイツは後半も外しまくっていたので、今日はちょっとしょうがない日なのかなとは思う」とは増本監督ですが、プレッシャーの掛かる場面で確実に結果を。キャプテンのPKで横河がスコアを引っ繰り返しました。
73分に渡辺将矢と堀切川遼(2年・クラブテアトロ)をスイッチする横河の交替を経て、74分のフィニッシュは成立。後半は消されがちだった町田が右へスルーパスを通し、河口はグラウンダーで中央へ。ファーサイドで待っていた長島のシュートは西村が丁寧にキャッチ。何とか追い付きたい宮内監督も80分には大野泰成(1年・FCゼブラ)、81分には手塚翔太(2年・ヴェルディSS小山)を相次いでピッチへ解き放ち、最後の勝負へ。
81分は横河。梅原が縦へ蹴り込み、走った太田がマーカーに競り勝って打ったシュートはクロスバーの上へ。83分は成立。河口、長島とボールが回り、西羽のクロスは中と合わずにそのままファーへ。84分は横河。CBの宇野木晨兵(2年・横河武蔵野FC JY)がミドルレンジから狙ったシュートは枠の左へ。「相手が少ないという状況もなかなかないし慣れていない」とは増本監督。果たして追い付けるのか、突き放せるのか。
85分のゴールは試合を決める一撃。中盤でボールを持った太田が中央を切り裂く絶妙スルーパスを送ると、飛び出したのは「何をしなきゃいけないかというのをわかって入ってくれた」と指揮官が評価した梅原。GKとの1対1も氷の冷静さで右スミを鮮やかに破り、ボールをゴールネットへゆっくりと送り届けます。「最近試合に出ていて急に外されたから、そういう想いもきっとあったと思うので良かったんじゃないかな」と増本監督も話す梅原がトドメを刺して勝負あり。最後は外山真永(1年・横河武蔵野FC JY)をクローザーとして送り込み、きっちり時間を潰した横河がホームでの開幕戦を白星で飾る結果となりました。


後半は退場での数的不利もあって、やや相手の勢いに飲み込まれてしまった感のあった成立でしたが、今後へ非常に期待の持てる90分間だったのではないでしょうか。「タレント的に10番の彼はレベルが高かったので、ある程度やられる分には仕方ないなと思った」と増本監督も言及した町田が想像以上に収められたこともそうですし、さらに「10番が落ちた所が気になって、9番にCBの間に走られたりで結構やられていた」とこちらも増本監督が話した吉村に加え、長島と山下のサイドアタッカーも含めて「ちょっと流動的にポジションを崩して、自分たちで近付いたり離れたりを繰り返しながらボールを動かす」(宮内監督)アタックは各チームの脅威になりそうな雰囲気を醸し出していました。「基本的にはインサイドキックをキチンと蹴れなければみんなで動かせないし、インステップキックをちゃんと蹴れないとサイドチェンジなんてできないし、それを毎日の練習でこだわってやりたいなと思っています」と話した宮内監督率いる新生成立にとっては、一定以上の実りのあった黒星開幕だったのではないでしょうか。
「開幕戦に勝つというのは、ここまで準備してきていますしやっぱり嬉しいですよ」と話した増本監督が、「やっぱりトリプ戦やってジェファ戦やってFC東京戦やって、西が丘で養和とやれたというのが、この開幕も最後まで気持ちが切れなかったという所に繋がっていると思う」と続けたように、横河は既に公式戦を4試合消化しているアドバンテージをうまく生かした印象です。特に前述したように養和戦という苦い敗戦を経験したことで、「全員が危機感を持ってやるようになったと思いますし、声も出るようになってきて雰囲気が良くなった」(田代)とチームにもポジティブな変化が生まれてきた様子。それが勝利という成果に結び付いたことで、より一層の勢いが出てくるのかなと。「今日は良かったですね。最近『"いいね"より"丁寧"』『"既読"より"記憶"』という今風の標語を押し出していて、流行らせようかと思っていて。色々浸透ワードを創っていかないと(笑)」と増本監督もゴキゲンなコメントを。2年ぶりのT1制覇へ。横河がまずは大事な開幕戦で勝ち点3を獲得しています。         土屋

  • Line