mas o menos

メルマガ

お好きなジャンルのコラムや
ニュース、番組情報をお届け!

メルマガ一覧へ

最近のエントリー

カテゴリー

アーカイブ

2014/09

S M T W T F S
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30        

このブログについて

J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2014年09月21日

T2リーグ第16節 都立東久留米総合×東京実業@東久留米総合G

mas o menos
  • Line

0921kuruso.jpg選手権予選は苦しみながらも初戦を突破したチーム同士のリーグ戦。9時30分キックオフの日曜モーニングゲームは、都立東久留米総合高校グラウンドです。
1回戦屈指の好カードとして注目を集めた選手権予選は、多摩大目黒との熱戦を延長戦の末に制し、10月初旬の2回戦へと駒を進めた都立東久留米総合高校。「2月から11月まで非常に長い期間で、これだけ複数対戦をして戦っていくので成長も見られるし、指導者としても色々工夫する時間もある」とリーグ戦を捉える齋藤登監督の下、依然としてT2制覇も十分ありえる状況下、1週間前とほとんど同じメンバーでこの一戦に臨みます。
一方、こちらも選手権予選の1回戦は早稲田実業との"実業"ダービーに挑み、最後はPK戦で次のラウンドへと勝ち上がった東京実業。昨年の秋は西が丘まで勝ち進むなど大きな躍進を遂げましたが、今シーズンはここまで結果という意味では悔しい時間が続いています。ただ、「今年に合うやり方に変えてから、リーグ戦でも8月くらいから勝ち点を取り始められてきた」と森昌芳監督。貴重な実戦経験の場で、難敵を相手にアウェイゲームを戦います。前述したように9時30分からのキックオフでも、ピッチの周りには保護者のみなさんが。3年生にとって残り少ない貴重な公式戦は、久留総のキックオフでスタートしました。


電光石火の先制劇。沸いたのは赤い応援席。開始わずかに2分、左サイドから野口優人(3年・郁文館中)が投げ入れたロングスローは飛距離も十分。中央に潜った前田航大(3年・MKFC)は体を張って収め、反転しながらそのまま豪快にボレーへチャレンジすると、ボールはゴール右スミへ吸い込まれます。「コースはたまたま良い所に行ったけど、あれは練習している形」とは森監督。東実があっという間にスコアを動かしました。
いきなりの失点を喫した久留総。5分には永井恒輝(3年・AZ'86東京青梅)が獲得したFKを右から大畑和樹(3年・三菱養和調布JY)が蹴り込むと、こぼれを小島樹(3年・あきる野FC U-15)が拾い、後藤勇也(3年・クリアージュFC)の左クロスを大畑が頭で中へ。朝倉一寿(3年・練馬FC U-15)のヘディングシュートはヒットしなかったものの、1つセットプレーの流れからチャンスを創出すると、同点弾もセットプレーから。
大畑の左CKから獲得した中央でのFKは13分。ゴール右寄り、約25mの距離からレフティの後藤が直接枠へ収めたボールは左スミを襲い、GKも反応はしていましたが弾き切れずに、ゴールラインの内側へ転がり込みます。ややラッキーな面はあったものの、後藤の積極的な姿勢が呼び込んだゴールで久留総が早々に追い付いてみせました。
追い付かれた東実も14分、ルーズボールに反応した守川和樹(3年・川崎枡形中)のボレーミドルは枠の左へ。16分にも左から宮田剛(3年・川崎橘中)が蹴ったFKはシュートまで持ち込めず。17分は久留総。小島の左クロスから、ファーへ入った大畑のシュートは東実の左SBを務める伊ノ木洸平(2年)が体でブロックし、詰めた永井のシュートは枠の左へ。20分は東実。境亘平(2年・大田雪谷中)のパスを前田がダイレクトで右へ流し、宮田が放ったシュートは久留総のGK長江涼(3年・青梅第三中)がしっかりキャッチ。アウェイチームも手数は繰り出します。
そんな中、「相手の高いフラットなラインの裏をうまく突いて、ディフェンスラインを越えるボールを多用した」(齋藤監督)久留総の狙いが見事に実ったのは23分。司令塔の白井穂(3年・Forza'02)が浮き球でラインの裏へパスを送ると、エリア内で体を入れてボールを収めた朝倉はマーカーともつれて転倒。主審はPKを指示します。スポットに向かったのは後藤。短い助走から右スミを狙ったキックは、東実のGK長島雄太朗(3年・練馬FC U-15)も方向は合っていましたが、ボールは絶妙のコースへグサリ。「元々フォワードなので性格的にも攻撃的」と指揮官も話すサイドバックのドッピエッタ。早くも久留総が逆転に成功しました。
「ウチのDFラインと相手のFWが入れ替わるシーンがかなりあって、アレはちょっとなくしたかった」と森監督も感じていた矢先に、その形から失点を許した東実は一転、ビハインドを追い掛ける展開に。26分には小島、大畑と繋がれ、後藤のハットトリックを狙ったシュートは、何とかDFがブロック。直後に川上涼太(2年・FC府中)が右から上げたクロスを、ニアで小島がシュートへ繋げるも、ここは長島がしっかりキャッチ。30分には逆にチャンス到来。守川が粘って相手ボールを奪い、前田が打ったミドルは長江にキャッチされたものの、これが久々のチャンス。「ウチももうちょっと選手と選手の距離感を短くして、セカンドを拾ってというのをやりたかったけど、ほぼ相手の距離感だった」と森監督。強いられる守備の時間。
33分は久留総の決定機。後藤のパスを白井はダイレクトで裏へ。走った朝倉のシュートは長島が懸命にファインセーブで応酬し、こぼれを狙った小島のシュートは枠の右へ逸れましたが、次の歓喜もやはり水色。36分に大畑が右へ絶妙のパスを通し、永井が縦に持ち出して上げたクロスは、GKを越えて中央へ。ここで待っていたのは3番を背負うストライカーの朝倉。「3点入ったけど、もっと流れの中で確実に点が取れて、前半で勝負が決まっていなくてないけない内容だったと思う」と齋藤監督も話した通り、久留総がサイドアタックを中心に主導権を握った最初の45分間は、2点差が付いてハーフタイムへ入りました。


後半はスタートから東実が2枚替え。「サイドバックの所にプレッシャーが行けていなかったし、相手が縦に早いので」(森監督)、小澤純(3年・品川荏原第一中)と守川に替えて、栗田マーク(2年・東京ベイFC)と赤松尚斗(2年・プロメテウスEC)を送り込み、少しシステムもいじりながら「選手と選手の距離感を短くして、セカンドを拾って」(同)という形を再度徹底しに掛かります。
すると、東実が引き寄せたゲームリズム。51分に前田が右から狙ったミドルは長江のファインセーブに阻まれましたが、直後のCKを宮田が蹴ると、前田が頭で残して境が叩いたシュートはDFがブロック。57分にも宮田が右へスルーパスを送り、抜け出し掛けた前田には久留総ディフェンスもきっちり対応しましたが、「後半の立ち上がりはうまくハマったなと。システム変更がうまくいったなという感じ」と森監督。ペースは完全に反転。
58分に右から野口優人が投げ入れたロングスローはDFのクリアに遭ったものの、59分にも決定的なチャンス。宮田が左から入れたFKの流れで、藤本一輝(3年・大田雪谷中)が枠へ飛ばしたミドルは、齋藤監督も「指示の面でも的確に声を出せるようになってきた」と認める長江のファインセーブで弾き出されましたが、惜しいシーンを。直後の右CKはトリック気味。宮田がマイナス気味にグラウンダーで蹴り入れ、走り込んだ安藤雄祐(2年・フレンドリー)のシュートはDFがブロック。一転、久留総のカウンターは朝倉が運び、大畑がシュートまで持ち込むもDFが飛び込んでブロック。3点目は許しません。
63分も東実。右から宮田が蹴り込んだCKは中央でDFがクリア。65分も東実。右から野口優人が放り込んだロングスローを前田が粘って収め、やや厳しい体勢から打ち切ったボレーはDFに当たって長江にキャッチされましたが、「前田がいないと収まり所がないかなというのはある」と森監督が話せば、「あの9番は素晴らしいですね。個としてボールを持てるし、反転力にパワーに運動量と、あれは見習うべきですよね」と敵将の齋藤監督も言及した前田が、東実の攻撃を牽引していきます。
「セカンドボールをまた拾われて、またという所で、何かが起きるような可能性もあって、相手の足も止まらずにそれを続けられたのでちょっと後半は苦しかった」と齋藤監督も振り返った久留総は、時折カウンター気味に攻め込むシーンでも「クロスを相手に当てるだとか、シュートをミスるだとか」(齋藤監督)が続出。72分にはCBの工藤勝哉(3年・ジェファFC)が右へ展開したボールを、永井が中央へ折り返し、ニアで今村優太(3年・三菱養和巣鴨JY)が縦に持ち出して上げたクロスを、小島がボレーで合わせるも枠の左へ。ゲームを決め切れません。
77分には双方に交替が。東実は藤本に替えて、優人と双子の野口優斗(3年・郁文館中)を投入。久留総は今村と鈴木海輔(3年・JACPA東京FC)を入れ替え、前線の顔触れに変化を。それでも手数は東実。80分には安藤がパスカットからそのまま持ち上がり、栗田のクロスがこぼれると、宮田が放ったボレーはクロスバーの上へ。81分にも中央で赤松が競り勝ち、前田が強引に打ち込んだボレーは枠の左へ。「後半相手が落ちると思ったんだけど、頑張れるチームですね」とは齋藤監督。次の1点は果たしてどちらへ。
伝統のサイドアタックが呼び込んだのは4点目。83分、右サイドでボールを持った鈴木は縦へスルーパス。前線へポジションを移していた永井が抜け出し、中央へ折り返したボールを丁寧にプッシュしたのは朝倉。後藤に続いて、朝倉も貫禄のドッピエッタで勝負あり。最後は終盤に入った西岡祥樹(3年・JACPA東京FC)と古屋寛大(3年・練馬FC U-15)もきっちりクローズに貢献した久留総が勝ち点3を獲得し、首位の多摩大目黒に1ポイント差まで迫る結果となりました。


「チームのサッカーの質としては、65点とか70点くらいのゲームだったかな」と齋藤監督も総括した久留総は、それでも各ポジションにタレントを有しており、やはり今年の東京の中でもかなりの実力校といった印象は変わりません。中でも今日も2ゴールを決めた後藤は、レフティということもあって目を惹く存在。川島將や米倉翼の系譜を継ぐ大型左サイドバックの左足には、是非注目してみて下さい。
昨年の躍進を受けて、「もう西が丘に行くことが当たり前みたいな感じには思って入った」(森監督)今シーズンは、関東大会予選で初戦敗退を経験すると、インターハイ予選でも支部予選で涙を飲むなど、「そんな甘いもんじゃないなということ」(同)を突き付けられたという東実ですが、チームが掲げる目標や全体のベース自体が確実に上がっているのは間違いありません。指揮官が「頑張れば行けるんだという所」と表現した部分は、苦しい時に必ず活きてくる昨年のチームの大きな遺産。"実業"唯一の生き残りとして挑む来月4日からの選手権予選でも、その部分を拠り所にした熱いゲームを期待したいと思います。       土屋

  • Line