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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2014年11月05日

高校選手権群馬準決勝 伊勢崎商業×前橋商業@前橋総合

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1103maebashi2.jpg9年ぶりのファイナルか、それとも7年ぶりのファイナルか。伊勢崎が誇る赤白と前橋を二分してきた白黒の対峙は引き続き前橋総合です。
前橋育英と桐生第一の県内新2強が8年間タイトルを分け合っている選手権の群馬県予選。その2強以外で最後に全国の舞台を経験しているのが、9年前に育英を破って県内制覇を果たした伊勢崎商業。昨年も含めたここ5年で3度のベスト4と冬はコンスタントに結果を残してきている中で、「この舞台が久しぶりというか、初めての子も多い」と中島伸樹監督が話したように、今年は県総体、インターハイ予選と共にベスト16で敗退。今年度のラストコンペティションは県総体王者の前橋、やはり県総体とインターハイでベスト4に入った共愛学園を下して、セミファイナルまで勝ち上がってきました。
最後に冬の群馬を制したのは10年前。最後にファイナルへ進出したのも7年前と、ここ数年はなかなか結果に恵まれていない前橋商業。今年はコンサドーレ札幌やヴァンフォーレ甲府でのプレー経験を持つ同校OBの笠原恵太氏を指揮官として迎え入れ、インターハイ予選では1点差で敗れたものの、育英に肉薄。「プレッシャーはありますけど、色々なOBの方にも声を掛けてもらっているのでプラスになることが多いです」と語る新監督の下、古豪復活に燃えています。過去10年の選手権予選で両者は5度対戦しており、結果は前商が3勝2敗とわずかに勝ち越し。タイガー軍団への挑戦権を懸けた一戦は、伊商のキックオフでスタートしました。


先にシュートを放ったのは前商。2分、左サイドで堀口護(2年・図南SC前橋)との連携から、SBの山田浩貴(3年・FCコルージャ)が上げたクロスに、突っ込んだ山崎稔輝(3年・図南SC前橋)はドンピシャでヘディング。ここは伊商のGK星野航大(3年・FC邑楽)にキャッチされましたが、8分にも1本のフィードで3列目から抜け出した品川侑輝(3年・図南SC前橋)が左足でボレーを放ち、ボールはクロスバーを越えたものの、まずは上州のゼブラが勢い良く立ち上がります。
一方の伊商は「今年はシンプルに裏を突いて行こうという戦術でやっている」と中島監督も話したように、奪ったボールは素早く前へを徹底。エンドも風上を選択したことで、CBの金子涼介(3年・前橋エコー)と藤井海吏(2年・前橋第七中)も頻繁に相手ラインの裏へフィードを送り、チャンスが訪れるタイミングを窺います。
すると、その狙いが完璧にハマったのは21分。自陣の中央左寄りでボールを持った鈴木英記(3年・伊勢崎第二中)は、最高のタイミングでスルーパスを裏へ。これまた最高のタイミングでラインブレイクした中村光雅(3年・吉岡中)は、GKとの1対1も冷静にゴール左スミへボールを流し込みます。187センチのFW山上泰成(3年・群馬大附属中)を警告累積で欠く中、「抜擢した子が裏に抜けて点を取ってくれた」と中島監督の采配ズバリ。ファーストシュートをゴールに直結させた伊商が、1点のリードを手にしました。
「カウンターだけ気を付けろという話で、そこにまんまとやられてしまった」と笠原監督も言及した前商は、干川裕人(2年・吉岡中)と品川のドイスボランチを中心にある程度ボールを回しながら、左の澤口和哉(3年・図南SC前橋)と山田を使ったサイドアタックを試みますが、フィニッシュまでは至らず。25分には右から品川が蹴ったFKに、CBの豊川柊弥(2年・吉岡中)が高い打点で競り勝つも、伊商の右SBを務める中澤洸喜(3年・吉岡中)がしっかりクリア。32分にも品川の左CKは一旦跳ね返されるも、澤口の左クロスに山崎が合わせたシュートは星野がファインセーブで回避。スコアを動かせません。
そんな中でゼブラが掴んだ同点機は37分。堀友樹(3年・図南SC前橋)の突破で獲得したFKを、左から澤口が蹴り込むと、DFのクリアボールはゴール方向へ。反応した星野ともつれるようにして突っ込んだ額田泰斗(3年・図南SC前橋)の、「たぶん頭ですね」というシュートはラインを越えてゴールネットへ。「一瞬ファウルかなと思って審判を見たんですけど、ファウルじゃないということで凄く嬉しかった」と額田も自ら振り返ったように、少しジャッジの難しいシーンでしたが、主審はゴールという判定。前商がスコアをタイに引き戻して、最初の40分間は終了しました。


後半も大きな流れは変わらず。「0-1でも後半取れればなと思ったけど、追い付けたので精神的にはウチの方が有利かなと思った」と笠原監督も語った前商が繰り出すチャンスの"一歩手前"。47分、山田の左クロスへニアに堀が飛び込むも、シュートまでは持ち込めず。49分、品川の右FKを堀口が頭に当てるも、ボールはゴール左へ。51分、山崎とのワンツーからSBの川口大和(3年・高崎佐野中)がクロスを上げるも、最後はゴールキックへ。56分、山田を起点に澤口が左クロスを放り込み、山崎が走りこむも体を入れた藤井がクリア。「ウチの得意なサイドからの攻撃」(笠原監督)は披露するものの、シュートにはなかなか至りません。
「耐えて耐えてカウンター狙いというか、シンプルに裏を狙ってチャンスをクリエイトしていくというのがウチの特徴」と中島監督も認める伊商は、右から中澤、金子、藤井、大和翔(3年・伊勢崎第一中)と並んだ4バックの集中力も非常に高く、倉林俊介(2年・伊勢崎あずま中)と井埜光貴(3年・伊勢崎第三中)のドイスボランチも守備に重心を置いて凌ぐ展開に。57分には山口大斗(3年・前橋エコー)が右へ送り、開いていた倉林のアーリーは中央に届きましたが、収めた鈴木はシュートを打ち切れず。こちらも遠いフィニッシュワーク。
62分は前商にビッグチャンス。右サイドの高い位置でボールを奪った山崎は、そのまま少し運んでグラウンダークロス。鋭いボールが中へ入るも、走り込んだ堀はわずかに届かず、頭を抱えたベンチと応援団。64分にも豊川のクリアが風で流れ、堀口が追い掛けるも飛び出した星野が確実に頭でクリア。69分にも額田が裏へ落とし、走った堀より一瞬早くDFが掻き出すと、拾った堀口のボレーは大きくクロスバーの上へ。「本当は勇気を持って前掛かりにしたかったけど、相手は本当にスピードを持ったカウンターがあるのでなかなか難しかった」と笠原監督。タイスコアのままでセミファイナルは最後の10分間へ。
70分は前商。干川が縦へクサビを打ち込み、山田が繋ぐも澤口は打ち切れず。74分は伊商。倉林の左CKはGKのパンチングが小さく、品川が懸命にクリア。78分は前商。澤口、品川、山田とスムーズにボールが回るも、澤口はここもシュートを放てず。79分も前商。ルーズボールを拾った品川の左足ミドルは枠の上へ。80分に色めきたったのは伊商応援団。倉林が粘って残し、鈴木はタイミングを計ってスルーパスを中央へ。1トップで我慢を強いられた小久保翔斗(3年・前橋エコー)が抜け出し、決定機かと思われたものの、副審のフラッグが上がってわずかにオフサイド。「風の影響も多少はあったと思う」と笠原監督も振り返った後半はスコア動かず。ファイナルへの切符は前後半10分ずつのエクストラタイムで争われることになりました。


「今回は"ポジティブ"ということをずっと言っていて、いかに楽しくできるかという所。だから『延長もあと20分楽しめる』と。『笑顔で行こうぜ』と送り出した」という中島監督は、延長前半開始から1人目の交替を。山口に替えて長身FWの石川敬汰(3年・FC前橋)を送り込み、再び前線にパワーを注入します。
81分は前商。干川が裏へフィードを送り、後半終了間際に投入されていた金枝晃平(1年・吉岡中)が走るも、飛び出した星野がしっかりキャッチ。85分も前商。GKのミスパスをかっさらった堀口は、無人のゴールを見て素早くシュートを放つもヒットせず、戻った星野が何とかキャッチ。86分は伊商に決定的なチャンス。ロングフィードのこぼれを収めた石川は、前を向くやいなや強烈なミドルを枠内へ。ここは前商のGK青木一真(3年・嬬恋中)が決死のファインセーブで阻止しますが、伊商も忍ばせる一撃の恐怖。89分は前商に決定的なチャンス。右から品川が蹴り込んだFKを豊川が頭で落とし、突っ込んだ山崎のダイビングヘッドは星野が驚異的な反応で超ファインセーブ。ここに来て双方が繰り出し合った決定機で、一気に上がったスタンドのテンション。
1分間のブレイクを挟み、迎えた延長後半も一進一退。94分は伊商。右サイドで石川が粘って粘ってクロスを入れると、全力で走ってきた中村はわずかに届かず。96分は前商。右サイド、ゴールまで約35mの位置から品川が直接狙ったFKは、落ち切らずにクロスバーの上へ。99分のラストチャンスは前商。澤口の右FKに飛んだ豊川のヘディングは枠の右へ流れ、直後に鳴り響いたのは100分間の終わりを告げるホイッスル。双方譲らず。決勝進出は11メートルの1対1へ委ねられることになりました。


先行は伊商。1人目は右へ打ち込み、同方向に飛んだGKも及ばず。後攻は前商。1人目は右へ打ち込み、こちらも同方向に飛んだGKは及ばず。伊商2人目は左スミへ冷静に沈め、前商2人目も左スミへきっちり成功。レフティ対決となった3人目は伊商がGKの逆を突いて成功したのに対し、前商のキックは星野もよく触りましたが、勢いが勝って何とかゴールネットへ。3人目が終わり、両者全員が成功して3-3。
伊商4人目は左上ギリギリにグサリ。前商4人目も左上ギリギリにグサリで渾身のガッツポーズ。プレッシャーの掛かる伊商5人目は左下へ冷静に成功。外せば終わりの前商5人目も、GKの逆を取って左へ落ち着いて成功。5人目が終わっても決着付かず。ここから先は正真正銘のロシアンルーレット。
伊商6人目が短い助走から蹴ったボールは、しかし無情にもゴールの枠を捉えられず。とうとう破れた均衡。これで前商6人目が決めれば長かった熱戦にも終止符が。自分の間合いで走り出した前商の6人目はゴール右上を選択すると、GKが飛んだのは逆。激しく揺れたゴールネット。「去年も一昨年もベスト4止まりだったので、今回は絶対に決勝へ行くぞという気持ちで、みんなを盛り上げてやっていました」と額田。勝ったのは前橋の白黒。白熱のPK戦を制した前商が、7年ぶりにセミファイナルの壁を突破して、育英との群馬クラシコをファイナルで実現させる結果となりました。


「4月当初にOBも含めて、『選手権で育英と』とは言われていたので、ホッとしました」と笑顔を見せた笠原監督でしたが、非常に穏やかな語り口の中にも「伝統もあるので、やっぱり私も生徒も含めて負けてはいけないという所で、なかなかバランスを取るのが難しかったですね」と苦悩の一端をチラリ。それでも前述した通り、この6年はファイナルからも遠ざかっていた中で、関係者も待望していたそのファイナルが育英との群馬クラシコとあっては、否が応でも盛り上がることは間違いありません。「前商に入学してから、前商対育英という試合を望んできた」という額田も、「インターハイは負けていますけど、その中でも自分たちもできるという気持ちはあったので、今回は強気で行きたいと思います」とキッパリ。「行ったら間違いなくやられるくらいの力の差はあると思うので、守備的になるのかなと思うんですけど、とにかく接戦で良い試合をしたいですね」と笠原監督。7年ぶりに決勝で実現する群馬クラシコは8日、13時10分に正田醤油スタジアム群馬でキックオフを迎えます。         土屋

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