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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。
お互いに15試合で積み上げた勝ち点はまったく同じ13。9位に8位とリーグ戦では苦戦が続く名門同士の木曜ナイトゲームは大井第二です。
先週土曜日に開催された選手権予選では粘る都立大泉の前に大苦戦。最後はPK戦の末に勝利を収め、東京3連覇への行進は継続されることとなった修徳。リーグ戦ではここまで4勝1分け10敗の9位と黒星が大きく先行しており、来年度の残留を考える上でも、このゲームを落とすわけにはいきません。
インターハイでは前年度全国ベスト16の國學院久我山を撃破し、ベスト4まで堂々躍進した国士舘。選手権予選はシードのため、先週末のゲームはなし。ただ、「Tリーグでは勝ち切れない甘さがずっとある」と上野晃慈監督も話したように、こちらもリーグ戦ではわずかに3勝の8位と難しい状況を強いられており、やはりT2に残留するためにも、同勝ち点のライバルからは確実に勝ち点を奪っておきたい一戦です。2日ぶりの大井にはいつもと変わらない光景が。いわゆる"シックスポインター"は国士舘のキックオフでスタートしました。
先制パンチは4分の国士舘。右から林克憲(3年・三菱養和調布JY)が蹴り込んだFKにCBの丸山拓海(3年・西東京田無第四中)が競り勝つと、こぼれに山田武蔵(3年・FC E'XITO YOKOHAMA)が素早く反応。落ち着いてゴールネットへ流し込みます。10番を背負った真紅の武蔵がいきなりの一太刀。国士舘が開始早々にスコアを動かしました。
以降もゲームリズムはロングボールとサイドアタックを中心に、前への圧力で上回った国士館。13分には左SBの篠生健人(2年・東京ベイFC U-15)が速いボールでアーリークロスを放り込み、抜けたボールに合わせた山田のシュートはDFがブロック。直後に林が入れた右CKはDFのクリアに遭いましたが、15分にも小松研貴(3年・FCトリプレッタ)が右足アウトで左の縦に付け、小山健太(3年・BANFF横浜ベイ)のシュートは枠の右へ外れたものの、攻勢が続きます。
すると、次のゴールも世田谷の赤。19分、左サイドで獲得したFKを林が中央へ蹴り入れると、密集を抜けたボールをGKがファンブルしてしまい、そのままゴールへ転がり込みます。スタンドも一瞬リアクションが遅れるような意外なシーンでしたが、正真正銘ゴールはゴール。3年生ボランチの直接FKで点差が広がりました。
さて、22分にも左サイドで粘った佐々木寛太(3年・十条FC)が枠こそ外れたものの、果敢なミドルを繰り出すなど、「今日は前半はもう0-0でしっかり守るぞという所で、立ち上がりからうまく入れた」(上野監督)国士舘に押し込まれる時間の長い修徳。24分には1トップに抜擢された佐藤颯(1年・江東東深沢中)が左へ流すと、宮腰一生(3年・江東大島西中)ドリブルシュートは枠の右へ外れましたが、これがようやく生まれたファーストシュート。攻撃への糸口をなかなか掴めません。
34分も国士舘。林の左CKはシュートまで繋がらず。37分も国士舘。篠生の右FKはゴール前でバウンドして、前半途中から投入された修徳のGK砂川紘一(2年・三郷JR)にキャッチされましたが、「小山がよく前線でディフェンスを頑張ってくれて、ファーストがしっかり決まったので、中盤から後ろは引っ掛けやすかったというのはあったと思う」と振り返った通り、小山の献身的なディフェンスに後方も呼応する形で、守備面でもほとんど破綻のなかった国士舘が、2点のアドバンテージを握ってハーフタイムへ入りました。
後半はスタートから動いた岩本慎二郎監督。こちらも1年生ながらスタメン抜擢となった石川知捻(1年・柏光が丘中)を下げて、和田裕太(2年・三郷JR)を左SBへ投入。CBの河野哲志(3年・ナサロット)を最前線に上げるおなじみの采配で、2点のビハインドを跳ね返すための追撃態勢を整えます。
50分にはようやく修徳に綺麗な崩しの形が。河野が前線でしっかり基点を創って左へ展開。宮腰が縦に持ち出しながらクロスを送ると、飛び込んだ小野寺湧紀(3年・荒川第五中)はわずかに届かなかったものの、この試合で初めて漂ったゴールへの香り。河野のポストプレー、宮腰の突破力、小野寺の嗅覚と、それぞれの持ち味がシンクロしたシーンでした。
とはいえ、国士舘も「本質的にしっかり守って」(上野監督)というテーマがある中で、その指揮官も「夏場で中盤とかサイドバックの子が少し伸びてきたので、中盤とか持てる所があったと思う」と手応えを。53分の左CKと56分の左FKはシュートまで繋がりませんでしたが、62分にキャプテンマークを巻いた与那原大介(3年・川崎宮前平中)が蹴った右CKは丸山にピッタリ合い、ヘディングは砂川にキャッチされるもフィニッシュまで。63分にも右サイドから雁林拓馬(3年・Forza'02)がロングスローでゴール前を襲うなど、相手のハイサイドを取ることで、セットプレーのチャンスを連続して創り出します。
そして、やはり追加点はセットプレーから。67分は左サイドで奪ったこの日5本目のCK。林が左から入れた鋭いボールに、丸山はさすがの打点でヘッド。この軌道に反応した山田も頭に当てると、DFに当たったボールはゴールの中に転がり込みます。公式記録はオウンゴールの可能性もありますが、あのポジションを取っていた時点で勝負あり。山田のドッピエッタで国士舘がさらなるリードを手にしました。
67分に佐藤と雪江悠人(3年・三郷JR)を入れ替えていたものの、直後の失点で大きなビハインドを負った修徳。70分には雪江が得意のロングスローを左から投げ込むも、DFがしっかりクリア。同じく70分に小野寺が右から蹴ったFKもDFのクリアに遭うと、72分には相手のミスパスを高い位置で拾った河野が左へ振り分け、宮腰のクロスはファーまで届くも、歩幅の合わなかった雪江はシュートを打ち切れず。どうしても1点が奪えません。
74分にはすべてのゴールに絡んだ林に替えて、「ここの所は練習の姿勢も凄く良い」(上野監督)という細田晃輝(2年・三菱養和調布JY)を送り込んだ国士館は、4点目への意欲も明確に。75分には1本のロングフィードを小松が落とし、篠生のダイレクトシュートは枠の上へ外れましたが、77分に和田のパスから雪江が抜け出した修徳の決定機も、国士舘のGK名古屋日路(3年・三菱養和調布JY)がファインセーブで仁王立ち。「ウチは決して派手なことは本当にできない」とは上野監督ですが、着々と勝利に向けて1人1人が役割を全うすることで、さらに集中力の高まる11人。
82分には佐々木と川浪京太郎(2年・三菱養和調布JY)をスイッチして、前線の顔触れに変化を加えると、84分には山田が左サイドを30m近くドリブルで運び、放ったシュートはクロスバーを越えたものの、あわやハットトリックという山田の積極性は特筆モノ。「基本的にはちゃんと頑張る、やって欲しいことができる子を選んでいるつもり」という上野監督は86分に合田洋介(2年・FC豊二)、88分に金子敦也(3年・FC台東)をピッチへ解き放ち、試合を閉めに掛かります。
90分には修徳に1点を返すチャンス。河野がタメを創り、抜け出した雪江が追走していたDFともつれて倒れると、主審はPKを指示します。キッカーは10番を託されたキャプテンの小野寺。短い助走から蹴ったボールは、しかしまさかの枠外。「最後のPKに繋がった1本はちょっともったいないですけど、それ以外は良くやってくれたと思います」と上野監督も評価した国士舘が快勝を収め、大きな勝ち点3を積み上げる結果となりました。
ことあるごとに「僕らは強いと思っていないので、やることは変わらない」と繰り返し語る上野監督。インターハイでの躍進も「中学校の時に実績のある子たちに対して、地味でもコツコツやって勝負という所で、自分たちが駒を進めていけたというのは自信にはなったと思うんですけど」と前置きしながら、「夏とかは『ふざけんな』の繰り返しで。『強くない』『勘違いするな』『たまたまだぞ』という所で、『選手権が本当に大事だぞ』とずっと言い続けてます。ウチは強くないので」とやはりその部分を強調。ただ、「本質的な部分をもう1回見直すということで、意識が変わったなとは思う」という感触も口にされていました。試合後、真っ先に上野監督が応援団に向かって大声で言ったのは「今日は何を相手に負けないって言ったんだ?」という一言。その真意を問うと、「前回の対戦時はウチのホームゲームだったのに、試合後は人数の少ない修徳の選手たちがちゃんと掃除をして帰っていったんです。そういう所がやっぱり伝統校の凄い所で、試合に勝つ負けるよりも、まずはそういう所からしっかりやろうというのは今一番やっている所。結局そういう所をこの3年間はキチッとやらせたい」とのこと。この日は国士舘の選手たちもしっかり掃除を終えて、会場を後にしていきました。「もうワンランク行くためにそういう所かなというのはいつも感じている所。それができるかできないかだと思う」という上野監督の教えが、着実に浸透していることを感じさせるようなワンシーンでした。 土屋
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