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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2014年08月25日

JFLセカンドステージ第5節 アスルクラロ沼津×レノファ山口FC@愛鷹

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0824ashitaka.jpg今シーズンから装いも新たに生まれ変わったJFLは、今日がセカンドステージ第5節。勝ち点4の10位と勝ち点6の4位が激突する一戦は愛鷹広域公園です。
ファーストステージ、セカンドステージの2ステージ制が来年から移行するJ1に先んじる形で導入され、それぞれのステージ王者がチャンピオンシップで優勝を争うというレギュレーションの下、14チームが鎬を削る今シーズンの日本サッカーリーグ、通称"JFL"。既に終了しているファーストステージは、鹿児島ユナイテッドFCと勝ち点で並びながら、得失点差で上回ったHonda FCがチャンピオンシップへの出場権を獲得。現在は彼らへの挑戦権を巡るセカンドステージが行われています。
ファーストステージは3勝5分け5敗の7位。初めての挑戦となる全国リーグのファーストステップとしては、決して悪くないスタートを切ったアスルクラロ沼津。クラブはいわゆる"百年構想クラブ"に認定されており、目指すのはもちろんJ3入会。そのためにもセカンドステージでまずは「全体での4位」という順位面での昇格要件を実現するためにも、負けられない戦いが続きます。
ファーストステージは7勝1分け5敗の6位。こちらも沼津同様に初めて臨んだ全国リーグで、一定以上の存在感を発揮したレノファ山口FC。彼らもやはり"百年構想クラブ"として、「全体で4位」という順位はクリアしなくてはいけない最低ライン。「先週国体の予選が終わってほぼ練習はしていない。軽い練習ばかりだった」と上野展裕監督が明かしたようにコンディション的には難しいゲームになりますが、少なくない人数で静岡へ駆け付けたサポーターのためにも、勝利のみが義務付けられた一戦です。
この日のゲームはメインスポンサーに当たる"スルガ銀行マッチ"と銘打たれ、スタンドには2883人の観客が集結。競技場の外には出店が軒を連ねるフードコートが設置されており、グッズショップではクラブオフィシャルチップスとして"勝利だしップス"も売られているなど、まさに夏休みのラストマッチにふさわしいお祭り的な雰囲気も。"百年構想クラブ"同士が対峙する90分間は、沼津のキックオフでスタートしました。


開始1分のチャンスは山口。左から菊本侑希(21・中京大)がロングスローを投げ入れ、岸田和人(24・FC町田ゼルビア)が競り勝ったボールは、沼津のGK石田良輔(25・FC町田ゼルビア)がキャッチ。3分のチャンスは沼津。右からカットインした柳澤隼(27・FC岐阜SECOND)がそのまま放ったミドルは枠の左へ外れましたが、お互いに勝利への意欲を見せ合う格好でゲームは立ち上がります。
そんな中で徐々に前への推進力で上回ったのはアウェイチーム。6分には相手のバックパスを岸田が追い掛け、ここはDFが何とかクリアしたものの、10分にも小塚和季(20・アルビレックス新潟)の右CKに岸田が合わせ、ここもDFが体を張ってブロックしましたが、積極的なアタックで山口が引き寄せたゲームリズム。
すると、絶好の先制機もやはり山口。10分、キャプテンの平林輝良寛(30・ツエーゲン金沢)が左サイドで仕掛けると、エリアに入った所で沼津のCBを務める西村竜馬(21・JAPANサッカーカレッジ)ともつれて転倒。笛を吹いた池田一洋主審はペナルティスポットを指差します。PKを蹴るのは岸田。実はその岸田とGKの石田は昨年まで町田で共にプレーをしていた上に、大分トリニータU-18の先輩と後輩でもあり、「僕は町田の時もPKは真ん中か右しか蹴らないってGKの人みんなに言っていて、相手のGKも知っているから『右、どうなのかな』と自分でも怖かったんです」と岸田。ただ、岸田はその右に蹴り込み、石田もしっかり同サイドに反応しましたが、揺らされたゴールネット。最後は「まあ、ゴロで速かったら大概入るかなと思って」"右"を決断した後輩に軍配。山口が早々にスコアを動かしました。
さて、ビハインドを負った沼津にも惜しいシーン。15分には左SBの馬場将大(24・FC岐阜SECOND)を起点に、村上聖弥(23・FC町田ゼルビア)が中央へ折り返し、柳澤のシュートは山口のGK一森純(23・関西学院大)がしっかりキャッチしたものの、悪くないチャレンジを披露すると、ここからは沼津に手数。25分には木暮郁哉(25・アルビレックス新潟)と村上の連携で獲得したCKを、キャプテンの尾崎瑛一郎(29・ガイナーレ鳥取)が蹴り入れるも、一森がパンチングで回避。直後には右スローインの流れから、岡庭和輝(22・順天堂大)のクロスはここも一森がパンチングで掻き出すも、26分にはビッグチャンス。馬場が左からアーリークロスを送り込み、ラインギリギリで抜け出した蔵田岬平(23・松本山雅FC)が左足で狙ったシュートは、しかしクロスバーの上へ。同点弾とはいきません。
実際にこの時間帯は「ある程度持たれるのは仕方ないと思っていたけど、あれほど持たれるのは想定外」と岸田も振り返ったように、木暮が広範囲に動いてボールを引き出し、その10番を中心にポゼッションは7対3ぐらいの割合で沼津が優勢。そのボール回しから、「2人の距離感も良かったし、お互いに1人でやらないようにコンビでやろうという意識も高かったので、良かったと思う」と望月一仁監督も言及した馬場と村上の左サイドが躍動して、チャンスの香りを漂わせます。
29分も沼津。馬場の突破で奪った左FKを尾崎が蹴るも、一森がきっちりパンチングでクリア。32分の沼津は右サイド。柳澤とのスイッチで右にポジションを取っていた村上が、中央に切れ込みながら打ち切ったミドルはクロスバーの上へ。「右も左も良い距離感の中で、良い形でサイドへ侵入できていたのかなと思う」と望月監督。押し切りたい沼津。
一方の山口は「自分たちはある程度ラインを決めていたので、そこから入ってこなかったら行かなくて良い」(上野監督)という約束事の中で、相手にボールを持たれる展開が続いていましたが、「もうちょっと前から行って高い位置でボールを奪って、ゴールまで行きたかったんですけど、どうしてもボランチの選手がキツいということでラインが下がって、結局FWも守備できていない形だったと思う」と話したのは小塚。ボールの奪い所が定まらず、我慢の時間が続きます。
39分も沼津。ピッチ中央、ゴールまで約30mの距離からファウルをもらった村上が直接狙ったFKは、大きくクロスバーの上へ。42分は沼津の決定機。前半の途中からうまくボールを引き出していた柳澤が右へ振り分け、岡庭のクロスはピンポイントでファーまで届くも、村上がほとんどフリーで叩いたヘディングは枠の左へ。シュート数は6対1で沼津が上回りながら、スコアで上回ったのは山口。「相手の策にハマった感はあった」と木暮。最初の45分間は山口が1点をリードして、ハーフタイムへ入りました。


加藤学園高校吹奏楽部の本格的な演奏がピッチを彩り、15分間の休息を挟んで迎えた後半はスタートから山口に交替が。移籍してきたばかりでスタメン起用されたCBの藤本大(24・ロアッソ熊本)に替えて、宮城雅史(23・栃木ウーヴァFC)をそのままのポジションに投入。守備面でのテコ入れを図りつつ、残された45分間に臨みます。
後半も先にチャンスを掴んだのは沼津。50分に木暮のスルーパスから、柳澤が抜け出し掛けましたが、カバーに帰った平林が間一髪でスイープ。直後の大きなチャンスも沼津。右サイドからきっちり崩して、最後は村上が左へ持ち出しながら、枠へ収めたシュートは一森がファインセーブで阻止。55分も沼津。木暮が右へ振り分け、岡庭とのワンツーで抜け出した尾崎の折り返しを、ダイレクトで狙った村上のシュートはDFにブロックされたものの、「彼がうまく間でボールを受けてくれることによって、相手も引き出されてスペースが空いた」と木暮も評した村上に再三訪れるシュートチャンス。確実に開き掛けた山口ゴールの堅牢。
56分も沼津。左から木暮がニアへ蹴ったCKに、飛び込んだ村上のヘディングはゴール左へ。上野監督が決断した西森正明(29・V・ファーレン長崎)と吉弘充志(29・FC町田ゼルビア)の交替を挟み、58分も沼津。馬場のパスから村上が左クロスを放り込むと、岡庭と一森がクラッシュしたものの笛は鳴らず、尾崎がGKのいないゴールを狙ったミドルは枠外へ。「縦パスが入って3人目が連動した時には良い形になっていた」と木暮。残すはゴールの歓喜だけ。
ところが、61分にその歓喜を享受したのはアウェイの橙。CBの池永航(22・大阪体育大)が右からFKを蹴り出し、宮城が高い打点で競り勝つと、岸田はワンタッチでリターン。おあつらえ向きの高さをボレーで撃ち抜いた宮城のシュートは、ゴール右スミへ突き刺さります。吉弘がピッチに入ったことで、CBから前線へとポジションを移した宮城は、パートナーの岸田曰く「元々FWで、大学卒業してからディフェンスをやり出したらしいですよ」とのこと。"本職"で想い出した嗅覚炸裂。チーム2本目のシュートが、山口に2点目をもたらしました。
「2点目を取られても、『1点を取れれば追い付けるかな』、あるいは『最後に逆転できるかな』ぐらいのイメージは持っていた」と語る望月監督の"イメージ"が霧散したのは67分。「試合を読むという所をもっとやらなきゃなと思っている」という小塚を起点に、岩渕良太(24・松本山雅FC)が右へ展開すると、この日がJFL200試合出場のメモリアルとなった鳥養祐矢(26・FC琉球)はエリア内へゴリゴリ仕掛けて、DFともつれながら中央へラストパス。「トリさんが右で崩してくれて、僕はただいただけ」と話す岸田が難なくプッシュすると、山口に記録されたのはチーム3点目。大きく点差が開きました。
厳しくなったゲーム展開の中、沼津は71分には柳澤と真野亮二(23・FC町田セルビア)をスイッチして、前線のパワーアップに着手したものの、72分には鳥養のラストパスから、平林が右のポストを直撃する強烈なシュートを打ち込み、74分にも小塚が右FKを入れると、宮城のヘディングはクロスバーにヒット。ゲームリズムも3点をリードした山口へと傾き始めます。
77分に岡庭を下げて、緑悟(24・FC岐阜SECOND)を送り込んだ沼津へ、さらに降りかかった不運。82分に西村がラフプレーでイエローカードを受けてしまい、前半にPKを献上したシーンでもイエローカードを提示されていた西村は退場となってしまいます。しかし、ここから強烈な意地を見せ付けた沼津の"誇り"。
83分、左サイドで馬場がボールを捌き、真野亮二が溜めたボールを蔵田が中へ送ると、走り込んだ木暮は右足一閃。軌道は一直線にゴール右スミを貫きます。「ここでは自由にやらせてもらっているが、自由ということはそれだけ責任も伴ってくるので、よりプレーに責任を感じながらできるようになっている」と語った木暮のゴラッソ。一瞬で沸き上がったサポーター。スタンドの雰囲気が一変します。
それでも、90分には岸田が相手のボールをかっさらうと「後ろに下げてカウンターを食らうよりは、仕掛けた方がいいのかなと思って、自ずと前に仕掛けていた」とそのままカウンター発動。右に出したボールをDFもクリアし切れず、岸田と並走していた宮城が右足で打ち切ったシュートは、左のサイドネットへ吸い込まれます。1-4。再び点差は3点に広がりました。
折れない沼津。90+4分、3枚目のカードとして84分に投入されていた真野直紀(23・駒澤大学)が粘って残すと、真野亮二は瞬時の判断でループシュートを選択。GKの頭上を抜いたボールはクロスバーに当たって跳ね返るも、ここへ突っ込んだのは緑。交替でピッチへ入った3人が全員絡み、これでスコアは2点差に。ゴール裏で声援を送り続けた下部組織の子供たちも大喜び。
90+6分、中野翔太(24・デッツォーラ島根)を起点に山口ゴール前へ沼津のアタッカーが殺到。蔵田が繋ぎ、尾崎のシュートはDFのブロックに遭うも、こぼれを拾った木暮はワンテンポずらしながら粘って粘ってフィニッシュ。DFに当たったボールは、しかし木暮の執念がわずかに優り、ゴール右スミへ転がり込みます。愛鷹沸騰。ある意味では木暮らしくない"泥臭い"1点は、「ここに来て今まで自分が恵まれた所でやっていたんだなというのを凄く感じましたし、サッカーに時間を使えるというのは凄く幸せなことなんだなというのがわかったので、昔よりはサッカーに対する気持ちが大きくなったというか、もっともっとうまくなりたいなという気持ちが増しました」というサッカーに対する心境の変化の現れ。これでスコアは1点差になりましたが、再開のキックオフ直後に吹き鳴らされたタイムアップのホイッスル。最後は沼津も懸命に追い上げたものの、一歩及ばず。「最後は足が止まってヒヤヒヤしました」と上野監督も苦笑いを浮かべた山口が、勝ち点3をもぎ取る結果となりました。


「沼津さんは組み立て、ビルドアップが本当に上手くて、我々は本当に疲れました」と上野監督が話したように、相手にボールを持たれる時間の長かった山口は、シュート数も沼津の20に対してわずかに7。最初の3本のシュートがすべて得点に結びつくなど、効率的にゴールを陥れるしたたかさが印象に残りました。中でも岸田はこの日もきっちり2ゴールをマークして、得点ランキングの首位を快走中。「僕は自由にやらせてもらっているし、チームのみんなも僕のプレーをわかってパスを出してくれる。僕が点を取れるようにチームがやってくれているので、みんなのためにも自分がしっかり結果だけは残さないといけないですね」と笑うストライカーからは、今後も目が離せません。
終盤の追い上げも実らず、悔しい敗戦となった沼津は、ゲームの大半でボールは支配していましたし、決定的なチャンスも創ってはいたものの、「主導権も握って、ポゼッションでは押していたので、逆に点を取りにいってバランスを崩して、3点目を入れられたかなと思う」と望月監督も振り返ったように、自分たちがゲームリズムを握っている時に、一瞬のエアポケットを突かれた格好で失点を重ねる格好に。「バランスを崩しながらでもリスク管理するという所の"管理"の所」(望月監督)に課題を残しました。とはいえ、終盤に見せた執念や意地は、この日の愛鷹に詰め掛けた3000人近い観衆にも間違いなく響いたはず。例えば前述したフードコートやグッズショップ。例えば「タイコをたたいてみよう」と子供を誘う着ぐるみ。例えば話せば一瞬で理解できるほどの情熱に溢れたクラブスタッフ。この日のスタジアム中からひしひしと伝わってきた、クラブを想う気持ちはかけがえのない財産。サッカー王国静岡の中でも、存在感の希薄だった東部地域から高みを目指すアスルクラロ沼津の全国挑戦は、まだまだ始まったばかりです。        土屋

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