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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2015年02月12日

埼玉県高校新人大会準々決勝 昌平×西武文理@昌平G

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0211syohei.jpg1週間の短期決戦で行われる今シーズンのファーストトーナメント。選手権王者の昌平と上位進出を狙う西武文理の激突は昌平高校グラウンドです。
新人戦制覇、県リーグ1部制覇に加え、選手権予選でも初めて埼玉の頂点に立つなど、埼玉県内で一気にその存在感を強めた感のある昌平。「力が上のチームとできるということで、自分の成長に繋がるリーグなのでとても楽しみにしています」と昨年からレギュラーを務める松本泰志(1年・クマガヤSC)も言及したプリンス関東への参入が決まっている今シーズンは、さらに各方面から注目を集める1年が予想される中、まずは県内1冠目を手にするべくホームで戦うクォーターファイナルへ臨みます。
昨シーズンはインターハイ予選でベスト16に食い込み、選手権予選でもベスト8へ躍進するなど、近年は県内の各コンペティションで上位進出の常連になりつつある西武文理。「上位まで行ける自信がメンタリティも含めて付いてきたというか、そこまでは行かなくてはいけないと自分も思っているし、選手も思っている」と話すのは山口豊監督。今大会の初戦も、やはり着々と力を付けてきている伊奈学園に2-1で競り勝ってこのステージへ。「ここのベスト4への所は1つのカベだと思う」(山口監督)というそのカベをぶち破るために、埼玉王者とやり合う覚悟を持ってこの一戦へ挑みます。杉戸の上空は2月らしい澄み切った青空。県内4強を巡る80分間は昌平のキックオフでスタートしました。


先に勢いを持ってゲームに入ったのはアウェイチーム。2分にはボランチの羽田優亮(2年・カムイJY)のパスを、右サイドで受けた木村元気(2年・FC CONSORTE)はドリブルスタート。カットインしながら放ったシュートはわずかに枠の右へ外れましたが、CFが積極的なチャレンジを。5分には昌平も松本の左CKを佐々木俊育(2年・久喜栗橋東中)が頭で残すも、中央でオフェンスファウル。10分は再び西武文理。CBの大沢慶(1年・朝霞エステレーラ)が左から蹴ったFKは佐々木が弾き返し、混戦から西武文理のCKへ。これを左から岩城洸亮(2年・クマガヤSC)が入れると、ここも佐々木が懸命にクリアしたものの、西武文理が得意のセットプレーも含めてまずは攻勢を打ち出します。
一方、「最初しっかり繫いでいこうということだったんですけど、相手が前から来る感じで押し込まれたので、そこは耐え切って自分たちのリズムを改めて創ろうということでやっていました」とキャプテンの高嶋俊碩(2年・松戸常盤平中)が話した昌平も、10分過ぎからは少しずつ反撃を。12分には榊原悠太(2年・三郷JY)のパスから真辺庸介(1年・CLUB ATLETICO ALEGRE)がドリブルからスルーパスを狙い、走った針谷岳晃(1年・FC古河JY)には届かずに西武文理のGK高田謙(2年・東松山ペレーニア)がキャッチしたものの、1つ流れの中から惜しいシーンを。13分と15分に続けて蹴った松本の左CKはシュートまで行けませんでしたが、17分にはCFの本間椋(1年・FOURWINDS IBARAKI FC)が中央を30m近く運んで右へ。榊原は触れずも、ようやく出てきた攻撃のリズム。
昨年は4-2-3-1を基本布陣に敷いていた昌平は、「新人戦のこの前の試合が初めて全員揃ったので、チャレンジの段階」(藤島崇之監督)ということもあって、この日のシステムは3-4-2-1。「中盤が多い分、真ん中で高い位置で人数を掛けて回せたり、外も使えるのでサイドの選手の運動量が鍵になると思う」と高嶋が言及したように、サイドのアタックが1つのポイントに挙げられる中、最初の決定機はやはりサイドで。19分、榊原が右へ流し、本間が時間を創って中へ戻すと、松本は左のスペースへスルーパス。ここに駆け上がってきた左WBの築地原雅大(2年・CLUB ATLETICO ALEGRE)は1対1を正面に飛ばし、高田に弾き返されてしまいましたが、「ヤツはメチャクチャ動くんですよ」と藤島監督も評価した左の翼が、この日の狙いの1つをフィニッシュへ結び付けます。
やや膠着した10分間あまりを経て、再びチャンスを生み出したのは昌平の左。30分、松本を起点に針谷が左へ振り分けると、築地原がクロス気味に狙ったループは緩やかな軌道を描いて枠内ギリギリへ。ここも高田がバックステップからのファインセーブで回避するも、左サイドはホットゾーンに。直後の右CKは松本がショートで蹴り出し、針谷のクロスはDFのクリアに遭ったものの、滲ませる先制と勝利への強い意欲。
さて、なかなか手数は出せない中でも、SHの田辺耀平(2年・帝京FC)やサイドに流れる木村に加え、再三オーバーラップを敢行していたSBの村山晃輝(2年・富士見勝瀬中)の推進力もあって、左のアタックに可能性を感じさせた西武文理も、30分過ぎからはテンポアップ。32分には右サイドをSHの島崎司吏(2年・狭山JY)が藤倉旬汰(1年)とのワンツーで抜け出し、マイナスに折り返すも中央とは合わず。36分にはその数分前に良いドリブルを見せながらシュートに持ち込めず、ベンチから「積極的に行け!」と檄を飛ばされた田辺が、やや強引なミドルを枠の右へ。39分には昌平も本間のパスから榊原が抜け出し掛けるも、西武文理のCB三ツ田啓希(2年・Forza'02)がきっちりカバー。「これぐらいはできるかなと思ったぐらいはできた」と山口監督も話した通り、ほぼ互角に近い内容の前半はスコアレスでハーフタイムに入りました。


「内容が良ければ一番良いですけど、内容が悪くても勝ち切ることが次に繋がるし自分たちのプラスになるから、みんなで勝ち切ろうというのは後半の頭からしっかり話をしていました」と高嶋も話した昌平は、後半スタートからギアチェンジ。42分には針谷を起点に松本が縦へ付けると、榊原の落としを松本が狙ったシュートは枠の右へ外れましたが、綺麗なコンビネーションからフィニッシュを。46分にも築地原のリターンを松本が右へ。走った針谷はわずかに届かず、飛び出した高田がキャッチしましたが、「そこまで細かい所はあまり要求していないので、逆にそれは本人の判断でやっている分、展開力を生かせればいいかなと思っていますけど」と藤島監督も言及したボランチの松本が積極的にボールへ絡み、チャンスの芽を生み出します。
少し相手の勢いを受ける形で後半に入った西武文理は47分に左サイド、ゴールまで約30mの距離から三ツ田が直接狙ったFKは昌平のGK廣木零(1年・武南JY)が丁寧にキャッチすると、51分に動いた山口監督。藤倉に替えて木村俊平(2年)を左SHへ送り込み、松本を1トップ下へスライドさせて先制へのさらなるギアアップを。52分には針谷が左から蹴ったCKを、ファーサイドで三ツ田が高い打点で叩いたヘディングはクロスバーの上へ。やはりセットプレーで突き付ける同点への脅威。
55分に生まれた歓喜は緑。左サイド、ゴールまで25m強の位置で獲得したFK。スポットに立った松本が左スミを直接狙ったキックはクロスバーを叩きましたが、素早く反応した針谷が落ち着いたトラップから右足を振り抜くと、ボールはDFの間を抜けてゴール左スミギリギリへ飛び込みます。「去年は和田さんという凄い人が10番を付けていたので、重みというのはかなりありますけど、自分の良い所を磨いて違う10番像を築けたらいいなと思います」と話す松本のセットプレーから7番がきっちり結果を。昌平が1点のリードを手にしました。
ビハインドを追い掛ける展開となった西武文理。57分には田辺、島崎と繋いだボールから、右SBの岡本紘也(2年・狭山JY)がエリア内へ侵入するも、少しドリブルが大きくなると飛び出した廣木が果敢にキャッチ。58分にも右サイドを岡本が再び積極的に駆け上がるも、最後は昌平3バックの中央を託された関根一誠(2年・成立ゼブラFC)が確実にカット。60分には大沢が左FKを蹴り込み、直後にも木村俊平が右ロングスローを投げ入れるも、藤島監督も「相手のチャンスであまり取られない状況というのは、このチームというよりも去年のチームのベースかなと思う」と認めたように、冷静に1つずつ相手のチャンスを潰していく埼玉王者。
63分には藤島監督も1人目の交替を。中盤で存在感を示した榊原に替えて、三森向陽(1年・FOURWINDS IBARAKI FC)をそのまま中盤に送り込むと、66分には右から真辺がサイドチェンジを通し、本間のドリブルから針谷が放ったシュートはDFがブロック。西武文理も66分に木村元気と江守駿哉(1年)を入れ替え、最後の10分間への反撃態勢を整えます。
73分に訪れた西武文理のビッグチャンス。右サイドで島崎のキープから江守が粘って中へ付けると、田辺がエリアの外から左足一閃。一直線にゴールへ向かったボールはしかし右のポストを激しく叩き、こぼれを狙った木村俊平のシュートも枠の左へ外れ、頭を抱えるベンチと田辺。75分にも田辺の仕掛けを関根が堰き止め、ルーズボールを拾った島崎のミドルはクロスバーの上へ。「アタッキングサードに入って点を取る部分が課題」と山口監督。惜しいシーンがゴールまで結び付きません。
すると、次に飛び出したのは同点弾ではなく追加点。76分、松本のパスを受けた本間は右へスルーパス。真辺がシュート気味の強いインパクトで蹴り込んだボールを、すかさず足を伸ばしてトラップした本間は飛び出したGKの鼻先でプッシュ。揺れた右スミのゴールネット。それまでは少し仕掛けの局面でミスが目立っていたものの、「パスだけを選択する選手でも面白くないし、あそこで行けたらファウルやPKも取れちゃうと思うので、僕はあのへんのミスに関しては、当然彼に言いますけどしょうがないかなと思っていて。じゃあ点取れって話なので」と指揮官も期待を口にした本間がゴールという結果でしっかりアピール。点差が広がりました。
突き放された西武文理は77分に佐藤大輝(2年)をCBに投入し、三ツ田を最前線に上げて、パワープレーで何とかまずは1点を返そうと試みたものの、79分には松本がクロスバーに直撃する強烈なシュートをお見舞い。最後は80分に中野航平(2年・さいたま日進中)をピッチへ解き放ち、ゲームクローズを図った昌平に軍配。「後半はプレスが掛かっている状況でも付けていくスタンスを持ってやったので、後半の方が息を吹き返したかなと思いますし、それがすべてかなと思っています」と藤島監督も話した埼玉王者が、ベスト4へと駒を進める結果となりました。


「この大会が1週間しかないので、もちろん勝負にはこだわってやりますけど、逆に次の部分も見据えた戦い方もやっていきたいなと思っています」と話したのは藤島監督。前述したように今シーズンはプリンス関東にチャレンジする中で、公式戦という強化の場を最大限に生かして、チームビルディングのスタート地点を固めていこうという姿勢は随所に窺えました。また、「今年は去年よりチーム力をより意識してやっていかないと、高いレベルでやるのには厳しい部分があると思うので、去年より連携を意識してやっていけたらなと思います」と高嶋も認めた通り、昨年からレギュラーがほとんど入れ替わったチームにとって、大切なのは連携の向上という部分。ただ、「適正のポジションに全部入れられていないのが現状」(藤島監督)だというこのゲームでも、時折見られた流れるような連携は、今シーズンのチームのポテンシャルを感じさせるには十分だったんじゃないかなと。自らのチームに対しては厳しいコメントの多い藤島監督は、それでも「逆にうまくいかない所がのびしろだと考えていきたいですね(笑)」とポジティブな笑顔。今シーズンも昌平には面白そうな雰囲気が漂っています。      土屋

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