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このブログについて

J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

スタッフブログ 2014年10月10日

ベトナム代表・三浦俊也監督インタビュー(2014/10/8)

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今月8日にJ-GREEN堺でトレーニングキャンプを実施している
ベトナム代表の三浦俊也監督にインタビューを行ってきました。
興味深いお話を伺ってきましたので、是非ご覧下さい!


Q、最初に監督へ就任された経緯を教えて下さい。


A、ベトナム協会が監督を探しているということで私の所に情報が入って、
代表をスポンサードしている企業がホンダなので、
サッカー協会的にも日本人を選んでくれるというのはウェルカムだった訳です。
ただ、契約は難航を極めましたね。サラリーから何から全部。
というのは、経歴を見るとブンデスやポルトガル1部の監督経験者のような
ちゃんとした人を今までも呼んでいるので、
それなりの待遇な訳ですよ。
そんな監督たちがここ半年ごとくらいで変わっているから、
「それはどういう理由だ?」という所から始まって、
「何が求められているのか?」とか。
結局、今回のAFFスズキカップという大会が重要で、
日本のように4年を見てというのではなくて、
2年に1回の大会が彼らにとってメインのようですね。


Q、実際ベトナムに行ってみて、
ベトナムのサッカー自体の第一印象はどうでしたか?


A、まあ正直に言うと、リーグはひどいリーグだなと。
選手は走らないし、運営もイマイチ。
暑い所で17時キックオフとかあるんですよね。
それは理由が一応あって、
TVのオンエアを2試合とか3試合とかやるためなんですけど、
19時は大事なニュースがあるとかでキックオフできないんですって。
放送枠が確保できないということですね。


Q、代表チーム自体の第一印象はいかがでしたか?


A、こんなことを言うのもアレですけど
日本だったら誰を落とすかで議論になりますよね。
「何でこの選手を選ばないんだ?」とか。
ベトナムでは逆で、俺の目に適うやつはほぼいなくて、
消去法で「だったらこれか」とか(笑)
そこからのスタートでしたね。だって、走らないですから。
今日のトレーニングマッチも後半なんかそうですけど、
攻撃になるとイキイキするのに、嫌なことはやらない訳です。
ASEAN特有というか、走るとか守備するというのは嫌なことなんですね。
上手いと言われる選手も30年前の日本みたいに
ボールを持った時だけ上手い選手を評価していて、
これではプロとして全然ダメだと。
ある程度走れる選手や戦える選手を残したは残した感じです。
それでも、まだ厳しいですね。


Q、今日のゲームを見てもオフサイドも取れていましたし、
割とボールを繋ぐ意識もありましたが、
あれは監督が就任されてから植え付けた部分ですか?


A、守備のコンパクトさは私が植え付けたかな。
あまりにもヒドかったですから。
ブラジルのサッカーみたいでしたよ。
5人が守って5人が攻めるみたいなサッカーだったから、
それはノーと言って。
ASEANでやると面白いようにオフサイドが取れるんですよ。
日本ではそんなに掛からなかったですけど。
攻撃に関しては好きではあるもののボールをゆっくり持つので、
早くワンタッチやツータッチでというプレーは
一応心がけさせています。


Q、やはり国民性がサッカーに与える影響を
感じる所は大きいですか?


A、それは絶対ですね。
サッカーを見れば国民性がわかると思います。


Q、先日韓国で行われたアジア大会はいかがでしたか?


A、イランとか全然敵わないのかなと思いましたけど、
ウチらの方が走れたというか、走れるメンバーを連れて行ったので、
それはちょっと正解だったかなと。UAEやイランより走れましたよね。
あとは、北朝鮮とはやってみたかったです。
東アジアの強豪とどれくらいできるか知りたかったですね。
実際、負けたUAE戦も勝てる内容だったんですよ。
だから、ニュートラルな場所だったら中東のチームとはやれるんだなと、
ちょっと彼らを見直した所はありました。
全然手も足も出ないと思っていましたから。


Q、11月からAFFスズキカップという重要な大会があると思いますが、
それに向けてはいかがですか?


A、ASEANのワールドカップですから。
凄い盛り上がりらしいですよ。
2008年にベトナムが優勝した時は、
スタジアムからホテルまで普段は20分の所が、4時間掛かったらしいです(笑)
サッカー人気は日本とまったく比べられないですからね。
勝つと凄く盛り上がりますよ。
今回の大会は楽しみな部分もありますし、、
ノルマ的には準決勝以降までということになっています。
もちろん力は紙一重らしいですし、
しかもハノイとシンガポールの共催になるので、
こっちも勝ちたい訳ですよね。
呼んだ方も日本人監督を初めて呼んだというプレッシャーもあるようですし。
だから、遠征費は高いですけど
こうやって日本でキャンプをやってくれたり、
ある程度私のリクエストを聞いてくれたりというのはありますね。
向こうでもちゃんとホテルとグラウンドはあるし、
ホテルや食事は日本より良いくらいですよ。
グラウンドはちょっと厳しいですけど、そこは仕方ないですね。


Q、ベトナムでの生活自体に関してはどうですか?


A、日本人がハノイにだいたい1万人いるんですよね。
だから、日本食を食べようと思えばありますし、
マンションも外国人用の所で、日本人が7割くらい住んでいるんですけど。
日本の俺のマンションより立派でしたよ(笑)
まあ、代表監督は待遇が全然違います。VIPですよ。
私は「運転するな」って言われているので、
運転手がいて、車があってという。
もうその運転手は私に付いてから
交通違反で5回くらい捕まっているけど、
その運転手が「この人は代表監督です」って言うと、
警官も「ああ、どうぞどうぞ」だからね(笑)
あと面白かったのは、代表の試合に行くのにポリスエスコートが付くんですよ。
ベトナムはバイクがゴチャゴチャ凄いので、それも蹴散らしながらね(笑)
「ああ、代表って特別なんだな」と思いましたね。


Q、メディアに取り上げられる回数も多いですか?


A、取材はそんなに多くないですけど、
聞くと取り上げられているみたいですね。
でも、それを見ても全然わからないですし、
家に行くと日本のTVは見られないので『サッカーTV』を見ていると、
アップデイトはされながら、リピートされながらという感じで。
代表のことやオリンピックのことやU-19とか、
Vリーグとかはやっぱり流れていますね。


Q、生活で一番ギャップを感じるのはどんな部分ですか?


A、ギャップというか、良く言えばみんなおっとりしているというか、
今日のサッカーを見れば何となくわかるかもしれないですけど、
あまり攻撃的な国民性じゃないので
ぶつかり合いが嫌いな所は日本人に似ていますね。
そういう意味では楽です。
ランチなんかも日本人が15分とか20分くらいで
コンビニ弁当を食べているのと比べると、
ゆったりという感じですね。みんなビールを飲んでいますし。
ビールは本当に飲んでいますね(笑)
あと、昼寝の時間があるんですよ。小さい頃から。
それは会社もそうで、サッカー協会は8時半始業ですけど、
8時半から9時の間にみんなが来て、
12時から14時まで休みですからね。
1時間は昼寝で、ビールを飲んでいる人もたくさんいるし、
それで16時半で終業ですから。
それなのに「もっと良い椅子が欲しい」とか何とか言っていて。
「オマエ、良い椅子が欲しかったらもっと働けよ」とか思うけど(笑)
ASEANはそんな感じですかね。
一般の人たちも17時くらいが終業ですから。


Q、何となくそういうASEANスタイルに染まりつつありますか?


A、いや、生活は私が文化を変えられないので仕方ないですけど、
スケジュールが平気ですぐ変わってしまうのは辟易していて、
そこが嫌になる日本人はいるでしょうね。
リーグのスケジュールも平気で変わりますから。
「いいんですか、コレで?」と田嶋(幸三JFA副会長)さんに聞いたら、
「いいんだよ、別に」って(笑)


Q、ざっくりした質問ですが、今は楽しいですか?


A、まあ、初めての代表なので、
単独チームと違う部分では興味深いというか、
アジア大会とかまったく知らなかったですし、
色々な国を見られるので良いかなというのはありますけど、
俺はヨーロッパと日本を見ていたので、
やっぱりアジアは広くてたくさんあるものの、
レベルはそこまで高くないんだなというのは感じています。
「これは日本が勝つな」と。
中東とやってみてもそこまで強くないですし、
「これなら日韓の方が強いだろうな」と思いましたね。


Q、やりがいはありそうですね。


A、色々言えば今の所は全部やってくれますけど、
国民性的にどこかで妥協が入ったりするので(笑)
それをどこまで受け入れられるかなんじゃないですかね。
あとは彼らはあまりワールドカップとか
オリンピック出場とかを現実的に見ていないので、
私の中ではやればやるほどストレスに感じて来る所が
あるかもしれないですね。
日本はアジアを超えてという感じですけど、
彼らがASEANを飛び出そうとしているかと言えば、
どこまでなのかなと。
"ステップバイステップ"とは口で言っていても、
去年と一緒だったら全然"ステップバイステップ"ではないし、
逆に選手というよりも大人の部分、
協会だったりリーグだったり、コーチングのレベルが上がる必要は感じていますね。
あとはVリーグを見ていると、チームでの練習もどうなんだろうなとは思います。


Q、U-19の代表チームはヨーロッパ遠征も重ねてきているようですし、
アジア大会でも一定の結果が出ていますが、
若年層のタレントに関してはどうですか?


A、2008年のレ・コン・ビンたちの時代に
凄く良い選手がいて、スズキカップで優勝したんですよ。
そこから全然発掘されていないらしく、
次に期待されている世代が今の19歳たちだから、
谷間が10年くらいあるという(笑)


Q、ストレスの耐性が付きそうですね(笑)


A、まあ耐性というか、我慢できるかできないかなので、
もちろん戦いはありますけど、
田嶋さんには「ケンカするな」って言われてますよ(笑)
そう言いながらバチバチやってます。


Q、外に出てみると、日本の見え方も変わってきたりしていますか?


A、もちろん日本と比べたらというのはありますが、
ベトナムの人たちには日本が多少失った部分というか、
遊び心みたいなものはありますね。
日本人より少し子供ですし、
苦しいことは嫌いですけど、楽しいことは本当によくやりますし、
そういう純粋さは残っているかもしれないですね。


Q、ベトナム代表監督をやることで
個人としてはどういう部分を自分に期待していますか?


A、ステップアップの1つとして代表ということで、
オリンピックだったりワールドカップに出られるような、
そこに接近できるような所までというのはありますね。
別にACLに出るんだったら日本じゃなくてもいいですし、
ワールドカップに出るのもオリンピックに出るのも
別に日本じゃなくてもいい訳でしょうから、
やっぱり監督も"外"に出ないとなというのは常々思っていたので。
マーケットは世界中にあって、選手だって"外"に出ている訳ですからね。
miura.jpg


まずは11月から開催される
AFFスズキカップが当面の目標ということです。
なお、トレーニングキャンプ中の強化試合は
以下のようになります。


10月11日(土) 13:00キックオフ
VSヴィッセル神戸@いぶきの森
10月15日(水) 13:00キックオフ
VS京都サンガ@東城陽グラウンド


三浦監督率いるベトナム代表の今後に
是非注目してみて下さい!


土屋

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