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このブログについて

J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2014年05月25日

インターハイ東京1次トーナメントG決勝 東海大高輪台×正則学園@駒沢第2

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0525koma2 1.jpg昨シーズンの東京を席巻した黄色と黒の縦縞が2次トーナメント進出を懸けて対峙するのは黄色と緑の縦縞。新人戦でも2年連続で対戦している両者のリターンマッチは今日も駒沢第2です。
インターハイ予選は帝京にPK戦で敗れてのベスト8、選手権予選は成立学園とやり合ってのベスト4と、破壊力抜群の3トップを前線に擁し、その攻撃的なスタイルで昨シーズンの東京を彩ってくれた東海大高輪台。主力がほとんど抜けた状況を受け、関東大会予選やT2リーグでは結果が出なかったものの、「最終的に選手権で完成しようと言っているので、プレッシャーはないんじゃないですかね」という川島純一監督の言葉通り、徐々に勝利が付いてくるようになると、先週の帝京戦では2-0というスコアで快勝。まずは"昨年超え"を虎視眈々と狙います。
新人戦は東海大高輪台、インターハイ予選は修徳、選手権予選は東京実業と、いずれも難敵相手にPK戦まで持ち込みながら、いずれもそのロシアンルーレットに敗れましたが、T3リーグのブロック優勝も達成するなど、昨シーズンの1年間で改めてその実力を都内に示した正則学園。本郷に創価と曲者を倒した先で待っていたのは、昨年の新人戦でPK戦の末に屈した高輪台。相手にとって不足はありません。前述したようにこの両者は3年前と2年前の新人戦でも対戦しており、前者は18-17という壮絶なPK戦の末に正則学園が、後者は6-5というこれまたPK戦で高輪台が勝利。因縁の一戦とも言うべき同地区同士の激突は、高輪台のキックオフでスタートしました。


お互いにボールをきっちり回す似たようなスタイルを志向する中、序盤の10分間を支配したのは高輪台。やや下がり目に位置する渋谷雄隆(2年・GRANDE FC)と武市健太(2年・インテリオールFC)へ、その2人の前に入った野村浩輔(2年・FC東京U-15深川)も絡み、トライアングルのコンビネーションで中盤を掌握。7分には右SBの吉永怜央(3年・FC駒沢)と渡邊夢大(3年・FCトリプレッタJY)を経由して、右から野村がクロス。こぼれを狙った土屋諒太郎(3年・FC目黒)のボレーは枠の左へ外れましたが、まずは黄色と黒が攻勢に打って出ます。
ただ、10分過ぎから今度は正則学園にボール回しのリズムが。こちらは1トップに行木勇人(3年・フレンドリー)という明確なターゲットを頂き、ドイスボランチの田所龍樹(3年・JスポーツFC)と渡邉由典(3年・クリアージュFC)が縦を意識しながらも、場面によって散らしを選択。16分には下出隼人(3年・FC VIGORE)が左へ振り分け、走りこんだ渡邉優樹(3年・クリアージュFC)のシュートはDFにブロックされましたが、22分にも右SBの長沢健太(3年・POMBA立川FC)のパスから渡邉由典がクロスバーの上へ外れるミドル。黄色と緑もきっちり押し返します。
23分は高輪台。左サイドで野村がボールを拾い、飯野克憲(3年・インテリオールFC)のクロスを収めた渡邊夢大は、縦に仕掛けてシュートを放つも正則学園のCB渡邊勝也(3年・調布第五中)が体でブロック。26分も高輪台。渡邊夢大の仕掛けから獲得した右CKを武市が蹴り込むと、土屋のボレーは中央でオフサイドの判定。「今日は裏をガンガン狙おうかなと思って前半は中央に置いた」(川島監督)渡邊夢大が右へ流れるプレーが高輪台の好機に直結。再びゲームは一進一退に。
31分は正則学園。相手のミスパス絡みで奪った右CKを行木が蹴ると、ニアへ突っ込んだ長沢のヘディングはわずかにゴール右へ。32分は高輪台。中央からの崩しが発動し、土屋は左へラストパス。受けた畠中一樹(2年・FC PROUD)は縦に持ち出してシュートへ持ち込むと、ここも体を投げ出してブロックしたのは渡邊勝也。「相手が凄く良かったですよね」とは川島監督。非常に拮抗した最初の40分間は、スコアレスでハーフタイムへ入りました。


後半はスタートから緑と黄色のラッシュ。45分、左SBの柏京集(3年・田口フットボールアカデミー)が絡んだ流れから渡邉由典が粘って中へ送り、下出がヒールで残したボールはDFにカットされましたが、正則学園らしいチャレンジを。同じく45分、エリア外から行木が枠へ飛ばしたミドルは高輪台のGK安齋優太(3年・川崎チャンプ)ががっちりキャッチ。同じく45分、右サイドへ出されたフィードから松本直也(3年・新宿落合中)が浮き球でマーカーをかわしてクロスを送ると、ニアへ飛び込んだ行木のシュートは枠の右へ外れるも、1分間に3度のチャンスを創出すると、48分には決定機。高い位置でボールを奪った松本が右へスルーパスを通し、ファーポストを狙った行木のシュートは安齋がファインセーブで回避したものの、一気に正則学園へ攻撃のスイッチが入ります。
「ハーフタイムに『これは残りの1分まで根比べだ』と言って送り出した」(川島監督)高輪台に続く守勢。52分にはCBの池野勇人(3年・JACPA東京FC)がインターセプトを敢行し、武市が左へ回したパスを土屋が上げ切るも中と合わず。53分にも畠中の外を追い越した野村がクロスを放り込み、ファーで待っていた渡邊夢大のシュートはクロスバーの上へ。逆に54分は正則学園。右サイドから長沢が蹴ったクロスは、中央の密集をすり抜けてそのままゴールネットへ。ここはオフェンスファウルの判定で得点は認められませんでしたが、命拾いした格好の高輪台はなかなかその流れを押し返せません。
56分も正則学園。行木のリターンに3列目から飛び出した田所は、エリア内で右に流れながらフィニッシュ。高輪台も飯野と吉永が懸命にブロックしましたが、自らの左サイドを狙われていると感じた川島監督は57分に1枚目のカードを。土屋に替えて田中千寛(2年・杉並FC)を左SBへ投入し、飯野をボランチにスライドさせて応急処置を施すも、62分には正則学園にビッグチャンス。田所、松本と繋いだボールを渡邉由典が打ち切ったボールはDFに当たってゴール方向へ。GKも見送ったボールは、しかしクロスバーにヒット。スコアは動かず。ただ、動きそうな予感は十分。ゲームは最後の4分の1へ突入していきます。
64分には川島監督が2人目の交替を決断。渋谷を下げて、本藤悟(1年・横浜FC JY)を最前線へ投入し、渡邊が左FWへ。小澤寛樹監督も65分には下出と大槻智弘(2年・ヴェルディSSレスチ)を、69分には松本と磯崎祐太(2年)を相次いで入れ替え、攻撃のギアをさらに高める采配を振るいます。
高輪台のキーマンは「エリア内で力を発揮できる」(川島監督)1年生ストライカー。70分、飯野が左のハイサイドへフィードを落とし、渡邊夢大の折り返しを本藤はループシュート。やや勢いが弱く、正則学園のGK蔦谷恵太(3年・FC HORTENCIA)にキャッチされましたが、自身のファーストシュートを放つと2分後にはさらに決定的なシーンが。72分、左から渡邊夢大が中央へ戻し、野村が落としたボールを本藤はボレー。蔦谷が懸命に触ったボールはわずかに枠の右へ逸れましたが、ルーキーがチームに勇気を与えます。
最終盤に繰り出し合ったビッグチャンス。先に正則学園。79分、渡邉由典が丁寧に左へ流したボールを、狙いすまして右スミを目掛けた行木のシュートは安齋がファインセーブで応酬。行木のロングスローから大槻と渡邉由典が続けて枠の上へ飛ばしたミドルを経て、後に高輪台。80+3分、野村を起点に武市が左へ振り分けると、渡邊夢大が枠へ収めたシュートは蔦谷がファインセーブで応酬。響いた後半終了のホイッスル。80分間では決着を見ず。勝敗の行方は延長戦へと持ち越されることになりました。


付け加えられた20分間へ向けて、両チーム共に交替を。正則学園は渡邉優樹と新津智也(3年)を、高輪台は飯野と須田大翔(2年・足立六月中)をそれぞれスイッチさせてキックオフを迎えた延長は、84分に高輪台も田中、渡邊夢大、野村と回ったボールを、角度のない位置から畠中がサイドネットの外側へぶつかるシュートを放ちましたが、やはりペースは黄色と緑。
87分は正則学園。CBの小泉直也(3年・練馬開進第一中)が付けたボールを、行木が強引に左足で叩いたミドルはDFに当たってゴール右へ。そのCKを右から行木が蹴り込み、こぼれを再び行木が入れたボールは高輪台のCB榎園玄己(3年・FCトリプレッタJY)が決死のクリアでオフェンスファウルに。エンドの変わった94分も正則学園。行木の右CKに小泉が競り勝ったヘディングは安齋にキャッチされたものの、3年連続のPK戦は願い下げとばかりに試合を決めようと攻勢を強めます。
95分も正則学園。チーム9本目のCKを右から行木が蹴ると、このボールは安齋がキャッチ。一転、高輪台のカウンター。武市が左へ展開したパスを、渡邊夢大は右サイドへもう一度展開。ここに駆け上がってきた吉永が中央へ送り、畠中が放ったシュートは蔦谷もよく弾き出しましたが、こぼれに反応していたのは吉永。右足で送り出された軌道の到着点は左スミのゴールネット。まさに乾坤一擲のカウンター。負傷で長期離脱を強いられていた3年生が、土壇場で叩き出した先制弾はそのまま決勝点。「最後に折れた方が負けのゲーム」(川島監督)を制した高輪台が、2年連続で2次トーナメントへの挑戦権を強奪する結果となりました。


お互いに死力を尽くした素晴らしい100分間だったと思います。「同じ地区だし、お互い練習試合をやるから相手のやり方は熟知している」(川島監督)両チームの激戦は、トータルで見れば正則学園の押し込む時間が長かったものの、「リーグ戦も経験を積んできて、『あそこをやられなきゃいい』というメンタルのタフな部分もできてきているのかなというのは感じる」と指揮官が話した高輪台の勝負強さがわずかに優ったのかなと。とにかく"この次"を希求する執念がぶつかり合った好バウトでした。「だんだん噛み合ってきているから、チームがうまく回転し始めているんじゃないですか」と笑った川島監督。今年の高輪台も東京を彩ってくれることは間違いなさそうです。           土屋

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