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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2014年10月06日

高校選手権東京A2回戦 修徳×錦城@駒沢第2

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1004koma2 3.jpg昨年度の高校選手権全国ベスト8が2回戦に登場。ここ2年は秋の東京で負けなしの修徳へ、新鋭の錦城がチャレンジするのは引き続き駒沢第2です。
2年連続の東京王者として臨んだ今大会も、都立大泉と対峙した初戦は大苦戦。先制しながら追い付かれ、最後はPK戦で辛くもこの2回戦への進出権を獲得した修徳。「気を抜くとやられるというのが体験できたというのは良かったと思う」という言葉に続けて、「今年はこんなもんだから」と笑うのは岩本慎二郎監督ですが、数々の修羅場を潜り抜けてきた名将が同校初の3連覇へ向けて、着々と準備を整えていることは間違いありません。
真夏に行われた1次予選を堂々の3連勝で勝ち抜き、実に3年ぶりとなる都大会まで駒を進めてきた錦城。新チーム発足以降は、新人戦こそ2勝を挙げて地区予選ベスト8まで勝ち上がりましたが、インターハイは支部予選初戦でPK戦の末に敗退を強いられており、最後の大会で昨年度王者を相手に一泡吹かせるチャンスを見逃す訳にはいきません。3試合目の駒沢第2は曇り空の好コンディション。ゲームは14時ちょうどにキックオフを迎えました。


6分のファーストシュートは修徳。1トップを務める雪江悠人(3年・三郷JY)が収め、石原海(2年・ジェファFC)を経由したボールを石原健流(2年・ヴェルディSSレスチ)が狙ったミドルはクロスバーを越えましたが、まずはボランチ起用の2年生が積極性を披露すると、11分には決定機。和田裕太(2年・三郷JY)のスルーパスに抜け出したのは、10番を背負うキャプテンの小野寺湧紀(3年・荒川第五中)。コースを狙ったシュートは、錦城のGK十時健伍(3年・小平第二中)のファインセーブに阻まれたものの、15分にも和田の左クロスから小野寺がワントラップバイシクルを敢行するなど、ディフェンディングチャンピオンが勢いを持って立ち上がります。
一方の錦城もドイスボランチの三原佑太(3年・FC府中)と蓮池壮(3年・FC府中)を中心に、中盤できっちりボールを繋ぎながら、ワイドや前線にボールを当てた時にテンポアップしたい意欲は十分。22分には三原が右へ流したボールに、FWの穐村峻平(2年・石神井マメックスFC)が合わせたボレーはヒットしませんでしたが、チームのスタイルを押し出しつつ、ある程度は攻撃の時間も創り出します。
ただ、20分を過ぎたあたりからは、押し込み始めた修徳の時間帯。23分に右のハイサイドから石原海が戻し、田原迫隼人(3年・Forza'02)が上げたクロスを和田が狙ったボレーは枠の右へ外れるも、サイドアタックからフィニッシュを取り切ると、歓喜を呼び込んだのはセットプレー。
27分は左サイドで奪ったCK。小野寺がショートで蹴り出すと石原海が戻し、再び小野寺が短く付けたボールを和田がクロス。少しずらされたことで相手のマークがルーズになった瞬間を見逃さず、CBの足達広大(3年・レジスタFC)がまったくのフリーで合わせたヘディングはゴールネットへ飛び込みます。「自分たちが攻めている時間が長かったけど、得点を奪うことができていなかった」(雪江)展開を打破したのは、「たまにはそういうことがないとね」と岩本監督も笑うセットプレー。修徳がスコアを動かしました。
以降も攻勢は修徳。29分にエリア内へ小野寺が切れ込み、最後は許享文(3年・修徳中)が狙ったミドルはクロスバーの上へ。35分にCBの河野哲志(3年・ナサロット)がFKを蹴り込むと、雪江の落としをミドルレンジから小野寺が叩くも枠外へ。38分にも小野寺の右CKから、河野が高い打点で当てたヘディングは枠の左へ。39分にも小野寺が右へ振り分け、田原迫が上げたクロスは錦城の右SB小松悠太(3年・小平第四中)が懸命にクリア。先制の前後からサイドアタックを中心に攻め込み続けた修徳が1点をリードして、最初の40分間は終了しました。


雪江のキックオフシュートで幕を開けた後半も、変わらないゲームリズム。41分に右から石原海が折り返し、雪江が放ったシュートは枠の右へ逸れるも、早くも後半だけで2本目のシュートを。42分にはここも小野寺がショートで左CKを始めると、石原健流のリターンを小野寺はピンポイントクロス。またも足達が至近距離から放ったヘディングは、十時が驚異的な反応でキャッチしましたが、漂う追加点の香り。
44分も修徳。小野寺の右CKを河野が頭で戻し、許が振り切ったボレーはクロスバーの上へ。46分も修徳。和田のパスで雪江が左サイドを抜け出し、縦に持ち出しながら角度のない位置から狙ったシュートは右のポストを直撃。直後にも相手のパスをかっさらった雪江がそのまま独走。最後は必死にカバーへ走った錦城のCB今野裕斗(3年・西東京明保中)が何とかクリアしたものの、「自分はスピードが特徴」と語る雪江に続けて訪れるビッグチャンス。
後半だけで"5度目の正直"はおそらく最も難しい一撃。47分、小野寺の左ショートコーナーは少し許とタイミングが合わず、小野寺が立て直して和田へ戻すと、この日は11番を背負った2年生は鋭いクロスをファーサイドへ。「来た瞬間にボレーを打とうと思った」という雪江がそのままダイレクトで右足を撃ち抜くと、DFを掠めたボールはゴール左スミへ吸い込まれます。「良いボールが上がってきたので合わせるだけだった」とあっさり振り返るには、スーパーなゴラッソ。修徳のリードは2点に変わりました。
小さくないビハインドを追い掛けることになった錦城は、49分に1人目の交替を決断。FWの山野達也(3年・府中第六中)に替えて、松崎哲史(2年・日野第四中)を送り込んで前線にてこ入れを図ると、55分には久々のチャンス到来。CBの相澤宏樹(2年・三菱養和調布JY)が好フィードを送り、松崎はヘディングでコントロールパス。走った穐村はオフサイドを取られましたが、連動した動きからあわやというシーンを。この前後はワイドに開いた右の森田晶(3年・FC.GIUSTI世田谷)と左の青栁俊也(3年・青梅吹上中)もボールを引き出し始め、右の小松と左の五十嵐響平(2年・JACPA東京FC)に前へ行くチャンスを窺う姿勢も。アタックに幅が出てきます。
それでも、56分は修徳の決定機。SBの中村大志(2年・ジェファFC)が絡んだ小野寺の左クロスを雪江が収めて落とし、石原海が至近距離から狙ったシュートはクロスバーの上へ。63分にも小野寺が右へ展開すると、替わったばかりの石川知稔(1年・柏光が丘中)が鋭いクロスを放り込み、雪江にはわずかに届かなかったものの、1年生が投入直後に躍動して見せると、追加点はそのすぐあと。
錦城が2枚目のカードとして栗林亮太(3年・所沢美原中)を送り込んだ直後の65分。こちらも後半途中からボランチへ投入されていた小澤翔(2年・荒川南千住第二中)がスルーパスを通し、抜け出した小野寺はGKと1対1に。シュートは十時もよく弾きましたが、ここに詰めていたのは「岩本先生からこぼれ球、こぼれ球とずっと言われていた」という雪江。9番を託されたストライカーのドッピエッタ。点差は3点に開きました。
続く雪江タイム。67分、足達のフィードを受け、左からカットインしながら放った雪江のミドルはクロスバーにハードヒット。73分、今度は河野のフィードに走り、ボレーで叩いた雪江のシュートはクロスバーの上へ。74分、田原迫の綺麗なスルーパスを引き出し、GKと1対1を迎えた雪江のシュートは枠の右へ。後半だけで放ったシュートは8本。際立つフィニッシュへの意欲。
9本目で達成したハットトリック。76分、右のハイサイドへ潜った石川が戻し、田原迫が上げたアーリークロスへ飛び込んだのは雪江。落下地点へうまく入って合わせたヘディングは、しっかりゴールネットを捕獲します。「アイツがFWに入るとデカいね」と指揮官も評価した雪江のハットトリックでゴールショーは打ち止め。その雪江も「3年連続という目標はかなり大きいですね」と語ったように、皆の共通目標でもある3連覇へ向けて、修徳が快勝でベスト8への勝ち名乗りを上げる結果となりました。


傍から見るとなかなか結果の出ないシーズンを送っているように見える修徳でしたが、これで堂々たるベスト8進出。「去年も最初の方はうまく行っていない時期もあったので、いつかは自分たちもああいう風になれると信じて毎日練習に取り組みました」と雪江が話した日々の積み重ねが、ここ2年で発揮してきた選手権での絶対的な強さという背景も相まって、彼らに自信をもたらしているように感じます。あと3勝へ迫った3連覇について問われた岩本監督は、「相手はウチとやるのは嫌だろうから、それがある意味でアドバンテージじゃないですかね。ウチが何か特別なことをしている訳じゃないから」と相変わらずの自然体。"東京のドイツ"が付けつつある実力と自信が1ヵ月後の西が丘で結実する可能性は、今や決して低くありません。      土屋

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