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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2014年08月06日

インターハイ準々決勝 星稜×前橋育英@韮崎中央公園芝生広場

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0806nirasaki.jpg灼熱の山梨で繰り広げられる全国の晴れ舞台もいよいよ8強対決へ。選手権のファイナリストと上州のタイガー軍団が激突する一戦は韮崎中央公園の"球技場"です。
初戦はファイナルを経験したこともある山陰の難敵・米子北に5ゴールを浴びせて快勝。勢いそのままに地元の帝京第三と対峙した3回戦も開始1分で先制されながら、最後は3-2で振り切って今年も準々決勝まで勝ち上がってきた星稜。今年1月の選手権決勝でプレーした選手が5人もスタメンに名前を連ねており、経験と着実な成長を武器にさらなる上を目指します。
1回戦屈指の好カードと称された京都橘とのゲームは、SBS杯へ臨むU-19日本代表にも招集された渡邊凌磨(3年・クラブレジェンド熊谷)のドッピエッタを含む4ゴールを奪って制すると、2回戦は柳ヶ浦を2-1、3回戦は矢板中央を4-0と倒して、ベスト8へ名乗りを上げた前橋育英。「試合前から宿舎や風呂で常に色々と話しているし、そういうことは今までなかったことなので、自然と成長している所がこの結果に繋がっている」と話すのは渡邊。5年ぶりの戴冠へ向けて大事な70分間に挑みます。韮崎中央公園は10時でも殺人的に照り付ける日差し。まさにインターハイらしいコンディションのゲームは、育英のキックオフで幕が上がりました。


立ち上がりは比較的静かなスタート。育英は中盤や最終ラインでのボール回しを経て、左からのアタックに鋭さが。7分には左SBの渡辺星夢(3年・クマガヤSC)が縦に付けたボールを、坂元達裕(3年・FC東京U-15むさし)がドリブルからクロスまで持ち込むも、最後はDFがブロック。13分は逆に右サイドでSBの下山峻登(3年・クマガヤSC)を起点に、鈴木徳真(3年・FC古河)がエリア内まで入り、狙ったシュートはここもDFがブロック。直後にも右サイドでSBの岩浩平(3年・横浜F・マリノスJY追浜)が投げたスローインから、野口竜彦(2年・高槻FC JY)が鋭い反転で枠へ収めたシュートは星稜のGK坂口璃久(2年・星稜中)がキャッチしましたが、育英がゲームリズムをジワジワと握っていきます。
一方の星稜は、14分に左SHに入った前川優太(3年・セレッソ大阪西U-15)がクロスバーを越えるファーストシュートを放つと、17分には右サイドから藤島樹騎也(3年・名古屋グランパスU15)がドリブルでエリア内へ侵入しかけるも、「県大会もケガでずっと使っていなかった」(山田耕介監督)という育英のCB宮本鉄平(3年・前橋FC)がきっちり対応。2トップの大田賢生(3年・星稜中)と森山泰希(3年・名古屋グランパスU15)までボールが入らず、攻撃の時間を増やせません。
すると、やはり先にスコアを動かしたのはタイガー軍団。18分、中央でボールを持った野口は仕掛けながら左へラストパス。膨らんだ青柳燎汰(3年・クマガヤSC)は思い切り良く右足を振り抜くと、ボールはゴール左スミへ飛び込みます。「彼の動き出しは良いですよね」と指揮官も評価する青柳は、これで4戦連発の大会5ゴール目。育英が1点のリードを奪いました。
先制以降もペースは育英。22分には渡邊と青柳を経由したボールから、唯一の2年生スタメンとなった野口が股抜きを狙うも、星稜の左SBを担う宮谷大進(3年・ヘミニス金沢FC)がここは好対応。26分には星稜の見張り役を託されている平田健人(3年・千里丘FC)にマンツーマン気味で付かれ、「最初は嫌だった」という渡邊がバイタルで仕掛けると、こぼれを小泉佳穂(3年・FC東京U-15むさし)が叩いたミドルはクロスバーの上へ消えたものの、個人での仕掛けを中心に育英が攻勢を強めます。
28分は星稜。原田亘(3年・ヴィッセル神戸U-15)が蹴った右FKから、最後は大田が頭で合わせたボールは育英のGK吉田舜(3年・クマガヤSC)がワンハンドで掻き出しましたが、セットプレーからとはいえ、ようやく大きなチャンスを創った星稜が、28分にカットインから打った坂元のシュートを枠外で凌ぐと、手に入れた歓喜。
31分、中盤でボールを握った平田が縦に素早く付けると、バイタルへ潜った杉原啓太(3年・名古屋グランパスU15)はまだまだエリアまで距離のある位置にもかかわらず、前を向くとそのままミドルにチャレンジ。このボールはゴール右スミへグサリと突き刺さります。この前後の時間帯はバイタルにパスが入り始めていた星稜が、9番のゴラッソと言っていい同点弾でスコアを振り出しに引き戻し、32分には森山もわずかに枠の右へ外れるミドルを放つなど、ゲームリズムをフィフティまで持ち直した格好で、最初の35分間は終了しました。


後半スタートから動いたのは山田監督。坂元を下げて、関戸裕希(3年・ヴェルディSS小山)をそのままの位置へ送り込み、サイドの主導権奪還を試みますが、手数を繰り出したのは星稜。39分、大田が右サイドから左足で狙ったミドルは枠の右へ。42分、前川が左サイドへスルーパスを通し、上がってきた宮谷のクロスはDFのクリアに遭うも、きっちりサイドを使った形を。44分に鈴木徳真が放ったクロスバーを大きく越えるミドルを挟み、45分には左で藤島のパスを受けた大田が、カットインしながら吉田にキャッチを強いるシュートをお見舞い。星稜が少しずつ差し込み始めます。
46分には渡邊の左CKをCBの上原大雅(3年・FC厚木 JY)が折り返すも、シュートには持ち込めず。48分にも関戸のパスから野口がゴール左へ外れるシュートを打ち切ったものの、守備に回る時間が長くなってきた育英に、再び活力を注ぎ込んだのは2年生。51分、鈴木徳真の横パスを引き出した野口は、ミドルレンジから躊躇なく左足一閃。ボールはクロスバーを激しく叩いて、勝ち越しとは行かなかったものの、インパクト十分のワンプレーで引き寄せたリズム。57分には関戸が左サイドをドリブルで突き進み、枠の左へ外れるシュート。加えて「今年のチームは上手じゃないから走れるようにしてきたつもり」と山田監督も話したように、落ちない運動量もそのペースを後押し。
魅せたのは「10番を背負うということは、監督の期待にも応えないといけないし、、チーム170人の代表としてやっているという責任も出てくると思うし、大事な所で決めないと10番を背負っている価値がない」と言い切るその"10番"。57分、右サイドで高く上がった浮き球を2分前に投入されたばかりの吉永大志(3年・JFAアカデミー福島U15)が頭で落とすと、そこにいたのは「自分の判断でサイドより真ん中を取った方が良いかな」と中央にポジションを変えていた渡邊。ダイレクトで叩いたボレーはゴール左スミを貫きます。やはりここぞという時には「アレは感覚という感じ。足が動いた」と語る渡邊。育英がまたも1点のリードを手にしました。
58分には育英に突き放すチャンス。中央を右に持ち出しながら独走した青柳がGKと1対1で打ったシュートは、しかしゴール左へ。63分は星稜に追いつくチャンス。右サイドで粘って粘って持ち込んだ大田のシュートは、わずかにゴール左へ。既に大橋滉平(2年・ガンバ大阪JY)と阿部雅志(2年・FC四日市U-15)を投入していた河﨑護監督は、64分に3枚目のカードとして村中龍仁(2年・エスポワール白山FC JY)をピッチへ解き放つと、65分には育英に再度突き放すチャンス。渡邊が完全に抜け出した1対1も、坂口が意地のファインセーブで応酬。直後に吉永が迎えたシュートシーンも坂口がビッグセーブで立ちはだかり、1点差のままでいよいよゲームはアディショナルタイムへ。
70+1分は星稜。前川がゴール前に放り込んだFKは、育英ディフェンスがしっかりクリア。70+2分も星稜。大橋のクロスから獲得したCK。左から前川が短く始め、大橋が上げたクロスはDFが何とかクリア。70+3分も星稜。右サイドのスローインから平田が繋ぎ、村中が狙ったボレーはヒットせず。70+4分も星稜。森山が低くて速いFKを蹴り込み、キャプテンのCB鈴木大誠(3年・SOLESTRELLA NARA2002)が執念で当てたヘディングは枠内を襲うも、吉田が懸命にキャッチすると迎えたタイムアップのホイッスル。「みんなでやろうというのは徹底していると思います」と山田監督も話した育英が、"みんな"に支えられた千両役者の一撃で星稜を破り、全国4強へと勝ち進む結果となりました。


育英の勝負強さが際立ったゲームだったと思います。後半のスタートは決して良い流れではなく、押し込まれる時間も長かった中で「県予選の時に使っていた2人のCBがいない中で、その代わりの子たちがよくなってきている」と指揮官も評価する守備陣がきっちり凌ぎ、「自分が決められるようになるというのはもちろんだけど、チームのみんなのために決めるという気持ちが強い」と語るエースの渡邊が決勝ゴール。強敵を相手に1点差で勝ち切った経験は、この大会はもちろんのこと、これからの彼らにとっても大きな自信になったはずです。「今の学年は本当に仲が良いし、対立というのは練習中だけで、そういう所を私生活に持ち込まない所が強さなのかなと思います」と話した渡邊は、続けて「正直自分たちの代は監督から弱い弱いと言われていて、そういう悔しさもあったので優勝しか狙っていない」と固い決意を。上州のタイガー軍団にとって、5年ぶりの頂点まではあと2試合です。        土屋

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