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このブログについて

J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2014年10月12日

高校選手権東京A準々決勝 修徳×関東第一@都立大泉G

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1012oizumi.jpgインターハイでも延長までもつれ込む熱戦を繰り広げた両者のリターンマッチ。ディフェンディングチャンピオンと初優勝を狙う強豪同士の激突は都立大泉高校グラウンドです。
選手権予選は2年連続で東京制覇。昨年度はファイナリストの星稜にPK戦で屈したものの、全国ベスト8という大きな称号を手にした修徳。今シーズンはここまでリーグ戦でもトーナメントコンペティションでもなかなか結果が付いてきませんでしたが、今大会は初戦で都立大泉をPK戦の末に何とか振り切ると、先週は錦城相手に雪江悠人(3年・三郷JY)のハットトリックを含む4ゴールを奪って快勝。「やっぱりセンシュケンだからね」と笑う岩本慎二郎に率いられた"東京のドイツ"は健在です。
対するはここ4年で3回の西が丘進出を経験するなど、近年はどのコンペティションでも優勝候補の一角に挙げられている関東第一。昨年の選手権予選は初戦敗退を強いられましたが、今年はその実力を高く評価する声も聞かれた都立東大和を0-7で粉砕して、初戦の"鬼門化"を阻止。「今年は大幅に完敗だなというゲームはないので、相手もやりづらさは残していると思う」とは小野監督。インターハイでは競り勝った難敵を、返り討ちにしたい一戦です。グラウンドの周囲には幾重にも連なる人垣が。西が丘を懸けたクォーターファイナルは、関東第一のキックオフでスタートしました。


2分の先制アタックは関東第一。右から尾山直己(3年・クリアージュFC)が入れたFKは混戦を生み出し、DFが何とかクリアしたものの、まずは惜しいチャンスを1つ。4分にもバックパスに詰めた角口大征(3年・FC府中)がGKのクリアを体に当てると、ボールはゴール右へ外れるも、あわやというシーンを泥臭く創出します。
8分は修徳。小野寺湧紀(3年・荒川第五中)のドリブルから獲得したCKをその小野寺が左から蹴ると、DFのクリアをスタメンに復帰した小澤翔(2年・荒川南千住第二中)が思い切ったボレーで枠の左へ。11分は関東第一。鈴木隼平(2年・Forza'02)の仕掛けで奪った右FKを尾山が蹴り込み、DFのクリアに遭ったものの、お互いにチャンスはセットプレーで。
インプレーからは良い形が双方繰り出せず、少しガチャガチャした展開が続く中、徐々にペースを掴み始めていたのは「セカンドボールや球際の所は意識してやってきたので、そういう所が結果として試合に出たのかなというのはある」と小野寺が話した修徳。中盤でのルーズボールは小澤と許享文(3年・修徳中)がことごとく回収し、相手のフィードは河野哲志(3年・ナサロット)と安達広大(3年・レジスタFC)がほぼシャットアウト。16分には関東第一も高橋快人(2年・PBJ)が左へ振り分け、DFが掻き出せなかったボールに鈴木勇斗(3年・VIVAIO船橋)が飛び込むも、修徳のGK久保井寿(2年・クリアージュFC)も果敢に飛び出して体でブロック。逆に18分には小野寺の右FKから、雪江が合わせたヘディングはクロスバーの上へ。22分にも雪江のパスから和田裕太(2年・三郷JY)が入れたクロスに、小野寺が当てたヘディングは右へ流れましたが、この展開は「球際とヘディングの所で全然負けなかった」(岩本監督)修徳のリズム。
24分は関東第一。尾山、高橋、二瓶亮(2年・江東葛西第三中)とスムーズにボールが回り、尾山がミドルレンジから狙ったシュートはゴール右へ外れましたが、ようやく持ち前のパスワークからフィニッシュまで。29分も関東第一。左サイドを駆け上がったSBの菊池優生(3年・三菱養和調布JY)がクロスをファーまで届けると、角口のボレーは枠の右へ。ようやく関東第一にも持ち味と言っていい流動的なアタックが。
それでも、以降も手数は修徳。32分に雪江の右ロングスローで得たFKを、小野寺が蹴ったボールはDFに跳ね返されましたが、35分にも雪江の左ロングスローがこぼれ、反応した石原海(2年・ジェファFC)のシュートは関東第一のCB吉田滉(3年・ナサロット)が何とかブロック。40分にも雪江が左からロングスローを投げ入れ、こぼれを叩いた石原健流(2年・ヴェルディSSレスチ)のボレーは大きくクロスバーの上へ外れたものの、「相手に持たれる時間が多かったけど、それでもやられないでカウンターで行くというのが修徳の持ち味」と小野寺。なかなか連携での崩しが出てこない関東第一を相手に、各エリアの強度で上回った修徳ペースの前半は、スコアレスでハーフタイムへ入りました。


後半も立ち上がりから攻勢に立ったのは修徳。42分はピッチ中央、ゴールまで約30mの位置で獲得したFK。スポットに立った3人の中から、雪江が狙ったキックは枠を捉え、関東第一のGK岸将太(3年・松戸クラッキス)にキャッチされたものの、沸いた応援団。43分には石原海が右へ流し、石原健流のクロスはゴールラインをそのまま割るも、サイドアタックからチャンスの一歩手前まで。45分には得意のカウンター発動。運んだ小野寺が左へ振り分け、雪江が繋いだボールを和田は枠の上へ外してしまいますが、続けて悪くないアタックを創り出します。
依然として回転数の上がってこない関東第一。49分には尾山と菊池の連携で奪った左CKを尾山が蹴り込むも、DFが確実にクリア。52分には高橋とのワンツーでエリア内へ潜った菊池がマーカーと接触して倒れるも、主審のホイッスルはならず。逆に53分は修徳。和田が右へ展開し、雪江が潰れて残したボールを石原海が狙ったミドルは枠の左へ逸れるも、続かないカナリア軍団の時間帯。
同時に両ベンチが動いたのは55分。修徳は和田に替えて、スーパーサブのレフティ宮腰一生(3年・江東大島西中)を投入。関東第一は高橋を下げて、岡崎仁太朗(2年・大宮ソシオ)を送り込み、お互いに攻撃のギアチェンジを図ると、すぐに効果を発揮したのは前者。56分、小野寺のパスを許は左へ繋ぎ、縦に持ち出しながら宮腰が上げ切ったボールは、クロスバーにヒットしてピッチ内へ。ワンプレーで宮腰が投入理由を証明してみせます。
59分も修徳。石原健流が右サイドで粘ってクリアをブロックすると、石原海が拾うもDFに寄せられてシュートは打てず。直後のCKを小野寺がマイナスにグラウンダーで流し、小澤が入れたクロスはDFにクリアされるも、デザインされたセットプレーを。60分も修徳。石原健流が中へ付け、小野寺のパスから石原海がトライしたクロスは、ここもDFに弾き返されましたが、「ボランチの2人が拾って自分に繋ぐというのは監督も言っていたので、それもできて自分も余裕を持って逆に展開できた」と小野寺が話したように、カウンターというよりはしっかりサイドチェンジを使いながら、ハイサイドを取ったアタックも多い修徳。これには岩本監督も「サイドを変えるという所でアドバンテージを取った」と同調。ボールを持つ時間もフィフティか、あるいは修徳優勢に。
何とか状況を打開したい関東第一は、61分に2枚目の交替を。佐藤とドリブラーの音泉翔眞(3年・VIVAIO船橋)を入れ替え、鈴木と角口を前線に並べ、右に岡崎、左に音泉を配して、アタッカー陣のテコ入れに着手しましたが、「1個足が出るんですよ」と指揮官も言及した修徳のタイトなプレスを掻い潜り切れず、遠いフィニッシュ。
67分は修徳にビッグチャンス。自陣で石原海が中央へパスを送ると、小野寺は綺麗にスルー。受けた許がピンポイントで左の縦へ入れたボールから宮腰はドリブルスタート。少し運んでクロス気味に放ったシュートは強烈。岸も体を伸ばして懸命にファインセーブで応酬しましたが、途中投入に応える宮腰の推進力がチームに与えた勇気。岩本監督も70分に石原海と笈川勇斗(2年・ヴェルディSSレスチ)をスイッチして、いよいよ勝負のラスト10分へ。
歓喜を呼び込んだのは「ヤツは25年間で一番良い選手ですよ。苦しいときに頑張れる」と指揮官も絶対の信頼を寄せる10番のキャプテン。78分、自陣からのFKを河野が蹴り込むと、突っ込んだ小野寺はGKの目前でヘディング。「当たった瞬間に上に行くというのはある程度感覚でわかった」という小野寺は、「案の定、上を向いたらボールがあったので」誰よりも速くボールに反応。そのまま浮いた球体をゴールネットへ押し込みます。「苦しい時に頼りになるよね。最終的に頼りになるのはアイツ」と岩本監督。値千金の先制弾。残り2分で修徳が1点のリードを強奪しました。
土壇場で一気に追い込まれた関東第一。80分に鈴木を下げて、180センチの森俊太(3年・FCトッカーノ)を前線に送り込み、なりふり構わず狙う同点。80+2分、尾山、音泉、森、岡崎と繋ぎ、森が残したボールを音泉が枠へ収めるも、久保井が驚異的な反応でスーパーセーブ。80+3分、尾山の右CKを立石爽馬(1年・フレンドリー)が頭で触り、音泉が執念で残したボールを角口がボレーで叩くも枠の左へ。80+4分のラストチャンス。森が左からロングスローを投げ込み、DFが決死のクリアで大きく掻き出すと、ややあって吹き鳴らされたタイムアップのホイッスル。「こんな戦いしかできないですからね」と岩本監督が笑った"こんな戦い"が、しかしまさに彼らの真骨頂。修徳が4年連続となる西が丘行きの切符を獲得する結果となりました。


インターハイのリベンジを果たした修徳の完勝だったと思います。「今まではうまくいかないことばかりだったので、冷静に行こうといっていたんですけど、それが逆に出ちゃって、前半の最初の"クリティカルフェイズ"でやられることもあったので、今日ゼロで抑えられたというのは収穫でした」とは小野寺。確かにリーグ戦でも"クリティカルフェイズ"、すなわち開始15分前後で失点を喫することが多かった中で、この選手権予選ではその時間帯で抜群の集中力を発揮。それも、「ウチの実力はリーグ戦の結果くらいなんですよ。ただ、こういう舞台で1つ前に出られるというのが、勝負のあやなんでしょうね」と岩本監督も触れた、一発勝負に対する伝統的な強さが脈々と受け継がれている証明だと言えるでしょう。「今日は勝ったんですけど、まだ通過点なので浮かれないで、また明日からしっかりと練習していって、西が丘へ向けて良い準備ができればいいと思います」とキャプテンの小野寺。修徳史上初となる3連覇が、いよいよ現実味を増してきています。      土屋

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