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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。
勝ち点6の最下位と勝ち点9の9位が激突する、まさに"シックス・ポインター"。「これは負けられない下位決戦」とFCトリプレッタユースの米原隆幸監督も表現した一戦は駒沢第2です。
インターハイ予選はいきなりのT1対決となった関東第一戦に0-1で惜敗し、1次トーナメント敗退。リーグ戦は現在6連敗中と、少し公式戦での勝ち星から見放されてしまっている都立三鷹。消化試合数が2つ少ないとはいえ、勝ち点3差で追い掛けるライバルとの直接対決は今後に向けてもかなり重要なゲーム。この勝利をキッカケに再び上昇気流に乗るための90分間へ挑みます。
迷い込んだ袋小路は悔しい開幕6連敗。その後も3試合連続ドローとなかなか勝利の遠かったFCトリプレッタユース。ところが、対戦も2巡目に入った第10節の成立学園戦で、2回のビハインドを跳ね返して初白星を手にすると、続く堀越戦も制して連勝を達成。「勝って間が空いたのは相当嫌だった」と指揮官も言及した3日前の帝京戦は完敗を喫しましたが、ここは勝ち点3差を付けているライバルを確実に叩き、すぐ上のライバルをも視界へ捉えるためのキーゲームです。予報では雨マークだった駒沢も何とか持ち堪えそうな雰囲気が。注目の"シックス・ポインター"は18時ジャストにキックオフを迎えました。
良いリズムで立ち上がったのは青のトリプレッタ。6分には10番を背負う司令塔の宮澤俊太朗(3年・FCトリプレッタJY)が右へ振り分け、3トップの右に入った泉黎(2年・FCトリプレッタJY)はグラウンダーで丁寧なクロス。走り込んだ廣瀬友紀(2年・FCトリプレッタJY)はわずかに届かず、"電光石火"とは行きませんでしたが、攻撃的な中盤2枚が絡んだアタックで惜しいシーンを創出します。
すると、その勢いは先制ゴールまでしっかり直結。10分、右CKから宮澤亮太朗(1年・FCトリプレッタJY)が鋭い軌道を落とすと、ゴール前は混戦状態に。その中からいち早くボールを押し込んだのは4分前にチャンスを逃した廣瀬。「前節も9本CKがあったのに、結局取り切れなかった」(米原監督)という、そのCKから生まれた大きな一撃。トリプレッタが早々にスコアを動かしました。
以降もペースを掴んでいたのは、リードを手にしたトリプレッタ。CBコンビの玉川由(3年・FC PROUD)と佐々木龍(2年・FCトリプレッタJY)、アンカーの宮澤亮太朗、さらにGKの片岡竜雅(1年・調布FC)でボールを保持する中で、それほど相手がプレスに来ない時はゆっくり回し、来た時には浅めに敷かれたDFラインの裏へボールを入れるメリハリがしっかり。「今日は比較的蹴っちゃったけど、それは相手のラインを見てだったから、あの選択は間違っていないなと思って俺はあんまり何も言わなかった」と米原監督。長いボールも宮澤俊太朗と廣瀬が前向きに収めるシーンも多く、スムーズな流れでゲームを進めていきます。
ただ、このゲームに懸けているのは三鷹も同様。20分にキャプテンの巽健(3年・SC相模原)が右へ展開したボールを、SBの湯浅辰哉(3年・プロメテウス)は駆け上がって中へ。こぼれに反応した長島潤也(3年・渋谷広尾中)のシュートは、DFに当たって枠の右へ外れましたが、ようやくファーストシュートを。直後に渡部圭(2年・三鷹FA)が蹴った右CK、26分に湯浅が投げた右ロングスローは、いずれもシュートには繋がらなかったものの、セットプレーの脅威もチラリ。28分にはトリプレッタも廣瀬が積極的に仕掛け、最後は宮澤亮太朗がシュートを枠へ飛ばすも、三鷹のGK武田啓介(3年・東村山第二中)がファインセーブで応酬。徐々に掛かり始めた三鷹のエンジン。
32分も三鷹。長島が裏へ落としたボールを、巽はミドルレンジからシュートへトライしましたが、ヒットせずに片岡がキャッチ。34分も三鷹。左から巽が上げたクロスへ、3列目から飛び込んだ田島優也(3年・昭島瑞雲中)はシュートまで持ち込めず、ここも片岡がキャッチ。35分も三鷹。ボランチの堀田将弘(3年・FC.GIUSTI)が好フィードを送ると、巽が走るも「元々フィールドをやらせても上手いんで、キックに自信もあるし、もう1年生とは思えない」と米原監督も認める片岡が、ここもエリア外まで飛び出してきっちりクリアしたものの、続く三鷹の攻勢。
「立ち上がりの所はある程度落ち着いてできたけど、1点取ってからいつも通り"迷い"というか、『取ったのにどうしよう』みたいになった」と指揮官も苦笑したトリプレッタは、サイドでの主導権を明け渡した格好で、耐える時間を強いられます。38分には名幸龍平(2年・杉並アヤックス)の突破で獲得した左CKを宮澤俊太朗が蹴り込み、こぼれを宮澤亮太朗が狙ったシュートは三鷹ディフェンスが体を張ってブロック。中盤を過ぎて三鷹が盛り返した前半は、トリプレッタが1点のアドバンテージを握ってハーフタイムへ入りました。
後半は再びトリプレッタが序盤からラッシュ。48分、うまく相手の間で受けた宮澤俊太朗が、巧みなターンから放ったミドルはクロスバーの上へ。53分、SBの金子甲弥(3年・芝中)を起点に奪ったCK。宮澤亮太朗が右から蹴ったボールをピーダーセン世隠(2年・FCトリプレッタJY)が合わせたシュートは、ライン上で三鷹のDFが何とかブロック。55分、こちらもSBの氏橋寛(3年・三菱養和調布JY)を起点に奪ったCK。宮澤俊太朗が左から際どいボールを蹴り入れるなど、隠さない追加点への決意。
それでも点差はわずかに1点。56分は三鷹。後方からのフィードは、飛び出した片岡が何とか頭で掻き出しましたが、拾った河内健哉(3年・FC駒沢)が浮き球で狙ったミドルは、戻った片岡が間一髪でクリア。57分も三鷹。渡部の左CKはこぼれ、CBの吉野秀紀(2年・三鷹中)が叩いたミドルは枠の上へ。59分も三鷹。ルーズボールを確保した巽のボレーは枠の左へ。三鷹も同点への意欲をピッチ上でしっかり表現します。
「中盤に降ろすと"中盤"みたいになっちゃうけど、アイツは本当はストライカーだと思っている」と指揮官も話した"中盤的ストライカー"の追加点。61分、右から泉がクロスを上げ切ると、ピーダーセンを経由したボールを廣瀬は粘って粘って縦へ。マーカーより少し前に出た瞬間、トーキック気味にチャレンジしたシュートはゴールネットまで届きます。「センスは凄くあるし、シュートのセンスもあるんだけど、我慢して使っている所もある」と明かした指揮官の"我慢"に応える廣瀬のドッピエッタ。次のゴールはトリプレッタに記録されました。
決して悪くはない流れの中で、2点のビハインドを負った三鷹。66分には中盤で相手のロストをかっさらい、長島がフリーで抜け出しかけましたが、「彼は日増しに安定感を増している。不動だね」と米原監督も信頼を寄せる片岡が、またしても判断良く飛び出してボールを強奪。68分にも右から湯浅がグラウンダーで入れたクロスに、長島が突っ込むも片岡がきっちりセーブ。湯浅と河内の右サイドは可能性を感じさせるものの、最後の一手には至らないままに、時間が刻々と経過していきます。
トドメの3点目は80分。泉の積極的なシュートが呼び込んだCK。宮澤亮太朗が放り込んだボールはそのままファーまで抜けると、待っていたのはピーダーセン。頭で押し込んだボールは目の前のゴールネットを揺らします。「CKの役割をもう一度ハッキリさせて、そこを改善したら2本入ったし、そこは打ち合わせしたりトレーニングしたことが出るなというのが正直な所」と米原監督。1年生アンカーの左足が結果的に2つのゴールを呼び込み、試合の大勢は決しました。
既に傳川祐真(3年・東村山第七中)を79分に送り込んでいた三鷹は、81分にも金澤宏樹(3年・府ロクJY)を投入すると、85分に一矢。トリプレッタのバックパスへ寄せた金澤が、クリアボールを体でブロック。こぼれを巽が丁寧に当てたシュートは、GKの足元を抜けてゴールネットまでゆっくりと転がり込みます。何とか最後に意地を見せた三鷹も、しかし反撃はここまで。「2点目を取るまで我慢できたのが勝因かな。でも、ホッとしてるよ」と米原監督も笑顔を見せたトリプレッタが"シックス・ポインター"をモノにして、暫定ながら8位へ浮上する結果となりました。
残念ながら重要なゲームを落としてしまった三鷹。全体を振り返ると、失点をした時間帯とタイミングが非常に悪く、ブツブツと流れを断ち切られてしまった感が否めませんでした。とはいえ、河内と巽が仕掛けるサイドアタックは十分脅威に。日程の妙で試合数も他のチームより多く残されており、巻き返すチャンスはまだまだ。"夏の大反攻"に是非期待したいと思います。
「ここに来てある程度どのチーム相手にも、不安なくピッチに立てる所までは来た」と米原監督が話したように、トリプレッタは良い意味での柔軟性がポジティブに作用しているように見えました。例えば前半に相手の最終ラインを見て、少し長いボールを多用したシーンも、「毎回毎回自分たちのスタイルだけじゃなくて、そういう変化もできるようになった所が勝ち点を取れるようになった強みかなと思う」と指揮官も納得済み。「バランスの中でさじ加減をどこに付けるか」という課題も、だいぶ落とし所がハッキリし始めているのではないでしょうか。「夏は毎年のごとく1日も練習はやらない。夏休み中は毎日試合。だから、トライアンドエラーで何回も色々やりながらもっと仕込めるかな」と笑った米原監督。ここから実戦経験を積みまくるトリプレッタに残された、あと5試合のリーグ戦が楽しみになるような90分間でした。 土屋
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