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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2014年09月06日

関東大学2部第12節 日本体育大×東洋大@産業能率大学第二G

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0906sanno.jpg1年での1部復帰を掲げる両者がいきなり対峙。6位の日本体育大と7位の東洋大が激突する後期開幕カードは産業能率大第二グラウンドです。
昨シーズンは前期こそ好調をキープしていたものの、後期に入ってなかなか結果が付いてこず、無念の2部降格を味わった日本体育大。迎えた今シーズンは、「前期は失点が一番少ないチームで、逆に得点がワースト3位だったので、そこを課題にずっと取り組んできて」と倉又寿雄監督が話したように、リーグ最少の10失点と守備面では確実にトレーニングの成果が出ている中で課題は明らか。仕切り直しの後期開幕戦で一気にスタートダッシュを掛けたい一戦です。
創部以来初となる1部を戦った昨シーズンは、そのスタイルの発信にこそ成功しましたが、結果は最下位での2部降格と厳しいものになった東洋大。今シーズンの前期を5勝1分け5敗とまったくのイーブンで終えたことを受け、「前期は勝ち点のロスがあまりにも多過ぎたので、ロスはもうできないということを認識した上でこの3ヶ月弱を過ごしてきた」と古川毅監督。こちらも失点同様に少ない得点数を伸ばすことが、克服すべき課題と言えるでしょう。両チームとも応援団の活気が非常に目立ち、会場は賑やかムード。是が非でも勝利の欲しい両者の90分間は、日体のキックオフでスタートしました。


電光石火の先制劇。主演は"朝霞の男"たち。3分、右サイドでボールを持った川森有真(4年・サンフレッチェ広島Y)がDFラインの裏へ落とすと、うまく抜け出した仙頭啓矢(2年・京都橘)は冷静に右へ。ここで待っていた遊馬将也(3年・武南)が流し込んだボールは、ゴールネットへ到達します。いきなり動いたスコア。東洋が1点のリードを手にしました。
早くも失点を喫した日体でしたが、立ち上がりから決して悪くないリズム。11分には高井和馬(2年・千葉SC・Y)とのワンツーから、輪笠祐士(1年・FC東京U-18)が右へはたくと、オーバーラップしてきた福田圭佑(1年・横浜F・マリノスY)が倒れ込みながら狙ったシュートは枠の左へ外れたものの、きっちりフィニッシュまで。12分にも右から福田が上げたアーリーに、キャプテンの小山雄士(4年・帝京)が飛び込み、薄く当たったシュートは東洋のGK伊藤俊祐(1年・柏レイソルU-18)がキャッチしましたが、15分にも大石奨悟(2年・東海大五)がわずかに枠の右へ逸れるミドルを放つなど、「1点目を取られてからも自分たちのペースでやれた」と倉又監督の言葉通り、日体の時間帯が続きます。
先制しながら押し込まれる展開となった東洋は、「相手のシステムに対して、プレッシャーに行こうとすると間、間に入れられるということがあった」と古川監督。4-3-3気味の布陣を敷く日体が「アンカーと2枚の中盤がいたのに両ワイドもインサイドに入ってきて、サイドバックが高い位置を取っていた」(古川監督)ことで、特にスペース管理がうまく行かず。17分には仙頭が左からゴール右へ外れるドリブルシュートにトライするも、19分には右サイドで押し込まれた流れから、輪笠が蹴ったCKをンドカ・ボニフェイス(1年・浦和東)がさすがの打点で枠の右へ外れるヘディング。30分にはンドカ・ボニフェイスのパスから、SBの高野遼(2年・横浜F・マリノスY)が左サイドを切り裂いて中へ。高井にはわずかに合わなかったものの、ここもサイドアタックから日体が創ったビッグチャンス。
ところが、次にゴールを奪ったのも「先に取れているので、何とか我慢しながら我慢しながらリードを保つという所」(古川監督)だった東洋。35分、CBの郡司昌弥(3年・柏レイソルU-18)が右のハイサイドへフィードを送ると、マークの受け渡しの隙を突いたSBの石坂元気(3年・サンフレッチェ広島ユース)は、まったくのフリーで抜け出して丁寧なクロス。ファーに入った遊馬のボレーは、バウンドしながらゴール右スミギリギリへ吸い込まれます。「東洋はポゼッションで後ろから創っていく感じだったが、それだけじゃ勝てないということで、カウンターなどもやっていくことになった」と仙頭が語ったように、押し込まれている中での見事な一刺し。点差は2点に開きました。
この前後から「選手が我慢してくれたなという所で、ベンチからの指示もあって整理が付いた所から、奪ってカウンターという感じも出始めていた」(古川監督)東洋はようやくゲームリズムを掌握。40分にはCBの瀧澤修平(3年・東洋大牛久)が左サイドへ振り分け、SBの池田稔樹(3年・桐生第一)がマイナスへ折り返すと、1人かわした仙頭のシュートはGKを破り、最後はゴールカバーに入っていた日体のCB増谷幸祐(3年・愛媛FCユース)にライン上で掻き出されるも、サイドアタックから創出した決定機。
すると、42分に飛び出したのは衝撃のゴラッソ。仙頭の巧みなポストプレーを基点に、ボランチの徳市寛人(2年・東福岡)がダイレクトでDFラインの背後へフィードを送ると、走り込んだ遊馬は左足一閃。完璧にミートされたダイレクトボレーはGKも弾き切れず、ゴールネットを揺らします。「8月の頭くらいに捻挫をして休んでいた時期があって、なかなか調子が上がってこないから使えるかなどうかなという感じで、ギリギリでチームに戻した」と指揮官が明かした遊馬は、これでハットトリック達成。東洋が大量3点のアドバンテージを握って、最初の45分間は終了しました。


後半はスタートから佐藤涼磨(2年・矢板中央)と長谷川健太(4年・湘南工科大附属)を入れ替え、3点を追い掛ける日体に勢い。47分には大石のパスから増谷が裏へフィードを落とし、飛び出した小山はオフサイドを取られたものの、49分にもンドカ・ボニフェイスが左へサイドを変え、高野が縦に運び切ってクロス。中央で収めた小山が振り向きざまに放ったシュートは伊藤がしっかりキャッチしましたが、再び日体の攻勢に。
53分の結実。中央でボールを引き出した輪笠が右へ展開したボールを、福田は素早くアーリークロス。絶妙のコースに飛んだボールはGKとDFの交錯を誘い、こぼれ球を高井が無人のゴールへ流し込みます。ようやく上がった反撃の狼煙。日体が自分たちの時間帯を生かし、1点を返すことに成功しました。
「相手はリスクを負ってでも出てこなくてはいけないので、相手のまずい攻撃や慌てた攻撃の所で、カウンターから4点目でゲームを終わらせようとハーフタイムには指示した」という古川監督。58分には池田を起点に左から仙頭が柔らかいクロスを放り、遊馬が飛び込むもンドカ・ボニフェイスが迫力満点のクリア。直後の左CKを仙頭が蹴り込み、ニアで合わせた川森のヘディングは枠の左へ。カウンターを狙う意識は窺える中で、やや相手の勢いに押し込まれる時間が長くなっていきます。
61分は日体。ミドルレンジから高井が枠へ飛ばしたミドルは伊藤がファインセーブで回避。64分も日体。小山が獲得したFKは中央、ゴールまで約25mの位置。ここから増谷が直接狙ったボールは、わずかにゴール右へ。66分も日体。ハーフウェーライン付近でボールを持った高野は3人を振り切って加速、加速。50m近くを独走して打ち切ったシュートは、DFに当たってクロスバーの上へ。「良くなったのはDFラインの裏に抜けていくヤツが出てくるようになったから。前半は全部足元に入っていたので」とは倉又監督。引き寄せたい次の歓喜。
67分に左CK、68分に右FK、70分に右CKと、立て続けに輪笠のセットプレーで相手ゴール前を脅かした日体は、71分にやや足を痛めた福田が赤平靖晟(3年・座間)との交替を余儀なくされましたが、徐々にファウルも増えてきた相手を尻目に、72分には左から、74分には右から、いずれも輪笠がFKを放り込み、シュートには繋がらなかったものの、掛け続ける圧力はそのまま。76分に川森が右カットインから放ったシュートも、直後に仙頭の右CKから遊馬が合わせたヘディングも、まとめて日体のGK馬場拓郎(2年・FC東京U-18)がしっかりセーブ。「後半もずっと良い形で攻められていた」と倉又監督も振り返ったように、2点目への意欲を打ち出し続けます。
77分には日体に2人目の交替が。大石を下げて、川戸大樹(2年・ヴィッセル神戸U-18)をそのままの位置に投入。東洋も79分にCBの郡司と星清太(2年・関東第一)を入れ替えると、仙頭の際どい左FKを経て、80分に徳市と小山北斗(3年・帝京)もスイッチして、着手したいゲームクローズ。
81分は日体。輪笠が左へ展開し、高野のアーリークロスをニアで長谷川がフリックで流すも、高井のシュートはヒットせずに伊藤の元へ。82分も日体。輪笠が中央へスルーパスを通すも、長谷川のトラップは大きくなって伊藤がキャッチ。83分は東洋。仙頭の左CKから瀧澤の豪快なヘディングは馬場がキャッチ。「2点目を取られたら同点まで行かれてもおかしくない感じはあった」と古川監督が話せば、「かなり我慢という感じだった」と仙頭。攻める日体。凌ぐ東洋。
84分は日体。輪笠の右CKがこぼれると小泉が拾い、輪笠のカットインシュートにはDFが体を投げ出し、高井のシュートもDFがクリア。85分も日体。3本連続で強奪した右CKの3本目はショート。右から赤平が上げたクロスへ、突っ込んだンドカ・ボニフェイスのヘディングは伊藤がキャッチ。86分に古川監督は最後の交替を決断。殊勲の遊馬に替えて、最前線に佐々木雅人(4年・西武台)を解き放ち、前からのプレッシャーも増強して守り切る覚悟を。
87分は日体。輪笠の左CKがこぼれ、川戸が再び入れたボールをワントラップからンドカ・ボニフェイスがオーバーヘッドまで持ち込むも、軌道はクロスバーの上へ。88分も日体。右から赤平が投げ入れたロングスローを高井がすらし、長谷川が打ったシュートは星が体でブロック。直後に蹴った輪笠の左CKもDFがクリア。とにかく続く日体のセットプレーにも「回数が多かった分、集中が途切れずに進んでくれたかな」とは古川監督。キーマンのンドカ・ボニフェイスはきっちりケアし、万全で競らせない方策も。「安心できるとは言えないけど、やられる感じはなかったかなと思う」と指揮官も言及しています。
88分も日体。高野が放り込んだ左アーリーに、対応した伊藤のパンチングは高く上がってしまい、クロスバーを直撃したものの、輪笠の左CKはDFがきっちりクリアすると、90+1分に左から赤平が投げたロングスローは伊藤が果敢なパンチングで阻止。90+2分にはンドカ・ボニフェイスの落としを赤平が中央へ送り込み、高野が決定的なシュートを放ちましたが、ここも「柏ユースの時に大きな舞台を経験しているので、ゲーム勘に関しては持っている選手だったし、凄く信頼して送り出した」と古川監督も言及した伊藤が超ファインセーブで掻き出し、最後まで2点目は許さず。「ここから勢いを付けていけるような勝ち方ができたので、非常に良かったと思います」と仙頭も笑ったように、厳しい時間帯も得点を許さずに切り抜けた東洋が、大事な後期開幕戦で勝ち点3を獲得する結果となりました。


「前期がまったく逆で、東洋にずっと押されて、しっかり守ってカウンターで勝ったけど、それを逆にやられてしまった」と倉又監督も悔しそうな表情を浮かべた日体は、90分間トータルで見れば主導権を握っている時間が長かっただけに、まさに「内容で勝って結果で負けている感じ」(倉又監督)というのがチームの一致した感想でしょう。ただ、「今までのチームだと後半はズルズル行っちゃう所もあったんだけど、そこもある程度開き直って1点1点返そうとやり始めた」のは倉又監督が評価した部分。福田やンドカ・ボニフェイス、輪笠など1年生も一定以上のパフォーマンスを発揮しており、あとは「ある程度まで攻め込んでの最後の所」(倉又監督)をいかに高めていけるかが、浮上の鍵を握ってくるのは間違いありません。
「毎回日体さんとのゲームは立ち上がりが悪くてやられる形だったので、そこをなくそうということは中断期間の所からやってきた所」(古川監督)を先制ゴールで体現し、以降の難しい時間帯も「焦れずに我慢する所は我慢する」(同)という共通理解で凌ぎつつ、追加点も奪い切った東洋は最高に近い形で後期開幕を迎えた印象です。前期で苦しんだ得点力不足の要因を守備の安定感の欠如と総括したチームは、「4バックとボランチをしっかり機能させた所で、前の4人にも守備意識を促した」とのこと。「それでチームとしての安定したバランスが攻撃に繋がっていくということを、選手たちにも理解してもらいながらやって、それが今日のゲームでは非常に生きたかなというのはある」と指揮官も手応えを掴んだ様子。1部復帰を目指す東洋の反攻が、ここから始まる予感を十分に漂わせた90分間だったと思います。          土屋

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