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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2014年08月22日

高校選手権東京1次予選決勝 都立国分寺×大東文化大第一@駒沢第2

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0821koma2 1.jpgT3リーグの同ブロックに所属するチーム同士が、真夏の選手権予選で激突する好カード。都立国分寺と大東文化大第一。緑をモチーフにした両者が相まみえるのは駒沢第2です。
昨年の選手権予選では都大会の初戦でかえつ有明を、2回戦で関東第一を相次いで撃破し、ベスト8まで進出した都立国分寺。迎えた今年度は関東大会予選、インターハイ予選と上位進出とはいきませんでしたが、「春はあまり出だしは良くなかったが、公式戦を経るごとに1つ1つ成長してきている」と元木明監督。1年前に東京を沸かせたステージへ返り咲くべく、このファイナルに挑みます。
一方、昨年の選手権予選は都大会1回戦で延長の末に涙を呑み、ここ3年は都大会の初戦突破という壁に跳ね返されている大東文化大第一。T3では結果にこそ恵まれていないものの、かえつ有明や早稲田実業とも好ゲームを演じるなど、その実力は確か。新人戦とインターハイ予選では早期敗退を強いられているだけに、最後の大会となる選手権での躍進を誓います。駒沢の青空には夏らしい綺麗な白い雲。勝者と敗者が必ず生まれるノックアウトマッチは、国分寺のキックオフでその幕が上がりました。


ファーストシュートは国分寺。4分にエリアのすぐ外でルーズボールを収めた近藤大貴(3年・府ロクJY)が枠内へ打ち込み、大東文化のGK大庭英理人(3年・戸田喜沢中)にキャッチされたものの好チャレンジ。6分も国分寺。高い位置で近藤が相手ボールを引っ掛け、戸田駿斗(3年・国分寺第五中)が浮き球で返すと、近藤のボレーはわずかに枠の右へ逸れましたが、左SHの連続シュートでゲームは動き出します。
以降もゲームリズムは国分寺。8分には織田世嗣(3年・FC.GIUSTI世田谷)の浮かせたパスに、戸田が相手の裏を取るもシュートまで行けず。9分にも左サイドでSBの石田聖(3年・ARTE八王子FC)が仕掛け、こぼれを叩いた寿崎祐(3年・FC Branco八王子)のミドルは力なく大庭へ。12分に左CKで仕掛けたトリックは大東文化に見破られたものの、15分にも中央から秋山拓海(3年・あきる野FC)がクロスバーを越えるミドル。中盤でのボール奪取と、それを繋げるパスワークで上回った国分寺の時間が続きます。
さて、守備を強いられる回数が多く、なかなか攻撃へと転じられない大東文化は、時折1トップの陶山凌大(2年・ジェファFC)にボールが入るとスイッチが入り掛けますが、あくまで入り掛ける程度。そんな中で初めて創出した24分のチャンスはいきなりの決定機。右から陶山が蹴り込んだCKは、中央でフリーになった森田康平(2年・さいたま大谷場中)にドンピシャ。頭に当てたボールはクロスバーを越えてしまいましたが、ワンチャンスで一変した流れ。
すると、先にスコアを動かしたのも大東文化。秋山の右FKから、ゴールを陥れた石田のヘディングシュートがオフェンスファウルで取り消された国分寺のビッグチャンスを経た29分。左サイドでSBの里見聡太(3年・FC Consorte)が起点になり、末永浩隆(2年・板橋高島第三中)が左へ付けると、三堀智裕(2年・FCクレセル)は左足を強震。国分寺のGK島村諒汰(3年・FC Branco八王子)も懸命に弾き出しましたが、ファーで詰めていた陶山がプッシュしたボールはゴールネットを揺らします。ほとんどチャンスのなかった大東文化が先制ゴールを奪いました。
漂い出した嫌な雰囲気を払拭したのは2分後の7番。31分、右サイドからの展開を受け、中央でボールを持った織田は、ゴールまで25m近い距離からミドルにトライ。右スミへコントロールされたボールは、美しい軌道を描いてゴールネットへ吸い込まれます。「織田は準決勝でああいうシーンをことごとく外していたので、決勝に取っておこうと言っていた。それを信じて、良いゴールを決めてくれたと思います」と元木監督。すぐさま国分寺がスコアを振り出しに戻して、前半の35分間は終了しました。


後半はまず大東文化にチャンス。37分、左のハイサイドでボールをカットした三堀はそのままの流れでスルーパス。走った陶山より一瞬早く島村が飛び出してセーブしましたが、あわやというシーンに沸き立つ大東文化の応援団。42分には国分寺が左SBの石田と佐藤直也(3年・清瀬第五中)、46分には大東文化が右SBの柳原優雅(1年)と市川翔(3年・戸田ニーニョス)と、それぞれSBの交替を挟み、50分も大東文化。市川のパスから菅沼勇作(3年・富士見勝瀬中)が抜け出し、最後は国分寺のCB野崎秀人(3年・中野北中野中)が的確なカバーでピンチの芽を摘んだものの、出足も含めた球際の攻防はほとんどフィフティまで。三堀をアクセントに大東文化も攻撃の回数を増やします。
「ボールがお互いに行き来しちゃって、マイボールを繋げない時間帯」(元木監督)の中で、53分は国分寺。野崎、戸田と回ったボールを織田がシュートまで持ち込むも、DFがきっちりブロック。59分は大東文化。1分前に投入されたばかりの新田崇人(3年・さいたま岸中)が右サイドをえぐって折り返すと、陶山が飛び込むもDFが何とかクリア。続く際どい攻防。勝負はラスト10分間へ。
「『慌てないでやれ』とこっちの言ったことが彼らも良くわかっていた」(元木監督)国分寺の猛ラッシュ。66分、秋山が蹴った右CKを戸田が頭で残し、寿崎が放ったミドルはわずかにクロスバーの上へ。67分、右サイドから秋山がクロスを送ると、深沢悠人(3年・バリオーレ日の出FC)がダイレクトで枠へ収めたシュートは、大庭がファインセーブで応酬。70+4分、秋山が裏へ落としたボールを大庭がパンチングで掻き出し、寿崎のシュートは戻った大庭がしっかりキャッチ。両雄譲らず。都大会へ進出するための切符の行方は、前後半10分ハーフの延長戦へ委ねられることになりました。


両チームのベンチ前に生まれた円陣。おそらく、どちらかの3年生にとっては高校生活最後のそれ。魂を共有した輪が解け、いざ延長へ。72分の好機は大東文化。後半終了間際からピッチに立った三浦航太(3年・枚方FC)が右へ振り分け、縦へ持ち出した新田の折り返しに三浦が突っ込むも、わずかに届かず島村がキャッチ。1点を巡る攻防。落ち着かないスタンド。
「もうこちらが何かを言う前に彼らの気持ちがしっかりしていて、『このままでは負けられないし、しっかりやるぞ』というのがあったので、ほとんど何も言わなくても、彼らがよく気持ちを締めてやってくれた」と元木監督。その時は76分。深沢が左へ展開すると、近藤は完璧なラストパスを浮き球で。全速力で駆け上がって来た佐藤が左足を振り抜くと、ボールは右スミのゴールネットへ到達します。狂喜と咆哮。石田の負傷を受けて、「どちらかというとディフェンスをしっかりという形で入れた」(元木監督)左SBが土壇場で大仕事。国分寺がこのゲームで初めて、勝利のゴールテープを切るべく一歩前に出ました。
逆にこのゲームで初めてリードを許した大東文化。77分に左サイドから10番を背負う中島健(3年・戸田ニーニョス)が狙ったミドルは、わずかにゴール右へ。延長後半開始と同時に最後のカードとして本室裕太(1年)を送り込むと、82分には中島が倒されて絶好の位置でFKを獲得するも、末永のキックはカベを直撃。85分にも中島が左から蹴り込んだCKはゴール前に密集を生み出すも、DFが懸命にクリア。着々と消えていく時間。刻々と迫るタイムアップの瞬間。
88分に秋山が40m近い距離をものともせず、強烈に枠を襲ったミドルは大庭が決死のファインセーブで回避。土俵際で残った大東文化。90+2分のラストチャンスは大東文化のFK。左サイドから丁寧に蹴った中島のキックは、しかし誰も触れずにゴールラインを割ると、駒沢の高い高い青空に吸い込まれたファイナルホイッスル。「彼らが夏の間に積み重ねてきたものがあるので、変な意味じゃなく『負けることはない』という自信は持ってやりました」と元木監督も話した国分寺が、執念の逆転劇で都大会進出を勝ち獲る結果となりました。


「たまたまなんですけど、8日にやったTリーグの東京高校の試合も先に点を取られ、その後の東大和高校との練習試合でも先に点を取られ、東京の試合は追い付けて勝ち越せなかったんですけど、東大和との試合は勝ち越すことができたので、彼らも慌てないでやればというのは持っていたと思います」と明かしてくれた元木監督。直前の実戦経験を糧に、この大舞台でじっくりと逆転まで持っていった国分寺の勝負強さが光るゲームだったと思います。元々は78回大会や80回大会でファイナリストになるなど、都立の中でも屈指の実力校。「西が丘に行って全国を目指そうというのは、去年の子たちが果たせなかった夢なので、去年も試合に出ていた選手がいますし、彼らの想いを是非実現させたいという所はあります」と語った指揮官。夢の続きを託された国分寺の進撃は果たしてどこまで。         土屋

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