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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2014年09月16日

高校選手権東京B1回戦 都立東久留米総合×多摩大目黒@東久留米総合G

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0915kuruso.jpg1回戦屈指の好カードはT2の首位を争っている実力者同士の対峙。都立東久留米総合と多摩大目黒の今シーズン3回目となる激突は、東久留米総合グラウンドです。
2月のT2開幕時から好調をキープし、リーグ戦では14試合を消化してわずかに1敗と、素晴らしい成績を叩き出している都立東久留米総合。ただ、トーナメントコンペティションは関東大会予選こそベスト4まで勝ち上がったものの、インターハイ予選は東京朝鮮に競り負け、悔しい1次トーナメント敗退を経験。「指導者がこんなこと言っちゃいけないのかもしれないけど、ウチは本当に力があると思う」という齋藤登監督の手応えを証明すべく、3年ぶりの東京制覇を目指します。
一方、こちらもT2開幕から5連勝を含む7戦負けなしを記録。久留総同様にここまでの14試合でわずかに1敗と、東京中の各校からマークされる存在となった多摩大目黒。そんな中、こちらも関東大会予選は2回戦で優勝した都立駒場に延長で敗れ、インターハイ予選は2次トーナメントの初戦でベスト4に入った国士舘に1-2で惜敗するなど、トーナメントコンペティションでの結果が欲しい所。「やりたいサッカーもリーグを通じてできていたし、本当に理想通りに来ていたので手応えはある」とは塩川岳人監督。狙うのは頂。もちろん東京制覇です。なお、両者の今シーズンにおけるリーグ対戦成績は多摩目の1勝1分け。これで真の勝敗が決まる、正真正銘の最終決戦はぐるりとピッチの周りを観衆が取り囲む中、久留総のキックオフでスタートしました。


お互いに硬さもあってか、やや慎重に入ったゲームは動きの少ない立ち上がりに。2分には多摩目が左サイドで獲得したFKを廣田雄哉(3年・S.C相模原)が蹴り入れるも、そのままゴールキックへ。10分にも多摩目の右CKを西克仁(3年・大豆戸FC)が蹴り込むも、シュートには至らず。同じく10分は久留総の右FK。CBの柴田寛生(3年・三菱養和調布JY)が長い球足で送り込んだFKは中央でオフェンスファウルに。どちらのセットプレーもフィニッシュには繋がりません。
11分には久留総にファーストシュート。前線で今村優太(3年・三菱養和巣鴨JY)が確実にタメを生み出し、受けた白井穂(3年・Forza'02)が巧みな反転から密集を抜け出すと、ミドルレンジから狙ったシュートは枠の右へ外れるも好トライ。14分にも小島樹(3年・あきる野FC U-15)のドリブルがCKを呼び込み、左からキャプテンの大畑和樹(3年・三菱養和調布JY)が放ったボールはファーへ流れ、今村は触り切れませんでしたが、少しずつ出し掛ける手数。
ただ、「今日はコンパクトフィールドの形成が攻守共にキーポイントだという話はしたんだけど、自らがロングボールを蹴り続けて、自らで間延びするような状況を作っちゃった」と齋藤監督が話したように、少し長いボールが増えていった久留総に対して、徐々に多摩目のパスワークが機能し始め、18分には井上衛(3年・川崎南加瀬中)、堀越大蔵(3年・多摩大目黒中)、辻川嵩人(3年・多摩大目黒中)と細かくパスが回り、赤坂敦也(3年・府ロクJY)のシュートはDFにブロックされたものの、「前に2、3枚個で持っていける力も持っている」と敵将も言及した多摩目のアタックに漂う可能性。
21分は久留総。白井を起点に永井恒輝(3年・AZ'86東京青梅)が右へ振り分け、朝倉一寿(3年・練馬FC U-15)のクロスに今村が飛び込むも、ここは多摩目のCB小山義隆(3年・多摩大目黒中)がきっちりクリア。23分も久留総。柴田がFKを素早く縦に付け、右サイドを縦に持ち出した永井のクロスは、朝倉が強引にスコーピオンで合わせるも、高く上がったボールは多摩目のGK野上光(3年・多摩大目黒中)がキャッチ。25分は逆に多摩目がビッグチャンスを。小山はインターセプトからそのまま前へ駆け上がり、こぼれを再び拾った小山の右クロスから、ニアに突っ込んだ小池寿茉(3年・川崎西中原中)のヘディングはわずかに枠の左へ外れるも、あわや先制点という場面にどよめく観衆。
以降はやや久留総ペースでゲームは推移。28分には左から大畑が連続してCKを蹴り込み、共にクリアに遭いましたがゴール前への脅威を。31分にも朝倉の左クロスを今村が浮かせてコントロールするも、小山がブロックして野上がキャッチ。33分にも右サイドで永井のスローインから、抜け出し掛けた今村へは小山がうまくカバーしてクリア。「CBの2枚は相当良かった」と齋藤監督も話した多摩目CBコンビ、とりわけ小山の存在感は絶大で、危ない場面を1つずつ的確に潰していきます。
35分には多摩目に久々のチャンス。10番を背負う石井亮佑(3年・FCトリプレッタ)、小池とボールを回し、堀越が1人外して打ち切ったシュートは、DFに当たって枠の左へ外れたものの、スムーズなパスワークからフィニッシュを取ると、「自分たちがやってきた成果」と塩川監督も胸を張ったシーンは2分後。
37分、ここも中央でボールを丁寧に繋いだ多摩目は一気にテンポアップ。CBの廣田が右へダイレクトで送り、辻川もダイレクトで左へ出すと、ここに走り込んでいたのは堀越。GKとの1対1も冷静に。左スミへ流し込んだボールは、確実にゴールネットへ吸い込まれます。「あの1点目は"オーバー"という形で、ああいうのも全部イチから叩き込んできた」と指揮官も口にした完璧な形が、「こんな大きな舞台」(塩川監督)で結実。40分に永井の右クロスから、今村がニアで合わせたヘディングも枠の右へ外れ、全体的には久留総がゲームリズムを握っていたものの、多摩目が1点をリードして最初の40分間は終了しました。


後半に入って先にチャンスを掴んだのはアウェイチーム。45分、辻川が左へ付けたパスから、堀越は1人かわしてカットインしながらシュートを放つも、体を投げ出した後藤勇也(3年・クリアージュFC)がブロックしたボールは、久留総のGK長江涼(3年・青梅第三中)がキャッチすると、このワンプレーで入ったスイッチ。
48分は久留総。後藤が左へ流し、小島がサイドをえぐり切って折り返し、朝倉のシュートはヒットせずに野上がキャッチしたものの、完全に崩した形を創出すると、50分にはここも小島がシュートを打ち切り、小山が懸命に体でブロック。52分は右サイド。SBの川村涼太(2年・FC府中)のパスから、永井は中へ潜って左へ送り、小島のシュートは枠の右へ。55分は左サイド。後藤が投げたスローインの流れから、朝倉が枠へ収めたミドルは野上がキャッチしましたが、「オーバーラップなどを使って、2対1を形成してサイド突破ということは常にやっているので、特に狙えということじゃなくてウチのサッカーがああいう形」と齋藤監督が口にした通り、これが久留総伝統のサイドアタック。
結実の時は56分の左サイド。3列目から上がってきた大畑がはたき、小島がシンプルに返すと、ポッカリ空いたスペースで前を向いた大畑は、1人かわしてそのままシュート。少し当たり損ねたものの、「ショボショボシュートだったけどコースが良かった」と指揮官も笑ったボールはゆっくりとゴール左スミへ飛び込みます。会場沸騰。ベンチ前に広がった歓喜の輪。スコアは振り出しに引き戻されました。
流れは完全にホームチームへ。57分も久留総。後藤のパスを引き出した大畑は、ワンフェイクで右へ持ち出し、右足を振り抜くとボールは右ポストを直撃。61分も久留総。右サイドでボールを持った永井が縦に転がし、走った今村のシュートは食らい付いた小山がタックルで回避。62分も久留総。右CKを大畑がショートで蹴り出し、白井のクロスは野上がキャッチしましたが、「少しハーフタイムに修正をしたら、コンパクトは維持できて、攻撃もボールを持てて崩せて、だからこそ守備も安定してきた」と齋藤監督。押し切りたい攻勢の時間帯。
「中盤と前線の真ん中でボールを支配できなかった」と塩川監督が劣勢の要因に言及した多摩目も、65分には"らしさ"を。8分前に左SBへ投入された金城英也(3年・多摩大目黒中)、赤坂、堀越、辻川とスムーズに短いパスが繋がり、堀越が倒されて獲得したFKは中央右寄り、ゴールまで約25m。スポットに立った金城が直接狙ったキックはカベに阻まれたものの、久々の好アタックで探りたい反撃の糸口。
69分に永井のパスを川村が右クロスに変え、今村へわずかに合わなかったシーンを見届けると、齋藤監督も70分に1人目の交替を決断。朝倉に替えて保池瑶(3年・三菱養和調布JY)をそのまま前線に送り込み、アタッカー陣へと新たなパワーを注入して、いよいよ最後の10分間へ。
72分は多摩目。赤坂がヘディングで繋ぎ、堀越のリターンをもらった辻川が抜け出しかけるも、久留総の最終ラインを束ねる野田竜太(3年・杉並アヤックス)が力強くクリア。塩川監督も73分にボランチの井上と竹下聖真(3年・インテリオールFC)をスイッチすると、直後も多摩目。堀越の右CKを辻川が頭で合わせるも、久留総ディフェンスが人垣でブロック。74分も多摩目。石井の浮き球パスを堀越が収めかけるも、ここはよく戻った永井がスイープ。多摩目もこの最終盤で勝利への執念を存分に押し出します。
78分は久留総。大畑の右CKを柴田が頭で落とし、野田がスライディングしながら枠へ飛ばしたシュートは、野上がファインキャッチで応酬。80分も久留総。後藤のパスから保池が狙ったシュートはDFが飛び込み、野上がキャッチ。80+3分は多摩目。金城のFKを小山が頭で残すも、堀越はシュートまで持ち込めず。80+4分は久留総。柴田のFKがこぼれ、保池が打ち切ったミドルは大きくクロスバーの上へ。追加された5分間のアディショナルタイムでもゴールは生まれず、激しい熱戦は前後半10分ずつのエクストラタイムで決着を付けることになりました。


魂の籠もった双方の円陣が解け、多摩目のキックオフでスタートした延長前半は、やはり久留総に勢い。82分、川村との連携から永井が入れたクロスを、ボレーで合わせた小島の決定的なシュートはクロスバーの上へ。83分にはそのシュートシーンで足が攣った小島と川上翔(3年・Forza'02)を入れ替えると、85分にはその川上が躍動。左サイドであえて2人のDFの間をドリブルでぶち抜き、放ったシュートは後半の終盤から多摩目のCBに入っていた杉崎文哉(3年・横河武蔵野FC JY)が果敢にブロックしますが、水色の躍動感がピッチを支配します。
88分に訪れた狂喜の解放。「相手の11番に中盤を支配された」と塩川監督も認めた白井の縦パスを、今村はヒールでフリック。斜めに走り込んでいた永井の目の前にはGKとゴールのみ。見極め、見極め、丁寧に転がしたボールは、静かに静かにゴールネットへ到達します。「永井にしても小島にしてもサイドに張りっぱなしじゃなくて中に入ってプレーができる選手なので、ああいう変化が持てるというのが今年のチームの良い所」と齋藤監督も評価した、永井の"中"で勝負あり。とうとう久留総がスコアを引っ繰り返しました。
延長に入って、このゲームで初めてリードを許した多摩目は、90分に右SBで奮闘した高畠彪(3年・川崎菅生中)と冨樫諒(3年・川崎犬蔵中)をスイッチ。直後のCKを左から堀越が蹴り込み、ファーで舞った小山のヘディングはゴールネットを揺らすも、ボールが収まったのはサイドネットの外側。残すはわずかに10分間のみ。
91分は多摩目。左サイドから金城が投げ入れたロングスローは、何とかディフェンスがクリア。93分も多摩目。竹下が右へ展開したボールを冨樫が放り込むと、堀越が密集から頭に当てるも、こぼれは長江がキャッチ。96分も多摩目。金城の左ロングスローに、小池、赤坂、辻川の3人が殺到するも、長江が丁寧にキャッチ。96分は久留総。川上が放ったシュートは野上が懸命にキャッチ。勝敗の行方は果たして。
99分は多摩目に到来した最後の決定的なチャンス。ゴール前への迫力を持ったアタックから、辻川が残したボールを石井は左へラストパス。キャプテンマークを巻いた堀越は、飛び出した長江を外そうと1つ持ち替えるも、長江は必死に食らい付き、シュートは打ち切れずに久留総ディフェンスが掻き出すと、程なくして迎えたタイムアップのホイッスル。「勝てて良かったです」と齋藤監督も安堵の表情を浮かべた久留総が、延長戦での逆転劇で2回戦への切符を奪い取る結果となりました。


双方が死力を尽くした壮絶な100分間でした。最後は「後半からは75点から80点くらいのサッカーはできたんじゃないかな」と齋藤監督も一定の評価を与えた久留総が勝ち切ったものの、多摩目もT2首位という立場に恥じないような、素晴らしいパフォーマンスを最後の最後まで見せてくれたと思います。高校時代は静岡学園で選手権全国制覇を成し遂げている塩川監督は、「名もないチームから静岡学園に入って、当時はまだアマチュアチームだったモンテディオ山形に入りながら、そういう所から這い上がって行ったように、僕自身が雑草で育ってきたので、そういう子を見つけて指導している」とのこと。特に今年の3年生はコーチ時代から3年間見続けてきた選手たちであり、「そういう中でもやっぱりアプローチの仕方次第で伸びるんだなというのは、今の3年生を通してわかったことですかね」とも。「3年間ずっと自分のやってきたノウハウを教えてきた」という多摩目の3年生の選手権は、恩師に「彼らでもちゃんとやればできるんだっていう手応え」を確かに残して、静かに幕を閉じました。       土屋

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