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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

Jリーグレポート 2014年09月30日

J2第34節 京都×横浜FC@西京極

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0928kyoto.jpg両者の勝ち点差はわずかに1。9位と10位が生き残りを掛けてポイントを奪い合う重要な90分間は、おなじみ古都の要塞・西京極です。
地元出身の川勝良一監督が就任したのは、シーズン途中の6月末。それからリーグ戦初勝利までには3試合を要したものの、以降は4連続引き分けを含む7戦無敗など、負けにくいチームになりつつある京都。とはいえ、昇格プレーオフ圏内の少し下というポジションからはなかなか脱却できない時間が続いており、内容では上回った前節の湘南戦の勢いを盾に、ラストスパートへのキッカケを掴むための90分間に臨みます。
3連敗に続いて4連敗。夏前まではまったくと言っていいほど結果がついて来ず、一時は20位まで順位を下げた横浜FC。18節からの4試合連続ドローを好転させたのは、岐阜相手に勝ち切った22節の勝ち点3。そこから怒涛の14戦負けなしで順位も10位までジャンプアップ。大逆転での昇格プレーオフ進出を引き寄せるためにも、アウェイでの勝ち点3はマストです。日中こそかなりの暑さを感じたものの、試合前には気温も22.6度と絶好のコンディション。お互いにとってシーズンのキーゲームとも言うべき一戦は、京都のキックオフでスタートしました。


開始3分のファーストシュートは得点ランクトップのストライカー。工藤浩平からパスを受けた大黒将志は、エリア外から果敢なミドル。ボールはクロスバーの上を越えたものの、打てるなら打とうという姿勢はやはり大黒。9分に田中英雄が左から蹴ったCKは、ファーへ走り込んだ田森大己がわずかに触れませんでしたが、10分にも左SBの福村貴幸がクロスを放り込むと、工藤のフリックを駒井善成が枠の右へ外れるボレーまで。まずは「前節で躍動感や攻守のスピードをだいぶ戻せた」と川勝監督も話した勢いの継続で、京都が手数を繰り出します。
ただ、「あんなに蹴ってくるとは思わなかった」と南雄太と松下裕樹が声を揃えたように、京都が比較的シンプルに長いボールを蹴ったことで、同様にパク・ソンホというターゲットへのフィードを多用した横浜とお互い蹴り合うような格好に。13分にはそのパク・ソンホが倒されて獲得したFKを、ゴールまで約30mの位置から松下年宏が直接狙ったキックは枠の上へ。20分にも右から松下年宏が蹴り込んだFKは、DFがきっちりクリア。「前半の入り方もそんなに悪くなかった」(川勝監督)「ゲームも良い入り方をしたし、前半なんかは非常に良かった」(山口監督)と両指揮官も認める中で、流れの中からフィニッシュへは双方辿り着きません。
突然動いたスコア。23分、寺田紳一を起点に小池純輝が左へ振り分けると、上がってきた中島崇典は速いクロスを中へ。このボールへマーカーと競り合いながらニアへ突っ込んだ松下年宏の頭に当たったボールは、ゴール左スミへ吸い込まれます。唐突な先制弾に一瞬静寂が訪れ、一拍あってから歓喜に沸いたアウェイゴール裏。「今日はトップに近い位置で、前節も途中からあそこをやって非常にポイントになっていた」と山口監督も評した"ワンちゃん"の一撃で、横浜が1点のリードを奪いました。
以降も大きく流れは変わらず膠着。24分は京都。大黒のポストを受け、飛び出しかけた工藤は1つドリブルが大きくなり、飛び出した横浜のGK南雄太がキャッチ。30分も京都。左サイドから田中が中へ付け、大黒のパスはアンカーの位置から駆け上がってきた田森もわずかに届かず。34分は横浜。右サイドで松下年宏が縦に送り、寺田の折り返しをパク・ソンホがダイレクトで狙うもDFがブロック。37分は京都。田中、中山博貴、駒井と細かく回し、福村の左クロスは南がパンチングで回避。お互いに増えないシュート数。
「何もない所から」(山口監督)の同点弾で走った衝撃。45+1分、右CKの流れからキッカーの石櫃洋祐の所へボールが戻ると、「一番いい時間帯にいい勝負をして、いいボールを入れてくれた」と川勝監督も賞賛したクロスを粘って中へ。このボールをニアサイドへ潜った大黒は右足でソフトタッチ。柔らかい軌道はGKの頭上を破り、そのままゴールネットへ到達します。そのアイデアと実行力は間違いなくワールドクラス。大黒のシーズン22ゴール目はとんでもないゴラッソ。最高の時間帯で京都が追い付き、前半の45分間は終了しました。


ハーフタイムを挟んでも流れは京都へ。47分に石櫃が右から蹴ったCKはDFにクリアされますが、49分に駒井の突破から獲得した左FKを石櫃が入れると、こぼれを田森が叩いたシュートは南がキャッチしたものの、好トライ。51分には横浜も松下裕樹が35m近い距離からのFKを直接狙うも、ボールは枠の左へ。西京極を包み始めた期待感。
53分の熱狂。相手のパスが流れたボールを、CBの酒井隆介が右足アウトで縦に出すと、受けた駒井の前へ一気に開けた視界。「相手のラインがバラバラだったので、背後で勝負しようと決めていた」7番が、少し中へ持ち出しながら思い切って放ったシュートはGKの正面を突きますが、「たぶんシュートミスでシャンクした」と振り返った南は想定外の軌道を弾き切れず、ボールはゴールネットへゆっくりと収まります。「一番点を取らせたい内の1人」と指揮官も言及した駒井の、なんと今シーズン初ゴールは貴重な逆転弾。スコアが引っ繰り返りました。
ビハインドを追い掛けることになった横浜は56分に1人目の交替を。小野瀬康介を下げて、黒津勝をパク・ソンホと前線に並べ、松下年宏を右SHへスライドさせる4-4-2にシフトして同点を狙いますが、やや2トップの距離感も遠く、攻撃の形を創り切れず。66分の右FK、71分の左CK、77分の右FKといずれも松下年宏が蹴ったセットプレーもフィニッシュには至らず、流れの中からは1本のシュートも打てないまま、ゲームは最終盤の攻防へ。
78分には2つの大きなシーンが。京都は石櫃が右FKを縦にグラウンダーで流し、駒井が相手ともつれたボールを石櫃がかっさらってクロス。大黒と競った佐藤謙介にボールが当たるとゴール方向へ転がりましたが、ここは佐藤が倒れながらも自ら懸命にライン上で掻き出し、ノーゴールの判定に。一転、カウンターから黒津が前へ付けたボールを寺田が受けると、寄せた工藤のプレスで転倒。すると、井上知大主審はこのファウルにイエローカードを提示。51分にも1枚もらっていた工藤は退場となってしまい、京都は10人での戦いを余儀なくされてしまいます。
畳み掛けたい横浜。81分には野上結貴が左へ展開し、中島のクロスを小池が頭で折り返すも、京都のGKオ・スンフンがキャッチ。82分にも寺田が左へ振り分け、中島がマイナスに折り返したボールを松下年宏が狙うも、DFが何とかブロック。直後には山口監督も中島と野崎陽介を入れ替え、3-1-4-2気味の布陣でさらに前への迫力を。
84分に動いた川勝監督。田中とスイッチしたのは、これがJ2デビューとなる高橋祐治。「あの時間帯でも全然緊張するような性格でもない」と指揮官はその高橋を右SBへ送り込み、石櫃をSHへ一列上げて、「外は捨てて中の対応に絞る」守り方を徹底することで、勝ち点3への執念をピッチへ注ぎ込みます。
86分は横浜。松下年宏の右CKはオフェンスファウルに。87分も横浜。寺田のパスから、野崎が枠に収めたミドルはオ・スンフンが丁寧にキャッチ。88分も横浜。寺田が左へ展した流れから、野崎が縦に鋭く持ち出してクロスを送るも、黒津はシュートを打ち切れず。山口監督も「相手選手も退場したし、後ろは2バックくらいでいいなと」88分に佐藤と永田拓也も入れ替え、最後の勝負に。
90+1分は京都。大黒が左サイドをスルスルと抜け出し、中央へ送ったボールを駒井が待ち受けるも、ここは寺田が捨て身のタックルで掻き出して何とか望みを繋ぐと、90+4分のラストチャンスは横浜。永田が左から中へ送ったボールを野崎が拾い、密集を前にしながらも狙いすまして右スミを狙ったシュートは、ややDFのブラインドでボールが見えにくかったはずのオ・スンフンがファインセーブで立ちはだかり、直後に西京極へ鳴り響いたタイムアップのホイッスル。「タフなゲームだったけど、退場者が出た時間から徹底して4-4-1で、最後の危ない所はオーちゃんがよく防いでくれた。ここ2試合は全員がよく走り切っている」と川勝監督も手応えを口にした京都が粘り強い戦い方で、今後へ向けて大きな勝ち点3を積み上げる結果となりました。


「トレーニングの成果をリーグ戦で出し尽くすという所で、残り試合全部行きたいということを選手がよく実践してくれた」と川勝監督が話した京都は、この重要な一戦でなかなかチャンスを創り出せない中でもきっちり2ゴールを奪い切ったあたりに、2シーズン連続で3位に入っている底力を感じます。10人になってからも「ウチは徹底しているようで攻撃に出ようという意欲もあるが、そこをいかに抑えるかという本当に微妙な所」(川勝監督)も中山や田森を中心にしっかりコントロールして逃げ切りに成功。昇格プレーオフ圏内までの勝ち点差は2。残りは8試合。古都の紫がラストスパートに入りました。
「勝ち点3が取れなかったので、非常に悔しい敗戦であるのは間違いない」と山口監督が振り返った横浜は、これで4試合未勝利に。「1度流れが来なくなるとこういうことはある」と南も話したように、この停滞はここまでの勢いを削ぎかねない状況ではあるものの、試合後の選手たちの様子を見ると既に切り替えは済んでいる様子でした。経験豊富な南は「すべては残り5試合。そこも含めて何があるかわからないから、自分たちがしっかりやるだけ」とキッパリ。20位からの大逆襲に終止符を自ら打ってしまうつもりは、まだまだ毛頭ありません。          土屋

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