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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2014年07月12日

T3リーグBブロック第5節 早稲田実業×東京成徳大学高@大井第二

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0711ooi.jpg無敗の首位と1敗の3位が対峙する上位攻防戦。早稲田実業と東京成徳大学高の双方にとって重要な一戦は大井第二です。
無念の降格が続き、現在はT3を主戦場にリーグを戦っている早稲田実業。インターハイ予選は1次トーナメント初戦で敗れるなど、なかなか難しい時期が続いている印象もありますが、リーグ戦ではここまで4試合を終えて3勝1分けでテーブルの一番上を快走中。農塚統太(1年・ジェフユナイテッド千葉U-15)、荒巻洸介(1年・大宮アルディージャJY)、金田佑耶(1年・FC東京U-15深川)と3人の国体候補選手を抱えるなど下級生の台頭も著しく、まずはリーグ戦での積み上げで復権を虎視眈々と狙います。
こちらも昨年からはカテゴリーを1つ落としたT3で、ここまで2勝1分け1敗とまだまだブロック優勝を狙える位置に付けている東京成徳大学高。インターハイ予選は支部予選で悔しい敗退を経験したものの、選手権に向けてもリーグ戦での1試合1試合は貴重な実戦の舞台。「ここで勝ち点を取れないと厳しいけど、これで3つ取れればまだ可能性はある」と望月勉監督も語る、大事な90分間に挑みます。台風一過の大井は青空も覗く好コンディション。双方にとってのキーゲームは早実のキックオフでスタートしました。


いきなりファーストチャンスで動いたスコア。動かしたのは東京成徳。6分、左サイドのスローインから、一瞬両者がエアポケットになった瞬間を見逃さなかった本田達也(3年・足立六月中)はルーズボールをかっさらってドリブル開始。少し運んで右足を振り抜くと、ボールはゴール左スミへ飛び込みます。沸き立つ応援団と応援席。いきなり東京成徳が1点のリードを手にしました。
8分も東京成徳。ピッチ中央、ゴールまで約35mの位置から、CBの大久保雄生(3年・ジェファFC)が直接狙ったFKは枠の右へ。10分は早実のファーストシュート。藤沢和也(2年・東京ヴェルディJY)のパスから、DFの間を強引に抜け出した直江健太郎(3年・大宮アルディージャJY)のシュートは、東京成徳のGK江口幸太(3年・FC FESTA)がしっかりキャッチ。15分は東京成徳。左SBの大橋稜平(3年・与野西中)が30m近い距離を直接FKで狙うも、ボールは枠の左へ。17分は早実。農塚の右CKから、最後は中村大和(3年・早実中)が合わせたヘディングはクロスバーにヒット。お互いセットプレーを中心に手数を出し合います。
すると、次のゴールもセットプレーから。19分にエリアのすぐ外で東京成徳が獲得したFK。キッカーは大久保でもなく、大橋でもなく、10番を背負った山口泰(3年・朝霞エステレーラ)。短い助走から10番が放った軌道は、左のポストを叩いてゴールネットへ吸い込まれます。徐々に近付いた距離を制したのは3人目の刺客。山口のゴラッソが飛び出し、アドバンテージは2点に変わりました。
以降もペースは王子の"カメルーン"。目立ったのは中央で縦関係を組む山口と本田に加え、右の森合碧海(1年・足立六月中)、左の矢地祐介(1年・武南ジュニア)も含めた4人のアタッカー陣。とりわけ「両サイドの中盤の子たちをできるだけ張らせて、相手のサイドバックを上げさせないようにした」と望月監督も言及したように、森合と矢地の1年生コンビが高い位置をキープできたことは攻守両面で効果的に作用。23分には本田のスルーパスから、抜け出した矢地のシュートは枠の左へ外れたものの、全体を広げながら前の4人で攻め切る形は、相手に脅威を突き付けます。
3度目の歓喜も「どちらかというと走って走ってというより、足元で受けて受けて」(望月監督)という、自らのスタイルを体現した東京成徳。25分、両ワイドの圧力にラインが下がった相手ディフェンスを尻目に、ボランチの中川健太(2年・三菱養和調布JY)が通したのは中央へのスルーパス。狭いスペースで受けた本田がすかさず左足で叩いたボールは、ゴール右スミを一直線に捕獲。「どれだけ背後のスペースに抜けるかという動きの中で、本当に狙いたいのは足元」(望月監督)。まさに"足元"で上回った一撃。早くも3点の差が開きました。
さて、「ボールを返せないし、拾われて、襲い掛かられて。最低限の対処能力の部分」と渋い表情を浮かべた森泉武信監督は、32分に1人目の交替を決断。ボランチの高橋健太(3年・早実中)に替えて金田を投入すると、直後に左へ開いた金田のラストパスは直江に繋がり、判定はオフサイドとなったものの、ルーキーがいい形を早々に創出しますが、41分に森合のパスから本田が両方のポストを叩く惜しいシュートを放つと、42分にも山口のパスから本田がわずかにゴール右へ外れるフィニッシュまで。東京成徳がリードとゲームリズムを掴んだ格好で、最初の45分間は終了しました。


後半開始時には双方に交替が。早実は米澤直也(3年・大宮アルディージャJY)を下げて、荒巻をそのまま右SBへ投入。東京成徳はボランチの雁部智也(1年・川口十二月田中)と小林晃輝(3年・江東深川第三中)をスイッチして、残りの45分間へ臨む態勢を整えます。
51分は早実。1トップ下に入った坂梨龍太(3年・武南ジュニア)が繋ぎ、金田がミドルレンジからトライしたシュートは、GKがファンブルしてわずかにゴール左へ。この左CKは榎本大輝(3年・FC東京U-15むさし)が2本続けて際どいボールを。東京成徳も54分には山口が、56分には上がってきた大久保が続けてミドルを放つも、前者は早実のGK田中耕一郎(3年・朝霞第三中)がキャッチし、後者は枠の左へ。やや膠着した展開の中で、ようやく迫力を帯びてきた早実のパワー。
「サイドハーフが足が止まってきて、本田と山口に絡めなかったという所」を押し込まれた要因に挙げたのは望月監督。その印象はおそらく森泉監督も同様。その指揮官が64分に切った2枚目のカードは、左SHの中村大和(3年・早実中)と中園健太郎(2年・川崎中野島中)のスイッチ。67分にはその左サイドを崩してCKを獲得すると、直後には中盤でボールを奪った直江がクロスバーを越えるミドル。「良かったということもなかったけど、相手への対処がやられる所まで行かなかった」(森泉監督)守備面のリカバリーを受け、サイドの推進力を高めることで、攻勢への決意を一層滲ませます。
72分の結実。農塚がシンプルに放ったフィードは、際どいポイントへ。飛び出したGKとの競争を、「凄い出足が速かった」と指揮官も認めた藤沢が爪先で制すと、ボールは無人のゴールへゆっくりと転がり込みます。「1本たまたま抜けたかなという感じだけど、アレで脅威になれば相手が下がるでしょうし、そういう所ですよね」と森泉監督。ようやく早実に1点が記録されました。
勢いは白を纏った"エンジ"。74分、左サイドで坂梨が縦へ流し、抜け出した直江のクロスはCBの中村柊介(3年・クラブ与野)が間一髪でクリア。75分、榎本がミドルレンジから枠へ収めたシュートは江口が丁寧にキャッチ。望月監督も76分には、徐々に仕掛けられなくなった1年生の森合と矢地の位置へ、真先航平(3年・三井千葉SC)と清水駿之介(3年・FC台東)をそのまま送り込む2枚替え。80分には右CKの流れから、大久保が打ったミドルは田中が何とかキャッチ。逆に直後には早実も農塚の左クロスを直江が落とし、坂梨のボレーは枠の左へ。「選手を替えてからある程度対処が普通にできてきた」(森泉監督)早実が、勝負を懸ける最後の10分間。
「あまり気持ちを前に出すDFラインじゃないので、もどかしい部分はあるけどしっかり守れたかなとは思う」と望月監督。その言葉通り、東京成徳も中村と大久保のCBコンビを中心に最後の一線を超えさせない執念は鮮明に。84分には奮闘した右SBの浦本悠希(3年・ジェファFC)を坂井元祐(3年・フレンドリー)と入れ替える万全も期して、迎えた試合終了のホイッスル。「運が良いだけ。取れる所で立ち上がりが取れたのでそれだけ」とは望月監督ですが、持ち味の攻撃面に加えて、守備面でも一定以上の成果を手にした東京成徳が、大きな勝ち点3を奪い取る結果となりました。


どうやらこの両チームの今後は"1年生"が鍵を握ってきそうです。東京成徳は「空中戦や2つ目のボールという所ではまだまだだけど、それ以外の所に関しては裏に抜けると怖い子たち」と指揮官も評した森合と矢地の両SHが持つ推進力は、間違いなくチームの大きな武器に。望月監督に今後のポイントを伺うと、「1年生が本田と山口の縦の2人にどれだけ絡めるかという所」と即答されていました。また、早実は農塚、荒巻、金田の存在によって国体強化校に指定されたため、選手権は地区予選が免除に。こちらも森泉監督が今後のポイントに「上級生と下級生をプラスの面でミックスできればなと思う」と言及するなど、このゲームに出場していた3人やベンチに入っていた3人も含め、1年生をどうチームに組み込むかが、選手権へ向けてのテーマになってくるかもしれません。ただ、当然そうはさせじと奮い立つ上級生の意地も期待したい所。両者の"1年生"がこの夏にどういった化学反応をもたらすのかが、今から非常に楽しみです。      土屋

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