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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2014年06月17日

インターハイ東京準々決勝 暁星×成立学園@駒沢第2

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0614koma2 2.jpg15年ぶりと2年連続を懸けたクォーターファイナル。赤い彗星と水色の技巧派軍団が激突するのは灼熱の駒沢第2です。
1次トーナメントから登場した今大会は最初の2試合を確実に制すると、ファイナルは後半の3ゴールで東京朝鮮を押し切ってのベスト8進出。「技術とかフィジカルの強さというのは他のチームにはなかなか追い付かない所があるから、想いとか魂という所では負けないようにしないとね」と語った名将・林義規監督率いる暁星。昨年の王者をここで倒して、15年ぶりとなる夏の全国へ王手を懸けたい一戦です。
大会自体のファイナルでもおかしくないような好カードとなった、実践学園との"早過ぎる"決戦を3-1でモノにして、今年もきっちりここまで勝ち上がってきた成立学園。昨年は全国にこそ出たものの、初戦で0-5という大敗を喫しており、「去年ボッコボコにやられているので、僕らは『全国に出る』ためだけじゃなくて、『全国で勝つ』というのを常に言ってきた」とは太田昌宏監督。連覇への道をまた一歩確実に前進するための80分間に臨みます。12時の駒沢第2には相変わらず強烈な陽射しが。注目のクォーターファイナルは成立のキックオフで幕が上がりました。


飛び出した赤の圧力。3分、左から張智視(3年・ソレイユFC)が上げたクロスはDFのクリアに遭うも、こぼれをそのまま叩いた及川大翔(2年・FC東京U-15深川)のボレーは枠の左へ。7分、右ウイングの森春貴(3年・暁星中)がいいタイミングでパスカットを敢行し、及川が放ったミドルは成立のGK八木優樹(3年・東急SレイエスFC)がキャッチしましたが、及川の連続シュートで上げた気勢。9分には成立の前線に構える吉村伸(2年・アセノSC)が左サイドを抜け出し、折り返したボールはCBの沼崎和弥(2年・暁星中)が確実にカット。暁星が攻守に躍動してゲームに入ります。
ところが、一瞬で舞って刺したゼブラ軍団。13分、右サイドで柴田知樹(3年・成立ゼブラFC)のパスを引き出したSBの吉田将也(3年・成立ゼブラFC)は、そのままワンタッチで裏へ。GKと1対1になった上田悠起(3年・成立ゼブラFC)は難なく右スミのゴールネットへボールを送り届けます。さらにその3分後の16分には、左サイドからDFラインの裏へ送られたアーリーを、DFと競り合いながら前に出た吉村はダイレクトボレー。GKの頭上を破ったボールがそのまま飛び込んだのはゴールネット。「相手が人に強いというか、人に付いてくるので、そこをうまく利用してスペースができた所に人が出て行こう」という指揮官の狙いがピタリ。あっという間に成立が2点のリードを奪いました。
17分に早くも1人目の交替として中舘智(3年・暁星中)を右ウイングに送り込み、その位置にいた森をSBに下げた林監督。22分には東京朝鮮戦で鮮やかにFKを叩き込んだ宮川大史(3年・暁星中)が、その再現とばかりに狙った左FKは枠の右へ。25分にも張が左へ振り分け、上がってきたCBの増永裕輔(3年・暁星中)がクロスを放り込むと、ニアで宮川が合わせたヘディングはゴール左へ。27分にも及川のパスから岩本将尭(2年・暁星中)がトライしたミドルは枠の右へ外れるも、手数は1つずつ繰り出します。
それでも、この日の成立は百発百中の決定力。27分、後方からのフィードをしっかり収めた町田ブライト(3年・鶴ヶ島南中)がワンテンポ溜めて中へ戻すと、上田のシュートはゴール右スミに転がり込む3点目。29分、CBの内田悠磨(3年・東松山ペレーニア)が右へフィードを落とし、DFとうまく入れ替わった吉田が折り返したボールを、上田は冷静にプッシュ。「前半で4点も取ったゲームなんてほとんどない」と太田監督も驚く成立のラッシュ。これで上田はハットトリック達成。成立のリードは4点に変わりました。
4本のシュートで4点を奪われた暁星。32分には及川が右へスルーパスを送り、中舘が抜け出しかけましたが、ここは成立の左SBに入った中村樹生(3年・クリアージュFC)がカット。36分にも及川が左から蹴ったCKは、八木がパンチングで回避。39分にもエリアすぐ外でボールを受けた宮川が、鋭い反転から打ち切ったシュートはわずかに枠の左へ。「前半自体は狙い通りに行けたかなと。逆に言ったら出来過ぎくらい」とは太田監督。手数以上にゲームを掌握した成立が大きなアドバンテージを手にして、最初の40分間は終了しました。


後半開始から成立も1人目の交替を。吉村と長島滉大(2年・成立ゼブラFC)を入れ替えると、42分には早くもその長島が積極的なミドルをクロスバーの上へ。45分には暁星も増永が素晴らしいパスカットから、そのまま持ち上がってミドルを放つも、八木ががっちりキャッチ。まずはお互いにミドルを繰り出しあって、後半が立ち上がります。
2トップの躍動。47分、左のハイサイドへ送り込まれたボールを長島が粘って残し、拾った町田ブライトは中へ、中へ。1つ右に大きく持ち出して、そのまま巻いたボールは綺麗なカーブを描いて、ゴール右スミへと吸い込まれます。乗り遅れたストライカーにもようやく一発が。0-5。終わらない成立フェスタ。
暁星に絶好の得点機が到来したのは50分。エリア内でクリスティアーノばりのシザースを敢行した宮川がマーカーに倒され、主審はPKを指示します。キッカーは当然宮川自ら。14番のエースが確信を持って蹴ったキックは、しかし左のポスト直撃。悲鳴の上がった赤い応援席。変わらなかったスコアボードのゼロ。
折れない心こそ、赤きエースの証明。53分、きっちり回したボールは右サイドへ。開いていた岩本がピンポイントでクロスを蹴ると、ここへ突っ込んだのは宮川。絶妙の厚さで当てたヘディングは、ゴール左スミを今度こそ完璧に捕獲します。PK失敗に落とし前を付けるエースの一撃。スコアボードのゼロは"イチ"に変わりました。
撃ち合い上等。次はゼブラの番。54分に柴田と替わって投入された田島大資(3年・東松山ペレーニア)は、その2分後に上田のパスから枠の右へ外れるミドルにトライすると、その3分後も同じコンビで。59分、上田の右CKをヘディングでゴールに叩き込んだのは田島。途中出場の3年生がすぐさま結果を出し、10番は圧巻の3ゴール1アシスト。再び点差は5点に広がります。
ほとんど勝敗の決してしまったゲーム。それでも応援してくれる人のため、何より自分たちのために、もう一度奮い立った暁星イレブン。62分には巌周人(3年)、佐藤勇輝(2年)に続いて、最後のカードの原田英明(1年)をピッチへ解き放ち、もう一度その執念を。67分に巌が放ったミドルは八木にフィスティングで阻まれるも、直後にもチャンスが。左サイドから張が上げたクロスは中央にこぼれると、左足で叩いた及川のボレーはゴールカバーのDFも及ばず、ゴールへねじ込まれます。2-6。点差は4点に。
「向こうはもう2点取られても1点取るという風な雰囲気があった」と敵将も認める暁星。3度目の歓喜は73分。巌と宮川が繋いだボールを、張はきっちり枠内シュート。八木もよく弾き出したものの、こぼれに反応した及川がボールをゴールへ流し込みます。3-6。点差は3点に。74分には高い位置でボールを奪った佐藤のミドルはわずかにクロスバーの上へ。75分にも及川が粘って、張が狙ったシュートはDFがブロック。時間と点差を忘れてしまうような、暁星が創り出した"ひょっとすると"の雰囲気。
77分は成立。上田が左の裏へ放り、ダブルタッチでマーカーを振り切った長島のシュートは左ポスト直撃。78分は暁星。宮川がゴール右、約30mの距離から直接狙ったFKはゴール右へ。80分は成立。上田のラストパスから、途中出場の秋和飛竜(3年・成立ゼブラFC)が枠へ収めたシュートは、暁星のGK小林颯(3年・暁星中)がファインセーブで応酬。80+3分のラストチャンスは暁星。右から張が入れた最高のアーリークロスに、裏へ潜った渡邊創允(2年・暁星中)がうまく合わせたボレーはクロスバーを越えると、程なくして吹き鳴らされたファイナルホイッスル。「ああいうゲームの雰囲気になってしまったということが反省として凄くある」と気を引き締めた太田監督率いる成立が、終わってみれば3点差で勝利を収め、来週のセミファイナルに駒を進める結果となりました。


終盤は「喋ることの大事さとか、走ることの大事さとか、最後まであきらめないことの大事さとか、そういうことが暁星の方が上回っていた」と太田監督も認めたように、暁星の醸し出す雰囲気に少し飲まれた格好で、試合をきっちりクローズできなかった成立。6ゴールを叩き出した攻撃面に関しては「非常に人も動いて、ボールも動かそうとして、暑い中だけどよく走ってやっていたかな」と評価を口にした指揮官も、「うまくいかなくなった時に自分のことしかやらなくなるというか、チームのためにやらなくなる選手が出てくる」と厳しい表情を崩しませんでした。目標に掲げた『全国で勝つ』ための挑戦権獲得まではあと1勝。この日の経験を生かすか殺すか。その答えは1週間後の駒沢第2で明らかになります。        土屋

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