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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。
「実際スタッフで入ってやっていると
あまり成長ってわからないですよね」
今シーズンから高校年代最高峰の
高円宮杯プレミアリーグへ復帰するFC東京U-18。
その強敵に0-5というスコアで敗れたジェファFC U-18の
大久保孝監督は笑ってそう話しました。
舞台は東京都クラブユースU-17選手権大会。
若き指揮官率いる彼らはある覚悟を持って
この"新人戦"に挑んでいました。
國學院久我山を東京屈指の強豪校に成長させた
李済華(リ・ジェファ)氏が代表を務めるジェファFC。
全国ベスト16に入った昨年度の高校選手権でも
久我山ではジェファFC出身者が何人も活躍し、
さらにベスト4で埼玉スタジアム2002のピッチを踏んだ
流通経済大柏にも数人の選手を送り出すなど、
3種では一定以上の存在感を示し続けてきた中、
そんな代表者の名前を冠したクラブに
2種のカテゴリーに属するU-18が誕生したのは3年前。
2013年からジェファFC U-18は
新たなチームとしてのスタートを切ることになりました。
「ウチのクラブ自体が李をコンセプトに創られている部分があるので
ある意味そこかなと。
ボールを大事にしてエネルギッシュにやって、
攻撃的にサッカーを楽しもうよという、
そこから離れることもないと言うと語弊がありますが
道は色々ある中でそこのゴールはハッキリしているのかなと思います」と
前述の大久保監督も明言するように、
目指すのは『攻撃的で楽しいサッカー』。
これは久我山の取材で李氏にお話を伺うと
必ずと言っていいほどに出てくるフレーズでもあり、
そういう意味でもチーム立ち上げから
スタイル自体が明確だったことは容易に想像できます。
ただ、当然一昨年はチームのメンバー全員が高校1年生。
時には中学生も試合に借り出しつつシーズンを戦っていきましたが、
立ち上げ半年で臨んだ"新人戦"は0-5、0-3、1-2と3連敗。
得点もわずかに1と、公式戦の厳しさを思い知らされる結果となりました。
迎えた2014年シーズン。
大久保監督が就任したジェファFC U-18は躍動します。
所属しているリバーサイドリーグでは
開幕5連勝という最高のスタートダッシュを決めると、
そのまま上位をキープして見事優勝を達成し、
来年度から地区トップリーグへと昇格する権利を獲得。
さらに、昨年は全敗に終わった"新人戦"の1次リーグも
初戦で杉並アヤックスに3-2で競り勝って大会初勝利をゲット。
勢いそのままに残りの3試合も
26得点2失点という圧倒的な成績を叩き出して3連勝。
1年前は全敗を喫したチームが
見事全勝でグループリーグを堂々首位通過。
年明けの決勝リーグへと駒を進めることになったのです。
「彼らが立ち上げの代で、ずっと同じメンバーでやってきていますし、
逆に他のJの下部組織のチームは
チームが立ち上がったばかりだと思うので、
その部分でアドバンテージを生かして
どれだけ勝負できるかという所」(大久保監督)で挑んだ決勝リーグの初戦は
FC東京U-18を相手に健闘したものの、
4分間で3ゴールを許すなど前述したようにスコアは0-5の完敗。
ただ、最後まで試合を諦めることなく
選手たちが声を出し続ける姿は印象的で
それについては指揮官も「それが一番の良さかなと思います。
逆に僕がそれに救われている部分や、気付かされている部分も凄くありますね。
僕も楽しいですね」と話してくれました。
1月24日。
"新人戦"2試合目の相手は横河武蔵野FCユース。
一昨年はT1リーグ制覇を果たすなど、
ここ最近は都内でも強豪としての地位を確立しつつある難敵に対しても、
ジェファFC U-18は果敢に立ち向かいます。
前半を0-2で折り返し、後半も1点を奪われる苦しい展開の中、
その時は訪れました。
ミドルレンジで前を向いた中盤の選手が
積極的にシュートへトライします。
ボールは惜しくもクロスバーを叩きましたが、
そこに誰よりも速く反応したのは
ジェファのエンブレムを胸に付けたアタッカー。
強引に頭でねじ込んだボールは
ゆっくりとゴールネットへ吸い込まれます。
立ち上げ2年目にして初めて決勝リーグで奪ったゴール。
その後、1点を追加された試合は1-4で終わったものの、
後半は五分に近い内容で推移した時間帯もあり、
一定の手応えを感じられるような90分間だったと思います。
それでも試合後に見せた選手たちの表情には
1週間前以上に負けた悔しさが
漂っていたように私には見えました。
「彼らが1期生なので同学年で勝負するのも今回が初めて。
少しでも西が丘に近付けるようにというモチベーションの中で
ある意味では1年や2年くらいそうやって取り組んできています」
と指揮官が話したように、本気で西が丘を目指してきたからこそ感じた悔しさ。
本当に強いチームと対戦し、
やれることとやれないことを痛感したからこそ、
負けたことに対する本物の悔しさが
彼らに湧き上がってきたのではないかと思います。
「立ち上げて2年目なので頑張っているというか、
僕らがと言うよりは彼らが何もない状態で入ってきてくれて、
少ない人数で一生懸命やってきてくれているので選手に感謝です」と
FC東京U-18戦後に語ったのは大久保監督。
本当の"勝負"を今まさに経験しているジェファFC U-18の戦いは
まだまだ始まったばかりです。
土屋
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