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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2014年09月01日

プリンス関西第12節 履正社×大阪産業大附属@J-GREEN堺

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0831sakai.jpg揃って首位と3ポイント差。関西の頂点を狙う大阪の強豪同士が激突する晩夏の好カードは、大阪・J-GREEN堺です。
昨年は初出場となった高校選手権で国立一歩手前のベスト8まで躍進し、全国にその名を轟かせた履正社。安田拡斗(2年・ガンバ大阪JY)、牧野寛太(2年・ガンバ大阪JY)、林大地(2年・ガンバ大阪)など、その全国を経験したメンバーも多数残っており、このプリンスでも序盤こそ苦しんだものの、現在は怒涛の7連勝中。この勢いを駆って、最初の対戦で0-5と完敗を喫した相手にリベンジを果たし、リーグテーブルの一番上を射程圏内に収めたい一戦です。
対するはここまでなんと6試合で5ゴール以上を奪い、総得点はリーグでもぶっちぎりの47得点と、圧倒的な攻撃力を誇っている大阪産業大附属。インターハイ予選は大阪桐蔭に1点差で敗れ、決勝リーグ進出を逃しましたが、プリンスではまだプレミア昇格決定戦を十分視野に捉える3位というポジションに付けており、さらなる高みを目指す上でもライバルをしっかりと蹴落としておきたい所です。J-GREEN堺の上空には、夏の終わりを感じさせる大きなうろこ雲が。注目の上位対決は、産大のキックオフで幕が上がりました。


電光石火の先制劇は履正社。開始わずか3分、左サイドへ素早く展開したボールを牧野は縦に持ち出しながら、きっちりクロス。この軌道へ少しバックステップを踏みながら、巧みに合わせた菅原大空(2年・大阪東淀川FC)のヘディングは左のポストを叩いて、ゴールへ転がり込みます。昨年の全国でも経験を積んだ2人の2年生が早くも躍動。履正社があっという間にスコアを動かしました。
さて、いきなりビハインドを追い掛ける展開となった産大。5分には右から二反田知暉(3年・ヴィッセル神戸・伊丹U-15)が蹴ったFKを、善積楠貴(3年・ヴィッセル神戸U-15)が拾ってクロス。ここは履正社のCB長尾悠平(3年・FC PASENO ITAMI)にクリアされたものの、9分にはCBに入った末廣英雄(3年・SC大阪エルマーノ)の高精度フィードに、キャプテンマークを巻いたCFの河嶌佑起(3年・大阪市ジュネッスFC)がフリーで抜け出すも、ループで狙ったヘディングはわずかに枠の左へ。13分にも右SBの大和正憲(3年・ヴィッセル神戸・伊丹U-15)のスルーパスから林誠道(3年・長洲SC)がまたもフリーで抜け出し、フィニッシュは履正社のGK安川魁(3年・藤井寺中)がファインセーブで回避したものの、背後への動き出しから連続してチャンスを創出します。
リードこそしている中で、2度のピンチを何とか凌いだ履正社。「やられてから目が覚めたかなという感じでしたよね」と平野直樹監督も話したように、続けて最終ラインの裏を突かれてしまったシーンを受けて、ある程度背後のケアをしつつ、全体のラインをわずかに下げたことで落ち着きを取り戻すと、16分には左サイドをドリブルで運んだ牧野のクロスから、ファーで川畑隼人(2年・ガンバ大阪JY)が枠へ飛ばしたシュートは産大のCB藤野仁慈(3年・大阪東淀川FC)が体でブロック。その右CKをレフティの多田将希(3年・FC PASENO ITAMI)が放り込み、フリーで合わせた小川明(3年・FC.B2)のヘディングはわずかにクロスバーの上へ。19分にも菅原が高い位置でボールを奪い切り、牧野が放ったコントロールシュートはボール数個分だけ枠の右へ外れましたが、左サイドの牧野と小川が基点になることで、徐々に引き寄せたゲームリズム。
ただ、23分に喜入翼(3年・大阪東淀川FC)が左サイドで粘ってクロスを上げ切り、こちらも右で林誠道が粘って入れたクロスから、ニアへ飛び込んだ善積のボレーはヒットせずに枠を外れるも、以降は「中盤て引っ掛かってしまって、相手のリズムでのゲームが時間的には続いたかな」と平野監督も振り返った通り、再び産大のペースに。アンカーの松浦公喜(3年・セレッソ大阪U-15)も積極的にボールを引き出し散らし、林誠道と喜入の両ウイングも活発に。29分には左CKから、36分には左FKから、共に二反田のキックがゴール前を襲うなど、押し込み続ける緑。
45+1分には素晴らしい連携から決定的なシーンが。左サイドでSBの垣添拓哉(3年・枚方第一中)が縦へクサビを付けると、降りた二反田は柔らかいフリック。受けた喜入は中に切れ込みながら右へラストパスを送り、林誠道のシュートは安川のファインセーブに阻まれるも、こぼれを河嶌が押し込み、沸き上がる産大応援団。ところが、ここは河嶌のオフサイドという判定で、ゴールは認められません。
諦めなかった産大の執念。直後の45+1分、ここも左サイドで喜入が縦にショートパスを流し、回った垣添は丁寧にファーサイドへクロス。林誠道が懸命に頭で折り返すと、走り込んでいた善積が叩いたボレーはゴールネットを力強く揺らします。お互いに攻撃的なスタイルを志向する中で、「どちらが主導権を握るかという所」(平野監督)で優位に立った産大が終了間際に追い付き、タイスコアで最初の45分間は終了しました。


後半のファーストシュートは産大。48分、CBの末廣を起点に善積を経由すると河嶌が落とし、二反田のシュートはクロスバーを越えますが、悪くないチャレンジを。また、アンカーの松浦がよりボールへ関与し始め、林誠道と喜入の"槍"をちらつかせつつ、逆転へのアクセルを踏み込み始めます。
52分の決断は「ハーフタイムの時にもネガティブな話じゃなくて、『苦しいながらも良く耐えたね』という話をして、『その代わりに後半はもう少しやることをチームとして整理して取り組んでいこうか』」と選手を送り出していた平野監督。先制弾の菅原と牧野を下げて、林と9番を背負うストライカーの瀧本高志(3年・FC.B2)を2人同時投入。「時間を制限すれば状況に合わせたこともできる」(平野監督)2枚のアタッカーにリズム奪還を託します。
54分は履正社。川畑の左CKをファーで長尾が折り返すも、ボールはゴールキックへ。56分も履正社。林のパスを受けた瀧本が、ミドルレンジからやや強引に狙ったボレーはクロスバーの上へ。59分も履正社。瀧本が落としたボールを小川達也(2年・高槻FC JY)が左へ振り分け、川畑のシュートは末廣のブロックに遭いますが、「高志くんが入ってからだいぶ流れが変わって、ウチのペースになった」と話したのは安田。その言葉通り、流れは少しずつ履正社へ。
産大もボール自体は決して握れていない訳ではないものの、林、河嶌、喜入の前線3枚にボールが入らず、手数がなかなか繰り出せない状態に。65分は履正社の決定機。「彼はクレバーな子で、本当に効いているから助かります」と指揮官も信頼を寄せる安田がクサビを通し、川畑が左へスルーパスを通すと、小川の戻しを瀧本は正確にファーへ。林のシュートはわずかに枠の右へ外れ、思わず履正社ベンチも一様に仰け反りましたが、完璧な崩しから惜しいシーンを。66分には産大も二反田とのワンツーから善積が抜け出し掛けるも、長尾がきっちりスイープ。「あの人がいなかったら自分も生きないし、良い関係が創れているかなと思う」と安田も自信を覗かせるCBコンビの磐石も、履正社に安定感を。
71分に平野監督は3人目の交替に着手。相手のアンカーケアにも奔走した小川達也に替えて、田上翔太(3年・吹田佐井寺中)をピッチへ送り出し、アタックへのパワー増強を図ると、72分にはまたも決定的なチャンス。中央から多田が左へスルーパスを送り、瀧本が1つ溜めて打ち切ったシュートはわずかにクロスバーの上へ。75分に産大ベンチも二反田の右CKから、こぼれに反応した善積のシュートがDFにブロックされたのを見て、76分に松浦と奥野貴大(2年・伊丹FC JY)を、78分に喜入と大蔵竜也(3年・大阪市ジュネッスFC)を相次いでスイッチ。スコアは1-1のまま、ゲームは最後の10分間とアディショナルタイムへ。
81分は産大。大蔵を起点に河嶌が右へ展開すると、林のクロスは安川が指先でフィスティング。82分も産大。右サイドを粘って粘って崩すと、中央から大和がトライしたミドルはわずかにクロスバーを越え、今度は産大ベンチが仰け反りましたが、「非常に強い相手」(平野監督)「かなり相手も強かった」(安田)と相手の2人も声を揃えた産大が、逆転弾への欲求を前面に打ち出します。
「こちらの意図する形。イメージ通りだった」と平野監督も振り返った"劇的"な瞬間は88分。3列目で走り続けた多田が中盤で粘り強く左へ繋ぐと、開いた田上は縦に持ち出しながら、グラウンダーで速いクロスを中へ。ここに飛び込んできたのは林。丁寧に右足で押し出したボールは、ゴール右スミへ吸い込まれます。ベンチ、応援団、共に一瞬で沸騰。「交替で入った子たちが、それぞれ良い仕事をしてくれて最後の決勝点に繋がった」と平野監督も認めたように、交替で入った選手の躍動も光った履正社が難しいゲームをしっかりモノにして、「非常に価値のある勝ち点3」(平野監督)を獲得する結果となりました。


選手権での躍進を受けた今シーズンの履正社は、「相手も今年は『履正社強いぞ』という形で、よくまとまりながら、高い集中力を持ってやってきてくれるチームがたくさんあった」(平野監督)ことに戸惑い、結果に恵まれないスタートを強いられます。ただ、そんな日々の中で、「最初は選手権でも1、2年生ばっかで結構勝っていたので、余裕と言うか、浮かれがあって戦っていた」(安田)事実にチームが気付くことができ、そこから「『僕らは下手なんだ』と。『組織で戦わないと絶対に勝てないんだ』というのを、キャプテン中心に話し合って、練習を積んできた」(安田)ことで、少しずつ状況も上向きになり、このリーグ戦8連勝という結果を積み上げているようです。また、能力の高いアタッカーが揃うため、当然攻撃力が注目される一方で、「『攻撃面より守備の所を大事にしよう』と。『安定した守備から君たちが得意とする攻撃を出していこう』とミーティングをして、その意識を高めていったら、必然的に失点は減っていき、攻撃もうまく行き出した」という側面も。「「3年生とできるのはあと少しなので、選手権も出て少しでも多く試合したいです」と話す安田と長尾を中心とした守備面での成長が、結果的に攻撃面へも良い影響を及ぼしてもいるのかなと。最後に「今日も『"ちょっと"した所が緩んできている』という話はしたんです。『"ちょっと"ぐらいだったらいいだろう』じゃなくて、『"ちょっと"ぐらいだったらちゃんとやろうよ』と。"ちょっと"したことをちゃんとやって人間力を高めることで、チーム力も高くなってくるんじゃないか、選手の力も伸びてくるんじゃないかという所で、苦しいゲームを1つ取ることができたので、タイミング的には良かったかなという気がしますね」と明かしてくれた平野監督。"ちょっと"した所へのこだわりが生まれつつつある履正社の今後も非常に楽しみです。          土屋

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