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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

Jリーグレポート 2014年10月12日

J2第36節 松本×大分@アルウィン

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1011alwin.jpg2位と6位が対峙する今節最注目の好カードは、指揮官同士もベルマーレ平塚の元同僚という因縁めいた一戦。会場は松本の聖地・アルウィンです。
昇格争いや残留争いを繰り広げているチームばかりと対戦した9月はまさかの5試合未勝利。一時は10まで開いた3位磐田との勝ち点差も5まで縮められるなど、自動昇格へ向けて超えるべき関門に立ちはだかられた感のある松本。ただ、前節の横浜FC戦は西が丘をホームの雰囲気で包み込んだサポーターにも後押しされて、6試合ぶりの勝ち点3を何とか奪取。敗れた磐田とのポイント差は再び8まで開いており、「前回の勝ちは内容的にも結果的にも大きかったので、それを無駄にしないためにも今日は勝ちたい」と喜山康平。2ヶ月ぶりのホーム勝利はマストです。
初めて開催された昇格プレーオフを勝ち上がり、歓喜に沸いたのは一昨シーズン。返り咲いたJ1の壁は分厚く、降格の憂き目に遭ったのは昨シーズン。わずか2年で天国と地獄を味わいながら、そのどちらもを経験してきた田坂和昭監督に率いられ、再び上を目指す戦いを続けている大分。28節以降は昇格プレーオフ圏内の6位をキープしており、前節は磐田をホームで下すなどその実力は確か。ここで2位の難敵を叩き、さらなる上昇気流に乗りたいキーゲームを迎えます。キックオフ前のアルウィンに咲き誇るのは、「毎回毎回力になりますし、本当にお年寄りから小さい子供までタオルを回してくれるので、凄く心強いですね」と喜山も話す、おなじみとなったタオルマフラーの花々。お互いに目指すのはこの試合の勝利のみ。問答無用の90分間は大分のキックオフで幕が上がりました。


4分の先制機はアウェイチーム。末吉隼也が当てたボールを林容平が左に振り分け、受けた為田大貴は1人かわしてシュートまで。ここは松本のGK村山智彦にファインセーブで阻まれますが、いきなりビッグチャンスを迎えると、7分にSBの安川有を起点に為田が入れた左クロスはわずかに中と合わずゴールキックに。8分にもCBの高木和道が左へ展開したボールを為田が戻し、安川のクロスは大久保裕樹が何とかクリアしたものの、まずは左サイドを中心に大分が勢いで上回ります。
10分も大分。ダニエルのパスを右から末吉がアーリーで放り込み、林が落としたボールはDFが間一髪でクリア。13分も大分。末吉の短いパスを伊藤大介はそのまま縦へグサリ。バイタルに潜った木村祐志のシュートはDFが体で弾き、直後に木村が蹴った右CKも岩上祐三がクリアしましたが、変わらない大分の好リズム。
ポイントはおそらく2つ。1つはルーズボールの制圧。4-1-4-1ではなく4-2-3-1を敷いた大分は、ボランチにダニエルと伊藤を置きましたが、「高さもあって、そこを潰し切れなかった」と喜山も言及したダニエルがことごとくセカンドへ反応することで、本人が収める場面がまず多く、そこでこぼれたサードも伊藤と1トップ下の末吉が再三スイープ。ダニエルの"迫力"が9割近い確率のルーズボール奪取を呼び込みます。
もう1つはサイドハーフの受け方。「前半はボールを動かしながら、相手のギャップを突くことができた」とは田坂監督。サイドハーフの木村と為田が中央のスペースへ巧みに潜り込み、受けて捌いてを再三。「7番(木村)が間で受けるという所をうまくやってきていた」と犬飼智也が話せば、「相手も間、間で顔を出して受けてきた」と喜山。加えてサイドハーフが空けたスペースには、SBの土岐田洸平と安川が侵入して厚みのあるアタックを。22分はまさにその形。中へ入ってきた為田が右の土岐田へ流し、間で受けた木村は縦へ。走った為田のパスから土岐田が上げた右クロスはファーまで届き、末吉のヘディングはシュートとはいかなかったものの、おそらくは狙い通りの崩しを披露。26分にはルーズボールを伊藤が残し、末吉が枠へ飛ばした強烈なミドルは村山が懸命のセーブで回避。直後にも左から為田が村山にキャッチを強いるミドルを枠内へ。ここまでのゲームリズムは圧倒的に大分。
さて、「前半は絶対ゼロで抑えないといけないというのは、もう20分くらいからずっと思っていた」と反町監督も正直な感想を口にした松本は、「簡単なミスから後手になるようなことには気を付けないと」と岩上も言及したように、守から攻へ切り替わるタイミングでのイージーミスも頻発。ハイサイドを取れないために、ロングスローも含めたセットプレーもほとんどなく、エリアまで入り込むシーンを創れません。
それでも、ファーストシュートはそのセットプレーから。30分、岩上がこの日初めてトライしたロングスローはニアサイドの山本大貴へドンピシャ。頭でフリックしたボールへ、これまたドンピシャで突っ込んだ飯田真輝のダイビングヘッドは大分のGK武田洋平の正面を突いてしまったものの、1回で相手の喉元へ突きつけた一撃必殺の脅威。
35分は松本。山本の左クロスは右へ流れるも、田中隼磨が粘って残し、岩間雄大は左足で再び中へ。岩沼俊介が折り返したヘディングはDFにブロックされましたが、2次攻撃からフィニッシュの一歩手前まで。36分に岩上がチーム2本目の枠外ミドルを打ち込むと、37分から3連続CKで相手ゴール前を脅かすなど、セットプレーの回数も増加したことでわずかに変わりつつある流れ。
41分は大分。岩間のミスパスをかっさらった伊藤は運んで左へ。為田が入れたクロスへ飛び込んだ木村のシュートはヒットせず。43分も大分。自陣深い右サイドにも関わらず、土岐田は巧みなターンで持ち出し中へ。ダニエルを経由して為田が右へ流すと、足を止めずに上がってきた土岐田はクロスまで。逆サイドから飛び込んだ安川のヘディングはオフェンスファウルを取られたものの、両サイドバックが絡んだダイナミックなアタックを。45+2分には土岐田のパスミスから松本がカウンターを繰り出すも、田中のパスがずれて山本は追い付かずにゴールキックへ。「前半失点ゼロで終わって、正直本当にひと安心した」とは反町監督。「非常に我々の狙い通りのサッカーができていた」とは田坂監督。トータルで大分が圧倒した最初の45分間は、スコアレスで終了しました。


「ハーフタイムで『強気の勝負をしろ』と話した」という指揮官に送り出され、ピッチに帰ってきたホームチーム。「ゼロで抑えたというのが、悪いなりにも良かったかなとは思う」と喜山。すると、後半は立ち上がりからセットプレーの連続。48分に岩上が左から蹴ったFKは安川がクリアしましたが、その右CKをここも岩上が蹴り込み、一旦クリアされたボールを岩沼が戻すと、ここも安川が何とかクリア。51分にも岩上が右FKと右CKを続けて放り込むなど、ようやく松本らしさの一端が。
53分はCK。右から岩上が入れたCKに犬飼がフリーで飛び込むも、頭に当てたボールは武田が何とかキャッチ。57分はFK。左から岩上が蹴ったFKは末吉が懸命にクリア。59分は大分に久々のチャンス。安川を起点に木村、伊藤と回し、ダニエルのミドルは村山が丁寧にキャッチ。62分は松本のFK。岩上が右から蹴り入れ、こぼれを岩間が叩いたボレーはヒットしなかったものの、セットプレーの増加もあって、松本が相手ゴール前に迫る回数が多くなっていきます。
前半の躍動感が時間を追うごとに失われていった大分は、相手のセットプレーが増えたこともあり、流れがその度に切れてしまったことで、前へと飛び出していくパワーが減退。とりわけハイサイドへと侵入するシーンがほとんどなくなり、逆にサイドのケアに追われた両サイドハーフもバイタルへと顔を出し切れない展開に。加えて、「前半と後半で明らかに違っていた」と田坂監督も言及した"風"と、「このくらいの長さというのは今まで経験したことがなかった」と同じく田坂監督が認めた"芝"という外的要因も相まって、全体的に足が止まり始めてしまいます。
66分は流れの中から松本にチャンス。船山貴之が右へ流し、岩上が入れたアーリークロスは飛び込んだ喜山とわずかに合いませんでしたが、悪くないチャレンジ。68分はセットプレー。岩上が右からクイックでロングスローを投げ入れ、船山が柔らかく落としたボールを山本が打ち切った決定的なシュートは武田がキャッチしたものの、あわやというシーンに沸き上がるアルウィン。69分は大分。高木のFKを岩沼がクリアし切れず、拾った木村のパスからダニエルが狙ったミドルは枠の上へ。「ウチのチャンスは相手がブロックを作った所へのミドルシュートしかなかった」と田坂監督。反転したゲームリズム。
70分に訪れた松本のビッグチャンス。最終ラインで高木が信じられないボールロスト。躊躇なく飛び出した田中は左へ最高のスルーパス。フリーでボールを呼び込んだ船山が丁寧に狙ったシュートは、しかしまったくヒットせずに大きくクロスバーの上へ。頭を抱えたのはチームメイトもベンチもスタンドも。エースが千載一遇の先制機を生かしきれません。
名誉挽回の時はそれから1分経たず。負の連鎖は若狭大志の信じられないボールロスト。かっさらった岩上は「大貴がDFを引き連れてくれて、フナさんがいたのでそこを狙って」左へスルーパス。ほとんど同じシチュエーションに、船山は「自分で決めるつもりでシュートコースを探して」中央へ切れ込み、切れ込み、丁寧にズドン。クロスバーを叩いたボールは、そのままゴールネットへ飛び込みます。「その直前に外していたので、こんなに早くまたチャンスが来るとは思わなかった」とは船山ですが、ここまで16ゴールを記録しているスナイパーは2度しくじらず。"1"という数字がスコアボードに灯りました。
受け入れ難いミスが失点に直結してしまった大分。75分にもダニエルの横パスを田中に奪われ、船山のわずかに枠の左へ外れるミドルを食らうと、田坂監督は選手交替を決断。76分に伊藤とキム・ジョンヒョンを、80分にも木村と風間宏矢を相次いで入れ替え、ダニエルをアンカーに置いた4-1-4-1にシフトして、最後の10分間で同点、そして逆転を狙います。
「今年になってからうまく最終ラインの駆け引きができるようになってきた」と指揮官も認めた10番の"イカした"ゴール。80分、岩上がロングスローのフェイクから船山に付け、リターンを入れたクロスはクリアされましたが、最後尾の大久保が自陣からフィードを送ると、絶妙のラインブレイクで抜け出した船山がまったくのフリー。代名詞とも言うべきソフトトラップからのパーフェクトループが、GKの頭上を華麗に破ります。「J2の中でも群馬と大分は非常にラインが高い設定の元でやっているチーム。そこは当然映像を見せて『狙っていく』という話はしていた」と反町監督もしてやったり。船山のドッピエッタはシーズン18ゴール目。点差が開きました。
一気に苦しくなった大分は82分、林が懸命に粘って繋ぎ、末吉がミドルを狙うも枠の左へ。83分には船山にあわやハットトリックというクロスバー直撃のミドルを打たれるなど、次の失点の可能性も。「遠く大分からもそうですし、関東組のサポーターが来ている中」と田坂監督も言及したように、少なくない人数で詰め掛けたサポーターに見せたい執念。90+3分には途中出場の松本玲が下げたボールを末吉が右から放り込み、ニアへ入った林のシュートがわずかに枠の右へ外れると、これがこのゲームのファイナルシュート。「後半も凄く我々が良かったというわけではないが、90分間通して一切止まることなく相手にプレッシャーを与え続けることができたのは、今まで厳しくトレーニングをやってきた成果だなと感じている」と反町監督も話した松本が、したたかに勝ち点3を手繰り寄せる結果となりました。


「今日の試合が全くダメだったかと言うと、そんなことはない。逆にアウェイの中で良い戦いもできた」と田坂監督が振り返った大分は、結果として前半の25分前後までにゴールを奪えなかったことが、最後まで響いてしまった感は否めません。とはいえ、前半のパフォーマンスは「前半でもし帰ってしまった人がいれば、3-0くらいでウチが負けていると思ってバスに乗っているでしょうね」と敵将の反町監督が表現したフレーズがまさに的確。45分間は2位のチームを凌駕した、中盤のボールアプローチへの意欲と効果的な流動性は今後へ向けての大きな収穫。味スタで掲げる"2度目"のシャーレを十分イメージできるような実力を、彼らは間違いなく備えています。
ホームでは8月10日の栃木戦以来、2ヶ月ぶりの白星を手にした松本。こちらは「凌ぐ時間帯というのはみんなで共有できていたし、ここでゼロで抑えようという声も常に出ていたので、チームとしてはいいこらえ方ができたと思います」と犬飼が話したように、前半を失点ゼロで乗り切ったことが終わってみれば勝利に直結。それに関しては「アンカーを置いて、トレスボランチみたいにしようかと思った」反町監督でしたが、「3人にするともっとボールの奪い所が低くなってしまうかなと」そのスライドは見送り。そこには「色んなことをやって0-1になるのと、色んなことをしないで0-1になるのなら、後者の方が良いかなと思った。今までやってきたことで自分たちで解決できる部分もあるし、色んなことをやったことで今度は元に戻すのが難しくなる」という判断があったとのこと。結果、「選手から『我慢しろ』という言葉も聞こえてきたし、そういう時間帯は当然あるから、そこで我慢し切れるようになってきたことがチームの成長になっているのかなと思う」と指揮官もその"成長"への手応えを実感している様子でした。残されたリーグ戦は6試合。「幸せなことだと思いますし、当たり前だと思ってはいけないですよね」と喜山も話した緑のサポーターの熱狂と共に。夢見た遥かなる頂の1つはもうすぐそこまで迫っています。       土屋

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