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このブログについて

J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2014年10月09日

TM 全日本大学選抜×ベトナムA代表@J-GREEN堺

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1008sakai.jpg「やっぱり監督も"外"に出ないとなというのは常々思っていた」という三浦俊也監督率いるベトナムA代表の日本キャンプ。強化試合の第1弾で対峙するのは来年のユニバーシアードを目指す全日本大学選抜。舞台はJ-GREEN堺です。
「ASEANのワールドカップ」(三浦監督)とも称される"AFFスズキカップ"を11月に控え、9月28日から3週間におよぶ日本・堺キャンプを実施しているベトナム代表。「オフ明けで1週間練習してからなんで、体調的にはまったくフィットしていない状態」と指揮官も言及する中で迎える、今キャンプ初の対外試合が今日の一戦。現在地を知る上では格好の相手と激突します。
今年だけでもスペイン、韓国と2度の海外遠征を行い、先月はアジア大会の壮行試合として組まれたU-21日本代表とのゲームでもほとんど互角にやり合うなど、チームとしての成熟度も試合を重ねていくごとに増している感のある全日本大学選抜。今回が年内は最後の強化試合ということで、内容、結果両面で良い感触を掴み、2014年の活動を締め括りたい90分間です。会場にはもはやおなじみの光景ではあるものの、J各クラブのスカウトが大集結。注目の"国際試合"は14時ジャストにキックオフを迎えました。


全日本大学選抜は4-2-3-1の布陣。GKは福島春樹(3年・専修大)、DFラインは右から室屋成(2年・明治大)、山越康平(3年・明治大)、萩間大樹(3年・専修大)、高橋諒(3年・明治大)。ドイスボランチは木本恭生(3年・福岡大)と松下佳貴(3年・阪南大)。中盤は和泉竜司(3年・明治大)、北出雄星(3年・専修大)、小林成豪(3年・関西学院大)が並び、1トップに呉屋大翔(3年・関西学院大)という11人。一方のベトナムは三浦監督おなじみの4-4-2を採用。2トップの一角は、札幌でプレーしていたレ・コン・ビンが任されます。
ファーストシュートはわずか20秒。右から和泉が上げたクロスを、ファーで小林が合わせたヘディングはベトナムのGKグエン・タイン・ビンがキャッチしましたが、まずは開始早々にサイドアタックからフィニッシュまで。11分にも高橋の左クロスを呉屋が頭で繋ぐと、小林のシュートはDFにブロックされたものの、立ち上がりからワイドをうまく使った大学選抜が押し込みます。
すると、やはり先制点も綺麗なサイドアタックから。13分、萩間が左へ振り分けたボールを高橋は得意の左足で好クロス。収めた呉屋のシュートは左スミのゴールネットへ一直線に飛び込みます。大学選抜にとって1つのホットラインでもある"高橋から呉屋"できっちり成果が。早くもスコアが動きました。
さて、決して簡単に蹴り出すようなことはせず、最終ラインから丁寧にビルドアップしていく姿勢は十分に窺えるベトナム。14分には右のハイサイドで相手に厳しく寄せたグエン・チョン・ホアンがボールを奪い、そのままシュート気味に速いグラウンダーで入れた軌道はレ・コン・ビンもわずかに及ばず。17分にも高い位置でレ・コン・ビンがプレスを掛けると、DFとGKの連携ミスでボールがこぼれかけ、シュートまでは打ち切れなかったものの、果敢なプレスから2つのチャンスを創出します。
24分にも右サイドからグエン・チョン・ホアンがチームファーストシュートとなるミドルを放つなど、少しチャンスも創り始めたベトナムに対し、ボールは回す中でも手数の少ない大学選抜。26分に北出が左へ展開し、高橋のアーリークロスはここも呉屋に届きますが、シュートより一瞬早く左SBの35番がクリア。27分に左から北出が蹴ったCKもグエン・タイン・ビンががっちりキャッチ。なかなか追加点を奪えません。
30分に三浦監督は3枚替え。レ・コン・ビンを含むアタッカー3枚を下げて、レフティのファム・タイン・ルオンを含むアタッカー3枚を投入。33分には長年代表の主力を担ってきたというレ・タン・タイの左FKに、替わったばかりの10番が飛び込み、福島ともつれてシュートは打ち切れなかったものの、時折チラつかせる鋭い刃。
34分の一撃は高いディフェンス意識から。後ろでパスを回すベトナムディフェンスの間合いに、一瞬で飛び込んだ和泉はボールを刈り取ると、すかさず中央へラストパス。大学屈指のストライカーがGKとの1対1を外す訳もなく、確実にゴール左スミへ叩き込みます。これで呉屋はドッピエッタ。大学選抜のリードが2点に変わりました。
39分は大学選抜に3点目のチャンス。右から松下が蹴り込んだFKは、木本がドンピシャヘッドで合わせましたが、ここはグエン・タイン・ビンが正面でキャッチ。42分はベトナムの好機。左サイドを抜け出した10番がそのままクロスを上げ切り、飛び込んだグエン・チョン・ホアンは触れなかったものの惜しいシーンを。「比べると球際が弱い。日本のサッカーに対してもっと綺麗なサッカーをイメージしていたはずだから、『ああ、こんな感じなんだ』と思ったかもしれない。大学生だからというのもあると思うけど」と三浦監督。最初の45分は大学選抜が2点をリードして終了しました。


大学選抜はハーフタイムで11人全員を入れ替え。GKは前川黛也(2年・関西大)で、最終ラインは右から湯澤聖人(3年・流通経済大)、新井一耀(3年・順天堂大)、井筒陸也(3年・関西学院大)、鈴木潤(3年・中京大)。中盤は徳永裕大(2年・関西学院大)と差波優人(3年・明治大)がボランチを組み、右に藤本佳希(3年・明治大)、左に中村慶太(3年・流通経済大)を配し、1.5列目的なポジションに畠中佑樹(3年・東海学園大)が。最前線には澤上竜二(3年・大阪体育大)という11人で残りの45分間を。ベトナムも30分に投入された3人以外は全員を入れ替え、後半に挑みます。
先にチャンスを掴んだのはベトナム。49分、ボランチに入ったディン・タイン・チュンが右へ送ると、グエン・ブー・フォンはダイレクトで中へ。10番は少し入り過ぎてしまってシュートを打つことはできませんでしたが、素晴らしい形を生み出すも、次の得点も大学選抜。50分、中央で後方からのパスを収めた畠中がラストパスを通すと、澤上のシュートは確実にゴール右スミを捕獲します。スコアは3-0。大学選抜のリードが広がりました。
「昨日もかなりハードにトレーニングをしたので、負けたりとか疲れて動けなかったりというのは問題ない」(三浦監督)というスタンスでこのゲームを迎えていたベトナムは、しかしここから反撃開始。51分にファム・タイン・ルオンが入れた鋭いアーリークロスは、グエン・アイン・ドゥックへわずかに届かずも、クロスの質は高次元。55分に澤上を追い越した中村のシュートを、GKのチャン・グエン・マインがファインセーブで凌ぐと、57分にもチャンス。ファム・タイン・ルオンを起点に、左からグエン・アイン・ドゥックが右足で上げたクロスを右SBのクエ・ゴック・ハイが叩いたシュートはDFのブロックに遭うも、両サイドを広く使ったアタックも飛び出し、流れは徐々にベトナムへ。
60分もベトナム。左サイドでボールを持ったファム・タイン・ルオンのグラウンダークロスは、10番が飛び出すもわずかにオフサイド。61分にはここもアタッカー3枚の交替を敢行し、「スパルタ・プラハでやっていて、生まれも育ちもプラハ」(三浦監督)だというマック・ホン・クアンもここでピッチへ。63分もベトナム。グエン・ブー・フォンが右サイドを駆け上がって折り返すと、1人かわしたディン・タイン・チュンのシュートは前川がキャッチ。65分もベトナム。右サイドをワンツーで崩したクエ・ゴック・ハイが中へ戻し、20番が枠へ収めたシュートも前川にキャッチされましたが、「前半見ていたヤツらは『アッ』と思って球際もやっていたのかもしれない」と三浦監督が話したように、間違いなく局面局面での激しさが現れてきたベトナム。
66分に大学選抜も差波が右へ付けたボールを湯澤がファーへピンポイントで届け、中村のボレーはしかし枠の左へ外れると、煌いたイエロースター。70分、左サイドでマック・ホン・クアンが相手ボールを奪い切り、マーカーをあっさり振り切って中央へ。ここに走り込んで来たグエン・ブー・フォンのシュートは力強くゴールネットへ収まります。「速いプレッシャーだったり、FWもしっかりディフェンスしろと言ってきたことがちょっとわかったんじゃないかなと思う」とは三浦監督。ベトナムが堂々とゴールを陥れてみせました。
決して良くない流れの中で失点を献上してしまった大学選抜。71分には差波が縦へ当てたボールを中村がヒールで繋ぎ、藤本のシュートはサイドネットの外側に刺さりましたが、スムーズな連携でのフィニッシュは久々。77分にも澤上の展開から湯澤が放り込んだ右クロスはバーを嘗め、詰めた中村のシュートは枠の左へ外れるも、ようやくシンクロし始めた攻撃のイメージ。
81分はベトナム。グエン・ブー・フォンのショートパスを右で受けたマック・ホン・クアンがグラウンダーで通したクロスは、ブー・ミン・トゥアンのオフサイドという判定。82分にもバックパスを足で捌いたGKに猛チェックで襲い掛かったマック・ホン・クアンがボールを奪い取り、無人のゴールへ放ったシュートは枠の左へ外れ、これにはベンチも思わず頭を抱えましたが、「攻撃になるとイキイキするのに、走ることや守備することなど嫌なことはやらない」(三浦監督)というメンタルの、前者の部分が表出したベトナムのイケイケ感は爽快ですら。
88分もベトナム。右サイドで溜めたグエン・アイン・ドゥックが中央へ入れたボールはこぼれ、まったくのフリーで飛び込んだ20番のシュートがクロスバーの上へ大きく外れると、これがこのゲームのラストシュート。「ベトナムで俺が強調しているようなことに関して、何で俺がそういうことを言っているかというのが、こういう相手とやるとちょっとわかったんじゃないかなと思う」と三浦監督。ゲームは大学選抜が今シーズン最後の強化試合を勝利で締め括る結果となりました。


「全然強い相手とやっていないので、負けたいなと思っていたから、アジア大会でUAEに初めて負けて今回も負けたけど、こういう強い相手とやって、『これが通用するんだ』とか『これは通用しないんだ』とかがわかってくると思う」と90分間を振り返った三浦監督。「守備のコンパクトさは俺が植え付けたかな。あまりにもヒドかったから」と笑った守備の部分は、数回オフサイドを狙って取ったように、大学選抜相手でもある程度は通用していたように見えました。アジア大会ではイランを倒し、敗れはしたもののUAEとも悪くない内容のゲームを繰り広げたことで、「中東のチームには全然手も足も出ないと思っていたけど、ニュートラルな場所だったらやれるんだなと、ちょっと見直した」(三浦監督)という新たな収穫も手にしたベトナム。「ノルマ的には準決勝以降まで」(同)というスズキカップに向けて、着々とチーム創りが進んでいる様子です。「別にACLに出るんだったら日本のチームじゃなくてもいいし、ワールドカップに出るのもオリンピックに出るのも日本じゃなくてもいい訳だろうから、やっぱり監督も"外"に出ないとなというのは常々思っていた。マーケットは世界中にあって、選手だって出ている訳ですからね」と語った三浦監督の下、新たな階段を一歩ずつ上り始めているベトナム代表には今後も注目したいと思います。         土屋

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