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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2014年06月10日

T1リーグ第10節 東京朝鮮×駒澤大学高@東京朝鮮G

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0610tokyochosen.jpg関東大会でも結果を出した赤黒軍団をホームで迎え撃つのは十条の赤虎。対戦も二巡目に入ったT1リーグの好カードは東京朝鮮グラウンドです。
1次トーナメントから登場したインターハイ予選は、優勝候補の一角と目されていた都立東久留米総合を倒しながら、決勝で暁星に1-3で屈し、大会からの敗退を余儀なくされてしまった東京朝鮮。先週木曜のT1では、やはりインターハイ敗退校の帝京に0-1と敗れており、現在は公式戦4連敗中。ホームで久々の勝利を手にして、約1ヶ月の中断期間に入りたい一戦です。
関東大会予選は暁星や成立学園を撃破して準優勝に輝くと、迎えた神奈川での本大会もBブロック決勝まで進出。「3日間通じて1日1日成長はしていたと思う」と大野祥司監督も認めたように、勝利を重ねた経験が確実に力へと変わっている駒澤大学高。リーグ戦でもここまでの9試合で1試合平均3得点を上回る28得点を叩き込むなど、わずか1敗の2位と好調をキープ。5日後に迫ったインターハイの準々決勝へ向けて、内容、結果ともにポジティブなイメージをアウェイの地から持ち帰りたい所です。舞台は前述した通り、スタンドも新たに生まれ変わった東京朝鮮グラウンド。火曜18時のお楽しみは東京朝鮮のキックオフでスタートしました。


先にチャンスを掴んだのは駒澤。3分、一旦はゴールまで結び付いた流れにもかかわらず、アドバンテージが適用されずロールバックされたFK。中央、ゴールまで20mの位置から鈴木隆作(3年・JACPA東京FC)が狙ったキックはカベに阻まれましたが、5分にも鈴木を起点に山口将広(3年・足立千寿桜堤中)が繋ぎ、左へ流れた安藤丈(3年・FC駒沢)がクロス。ファーで拾った野本克啓(2年・FC多摩)の折り返しを、ボレーで叩いた佐藤瑛磨(2年・)のシュートは枠の左へ外れたものの、アウェイの地で"白い"駒澤が躍動します。
やや主導権を握られ掛けた東京朝鮮も11分にファーストシュート。ルーズボールを収めたエースのハン・ヨンテ(3年・東京朝鮮第一中)が果敢にトライしたミドルはクロスバーの上へ外れると、14分にもホン・セジン(3年・東京朝鮮第一中)が高い位置でボールを奪い切り、ハン・ヨンテが打ち切ったシュートはDFにブロックされましたが、10番を背負うストライカーが今日も見せた積極的なフィニッシュへの意欲。
ただ、先にアドバンテージを手にしたのは「ここ何日か関東大会が終わって疲れているかなというのはあったけど、自分たちで凄いモチベーションを上げて練習も良くやっていた」と大野監督も評価を口にした駒澤。18分、右SBの荒井佑太(3年・VIVAIO船橋)が中央へ付けると、安藤とのワンツーを経た野本は再び安藤へスルーパス。後方からのボールをうまく捌いた安藤は、マーカーを左へ外すと完璧なシュートでボールをゴールネットへ送り届けます。都内屈指のストライカーが今日も結果を。駒澤がスコアを動かしました。
畳み掛けた駒澤。21分、徐々に活性化し始めた左サイドへ展開されたボールを、最高のクロスに変えたのはSBの吉田一貴(3年・FC習志野)。フリーでボールを受けた安藤のシュートは東京朝鮮のGKハン・チャンヒョク(3年・東京朝鮮第五中)もよく弾いたものの、きっちり詰めたのはまたも安藤。これでリーグ戦は脅威の自身17ゴール目。「リーグ戦での彼は出来過ぎな感じですよね」と指揮官も苦笑する9番の決定力。あっという間に点差が広がりました。
さて、「入り方が悪かったですね。そこさえ解決できればもうちょっといい試合ができるんですけど」とコ・リュンジ監督も渋い顔の東京朝鮮は、早くも2点のビハインドを追う展開に。26分には左からリ・キョンチョル(2年・東京朝鮮中)がロングスローを投げ入れましたが、相手DFがクリア。40分にはホン・セジンがクイックで始めたFKから、コ・スンドク(3年・東京朝鮮中)が鋭いミドルを放つも、ボールは惜しくもゴールのわずか右へ。溜息の漏れるホームの応援席。
41分は駒澤。荒井の右スローインを安藤が頭で繋ぎ、野本のボレーはゴール右へ。43分も駒澤。安藤のスルーパスからスライディングで合わせた佐藤のシュートはGKを破るも、良く戻っていた東京朝鮮の左SBパク・ヒャンジェ(2年・東京朝鮮中)がきっちりカバー。44分は東京朝鮮。ホン・セジンのパスをチェ・ギョンオ(2年・東京朝鮮第一中)がワンタッチで右へ流すと、「戦列に復活して安定していた」とコ・リュンジ監督も話したSBのキム・ヨンボ(3年・ACアスミ)が枠の右へ外れるミドル。終盤にお互い手数を出し合った前半は、駒澤が2点をリードしてハーフタイムへ入りました。


後半開始から大改造に着手したのはコ・リュンジ監督。CBのキム・ジョンホ(3年・東京朝鮮中)に替えて、シン・テス(3年・大阪朝鮮高)をボランチへ送り込み、ボランチのコ・スンドクが左SHへ、左SHのリャン・ヒョンジュ(1年・大宮アルディージャJY)が最前線へスライド。そしてCBには何とハン・ヨンテを下げて、2点を、そして3点を奪い返す態勢を整えます。
50分は駒澤。山口の右CKがこぼれ、佐藤が狙ったミドルはDFに当たって枠の右へ。51分も駒澤。左サイドで吉田のパスから山口がクロスを上げ切り、ファーに走り込んだ佐藤のシュートはゴール右へ逸れましたが、"左"の優位性は後半も健在。53分には東京朝鮮も上がっていたハン・ヨンテがミドルを枠内へ収めるも、ここは駒澤GK江口達也(2年・名古屋グランパス三好FC)がしっかりキャッチ。53分も駒澤。山口の左クロスから野本が放ったシュートはハン・チャンヒョクにキャッされたものの、「それなりに集中していたし、ボールも動いていた」と大野監督も話した通り、ゲームリズムは相変わらず駒澤。
59分に鈴木のミドル、61分に「中間テストも頑張っていて、ここ最近ヤツが一番調子がいいんですよ」と指揮官も触れた野本のクロスから安藤のヘディングと2本の枠内シュートを駒澤が放つと、東京朝鮮は2人目の交替を。実戦復帰したキム・ヨンボをペク・スンホ(2年・西東京朝鮮第一中)と入れ替え、66分に今日はボランチ起用となった駒澤の10番を背負う柳澤歩(3年・フッチSC)のミドルが枠の左へ外れたのを見届け、68分にはパク・ヒャンジェとリャン・ヒョンジュをウン・ソンフィ(2年・埼玉朝鮮中)とホン・ジャンソン(3年・東京朝鮮中)にスイッチする2枚替えも敢行。「ヨンテを下げて落ち着いた」(コ・リュンジ監督)流れを受けて、再びそのハン・ヨンテを前線へ戻して勝負に出ます。
ところが、次にゴールネットを揺らしたのもアウェイチーム。69分に安藤のハットトリックを狙った独走シュートはハン・チャンヒョクがファインセーブで凌ぎましたが、72分にはエリアのすぐ外で獲得したFKを鈴木が直接狙うと、カベを越えたボールはゴール左スミへ綺麗に吸い込まれます。奮闘していたハン・チャンヒョクもここはノーチャンス。ほぼ同じ位置からの"2本目"は確実に。鈴木の正確な一撃で、駒澤に試合を決定付ける3点目が記録されました。
こうなると試合をきっちりクローズしたい駒澤は、キャプテンの須藤皓生(3年・北区赤羽岩淵中)と竹上有祥(2年・ヴェルディSSレスチ)で組んだCBがしっかりとラインをコントロールしながら、入ってきたボールもシャットアウト。76分には幸野高士(3年・FC多摩)、81分には春川龍哉(2年・Forza'02)、87分には川崎翼(3年・府ロクJY)と相次いでベンチメンバーを送り込みながら、安定感は損なわず。88分にはGKも守屋樹(3年・東京小山FC)に入れ替えて最終盤を迎えます。
88分に東京朝鮮が掴んだセットプレーのチャンス。右からコ・スンドクが蹴り込んだFKを、CBのチェ・フィジョン(3年・神奈川朝鮮高)が高い打点で合わせたヘディングはゴール左へ。直後には駒澤が最後のカードとして喜多村季央(2年・市川大洲中)を切ると、89分に再び東京朝鮮が獲得したFKを左からコ・スンドクが放り込み、守屋ががっちりキャッチすると、これがこのゲームのラストチャンス。いつもは辛口の大野監督も「今日は良くやった方だと思います」と認めた駒澤が、完勝といって良いスコアで勝ち点3を積み上げる結果となりました。


「課題はいつも一緒なんですけどね」とコ・リュンジ監督も悔しい表情を浮かべた東京朝鮮は、なかなか攻撃の形を創り出せないままに90分間が経過してしまいました。ただ、CFとCBを兼任したハン・ヨンテや、1.5列目と左SBに加えて左SHも務めたリ・キョンチョルなど、戦術理解度の高い"個"は十分揃っているだけに、あとはそれをいかにチームとしての戦い方へ昇華させていくかが今後の課題。これからの1ヶ月は「3対3とか4対4、6対6の対人ゲームをたくさんやって、強化するしかないかなと思っています」と指揮官。十条の虎の"目覚め"に期待したいと思います。
数人のレギュラークラスを欠きながら、代役の選手もきっちり仕事を果たし、アウェイから勝ち点3をしっかり持ち帰った駒澤。「今まで守備に重きを置いていたのが、今年は良い所の攻撃をさらに良くしていったらいいんじゃないかという所で、ボールを動かす練習もしている」と話した大野監督も、「それが今日なんかはよく出ていた」と続けて一定の評価を。安藤というレフティモンスターを前線に頂き、今年の赤黒軍団は攻撃力がその好成績を牽引しています。日曜日に対峙する相手は「この間リーグでやった時に、技術もあるし、フィジカルも非常に強かったので、『コレは強いぞ』という印象があった」と大野監督も警戒心を顕わにした関東第一。その決戦に向けて上々と言える90分間を経た駒澤は5日後、意気揚々と調布の戦場へ赴きます。       土屋

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