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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2014年12月12日

インカレ1回戦 関西学院大×IPU・環太平洋大@江戸川

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1212edogawa.jpg第2試合には優勝候補の一角と目されている関西の雄が登場。2年連続18回目の古豪と2年連続2回目の新鋭が激突する一戦は、引き続き江戸川陸上競技場です。
関西では上位チームとの対戦を互角以上の成績で乗り切りながら、下位相手の取りこぼしが響いた格好で3位でのインカレ出場となった関西学院大。ただ、ボランチの徳永裕大(2年・ガンバ大阪ユース)も「今年は関学が関西で強いと言われ続けてきたし、関西だったらあまり負ける気はしない」と言及したように、強豪揃いの関西でもその実力は多くが認める所。初めてのファイナル進出を、そしてその1つ先を見据えつつ、「とにかく1つ1つやっていこうと話しているので、今は次の試合に勝つというのが目標」とはキャプテンの福森直也(4年・金光大阪)。まずは一戦必勝で初戦に挑みます。
中国リーグでは2年連続で2位に甘んじたものの、インカレでは2年連続でプレーオフに勝ち上がっての出場を決めたIPU・環太平洋大。そのプレーオフでも2ゴールを叩き出して、チームの全国出場に貢献した長尾善公(4年・徳島商業)は驚異のリーグ戦4年連続得点王に輝いた注目のストライカー。そのエースを軸に「ボールを動かして崩していくようなゲーム」(桂秀樹監督)を志向しながら、虎視眈々と冬の全国初勝利を狙います。非関東圏同士の対戦にもかかわらず、両校共にベンチ外のメンバーも多数集結して力いっぱいの声援を。賑やかな雰囲気の中、環太平洋大のキックオフでゲームはスタートしました。


いきなりのアクシデントに見舞われたのは環太平洋大。開始わずかに1分が経過した頃、接触で倒れた片田拓(2年・鳥栖U-18)はプレー続行不可能に。3分に中舛健人(3年・広島観音)との交替を余儀なくされる波乱のスタートとなりましたが、8分のファーストシュートも環太平洋大。そのまま中盤に入った中舛がボールを拾い、左SBを務めるキャプテンの勝部元太(4年・高川学園)が枠内ミドル。ここは関学大のGK竹下将梧(3年・東海大仰星)がキャッチしたものの、嫌な流れを断ち切るような積極性で1つフィニッシュを取り切ります。
対する関学大のファーストシュートは13分。呉屋大翔(3年・流通経済大柏)を起点に徳永が右へ振り分けると、福森のミドルは枠の左へ外れるも、ようやく1本目のフィニッシュを。ただ、両チームのファーストシュートが揃って左SBのミドルという一致が証明するように、ピッチコンディションもあってお互いが慎重に立ち上がったことで、やや動きの少ない展開に。18分にはカウンターから長尾が飛び出し、右へ振ったボールを梶山勝矢(1年・高知中央)が狙ったミドルは大きくクロスバーの上へ。「負けたら大学サッカーが終わってしまうというのは4回生みんなが持っていたと思うし、同じように負けたらこのチームで戦うのが終わりという気持ちで下級生も戦っていたし、そういう意味での硬さは絶対あると試合前から話していた」と福森。漂う"負けたくない"空気。
そんな閉塞感を打ち破ったのは「昨日までサブやったんですけど、今日のミーティングの時に『行くぞ』と言われた」という2回生。23分、最終ラインからCBの井筒陸也(3年・初芝橋本)がフィードを送ると、こぼれたボールにいち早く反応したのは徳永。「バウンドを見て、ドライブ掛けていったら面白いシュートになるかなと思ったので狙っていった」シュートは、思惑通りにGKを越えると急降下してゴールネットへ突き刺さります。「凄いゴールが決まってしまった」と敵将の桂監督も認めるゴラッソが突如として飛び出し、関学が先にスコアを動かしました。
以降は「20分くらいから相手が蹴ったボールを全部こっちのボールにすることができていた」と福森が話した通り、関学大に傾いたゲームリズム。「呉屋と浅香がよく追い掛け回してくれていたので、後ろも凄く狙いやすかったと思う」(成山監督)「前の2人がとにかくCBとかSBに対してプレッシャーを掛けて、それに対して後ろがしっかり準備するという形で、チームが良い風に回っていた」(福森)と2人が声を揃えた、前線からのプレスへ連動した守備がハマり出し、奪ってからのアタックにも切れ味が。25分には前川拓矢(4年・関西学院)がフィードを蹴り込み、収めた呉屋の反転シュートは環太平洋大のGK中本貴博(3年・水島工業)が何とかキャッチ。30分にも小幡元輝(4年・名古屋グランパスU18)が左へ送り、開いた浅香のグラウンダークロスは呉屋の目前で勝部が懸命にクリア。ジワジワ押し寄せる関学大の圧力。
34分も関学大。徳永のスルーパスに浅香が走るも、飛び出した中本が何とかキャッチ。35分も関学大。小さくなった中本のクリアを浅香がダイレクトで繋ぎ、こちらもダイレクトで打ち切った呉屋のシュートは中本が責任を持ってファインセーブで弾き出しましたが、次の歓喜も西宮の青。
38分、浅香から左サイドでボールを引き出した徳永は、「左で上げようか、右のアウトで上げようか迷ったんですけど、左足はあまり得意ではなくて、右足アウトも得意だったので、呉屋くんのファーを狙って」右足アウトでのクロスを選択。すると、必死に飛び付いたDFのクリアはGKの頭上を破り、そのままゴールネットへ転がり込んでしまいます。記録上はオウンゴールでしたが、「日本一を狙えるメンバーだし、最後4回生の恩返しのためにも日本一になりたいと思います」と言い切る徳永が2点に絡む活躍を見せ、大きなアドバンテージを関学大が奪った格好で最初の45分間は終了しました。


後半も勢いはそのまま。49分は関学大に決定機。左からボランチの福冨孝也(3年・宝塚北)が入れたFKは、嫌なバウンドで跳ねるとGKも弾き切れずに浅香がプッシュ。副審のフラッグが上がり、オフサイドでノーゴールという判定にこそなりましたが、いきなり追加点への意欲を打ち出すと、56分にも浅香が自らボールを奪って持ち上がり、果敢なミドルを枠の左へ。ハーフタイムを挟んでも、ゲームリズムは大きく変わりません。
攻めるしかない環太平洋大は「前半はちょっと慌ててしまって、放り込んでしまったり縦に急ぎ過ぎたりということがあった」(桂監督)状況を受け、前半途中からアンカーの大倉康輝(3年・水島工業)が完全に河本将太(3年・聖光)と渡邊太晟(4年・徳島ヴォルティスユース)で組むCBの間に落ちて、3バック気味でのボール回しを徹底。「それで少しは落ち着きを取り戻した」(桂監督)中、57分に前田匠(3年・岡山学芸館)、中舛と繋いだボールは長尾へわずかに届かず。59分にも長尾が右へ展開し、SBの谷田直宏(4年・米子北)が上げ切ったクロスもDFがきっちりクリア。増えないシュート数。
関学大も67分に小幡が左へ回し、浅香のグラウンダークロスをニアで池田優真(3年・作陽)が捉えるも、ボールは枠の左へ逸れると、これが約10分ぶりのシュート。膠着気味の展開を打ち破るべく、先に交替カードを切ったのは桂監督。69分に中野健吾(4年・鳴門)を下げて安田拓馬(1年・立正大淞南)をピッチへ送り込み、全体の意識をワンライン高めに掛かります。
ところが、70分に訪れた絶好の得点機も関学大。福冨が右へ振り分けたボールを、SBの原口祐次郎(4年・藤枝明誠)が縦へ付けると、エリア内へ潜った池田はDFともつれて転倒。田中玲匡主審はペナルティスポットを指し示します。キッカーはもちろん呉屋。右スミを狙ったボールに中本も飛び付きましたが、コース、スピードと双方完璧でゴールネットを一突き。大きな大きな3点目が関学大に記録されました。
72分に関学大が浅香に替えて小林成豪(3年・ヴィッセル神戸U-18)を送り込み、74分にはやはり関学大が小幡と森俊介(2年・東山)、環太平洋大が梶山と寺内雄大(4年・金光藤蔭)を同時に交替させると、残された時間は15分間とアディショナルタイム。「後半はウチが普段やっているようなサッカーもできたのかな」と桂監督も言及した環太平洋大は76分にビッグチャンス。河本のフィードに長尾が巧みなラインブレイクから1人で抜け出すも、村下が抜群の間合いで飛び出し、時間の掛かった長尾はシュートまで持ち込めず。逆に79分には小林が積極的なミドルを枠の右へ打ち込むと、直後に徳永のスルーパスから池田が枠へ収めたシュートは中本がセーブ。縮まらない点差。刻まれ続ける時間。
80分は環太平洋大。勝部の左クロスを谷田が残し、大倉が叩いたミドルはクロスバーの上へ。82分は関学大。福森の左クロスを小林が落とすと、呉屋の鋭いシュートは枠の右へ。83分も関学大。原口が裏へ柔らかく落とし、GKの位置を見た呉屋はボレーミドルで狙うも、戻った中本が何とかキャッチ。87分の福冨と岡山宗星(2年・セレッソ大阪U-18)の交替を挟み、88分も関学大。呉屋の左クロスに小林が合わせたヘディングは枠の上へ。89分も関学大。左へポジションを移した池田のラストパスへ、走り込んだ森のシュートは枠の右へ。アディショナルタイムは3分。最後の声を振り絞る両校の応援席。
90+1分は環太平洋大が創った、このゲーム一番のビッグチャンス。右から勝部がショートコーナーを蹴ると、寺内、勝部と短く繋ぎ、寺内の枠を捉えたシュートは、しかし村下がファインセーブで回避。直後に寺内が左から、勝部が右からそれぞれ入れたCKもDFのクリアに遭い、万事休す。90+2分には関学大も小林のスルーパスから呉屋が決定的なシュートを放つも、左のポストに嫌われ、自身2点目とはいかず。「全国大会の1回戦がウチはいつも苦手で、いつも硬くなってしまっていたけど、今年の天皇杯、総理大臣杯、去年のインカレと3つも全国大会に出られて、いい加減みんな経験を積んでいるから、場馴れして堂々とやっていこうと言っていた」と成山監督が懸念していた1回戦を快勝で切り抜けた関学大が、2回戦へ勝ち進む結果となりました。


一言で表現すれば、やはり関学大強しという印象です。実質2ゴールに関与した徳永が「出岡に『ありがとう』と言っておきました」と笑ったように、実は殊勲の徳永も台頭した福冨に押し出される格好でポジションを失っており、スタメン予定だった出岡大輝(2年・ガンバ大阪ユース)の負傷欠場もあってこの日の出場を勝ち取った経緯が。「去年に比べたら交替選手も含めてだいぶゲームプランを立てられるようになってきている」と成山監督も自信を覗かせた選手層が、「普段の紅白戦とかからも本当にタフに、公式戦のような雰囲気でやっているから、こういう時にスタメンになっても準備ができているヤツが多いと思う」と福森も胸を張った"日常"の競争に裏打ちされているのは間違いありません。実はマネージャーと主務が今回の遠征に当たって作成したハンドブックには、ここ数年における同校の"年表"や、4回生全員のコメントが。「ちょっとずつ先輩たちが歴史を創ってくれて、今やっと関学ってこういう風に日の目を浴びるようになっているから、そういうものも全部背負ってやって欲しいなという話はしていたので、まとまりというか、やらなくちゃいけないなとなっているんだと思いますね」と成山監督。"年表"に新たな輝かしい歴史を刻み込む覚悟は十分にできているようです。       土屋

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