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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2014年09月17日

T2リーグ第16節 日本学園×都立駒場@大井第二

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0916ooi.jpg東京高校サッカー界のホットワードに上がってきそうな、名門相手に挙げた勝利からわずか1日。一躍注目を浴びている日本学園が関東大会王者と対峙するリーグ戦は大井第二です。
駒沢補助を揺らしたのはまさに昨日の選手権予選。高校サッカー界の"巨人"とも言うべき帝京相手に前半で2点のビハインドを負いながら、きっちり2点を追い付き、最後はPK戦を制して"大物食い"を果たした日本学園。「あまり勝ちには固執していない」と話す石塚理人監督も、「嬉しいか嬉しくないかで言ったら嬉しいし、もう1回良い舞台でできるからね」とも。2日連続での公式戦となった今日のゲームは、スタメン6人を入れ替えて関東王者に挑みます。
対するは選手権予選こそシードされているものの、昨日までは文化祭ということでここ最近の練習時間は決して多くなかった都立駒場。例年は夏以降に見せるチームの成長が他校の脅威でしたが、今シーズンは既に関東大会予選で東京制覇を経験し、インターハイ予選でもベスト4へと進出しており、どちらかと言えば追われる立場で選手権予選を迎えます。ただ、このチームを率いるのは「相手は昨日やっていて疲れもあると思うけど、精神的にノッてるでしょ」と笑う山下正人監督。気負いとは無縁な名将の下、着実にチーム力は上がってきています。大井第二のスタンドにはまだ蒸し暑さが。注目の一戦は日学のキックオフでスタートしました。


先に手数を出したのは日学。3分、昨日に続いてスタメン起用となった菊池壱星(2年・FC.GIUSTI世田谷)が右から蹴ったCKはDFがクリア。11分にも再び菊池が入れた右CKは、都立駒場のGK芹澤遼太(3年・目黒中央中)がパンチングで回避。12分にも荒木祐二(3年・FC多摩)が左へフィードを送り、巧いトラップで縦に持ち出した山形瑞季(3年・ARTE八王子)は鋭いクロス。ニアへ飛び込んだ去渡信吾(2年・府ロクJY)のヘディングはヒットしなかったものの、チャンスの一歩手前を創り出します。
全体の構図は落合武(2年・ジェファFC)と荒木のCBコンビに、ボランチの三浦大雅(3年・FCトリプレッタ)が加わり、きっちり後ろから繋いでいく日学がボールを支配しつつ、「今日はあまりプレッシャーを掛けに来なかったから、結構やらせてくれた」と石塚監督も振り返ったように、都立駒場もそれほど前から激しくプレスには行かず、ある程度引き込んでから中盤以降で寄せる形を選択したこともあって、動き自体は多くない中で推移していく時間。
16分は都立駒場。朝比奈賢伸(3年・目黒第十中)が右へ送ると、吉澤泰成(3年・横河武蔵野FC JY)が収め、内藤聡(3年・FC PROUD)が入れたクロスはDFがクリア。20分は日学。菊池が放り込んだ左FKから、ニアに荒木が突っ込むもDFがきっちりブロック。同じく20分は都立駒場。内藤のクロスはGKを越えるも、ファーに走った山口将弥(3年・北区赤羽岩淵中)はシュートまで打ち切れず。フィニッシュの数は増えていきません。
すると、試合を動かしたのはセットプレー。24分、左サイドの高い位置で日学が獲得したFK。キッカーの山形は中央へと放り込まず、マイナス方向へグラウンダーで転がすと、待っていた三浦は左足でコントロールショット。DFの間を巻きながらすり抜けたボールは、ゴールネットへそのまま吸い込まれます。「あんなのはやられちゃいけないこと」と山下監督はおかんむり。日学が1点のリードを手にしました。
以降も流れは同様。32分は日学。「一番の特徴は視野が広いこと」と指揮官も話す菊池が、右サイドへ体を捻って極上スルーパス。フリーで抜け出した小熊玲生(2年・浦安JSC)の折り返しを、増井海斗(2年・インテリオールFC)が叩いたシュートはDFにブロックされたものの、菊池が煌かせた才能の一端。37分は都立駒場。篠原力(3年・FC東京U-15深川)の右CKを吉澤が頭で合わせるも、ボールの勢いは弱くゴール左へ。38分も都立駒場。篠原を起点にキャプテンの末永直輝(3年・FCトリプレッタ)が左へ振り分け、朝比奈のクロスは日学のGK谷野渓(2年・AZ'86東京青梅)が冷静にキャッチ。40分は日学。菊池の右FKに飛び込んだ荒木のヘディングはわずかにクロスバーの上へ。「ウチが引いちゃったというか、元来うまいんだけど、日本学園はまたうまくなっているよね」と山下監督も口にしたように、主導権とリードは日学が引き寄せた格好で最初の45分間は終了しました。


ハーフタイムを挟み、迎えた後半は駒場にも勢いが。47分、朝比奈の左クロスは一旦弾かれるも、再び左から山口がクロスを放り込むと、吉澤のヘディングは谷野がキャッチ。51分はピッチ中央、ゴールまで約30mの距離から篠原が直接狙ったFKはゴール右スミギリギリを襲うと、ここは谷野がファインセーブで対抗。直後の右CKも篠原が蹴り入れ、ニアで吉澤がフリックしたボールは谷野がパンチング。末永のヘディングはオフェンスファウルを取られましたが、「相手もイヤだよね」と指揮官も言及した吉澤の強さも目立ち、駒場に漂い出すゴールの香り。
ところが、55分に飛び出したのは「アレはしょうがない」と山下監督も認めたスーパーな一撃。菊池が右へ流したボールを、全速力で駆け上がってきた石渡汐那(3年・FCトリプレッタ)は粘って繋ぐと、菊池はコンパクトなスイングで右足一閃。白黒の球体は一直線に左のサイドネットへ突き刺さります。その位置とボールスピードには「凄いでしょ。凄いよね。俺も弾丸シュートは初めて見た」と石塚監督も驚きの表情を。19番のゴラッソで点差が広がりました。
54分には内藤と片岡勇介(2年・FCトリプレッタ)を入れ替え、2トップにシフトしていた山下監督は、失点を受けて60分に真崎康平(3年・POMBA立川FC)と松本匠平(2年・世田谷砧中)もスイッチ。61分に日学がFKの流れから、山形がミドルを枠外に打ち込んだのを見て、63分にもCBの小松謙祐(3年・Forza'02)を下げて藤本洸太(3年・三菱養和巣鴨JY)を投入して、追撃態勢を整えます。
「2トップになってから流動的だったけど、マンツーマンで取りに行っている訳じゃないから、そこ自体はあまり苦になっていなかった」と話した石塚監督は、72分に1人目の交替を。両足が攣るまで奮闘した廣田繁(3年・西東京柳沢中)を小林翔(2年・FC渋谷)に入れ替え、中盤のパワー増強を図ると、73分に小熊の右クロスから、去渡が1つトラップでずらして打ち切ったシュートは芹澤にキャッチされましたが、前への姿勢は衰えません。
とはいえ、76分に伊藤富一(2年・FC東京U-15深川)のアーリークロスから、朝比奈が枠へ収めたボレーは谷野のファインセーブに阻まれたものの、この日最大の決定機創出で一気に都立駒場が引き寄せたゲームリズム。82分にも篠原が右へ展開したボールを片岡が上げ切り、3列目からニアへ飛び込んだ藤本のヘディングは枠の左へ外れましたが、「本来相手の持ち味はラスト10分でしょ」と石塚監督も触れた通り、最終盤でアクセルを踏み込んだ山下軍団。
パーフェクトな崩しから生まれた歓喜は83分。藤本が左サイドへ送ったパスから、朝比奈は瞬時の加速で縦に抜け出してクロス。GKをわずかに越える最高のボールを、頭で押し込んだのは吉澤。「センターで1トップも2トップもできる」(山下監督)4番のストライカーが、やはりここぞという場面ではきっちり結果を。たちまち点差は1点に縮まりました。
石塚監督が切ったカードは相次いで。84分に三浦と井上凌(3年・両国FC)をスイッチすると、85分には2枚替え。小熊と去渡を下げて、遠藤瑠生(3年・FC多摩)と宮下流阿(3年・FC多摩)をアタッカーとして送り込み、全体のバランス維持に着手。89分には相手のハンドで獲得したFKを、宮下が思い切って狙うもボールはクロスバーの上へ消え、ゲームは4分間のアディショナルタイムへ。
実った都立駒場の執念。90+2分、中盤でガチャガチャしたボールの奪い合いから、積極的にゲームへ入れていた藤本が左へロングスルーパス。受けた朝比奈はワントラップで縦へ持ち出すと、躊躇なく左足を強振。ボールは糸を引くような軌道を描き、左上スミのゴールネットを揺らします。「良かったんじゃない?負け試合で勝ち点を1点取ったんだから」とは山下監督。土壇場で都立駒場がスコアを振り出しに揺り戻したゲームは、両者に勝ち点1ずつが振り分けられる結果となりました。


「ラッキーでゴールが2つ入ったけど、それ以外はそんなに良い攻撃していたとは俺は思っていない」と石塚監督が振り返った日学は、ほとんど手中に収めかけていた勝ち点2を逃した格好になってしまいました。ただ、半数以上の選手が2日続けて負荷の高い公式戦を戦った中でも、最後の10分間を除けば十分なパフォーマンスを披露することができたのは、小さくない収穫のはず。この悔しいドローを糧にするチャンスはまだまだ十分残されています。
「あのままズルズル行かなくて、それが力が付いてきたのかなと思うよね」と山下監督も一定の評価を口にした都立駒場は、何とも"らしい"最終盤のラッシュだったなと。ある意味では今シーズンのチームが持つ勝負強さを象徴するような90分間だったかもしれません。選手権に向けてのポイントを「自分たちのサッカーで、『これで負けたらしょうがない』と思い込ませてやるしかないよね。だから、あとは頑張りしかないよ。自分たちで言われたことをちゃんと整理してやれるかどうか」と語ってくれた山下監督。最後に西が丘で笑うのが"トリコマ"であっても何の不思議もないようなパワーを、今年の彼らは間違いなく持っています。         土屋

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