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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2014年07月30日

クラ選準々決勝 磐田U-18×札幌U-18@前橋総合

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0730maebashi.jpg昨年度は揃ってベスト8で散った両者が、再び帰ってきた同じステージ。全国の4強を懸けたサックスブルーと赤黒の邂逅は前橋総合です。
三菱養和SCユース、ファジアーノ岡山U-18、アミーゴス鹿児島U-18と同居したグループをきっちり2位通過。迎えたラウンド16では、トップデビュー戦となった天皇杯でゴールまで記録した阪本将基を擁し、優勝候補の一角に挙げられていたセレッソ大阪U-18を激闘の末にPK戦で下し、2年連続でベスト8まで駒を進めてきたジュビロ磐田U-18。「トップが楽しくないわけじゃないけど、今も面白いし楽しいよ。基本的にどこへ行ってもスタッフ、選手に助けられて、案外楽しくやれている感じがするね」と笑う大木武監督の下、15年ぶりの日本一へ照準を合わせています。
一方、浦和レッズユース、塩釜FCユース、鹿島アントラーズユースという難敵の中へ放り込まれたグループを堂々の首位通過。ラウンド16では近年の関東でも評価を着実に高めつつある大宮アルディージャ相手に、やはりPK戦を制して2年連続でのベスト8進出を果たしたコンサドーレ札幌U-18。「プレミアEASTの最初の5試合が本当に厳しく苦しい戦いと結果だったので、そこから中断期間でこのままじゃ本当に終われないぞという所で、何とかちょっとずつ進歩してきてこの大会に入ってこれているので、失うものがない、良い雰囲気でやれています」とは四方田修司監督。既に育成機関としての充実は証明されており、あとは悲願とも言うべき日本一を手にすべく、まずは横浜の地を目指します。9時のキックオフながら気温は既に32.7度。群馬が課した最後の灼熱の中、ゲームは札幌のキックオフでスタートしました。


立ち上がりからボールを支配したのは磐田。CBでコンビを組む森岡陸(1年・ジュビロSS磐田)と高部佳樹(3年・ジュビロ磐田U-15)を中心にきっちり最終ラインからボールを繋ぎ、タイミングを計りながら前に付けて、そこからまたパスコースを探るという反復を徹底すると、9分には決定機。左サイドへ流れた山下諒也(2年・ジュビロSS磐田)がスルスル抜け出し、中央へピンポイントで送ったボールを津島孝至(2年・ジュビロSS浜松)が枠へ収めたボールはGKを破るも、最後はカバーに帰った札幌の左SB按田頼(2年・アンフィニMAKI.FC)にクリアされましたが、まずは勢いをビッグチャンスまで結び付けます。
ところが、先制点を記録したのは赤と黒の若梟。12分、左サイドで按田のリターンを受けた久保田成悟(2年・コンサドーレ札幌U-15)は縦へドリブル開始。寄せたマーカーの門をぶち抜き、そのまま少し持ち込んで放ったシュートは、右スミをしっかり捉えるとゴールネットへ飛び込みます。ファーストチャンスを確実に結果へ繋げた光る決定力。札幌がスコアを動かしました。
1点を追いかける形になった磐田は、それでも「あまり慌てないで執念深くやっていく」(大木監督)スタイルは継続。16分には森岡が左サイドへ落としたフィードを、山下が良いトラップで収め掛けるも、札幌のCB泉谷航輝(3年・スプレッド・イーグルFC函館)が辛うじてクリア。18分には札幌も久保田のパスから、菅大輝(1年・コンサドーレ札幌U-15)が左足で狙ったシュートは、キャプテンマークを託された増田将(3年・ジュビロ磐田U-15)がファインセーブで回避したものの、続く磐田の好リズム。
25分も磐田。2トップの一角に入った立川嶺(2年・ACNジュビロ沼津)のミドルは枠の右へ外れるも果敢なトライ。27分も磐田。津島がFKをクイックで始め、右SBの石田崚真(3年・ジュビロ磐田U-15)が上げたクロスはわずかに中と合わず。30分も磐田の決定機。津島が左へ振り分け、山下の折り返しに突っ込んだ立川はステップが合わずに痛恨のシュートミス。32分も磐田。右から石田がアーリークロスを放り込むと、森下龍矢(2年・ジュビロSS掛川)のコンパクトなダイレクトボレーは札幌のGK種村優志(3年・泊SC)がファインセーブで回避。「いっぱいいっぱいで何とか守り切っている感じ。相当苦しかった」とは四方田監督。掛ける圧力と掛けられる圧力。
41分も磐田。山下とのパス交換から上原力也(3年・ACNジュビロ沼津)が左足で狙ったシュートは種村がキャッチ。45分も磐田。左サイドで津島がスルーパスを繰り出し、抜け出した左SBの塩谷仁(3年・ACNジュビロ沼津)が放ったシュートは、種村が足でファインセーブ。45+1分は札幌。平川元樹(3年・コンサドーレ札幌U-15)の横パスを受けた菅のミドルはクロスバーの上へ。45+2分は磐田。津島、上原とボールが回り、石田の折り返しをダイレクトで叩いた上原のシュートはクロスバーの上へ。「崩すタイミングを図って、シュート数は少なくてもチャンスを確実にモノにするというやり方」(大木監督)の磐田が主導権を握りながら、スコアは札幌が1点をリードしてハーフタイムへ入りました。


後半も先にチャンスを創ったのは磐田。50分、津島を起点に森下が右へ展開したボールを、石田はタイミングを見計らって中へ。走り込んだ上原の前で泉谷が懸命にクリアしましたが、「1点だったらチャンスはあったんで十分行けると思っていた」という大木監督の言葉は、チーム全体の共通意識。同点への決意をこのシーンに滲ませます。
魅せたのは「大宮との試合は腰の怪我で数分しか出られなかった悔しさがあったみたいで、今日の試合に懸ける気持ちというのは人一倍あったんじゃないかな」と四方田監督も触れた左SB。51分、相手との競り合いを制してボールを奪った按田は、そのままDFラインの裏へスルーパス。抜け出した平川はGKとの1対1も冷静に見極め、ボールをゴール右スミへ送り届けます。「僕とは違って性格的にはラテン系ですから」と指揮官も苦笑する按田が殊勲のボールカットとアシストを記録。次の1点も札幌が奪いました。
大木監督も53分には立川を下げてレフティの山本紘夢(3年・ヤマハジュビロ磐田)を送り込み、前へのパワー増強に着手しましたが、止まらない赤黒のビッグウェーブ。54分には平川のパスを引き出した高嶺朋樹(2年・コンサドーレ札幌U-15)が、鋭いドリブルから枠を越えるシュートを打ち込むと、2分後に生まれた歓喜。右SBの鈴木翔(3年・コンサドーレ札幌U-15)が縦に付けたボールをもらい、高嶺は中央へ切れ込みながら強引にシュート。軌道は枠へ飛ばなかったものの、逆にそれが幸いして平川は至近距離から難なくプッシュ。高嶺の仕掛ける姿勢が生んだ平川のドッピエッタ。札幌が大きな大きな3点目を手にしました。
63分に上原と小野原和哉(3年・ジュビロ磐田U-15)を入れ替え、津島と大西遼太郎(2年・ジュビロSS浜松)のドイスボランチにシフトした磐田は、「後半の2点目、3点目はちょっとしんどかったですね。選手も顔が下がってきて、相手にチャンスを創らせるような形になった」と大木監督が振り返ったように、ややダメージが目立つ格好でボール回しも停滞。逆に四方田監督も「前半の苦しい時間帯を凌げて、後半意図する所で追加点が取れたという所でノッてきたんじゃないですか」と認めた札幌の躍動感が顕著に。66分には高嶺の右クロスからハットトリックの大きなチャンスを逃した平川は、直後に藤井慎之輔(3年・コンサドーレ札幌U-15)と交替となりますが、泉谷と濱口魁(3年・コンサドーレ札幌U-15)のCBコンビに、倉持卓史(3年・コンサドーレ札幌U-15)と杉山雄太(2年・コンサドーレ札幌U-15)のドイスボランチの4枚も中央にしっかり鍵を掛け、さらに攻勢を強めていきます。
69分に工藤竜平(3年・プログレッソ十勝FC U-15)を、73分にU-15所属の藤村怜(中学3年・くりやまFC U-12)を相次いでピッチへ解き放ち、「気持ちも楽しくてしょうがないしやれるという」(四方田監督)ゾーンに入った札幌は、77分に塩谷がカットインから狙ったシュートも泉谷がきっちりブロック。途切れない守備の集中力。
82分に前橋の夏空へ翻ったこの日4度目の大応援旗。右から高嶺が蹴り込んだCKを、ファーで合わせたのは「自分のプレーで追加点も取れて、気分良くできたんじゃないですか」と指揮官も評した按田。粟飯原尚平(3年・SSS JY)と仁科佑太(2年・アンフィニMAKI.FC)の投入を経て、89分には自ら獲得したPKを藤井がきっちり沈めて、5ゴールで打ち止め。「正直ここまで来るとは思っていなかったので、失うものはないというか、非常に良い雰囲気でこの大会はずっと来ている」と四方田監督も話した札幌が、12年ぶりとなるベスト4進出を完勝で飾る結果となりました。


札幌は前半をリードして凌げたことが、結果的に勝利へ直結した印象です。その前半の守備面を「全然落ち着いてないですよ」と苦笑しながら振り返った四方田監督は、「最後の所で体を張って守ったり、最後まで良いポジションを取ってやろうとしていた」とも。それが「暑い中で先制して、相手が前掛かりに出て来る所をしっかりとした守備から速攻で追加点を奪っていく」という理想的なゲーム運びを呼び込んだことは間違いありません。「相手云々ではなく自分たちのベストを尽くす所に主眼を置いて戦いたいと思います」とベスト4への抱負を語った指揮官。悲願の日本一へあと2勝まで迫っています。
「前半ならアレだけど、90分通したら5点差は順当でしょう」とサバサバした表情で話した大木監督率いる磐田は、やはり後半の連続失点が大きく響いてしまったなと。以降は「確実に行こう、確実に行こうというのがあって、球離れが遅かった」(大木監督)流れの中で、札幌のプレスをモロに食らったような状態に。最後は大量失点で悔しい敗退を強いられてしまいました。ただ、昨年まで甲府や日本代表、京都などいわゆる"大人のチーム"の指揮を執り、今年から10年ぶりに育成年代の指導に当たっている大木監督は「もうユースで使う言葉は、ある意味"暴言"だね(笑) 俺はトップでも結構言うけど、それ以上だね。また静岡に帰ってきたから言葉も昔の静岡弁だし、コイツらもそれがわかるから、割とリラックスしてできてるよ」と充実の表情。最後には今後のチーム創りを問われると、「叩き台は創ってあるから、俺は良く言うけど"形無し"にはしたくない。"型崩れ"じゃなくて、"型破り"な選手が出て来て欲しいね。それを狙っているんだけど、もう少しという気がするから、"型破り"な選手が出て来て欲しい。"形無し"にはならないようなね」と独特の表現を口に。大木ジュビロからどんな"型破り"が出てくるのか、今後が非常に楽しみです。         土屋

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