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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2014年10月24日

T1リーグ第18節 FCトリプレッタユース×関東第一@駒沢第2

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1023koma2.jpgチームによって試合消化数に違いはあれど、とうとう2014年のT1リーグも最終節。明確なスタイルを持つ8位と7位の対峙はおなじみ駒沢第2です。
前半戦は開幕6連敗を皮切りに9戦未勝利と苦しい時期を過ごしてきたものの、10節の成立学園戦でT1初勝利を挙げると、後半戦はここまで4勝4敗と五分の結果を残しているFCトリプレッタユース。「春先の頃は『一体感がない』とか『トリプっぽくないな』と言われて、それが本当に悔しくて、夏にもう1回一体感や連帯感を創り出そうとなった」とキャプテンの宮澤俊太朗(3年・FCトリプレッタJY)が話したように、夏以降は徐々に"トリプらしさ"が。先週のKCY準決勝は米原隆幸監督も「今季のベストゲーム」と認める内容を打ち出しながら、PK戦の末に敗退を強いられましたが、「その悔しい想いをぶつけようよと言って1週間やってきた」(米原監督)成果をこの最終戦にぶつけます。
一方、今シーズンにおいて何より優先してきた選手権予選は、奮闘しながらも準々決勝で修徳に惜敗し、全国への道を絶たれてしまった関東第一。とはいえ、都内において個人と組織を巧みに融合させながら、ボールを大事に動かすスタイルはもはや不変。延期分のゲームがあるためにこの試合がシーズンのラストゲームではありませんが、3年生もスタメンに名前を連ねたこの一戦は、T1残留という意味でもスタイルの継承という意味でも、負けられない90分間であることは間違いありません。昼間から断続的に降り続いていた雨は相変わらずパラパラと。2014年のT1最終節は細かい霧雨の中、18時ジャストにキックオフを迎えました。


スタートから勢い良く飛び出したのは「今日は"超攻撃的"にやろうと」指揮官に送り出されたトリプレッタ。3分に宮澤俊太朗が右から蹴ったFKはDFのクリアに遭いましたが、4分にも右サイド、ゴールまで約25mの距離から宮澤俊太朗が直接狙ったFKは枠を捉え、ここは関東第一のGK岸将太(3年・松戸クラッキス)がしっかりキャッチ。5分にも右からSBの荒井友斗(3年・FCトリプレッタJY)がクロスを入れると、ニアへ飛び込んだ金子甲弥(3年・芝中)のシュートは枠の右へ外れるも、直後にも宮澤亮太朗(1年・FCトリプレッタJY)が右から続けてCKを蹴り入れるなど、積極的に立ち上がります。
ところが、先にスコアを動かしたのは新小岩のカナリア軍団。9分、細かいパスワークから高橋快人(2年・PBJ)がエリア内へ進入すると、こぼれに反応した角口大征(3年・FC府中)はすかさず至近距離からシュート。ボールはゴール左スミへ飛び込みます。ファーストチャンスをきっちり成果に結び付けるしたたかさを見せた関東第一が、1点のリードを奪いました。
「またかよって感じでしょ。お約束みたいになってるし」と米原監督も苦笑いを浮かべたトリプレッタ。それでも、12分には決定機。中央でボールを持った宮澤俊太朗は最高のスルーパスを裏へ。抜け出したピーダーセン世隠(2年・FCトリプレッタJY)の1対1は、飛び出した岸がさすがのファインセーブで回避しましたが、15分にも宮澤俊太朗が右からドリブルシュートを放ち、ボールはDFに当たって枠の左へ外れるも好トライ。落とさないパワー。譲らないゲームリズム。
なかなかリードを攻勢に繋げられない関東第一も、15分過ぎからは少しずつスムーズな連携が。19分には吉田滉(3年・ナサロット)が縦にクサビを入れると、佐藤勇斗(3年・VIVAIO船橋)が巧みなターンで前を向き、二瓶亮(2年・江東葛西第三中)のクロスはDFにクリアされたものの、1本の"縦"で入れるスイッチ。20分には左CKをグラウンダーで佐藤が蹴り入れ、菊池優生(3年・三菱養和調布JY)のスルーを挟み、吉田の左足シュートは枠の左へ逸れましたが、追加点の雰囲気も漂い始めます。
そんな状況で輝いたのは「Tリーグもここまで苦しんできた分、監督たちやT1という舞台を残してくれた人たちにもしっかり恩返ししたかった」という7番。27分、ピーダーセンのパスから宮澤俊太朗が果敢にドリブルで運ぶと、わずかにこぼれたボールへ反応したのは廣瀬。「いつもシュートを打たずにキックフェイントとかで突っ掛けて、チャンスを失うという部分が多かったので、弱く打って外れるくらいなら思い切って打とうと」叩いたボールは、網目に溜まった水滴を吹き飛ばす勢いでゴールネットへ突き刺さります。「ちょっと弱虫だった廣瀬とかが頑張って踏ん張れるようになったのは大きい」と独特の表現で米原監督も評価した廣瀬の豪快な同点弾。スコアは振り出しに引き戻されました。
動き出したゲーム。29分は関東第一。右から吉田が放り込んだFKを、角口が頭で合わせたボールは枠の右へ。30分はトリプレッタ。ミドルレンジからピーダーセンが思い切り良く狙ったミドルは、右のゴールポストにハードヒット。31分は関東第一。鈴木隼平(2年・Forza'02)が左へ流し、菊池のリターンを鈴木が打ち切ったシュートはDFに当たって右ポストに直撃。「あの攻撃陣は相当怖かったよね」と敵将も言及する関東第一の奏でたハーモニー。次の1点は果たしてどちらに。
歓喜は渋谷のブルー。33分、「どんどんゴールに絡めと言われてきた」廣瀬が縦に運び、エリア内へボールがこぼれると、真っ先に飛び出したのは右ウイングの泉黎(2年・FCトリプレッタJY)。懸命につついた球体は、ゆっくりと右スミのゴールネットへ転がり込みます。「もう最後なので自分たちのサッカーを確認して、攻撃的に行こうとなった」(宮澤俊太朗)姿勢が生み出したのは逆転弾。2年生の一撃でトリプレッタが前半の内にスコアを引っ繰り返してみせました。
以降もペースは変わらず。36分はトリプレッタ。荒井の右FKをピーダーセンがしっかり収め、うまい反転から放ったシュートは何とかDFがブロック。44分もトリプレッタ。廣瀬がミドルレンジで2人を振り切り、そのまま狙ったミドルはヒットせずに枠の右へ。45分は関東第一。佐藤のパスから鈴木が上げたクロスは泉が丁寧にクリア。「攻守の切り替えとか、セカンドボールを拾うとか、球際とか、上っ面じゃない部分」(米原監督)で上回ったトリプレッタが1点をリードして、最初の45分間は終了しました。


後半はスタートから関東第一に交替が。佐藤に替えて音泉翔眞(3年・VIVAIO船橋)を投入して、サイドの推進力を高めに掛かりましたが、49分のファーストチャンスはトリプレッタ。左サイドのスローインからピーダーセンがきっちりポストプレーを遂行し、坂下由真(2年・FCトリプレッタJY)がクロス気味に入れたシュートは岸が何とかキャッチ。50分もトリプレッタ。宮澤俊太朗が抜け出して打ったシュートは枠の左へ。53分には関東第一が2人目の交替として高橋と窪田アルファサワネ(3年・ヴェルディSS AJUNT)をスイッチすると、56分には右からのクロスをその窪田がボレーで合わせるも、DFが懸命にブロック。手数を出し合う格好で後半が幕を開けます。
それでも、やはり押し込み始めたのは「ハーフタイムとかも何も言わなくても、やっと自分たちの声でちゃんと色々なことを伝えたりできるようになった」と米原監督も目を細めたトリプレッタ。59分、廣瀬のパスを金子が落とし、廣瀬が放った左足ミドルはわずかにクロスバーの上へ。63分、宮澤亮太朗を起点に泉が粘って繋ぎ、宮澤俊太朗が枠へ収めたミドルは岸がセーブ。64分、宮澤亮太朗が左へ振り分け、金子がミドルレンジから狙ったシュートは岸がキャッチ。68分、宮澤俊太朗が左へスルーパスを通し、泉がマイナスに折り返したボールを再び宮澤俊太朗は右へ。ピーダーセンはシュートまで持ち込めなかったものの、「今日はOBもいっぱい来てたけど、何かウチっぽいなって思ったんじゃないかな。あれだけペナの中の"遊び場"でプレーできたから」と米原監督。再度踏み込まれたトリプレッタのアクセル。
71分には関東第一がカウンターから決定的なチャンスを創出。音泉が左へ展開したボールを角口がダイレクトで中央に折り返し、飛び込んできた二瓶のヘディングは枠を捉えるも、トリプレッタのGK片岡竜雅(1年・調布FC)が正面でキャッチ。同点に追い付く絶好のチャンスを逃すと、次の得点も「ピンチの裏はチャンスと監督も言っている」(宮澤俊太朗)トリプレッタ。
72分、中央をドリブルで進んだ宮澤亮太朗は右へスルーパス。開いた泉が右足を振り抜くと、ボールはニアサイドをぶち抜いてゴールネットを揺らします。「魔法だよ、魔法。アイツのキックの下手さが良い風に転がったね」と笑ったのは米原監督ですが、1点目がリーグ戦初ゴールだった泉は圧巻のドッピエッタ。点差が開きました。
74分もトリプレッタ。泉が左サイドで粘って折り返し、金子のシュートはヒットせずにゴール右へ逸れるも、両ウイングでフィニッシュまで。78分もトリプレッタ。宮澤俊太朗が60m近い距離をドリブルで突き進み、そのまま放ったミドルは枠の上へ外れるも、「ここに来て俊太朗とかが本当にハードワークするようになった」と指揮官も言及し、「3年になってキャプテンなので、しっかりやらなきゃいけないと思って(笑)結構意識してきました」と自身も話した宮澤が、守備に戻ってからのフィニッシュワークに滲ませたチームへの献身性。
米原監督も82分には先制弾の廣瀬を下げて原田游(2年・FCトリプレッタJY)を送り込み、ゲームクローズに着手すると、86分に菊池のドリブルから鈴木がシュートまで持ち込んだ関東第一のチャンスも、DFが体を張ってブロック。「中心としてできるようになった」と米原監督も認めた玉川由(3年・FC PROUD)と佐々木龍(2年・FCトリプレッタJY)のCBコンビを中心に、「チームでミスはカバーしようというのを心がけられる」(廣瀬)イレブンの集中力は途切れず。87分に小野澤直樹(2年・東京ベイFC U-15)を、90分に名幸龍平(2年・杉並アヤックス)を、90+1分に木村友輔(3年・esporte藤沢)を次々とピッチへ解き放ち、いよいよリーグ戦もクライマックスへ。
このままでは終われない関東第一の意地。90+2分、吉田が長いボールを放り込むと、中央での混戦でディフェンスにファウルがあったという判定を主審は下し、PKが与えられます。キッカーはキャプテンマークを巻いた角口。左スミを狙ったキックは片岡もわずかに及ばず。スコアは3-2。関東第一も1点差まで迫りますが、しかし追い上げもここまで。最後は宮澤亮太朗からディサロ峻ヴァレンティノ(1年・FCトリプレッタJY)という、来季以降のチームを牽引していくであろう1年生同士の交替も行い、アディショナルタイムを消し切ったトリプレッタが、「"超攻撃的"に行くという今日のテーマ」(米原監督)を90分間貫いて、勝ち点3を奪い取る結果となりました。


「苦しい時も全員でやるというか、ミスして自分がイライラしている時もそれを責めるんじゃなくて、『いいよ、次があるよ』とか、上下関係なしにフォローの声を掛けてくれるのはとても嬉しいです」と廣瀬が話し、「プレーが切れた後にファーストの声をちゃんと出せよと言われていて、その反応とか一体感というのは去年とか一昨年とか自分が出ている時からずっと継続されていること」と宮澤俊太朗も言及したように、トリプレッタが有する最大の魅力はそのキャプテンと米原監督が声を揃えた「一体感や連帯感」。「開幕からなかなか勝てなくて『どうしよう、どうしよう』という迷いや不安があった」(米原監督)チームは、いつの間にか「ボールが動いて技術を発揮して、それでいてハードワークできる」(同)集団に変貌を遂げ、この日は「これで負けたらしょうがないなというくらいファイトした」と米原監督も認めるほどの成長を見せてくれました。入れ替え戦を戦う可能性も残されているものの、これで3年生にとっては一旦のラストゲーム。「本当に育ててもらったチームですし、こんなに長くいたチームはなかったので寂しいですね」という宮澤俊太朗の言葉はおそらく3年生全員の想い。「最後の最後に1つになれたね」と呟いた指揮官は、続けて「見てて楽しかったでしょ?俺も今日は満足だな」とニコリ。伝統の"トリプらしさ"は今年のチームにも確かに息衝いていました。        土屋

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