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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2014年12月17日

インカレ準々決勝 仙台大×関西学院大@BMWス

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1217bmw2.jpgインカレもいよいよ全国4強を懸けたクォーターファイナル。みちのくを牛耳る赤と、関西から羽ばたく青の対峙はShonan BMWスタジアム平塚です。
今回で14年連続という数字が示す通り、インカレでは"超常連"と表現しても差し支えないみちのくの雄・仙台大。迎えた今大会は常葉大浜松キャンパスと撃ち合いの末、吉井秀邦監督も「4年生になってから急激に伸びた」と認める、途中出場の秋葉侑思(4年・モンテディオ山形ユース)の決勝ゴールで3年ぶりの初戦突破を果たすと、2回戦では優勝候補の明治大を1-0で破る金星まで。今度は16年ぶりとなるベスト4、そしてその先を視界に捉え始めています。
「全国大会の1回戦がウチはいつも苦手」と成山一郎監督も認めるその1回戦は、3ゴールを奪ってIPU・環太平洋大を一蹴すると、勢いそのままに2回戦も、昨年のベスト8で競り負けた鹿屋体育大に小林成豪(3年・ヴィッセル神戸U-18)と呉屋大翔(3年・流通経済大柏)のアベックゴールで、きっちりリベンジ達成。前評判通りの強さを発揮している関西学院大。「こっち側に来て、『いよいよインカレだな』ということでメンバーがまとまった」と指揮官も手応えを口に。初戴冠に向けてチームの雰囲気も上々です。降り続いていた雨の影響もあって、平塚は極寒の耐久戦。注目の一戦は仙台大のキックオフでスタートしました。


先にシュートを放ったのは仙台大。7分、左から秋葉がFKを蹴り込むと、最後は10番を背負う熊谷達也(4年・柏レイソルU-18)がミドルを枠の右へ。9分は関学大のファーストシュート。原口祐次郎(4年・藤枝明誠)の縦パスから、レフティの森俊介(2年・東山)がカットインしながら打ち切ったミドルは枠の右へ。ピッチコンディションもあってか、お互いにやや慎重にゲームへ入ります。
そんな中、輝いたのは関学大が誇るレフティの"シュンスケ"。14分、徳永裕大(2年・ガンバ大阪ユース)、小林と繋いだボールを右サイドで受けた森は、ここもカットインしながらそのまま左足一閃。描いた軌道はゴール左スミのゴールネットを鮮やかに揺らします。「本来ならいつ試合に出てもおかしくなかったが、この2試合も出場時間も短かったし、やりたい想いもたまっていたはず。そういうのがうまく爆発したなと思う」と成山監督も話した、今大会初スタメンの森がしっかり結果を。関学大が先にスコアを動かしました。
以降も前への推進力で上回ったのは関学大。15分には左サイドで福森直也(4年・金光大阪)を起点に、泉宗太郎(4年・桐蔭学園)、徳永とボールを繋ぎ、福冨孝也(3年・宝塚北)が狙ったミドルは仙台大のGK松岡峻(4年・矢板中央)がキャッチ。18分にも森が右へ付けたパスから、一気に加速した小林がサイドをえぐって中へ。呉屋の思い切ったシュートは大きく枠を逸れましたが、「右側に左利きの選手、左側に右利きの選手を置いて、サイド攻撃をやっていこう」(成山監督)というチームの狙いは、手数にもしっかりと現われます。
さて、ボールを回すスタイルはある程度打ち出せていた中でも、スイッチの入れ所を探っていく仙台大。19分には川上盛司(1年・鹿島アントラーズユース)、熊谷と回った流れから、秋葉が叩いたミドルはクロスバーの上へ。22分には熊谷、宮澤弘(1年・柏レイソルU-18)と繋ぎ、川島章示(2年・柏レイソルU-18)がスルーパスを狙うも、宮澤には届かずGKへ。なかなか良い形でのエリア侵入は果たせません。
28分は関学大。福冨のショートパスを引き出した森は、右サイドをぶっちぎってグラウンダークロスを上げるも、中とは合わず。32分も関学大。ルーズボールを回収した徳永が素早く縦に入れると、反転した小林の枠内シュートは松岡がワンハンドでビッグセーブ。直後の右CKを井筒陸也(3年・初芝橋本)が蹴り込み、合わせた小林のヘディングは枠の左へ。続く関学大の攻勢。
反撃は唐突に35分。川島のポストプレーから蓮沼翔太(3年・柏レイソルU-18)が右へ振り分けると、上がってきたSBの川上は好クロス。ファーで待っていた山田満夫(1年・松本山雅F.C)は、マーカーが被ったボールを落ち着いてトラップしてから、左足を振り抜きましたが、ボールは枠を捉えられずにクロスバーの上へ。頭を抱えた赤い応援団。39分に秋葉のヒールから、熊谷がトライしたミドルも枠の上へ。追い付くことができません。
40分は関学大。徳永が右へ展開し、森が右足で戻した折り返しに小林が飛び込むも、シュートはヒットせず枠の左へ。41分も関学大。徳永、森、徳永と細かく回り、小林が拾ったボールを森がミドルレンジから狙うもクロスバーの上へ。43分も関学大。エリア内で強引に前を向こうとした呉屋へは、仙台大も4人が寄せて何とかクリア。前半は押し気味にゲームを進めた関学大が1点のアドバンテージを握って、ハーフタイムに入りました。


後半開始から動いたのは仙台大。宮澤に替えて、吉井監督が「ちょっと疲れがあったので、1試合通してはできないかなという計算だった」と明かした斎藤恵太(4年・聖和学園)を右サイドに送り込み、攻撃の活性化を図ると、47分には熊谷が柔らかく裏へ落としたボールを、斎藤が叩いたボレーはヒットせずに枠の右に外れるも早速フィニッシュを。52分にも川上、熊谷と繋ぎ、またも斎藤が枠の左へ逸れるミドルを放つなど、「流れを変える意味でも、心理的な意味でも後半勝負した」(吉井監督)効果を斎藤が2つのフィニッシュで証明します。
すると、54分に訪れた仙台大の決定機。熊谷が右のハイサイドへスルーパスを通すと、川島は丁寧にマイナスクロス。走り込んだ蓮沼が至近距離から放ったシュートは、関学大のGK村下将梧(3年・東海大仰星)が右足での超ファインセーブで凌いだものの、「相手の方が強いかな、格上かなという所から入って、前半の0-1は想定内」(吉井監督)という仙台大の強烈なラッシュ。
56分に「何とかリズムを取りたいと思っていた」成山監督は1人目の交替を決断。泉を下げて小幡元輝(4年・名古屋グランパスU18)を投入し、「19番(斎藤)が攻め残りするということはわかっていたので、そこは1対1でフレッシュな小幡を入れて2点目を取りに行く」(成山監督)狙いを共有させに掛かりましたが、それでも止まらない仙台大の"右"。
58分、蓮沼が右へ展開したボールを、川上はここもピンポイントクロスで中央へ。フリーで走り込んだ秋葉のインサイドボレーはわずかにクロスバーを越えるも、決定的なシーンを創出。60分にFKから呉屋が枠の右へ外した30mミドルを挟み、63分も仙台大。細かいパスワークから熊谷が右へ流し、斎藤の速いグラウンダークロスは村下が何とかセーブして、最後はDFがクリア。「相手の左SBとマッチアップして、斎藤が守備に追われるようであれば逆サイドに持ってきてというのも考えていたが、勝っていたのでそのまま行こうという感じだった」と吉井監督。漂う同点への雰囲気。
「後半はウチのペースで20分行きましたけど、そういう時間だからこそ呉屋の所が怖いなと感じていた」吉井監督の感覚ズバリ。69分、徳永の縦パスをトラップした呉屋は、自ら回り込んで強烈なシュートを枠内へ。松岡がファインセーブで応酬して何とか阻止したものの、一発に滲ませるストライカーの脅威。74分にもCBの前川拓矢(4年・関西学院)がフィードを落とすと、走った呉屋のミドルは松岡がセーブ。77分にも福森が左からシンプルなフィードを送り、落下地点に潜った呉屋のバックヘッドは松岡がキャッチしましたが、大学屈指の点取り屋がジワジワとゴールに迫り続けます。
仙台大にとって2人目の交替は78分。足の攣った蓮沼と高橋晃司(3年・青森山田)を入れ替え、前へのパワー増強に着手すると、その高橋がドリブルで奪ったFKは81分。秋葉の蹴ったボールはDFのクリアに遭うも、児玉が打ち切ったシュートはDFをかすめて枠の左へ。そのCKを左から秋葉が放り込み、流れたボールをファーで拾った熊谷の右クロスもDFがクリア。「向こうの最後の砦が、キーパーを含めて非常に堅かった」と吉井監督。貫き通せない関学大の堅牢。
82分には関学大に2人目の交替。徳永と岡山宗星(2年・セレッソ大阪U-18)のスイッチで、中盤の強度アップに着手。86分は仙台大が3人目の交替を。川島を下げて184センチの堺俊暉(3年・相洋)を送り込み、明確な高さでの圧力を最前線へ。86分は関学大。井筒の左CKから、こぼれを拾った福冨のミドルは枠の上へ。88分は仙台大。秋葉の右FKがこぼれ、秋葉、乾智貴(4年・桐生第一)と繋ぎ直し、高橋が入れたクロスはDFがきっちりブロック。点差は1点のままでいよいよゲームはアディショナルタイムへ。
90+1分は関学大。小幡とのホットラインを開通させた呉屋のドリブルシュートは枠の左へ。同じく90+1分には関学大に3人目の交替。MVP級の活躍を見せた森が下がり、池田優真(3年・作陽)が残り時間を潰し切る重要な任務を。90+3分は仙台大。斎藤の右ロングスローに、ニアへ飛び込んだ堺はシュートまで持ち込めず。そして90+4分に訪れた仙台大のラストチャンス。熊谷が左から上げたクロスを最前線に上がっていた中條渡(4年・東北)が頭で残し、川上が枠内へ飛ばしたシュートを村下が懸命に弾き出すと、主審が吹き鳴らしたタイムアップを告げるホイッスル。「明治戦を見ていたのでもっと押し込めるのかと思っていたけど、全然そんなことなかったので結構最後の方は苦しかった」と成山監督も認めた仙台大の勇戦は一歩及ばず。関学大が昨年敗退したステージを突破して、13年ぶりにセミファイナルへ勝ち上がる結果となりました。


「選手たちが凄くまとまっていくのもわかったし、楽しそうにやっているのがわかって、それが良かったですね」と吉井監督も納得の表情を浮かべた仙台大の健闘が光りました。特に後半は互角以上の内容で、優勝候補の呼び声も高い関学大をあと少しの所まで追い詰めたと思います。ただ、そこで踏み止まれるのが今年の関学大の強さ。「選手が色々なことを臨機応変にやってくれて、それが勝ちに繋がったんじゃないかなと思います」と成山監督が話したように、綿密なスカウティングをベースにしながら、ピッチ上では福森を中心にポイントを押さえたゲーム運びを披露。特に3試合連続完封という結果を残している守備陣は、全国の舞台でもかなりの安定感を醸し出してきています。2日後のセミファイナルに向けて、「決勝に行けるかその前で終わっちゃうかだとえらい差だと思いますので、とことんやることをやって決勝、優勝という目標をぶらすことなくやっていきたいと思います」と力強く。関学大にとって初めてとなる"冬の日本一"まではあと2勝です。        土屋

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