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このブログについて

J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2014年10月04日

高校選手権東京A2回戦 駒澤大学高×都立西@駒沢第2

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1004koma2 1.jpgインターハイ予選で東京を制した赤黒軍団が夏冬連覇を目指して臨む初戦。1回戦でジャイアントキリングを遂行した頭脳派集団と対峙する一戦はおなじみ駒沢第2です。
国立の開幕戦を制し、勢いそのままに全国ベスト16まで駆け上がったのはもう4年前。今年はインターハイ予選でも東京王者に輝き、優勝候補の本命と目されている駒澤大学高。ここ最近は練習試合もリーグ戦も好調をキープしており、「冬に向けて行けるかなというような手応えは少しできた」とは大野祥司監督。冬の全国出場権も獲得すべく、まずは最初の80分間に挑みます。
一方は昨年度の選手権予選で西が丘まで進出した東海大高輪台を延長戦で振り切って、2回戦へと駒を進めてきた都立西。「1次予選の最後の試合くらいからかなり成長した。この子たちが試合の中で自分たちで上がってきたかなという感じ」とチームの仕上がりを語るのは高橋監督。「相手は東京チャンピオンなので、自分たちがどれくらいその相手に戦えるのか楽しみ。しっかりトレーニングして、良い結果が出せるようにしたい」と1回戦後に語ったのは、そのゲームで2ゴールを挙げた服部智也(3年・西東京田無第四中)。引き立て役で終わる気など毛頭ありません。さすがに選手権予選ともあって、スタンドはかなりの大入り。第1試合は10時ジャストに駒澤のキックオフでスタートしました。


序盤からセットプレーで押し込んだのは駒澤。2分に右SBの荒井佑太(3年・VIVAIO船橋)が投げた右ロングスローはオフェンスファウルを取られましたが、4分にも再び荒井が右ロングスローを放り込むと、今度は相手のファウルでFKを獲得します。ピッチ中央、ゴールまで約20mの距離から鈴木隆作(3年・JACPA東京FC)が直接狙ったボールは、カベをものともせずにゴール左スミへグサリ。GKもまったく動けなかった一撃は、さすが東京屈指のフリーキッカー。鈴木のゴラッソが飛び出し、わずか5分で赤黒軍団がスコアを動かしました。
いきなりビハインドを負った都立西も6分、右サイドを湯浅太周(3年・武蔵野第三中)がドリブルで運び、シュートまで持ち込むも、ここはDFのブロックに遭って駒澤のGK守屋樹(3年・東京小山SC)がキャッチ。逆に7分は駒澤。安藤丈(3年・FC駒沢)が左へ流すと、山口将広(3年・足立千寿桜堤中)の折り返しを安藤が叩いたシュートは、都立西の左SB茂木渉(3年・杉並FC)がブロック。9分にも山口の右CKをニアで合わせた隠地大河(3年・三菱養和調布JY)のヘディングがクロスバーを越えるなど、流れは依然駒澤。
すると、次のゴールを記録したのもやはり駒澤。12分、中盤でボールを持った鈴木はDFラインの裏へ好フィード。「鈴木が前を向いた時には良い動き出しができた」と振り返った安藤は、きっちりトラップで収めると冷静にゴール右スミへボールを送り届けます。「前半はチームメイトの緊張とかも伝わってきて『だいぶ硬いな』と思っていたけど、アレは結構狙っていたので良い形だったと思う」というストライカーの追加点。点差が開きました。
さて、時折カウンターの芽はチラつかせていたものの、2点を追い掛ける展開を強いられた都立西。23分には茂木が中央へクサビを打ち込み、受けた服部のミドルは相手DFが何とかブロック。26分にもスタメンに復帰した中野正樹(3年・杉並アヤックス)がFKを奪うと、左から服部が蹴ったボールは右サイドの裏へドンピシャ。走り込んだ柴田普天(3年・SOLCOLINA FC AS)はわずかに届きませんでしたが、ようやく攻撃の手数が出始めます。
26分は駒澤。ルーズボールを収めた隠地のミドルはクロスバーの上へ。29分も駒澤。安藤を起点に、鈴木が左から右足で上げたクロスを隠地が頭で狙うも、DFがブロックしたボールはGKの佐々木祥彦(3年・FC.GIUSTI世田谷)がしっかりキャッチ。32分も駒澤。鈴木の左FKは都立西のCB池田龍(3年・西東京田無第四中)が果敢にクリアしてオフェンスファウルに。都立西も懸命に相手のアタックを凌ぐと、徐々に引き寄せたリズム。
36分に服部が左から蹴ったFKは守屋のパンチングにあったものの、直後にも湯浅が左へ振り分けたボールを茂木が戻し、もう一度湯浅が左へ流したパスは服部に届きませんでしたが、この日一番のスムーズなアタックを。38分にもSBの河村峻太郎(3年・昭島清泉中)が絡んで得たFKを右から服部が蹴り込み、守屋がパンチングで弾いたこぼれを西田将(3年・FCトリプレッタJY)が叩いたミドルは大きく枠の上へ外れるも、「とにかく向こうも必死にフェアプレーでやっていた」と敵将の大野監督も称える都立西の時間帯が。
40分は駒澤に突き放す絶好のチャンス。荒井が斜めに入れたパスは、鈴木と安藤を経由して山口へ。エリア内で仕掛けた11番とマーカーがもつれて倒れると、主審はペナルティスポットを指差します。キッカーは山口自ら。確信を持って左足から蹴り出したボールは、しかし枠の右へ外れてフェンスに直撃。「内容は良くなかったですね」と苦笑したのは大野監督。中盤以降に都立西もしっかり食い下がった前半は、駒澤が2点のリードを手にして40分間が終了しました。


「『夏のチャンピオンだろ、お前ら』」という大野監督の喝で送り出された駒澤。43分には安藤、鈴木と繋いで幸野高士(3年・FC多摩)が打ったシュートは柴田がきっちりブロック。逆に44分は都立西にビッグチャンス。中野が右へ展開したボールから湯浅がクロスを上げ切ると、ファーでトラップした小梁川恵太(2年・世田谷千歳中)のシュートは際どいコースを襲い、わずかにゴール右へ逸れるも、一気に上がった応援席のボルテージ。
45分も都立西。瀬川菊(3年・淀橋FCジュニオール)の左FKはファーまで届き、DFがヘディングしたボールへ柴田が飛び付くも、ここは守屋がキャッチ。49分も都立西。瀬川が縦パスを潜らせ、服部のリターンを自ら打ち切ったミドルはクロスバーの上へ。同じく49分も都立西。左サイドで服部が粘ったボールを湯浅が拾い、思い切って放ったミドルはクロスバーを越えるも、傾きつつあるゲームリズム。51分には小梁川と鶴巻俊人(3年・品川荏原第一中)をスイッチして、さらに上げたいチームの回転数。
「結構セカンドボールを相手に拾われている展開」(安藤)を一撃で破壊したのは赤黒の10番。53分、CBのキャプテン須藤皓生(3年・北区赤羽岩淵中)のフィードをうまく支配下に置いた幸野は、右から中へ切れ込みながら左足一閃。ゴールまで25m近くあった距離を一瞬で縮めたボールは、クロスバーを叩いてそのままゴールネットへ突き刺さります。「夏以降はやるようになって、だいぶ良くなっている」と指揮官も評価する幸野の豪快な一撃は大きな追加点。スコアボードに"3"の数字が点りました。
以降は駒澤ショーの開演。54分に安藤が難しいループを枠の左へ外すと、直後には山口に替えて佐藤瑛磨(2年・立川第四中)を投入した大野監督。55分には鈴木、隠地と回ったボールから佐藤がラストパスを通し、幸野が1人かわして放ったシュートは枠の左へ外れたものの、佐藤が早速フィニッシュワークに関与。56分に幸野が迎えた1対1のビッグチャンスは、都立西のキャプテンマークを託された佐々木が意地のワンハンドセーブで回避しましたが、赤黒が一気に踏み込んだアクセル。
飛び出した"2本目"。61分、ここもピッチ中央、ゴールまで25m近い位置で幸野が獲得したFK。スポットに立ったのはもちろん鈴木。短い助走から躊躇なく右足を振り抜くと、曲がって落ちたボールはゴール左スミギリギリに飛び込みます。「『助走がこうで、角度はこうやってやれ』と昨日鈴木と練習したんですけど、まったく同じパターンで入って我々もビックリしているんです」と大野監督も驚いた鈴木は、直接FKだけで圧巻のドッピエッタ。点差は4点に広がりました。
都立西も63分には湯浅と坂本良太(1年・練馬石神井中)を入れ替え、右SHの西田を最前線に中野と並べ、右に坂本、左に鶴巻を置いて何とか1点を返しに打って出るものの、せっかく奪ったボールもパス精度を欠いてしまい、相手に渡してしまうシーンが散見。67分には鈴木の右CKから安藤が枠へ収めたヘディングを、ライン上で瀬川が掻き出すファインプレーはありましたが、それも守備面でのもの。アタッキングエリアまで入り込めません。
70分は駒澤。鈴木を起点に替わったばかりの野本克啓(2年・FC多摩)が粘って右から折り返すと、「ちょうど左足にボールが来て前が空いていたので、あとはGKのいない方に蹴るだけだった」という安藤がゴール右スミへ流し込んで5点目。72分も駒澤。左から鈴木が蹴ったFKを、中央からフリーで飛び込んだ柳澤歩(3年・フッチSC)が薄く当てたヘディングは、佐々木も良く飛び付きましたが、弾き切れずに6点目。78分も駒澤。左SBの吉田一貴(3年・FC習志野)がサイドを変え、佐藤を経由したボールを野本が浮かせて中へ送ると、安藤が左足に乗せたボレーはゴール右スミへ一直線。「ダイレクトでボレーというのは決めていましたし、バウンド的にも左足からしたら凄く良い感じで来たのでファーに行けば入るかなと思ったんですけど、あんなに速くて良いシュートが行くとは思っていなかったのでビックリしました」と笑ったゴラッソは自身のハットトリックとなる7点目。「初戦というのもあって結果だけ見るとよくやったのかな」とは大野監督。終わってみれば7ゴールを奪取した駒澤が、実力を見せ付ける格好でベスト8へと勝ち上がる結果となりました。


ちょうど文化祭明けで「そこからフワフワした感じ」(大野監督)だったという駒澤。年に1回のビッグイベントであり、タピオカを入れたジュースの販売とキックターゲットというサッカー部の出し物もあったということで、「かなり楽しかったです」と安藤。ただ、安藤自身は「結構全体的にも文化祭の気分が残っていたので、まずは自分が個人としてしっかり気持ちを入れて選手権に向けて練習しようというのは思っていて、終わってから良い切り替えができたかなと思います」とキッパリ。大野監督も「安藤は文化祭の雰囲気に流されることなく気持ちを落としてやっていたので、やるなという感じはしていた。今日活躍したヤツらは文化祭に流されていない、自分をしっかり持って選手権に向けて流されていないヤツらですよね」と言及していました。そんな安藤のハットトリックや鈴木のFK2発などもあって、"文化祭"と"初戦"という魔物を快勝で退けた駒澤。4年ぶりの頂点へ。赤黒軍団の視界は良好です。       土屋

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