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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2014年08月07日

インターハイ準々決勝 鹿児島実業×東福岡@韮崎中央公園陸上競技場

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0806nirasaki2.jpg2月に激突した九州大会のリターンマッチ。9年ぶりに夏の全国へ帰ってきた薩摩隼人と明確に頂点をその視界に捉える"赤い彗星"の対峙は韮崎中央公園の"陸上競技場"です。
初戦の盛岡商業戦は2点を先制されながら、怒涛の3ゴールで大逆転勝ちを収めると、3回戦では西武台相手に終了間際の同点ゴールで生き返り、最後はPK戦での勝利と、ここまで劇的に勝ち上がってきた鹿児島実業。実に9年ぶりとなる大舞台でも、持ち前の勝負強さは健在。狙うはまだ経験したことのない夏の王者です。
作陽を6-0、神戸弘陵を8-1と、とんでもないスコアで下して勝ち上がると、一昨日の3回戦では地元優勝に燃える山梨学院大附属をキャプテンの中島賢星(3年・アビスパ福岡U-15)の一振りで退け、ベスト8まで駒を進めてきた東福岡。今日はその中島を警告累積で欠く布陣となりますが、「賢星がいなくて負けるというのは、みんなで『なしにしよう』と言っていた」と話すのは快足アタッカーの増山朝陽(3年・福岡板付中)。総力戦でセミファイナル進出を目指します。前述したように両者は2月に九州新人大会で対戦しており、その時は鹿実が1-0で勝利。「ウチも九州ナンバーワンを目指しているし、そういうライバル意識というのは非常にある」と東福岡の森重潤也監督。注目の九州対決は東福岡のキックオフでスタートしました。


先にチャンスを創ったのは紫のユニフォームを纏った鹿実。2分、エリアの外でボールを持った木村涼(3年・徳島川内中)は、少し前に出ていたGKの位置を確認するとミドルレンジから浮かせたシュート。ここは東福岡のGK脇野敦至(2年・WestKidsDuel FC)が落ち着いてキャッチしたものの、まずはストライカーが好チャレンジを披露します。
ところが、直後に早くも記録された先制点。記録したのは"赤い彗星"。2分、左サイドを抜群のスピードで切り裂いた赤木翼(3年・UKI-C.FC)のクロスを、ファーに潜った増山が折り返すと、受けた中村健人(2年・UKI-C.FC)は冷静なコントロールでボールをゴールネットへ送り届けます。中島の代役に指名された2年生がきっちりゴールで結果を。東福岡が1点のリードを奪いました。
以降も圧倒的な東福岡ペース。「普段の練習通り。ウチが目指したい攻撃の1つであったと思う」と森重監督も認めた通り、サイドへボールが入った時に増山と赤木が稼動させる加速装置は反則レベル。8分には赤木、中村と繋いで、木藤舜介(3年・アビスパ福岡U-15)が狙った左足シュートは左ポストを直撃。9分にも左SBの末永巧(3年・レオーネ山口U-15)が上げたクロスを、またもファーへ入った増山が高い打点で折り返し、木藤はオフサイドになったものの、「自分たちはいつもサイドを意識しろと言われていて、翼と自分で試合前には2人で見合ってやろうという話はしている」と話す増山と赤木のワンプレーワンプレーには、スタンドからも悲鳴にも似た歓声が上がります。
すると、11分に生まれた追加点。ここも右サイドを駆け上がった増山がクロスを送り、一旦は流れたボールを再び赤木が中央へ折り返すと、ファーで待っていた木藤のヘディングは、ゴールネットを確実に揺らします。クロスへの入り方に関して、「ファーの方が触りやすいというのはあるし、ボールが流れてもすぐに追い付いてクロスという2次攻撃ができると思う」と増山が口にした通り、左右に振っての2次攻撃からズドン。点差が広がりました。
15分にも末永が逆回転の完璧なフィードを送り、赤木のクロスをダイレクトで叩いた増山のボレーはDFのブロックに遭い、その流れから末永の左CKをCBの加奈川凌矢(3年・UKI-C.FC)が枠越えヘディングを放つなど、止まらない東福岡の推進力。鹿実も19分には前田翔吾(3年・F・CUORE)のラストパスから、大迫柊斗(3年・大隅NIFS)が枠へ収めたシュートは脇野がパンチングで回避。26分にはCBの奥村泰地(3年・大隅NIFS)のフィードに大迫が走るも、脇野が難なくキャッチ。チャンス自体をなかなか創り出せません。
27分は東福岡。木藤が右へ振り分け、増山のクロスをトラップで収めた山根つばさ(3年・大村郡中)のシュートは鹿実のGK谷口周平(3年・T・F・C)がファインセーブで凌ぎ、こぼれを拾った赤木のミドルも谷口がファインセーブで阻止。28分も東福岡。左サイドを上がってきた末永が中央へ折り返し、中村がトライしたフィニッシュはわずかにクロスバーの上へ。「自分の長所をしっかり出したんじゃないかなと思う」と指揮官も評した中村も躍動し、さらなる追加点も目前まで。
29分の一太刀は薩摩の紫。まさに10分前と同じような形から前田が右へ丁寧にラストパスを届けると、マーカーを綺麗にかわした大迫は勢いそのままにシュート。ボールはゴール右スミへ豪快に突き刺さります。鹿実の中では重要なアクセントになっていた大迫がここで結果を。少ない決定機を生かした鹿実がスコアを縮めました。
1点差の時間はわずか1分間。30分は右サイドでのアタック。スローインの流れから増山が強いボールでクロスを中央へ蹴り込むと、トラップでピタリと収めた木藤のシュートはGKを破って、ゴールネットへ到達します。「鹿実も前に対する守備は高いものや強いものがあると思うし、そこをうまく裏を突けた場面があったので良さが出たのかなとは思う」と森重監督。34分に赤木、35分に木藤、35+1分に増山と、以降も3つの惜しいシュートシーンを創出した東福岡が、2点のアドバンテージを確保してハーフタイムへ入りました。


後半開始から鹿実の森下和哉監督は2枚替えを敢行。CBの内屋椋佑(3年・霧島国分中)と左SHの西元宣了(3年・クランザ下松)に替えて、大南拓磨(2年・名古屋FC)と福島立也(3年・RESTA FC)をそのままの位置に送り込み、クロスの供給源となるサイドとクロスを放り込まれる中央の両面に修正を施します。
この交替策と折からの暑さも相まってか、後半の立ち上がりはほとんどフィフティと言って良さそうな展開に。39分は鹿実。右から大迫が蹴ったCKはDFがきっちりクリア。41分は東福岡。左から末永が蹴り込んだFKに、増山が合わせたヘディングは谷口がキャッチ。お互いにアタックはフィニッシュまで結び付かず、続く膠着に近い時間帯。
44分に動いた森重監督。3ゴールに絡んだ増山を下げて、「サポートの距離が段々遠くなっている分、個の力で突破して行け」と永田大樹(3年・福岡玄洋中)を送り込むと、47分には中村のパスから末永が枠の右へ外れるミドル。47分には鹿実に3人目の交替が。ボランチで奮闘した田畑風馬(3年・霧島国分中)を下げて、西武台戦で同点弾を叩き込んだ渡邊大地(2年)をピッチへ解き放ち、ゲームリズムを引き寄せに掛かります。
50分は東福岡。山根が左から折り返すと、前線に残っていたCBの小笠原佳祐(3年・レオーネ山口U-15)が触り、中村のシュートは谷口ががっちりキャッチ。51分は鹿実。渡邊のスルーパスに木村が走るも、飛び出した脇野が大きくクリア。52分には鹿実が4人目の交替を。右SHへスライドしていた木村に替えて、外戸口遥(3年・霧島国分中)を投入し、やや東福岡が減退したサイドでの主導権を奪いたい意思を明確に。
58分に煌いたのはサイドバック。右サイドでボールを呼び込んだ鮫島大(3年・太陽スポーツクラブ)は、ルックアップすると中央に最高のタイミングでスルーパス。ここへ3列目から飛び出した渡邊が、スライディングしながら打ち切ったシュートはGKも及ばず、ゴールネットへ転がり込みます。折れないメンタルは不屈の伝統。鹿実が再び1点差へ詰め寄ります。
1点差の時間はわずか2分間。60分は左サイドでのアタック。末永が1人かわして中央へクロスを上げ切り、ニアできっちり中村が潰れ、最後は永田が左足で流し込みます。ここもやはりサイドアタックから、途中出場の永田が一仕事。「1点取られても落ち着いていたのかなと。その後すぐに1点返せたので、気持ち的には楽に展開できたんじゃないかなと思う」と森重監督。その後は中盤を締める近藤大貴(3年・サガン鳥栖U-15)がしっかりバランスを取りながら、着実に時間を潰していくと、終了間際の69分には大迫の右クロスから、渡邊があわやというシュートを放ちますが、ボールはわずかに枠の右へ。餅山大輝(2年・ルーヴェン福岡)と姫野修(3年・サガン鳥栖U-15)も投入して、しっかりゲームをクローズさせながら、聞いたホイッスルは明日への進撃曲。「この大会に入って、しっかりみんな意識を高く持ってやっているんじゃないかなと思います」と森重監督も言及した東福岡が、セミファイナルへの進出権を勝ち獲る結果となりました。


「賢星というキャプテンが不在というゲームもこなしてきたし、賢星がいない中でもサッカーのよさはあると思ったので、そういう中でまずきっちり前半の立ち上がりからしっかり結果を出せた、得点に繋げたということは確かに逞しさを感じます」と森重監督が口にしたように、中島という絶対的なピースを欠きながら、「先取点という結果もしっかり残してくれたので、良い仕事をしたと思う」と指揮官も評価した中村が代役を務め上げ、「もう1回賢星をピッチに立たせる」(増山)という目標をしっかり達成してみせたあたりに、東福岡の様々な意味での強さが窺えます。「自分たちは『元気しかない』みたいに先生たちも言っているので、持ち味は元気で暑くてもキツくても1人1人が声を出し合って頑張ろうという感じです。みんな元気なので(笑)」と笑った増山。破壊的な攻撃力に安定感のある守備に加え、おそらくは重要な勝因になり得る"元気"まで持ち合わせている東福岡。17年ぶりの頂点はもうすぐそこです。         土屋

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