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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2014年12月18日

インカレ準々決勝 早稲田大×阪南大@BMWス

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1217bmw.jpg第2試合は大会最多優勝を誇る東の名門と近年の関西を代表する西の強豪が激突。会場は引き続きShonan BMWスタジアム平塚です。
ファイナリストになること、実に19度。2年前のインカレでも全国制覇を達成するなど、まさに名門というフレーズがふさわしい早稲田大。激戦の関東リーグは4位という結果に終わりましたが、「WASEDA THE 1ST」のスローガンを掲げるチームは、今大会の初戦となった2回戦で北海道教育大岩見沢校を相手に、3ゴールを奪い切る快勝を収めてクォーターファイナルまで。あと3勝に迫った"13回目"を虎視眈々と狙います。
この10年間の関西リーグで4度も頂点を極め、昨年のチームからは5人のJリーガーを輩出するなど、今や大学サッカー界を代表する強豪となった阪南大。関西王者として臨んでいる今大会は、エースの河田篤秀(4年・阪南大高)がドッピエッタを記録する活躍で2回戦の慶應義塾大戦に完勝。「去年のインカレも今年の大臣杯も関東に負けているので、そういうリベンジの想いは強い」とCBの香川勇気(4年・滝川第二)。このゲームで早慶越えを果たして、2年ぶりのセミファイナルまで駆け上がりたい所です。1試合目より強まった雨脚は間違いなくゲームに小さくない影響を。注目の東西対決は早稲田大のキックオフでスタートしました。


先にチャンスを創ったのは阪南大。5分、左からキャプテンの成田恭輔(4年・清水エスパルスユース)が蹴ったFKは鋭く枠を襲い、早稲田大のGK松澤香輝(4年・流通経済大柏)が弾いたボールを前田央樹(2年・アビスパ福岡U-18)がプッシュ。ボールは左サイドネット外側に突き刺さり、先制とはいかなかったものの、「入りは良かったと思う」と須佐徹太郎監督も言及したように、阪南大がまずは惜しいシーンを創って立ち上がります。
ただ、「とりあえず相手もピッチも見て我慢しながら、前半はしっかり状況を把握するためにやっていた」と香川が明かしたように、ピッチコンディションの影響もあって、お互いにそれほどリスクを冒さない静かな展開に。17分に早稲田大のキャプテンを務める近藤洋史(4年・名古屋グランパスU18)が右CKを蹴り込み、田中太郎(3年・藤枝東)が合わせたヘディングは枠の上へ。23分は阪南大も山口一真(1年・山梨学院大附属)が蹴った右CKから、香川が頭で狙ったシュートは枠の左へ。続く膠着したシチュエーション。
27分は早稲田大にビッグチャンス。ミドルレンジから山内寛史(2年・國學院久我山)が枠へ収めたミドルは、阪南大のGK大西将(3年・阪南大高)が何とかセーブすると、詰めた田中太郎のシュートはまたも大西がファインセーブで回避。30分は阪南にフィニッシュ。八久保颯(3年・秀岳館)を起点に、SBの康翔貴(2年・大阪朝鮮)が右アーリーを放り込み、前田のヘディングは枠の右へ。動かない展開。動かないスコア。
34分は早稲田大。クリアボールを拾った近藤貴司(4年・三菱養和SCユース)は、左サイドを持ち運びながら大西にキャッチを強いるシュートまで。40分は阪南大。中盤でボールを奪った松下佳貴(3年・松山工業)が左へ流し、エリアに入った前田のシュートは早稲田のCB奥山政幸(3年・名古屋グランパスU18)が体でブロック。45+1分も阪南大。右サイドから八久保がカットインしながら放ったシュートはDFがきっちりブロック。双方合わせたシュート数も10本に満たなかった前半は、スコアレスのままでハーフタイムに入りました。


後半に入ると、早稲田が先に掴んだ好チャンス。48分、近藤貴司がDFラインの裏へ落とすと、走り込んだ中山雄希(2年・大宮アルディージャユース)のシュートは、飛び出した大西が体でブロックしましたが、まずは同点への意欲を前面に。50分は阪南大。外山凌(2年・前橋育英)のリターンを受けた山口が左へ流し、外山の折り返しを成田が狙ったミドルはクロスバーの上へ。探り合う攻撃へのスイッチ。
そんな中、徐々にゲームリズムを手繰り寄せたのは「後半に入って相手の実力とピッチに慣れてきた」と香川も話した阪南大。中盤で「守備でかなりボールを奪っていましたよね」と指揮官も賞賛した重廣卓也(1年・広島皆実)がセカンドを回収しつつ、前半開始早々の負傷で頭に包帯を巻きながらプレーしていた松下が捌く回数も増加。ここに縦へと独力で運べる山口の推進力も加わって、ミドルゾーンを支配。55分、57分と共に山口が入れた右FKはDFのクリアに遭うも、58分に近藤洋史の右CKを田中進之介(4年・湘南ベルマーレユース)がヘディングで枠の右へ外した早稲田大のフィニッシュを経て、59分にはGKの位置を見た前田が30mループミドルを枠の上へ。勢いは関西王者へ。
すると、60分に飛び出した先制点。松下、八久保、外山と細かく回し、前田が積極的に叩いたミドルは重廣に当たりながらDFにもヒット。こぼれたボールへ数人が殺到する中、いち早く反応していた重廣が右足で懸命にゴールネットへ押し込みます。「あれも自分が得点を阻止してるから」と笑った須佐監督も、「アイツのいい所は『ああ~』とならずに、すぐパッと切り替えてできる所ですよね」としっかり評価も。1年生の"自作自演"で阪南大が先にスコアを動かしました。
62分のチャンスも阪南大。山口がヘディングで競り勝つと、松下が右へ振り分け、八久保はすぐさま中へ。ここへ飛び込んできた山口のシュートはわずかに枠の右へ外れるも、あわや追加点というシーンを。65分は早稲田大。左サイドから近藤洋史が右足でアーリーを送り込むと、中山はわずかに届かず大西がキャッチ。67分は阪南。山口の右CKへ香川が頭で飛び付くも、フィニッシュには至らず。ペースは相変わらず阪南大の手中に。
ほとんど同時に動いた両ベンチ。先に早稲田大は70分。中山を下げて、上形洋介(4年・早稲田実業)をそのまま最前線へ投入。後に阪南大は71分。前田に替えて、2回戦で負ったケガを抱える河田を送り込み、ゲームを決め切りたい意図を鮮明に。さらに早稲田大は74分にも山内と宮本拓弥(3年・流通経済大柏)を入れ替え、2トップをそっくりフレッシュな顔ぶれに。75分には阪南も成田の左アーリーを、いきなり枠へ飛ばした河田のヘディングが松澤にキャッチされると、77分に須佐監督は「ルーズボールが多くなって、こぼれを拾う時にそこまで押し上げていない」と捉えていた流れを変化させるべく、外山と多木理音(4年・ヴィッセル神戸U-18)をスイッチして、最終盤の攻防へ突入します。
執念のエンジ。79分、カウンターから田中太郎が運んだボールを上形が左サイドへ送ると、近藤貴司が左足で狙ったシュートは綺麗な弧を描いて、GKの届かないゴール右スミギリギリのポイントへ飛びこみます。前半から左サイドで獅子奮迅とも言うべき活躍を見せていた4年生の7番が貴重な貴重な同点弾。スコアは振り出しに引き戻されました。
執念の青。ショッキングな展開にも「失点した時に『アレはしょうがない』と気持ちを切り替えられた」(成田)阪南大の逆襲はすぐさま80分。右サイドへ展開した流れから、河田は強烈なミドルを枠内へ。松澤は懸命のセーブで応酬しましたが、こぼれへ真っ先に飛び込んだ八久保が詰めると、ボールはゴールネットまで到達します。「最初ちょっと気持ちが入っていなかったので、替えようかなと思っていたんですけど、こちらの"口"でプレーが変わってくれた」と須佐監督も話した期待の八久保が大仕事。こちらも7番が躍動した格好で、あっという間に再び阪南大が1点のリードを奪い返しました。
同点も束の間。こちらも再び追い掛ける展開を強いられた早稲田大。85分、近藤貴司のパスをSBの平澤俊輔(2年・JFAアカデミー福島)がグラウンダーで中へ入れると、近藤洋史のトラップは流れてシュートまで行けず。86分、平澤が残して近藤貴司がカットインから放ったシュートは、大西が丁寧にキャッチ。87分、相手の横パスを鋭い出足でかっさらった近藤貴司が、そのままドリブルから狙ったミドルはここも大西がキャッチ。残された時間はアディショナルタイムのみ。
90+1分に双方が3枚目のカードを。早稲田大はボランチで奮闘し続けた園田慎一郎(4年・早稲田実業)と鈴木裕也(1年・武南)を入れ替えて最後の勝負に。阪南大は山口を下げて奴井名良真(4年・大分西)をピッチへ。4年生に託された勝利へのゲームクローズ。90+1分は早稲田大。近藤洋史の右CKに、舞った田中進之介のヘディングはゴール左へ。90+3分は阪南大。奴井名が短く付けたボールから、多木が打ち切ったミドルは松澤が気合のファインセーブ。ゲームはいよいよ正真正銘の最終盤へ。
90+4分は早稲田大のラストチャンス。松澤が自陣から蹴り込んだ渾身のFKを、田中進之介が頭で落とすとゴール前で混戦に。それでも突っ込んだ新井純平(2年・浦和レッズユース)はシュートまで至らず、何とか阪南大が凌ぐと、平塚の曇天へ鳴り響いたタイムアップの笛の音。「失点の後にすぐゴールを取ったというのが、早稲田にとってはダメージが大きかったと思う」という須佐監督の言葉通り、リバウンドメンタリティの強さで優った阪南大が、2年ぶりのセミファイナルへと駒を進める結果となりました。


お互いが意地と意地をぶつけ合った好ゲームでした。最初に1点リードした時点を振り返り、「畳み掛けようと思ったんですけど、やっぱりトーナメントなので1点守れば勝ちだし、畳み掛けられれば良いかなというゲームだった」と話したのはキャプテンの成田。行くのか、行かないのか。難しい判断を強いられる中での失点で、逆に良い意味で阪南大が吹っ切れたのかなと。ただ、その決勝ゴールは「GKがあまりキャッチをしていなかったので、シュートを狙ってこぼれ球を狙っていこうと言う話はハーフタイムにしていた」と香川が振り返ったように、ロジカルな判断の積み重ねが呼び込んだ"必然"でもありました。ファイナル進出を懸けて、次に戦う相手は同じ関西の関西学院大。「関学とは関西選手権で負けて、リーグ戦は2分けで負け越しているんですよね。これは絶対に決着を付けなくてはいけないし、向こうもそう思っていると思う」と須佐監督が口にすれば、「関学とは3回やっているので、相手も実力はわかっているし、自分たちも相手の実力はわかっている。最後は気持ちの部分で勝っていかないといけない。負けたくないです」と香川もキッパリ。関西勢が東京で付ける決着の時。用意される舞台は西が丘です。       土屋

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