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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2014年05月26日

インターハイ東京1次トーナメントF決勝 修徳×東海大菅生@駒沢第2

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0525koma2 2.jpg半年前の西が丘で死闘を繰り広げた両雄の対峙。修徳と東海大菅生が再会を遂げる舞台は引き続き駒沢第2です。
愚直なまでにやり切るスタイルで、とうとう辿り着いたのは聖地国立の一歩手前。2年連続で挑んだ全国のステージでベスト8まで駆け上がるなど、一躍その名を高校サッカー界に轟かせた修徳。主力のほとんどが入れ替わった今シーズンはリーグ戦でも関東大会予選でも奮わず、厳しいシーズンインとなりましたが、先週の1次トーナメント準決勝では今大会のダークホースと目されていた堀越に得意のウノセロで勝利。最激戦ブロックを勝ち抜くことで、さらなるチーム力の向上を目指します。
対するはおなじみの手塚弘利監督に率いられ、混戦の東京において2年連続で選手権予選ベスト4進出を果たすなど、都内では常に好チームを仕上げてくる印象のある東海大菅生。今シーズンの関東大会予選は、優勝した都立駒場に敗れたものの0-1と善戦。支部予選からスタートした今大会も、4試合で18得点とアグレッシブな数字が。東京屈指の守備陣にゴールという風穴を開けるべく、リベンジマッチに臨みます。正午キックオフとあってスタンドも大入り。強豪同士の1次トーナメントファイナルは修徳のキックオフでスタートしました。


積極的に立ち上がったのは菅生。3分、中盤センターの新谷空斗(3年・横河武蔵野FC JY)が右へ通すと、キャプテンマークを巻いた谷沢郁弥(3年・入間野田中)のシュートは修徳のGK久保井寿(2年・クリアージュFC)が何とか弾き出し、こぼれに詰めた新谷のヘディングは枠を越えましたが、早くも好チャレンジ。5分にも氏家健太(2年・東海大菅生中)を回ったSBの野村圭佑(3年・小平第三中)がクロスを上げ切り、ニアで合わせた新谷のシュートは枠外へ。さらに7分にも谷沢の右CKはフリーの小村和也(3年・東海大菅生中)へ届き、ボレーはDFが間一髪でブロックしたものの、まずは先制点への決意を前面に押し出します。
10分に昨年からレギュラーを務める小野寺湧紀(3年・荒川第五中)が巧みに相手を外し、今日は1トップ起用の雪江悠人(3年・三郷JY)が枠の左へ飛ばしたミドルがファーストシュートとなった修徳は、「相手が1トップで全然前にいるのに怖がって下がっちゃって、あれじゃセカンドを拾えないでしょ」と岩本監督。加えて持ち前のコンタクトがことごとくファウルを取られてしまい、なかなかリズムを掴むことができません。
そのセットプレーを菅生が続けて。13分には谷沢の左FKを氏家が当てたヘディングはゴール右へ。15分に谷沢が右サイドから入れたFKはDFのクリアに遭いましたが、20分にまたも谷沢が左FKを放り、ここも飛び込んだ氏家のヘディングは枠の右へ外れたものの、再三のFKからチャンスを続けて創ります。
20分過ぎからゲームはやや膠着状態に。23分には野村のFKからこぼれを新谷がボレーで、26分には森毅斗(3年・FC杉野)が右のハイサイドへ落として谷沢がノートラップボレーで、29分には小村のヘディングを新谷が繋いで平城亘祐(3年・AZ'86東京青梅)がミドルで、それぞれトライしたフィニッシュは、しかしいずれもが枠外。手数を出した分、ペースはわずかに菅生。
すると、その黄色と黒に絶好の先制機が到来したのは30分。左サイドに開いた森がクロスを上げると、エリア内でハンドの判定が。菅生にPKが与えられます。キッカーは10番を背負うキャプテンの谷沢。力強い助走から右スミへ蹴り込んだボールはゴールネットをきっちり捕獲。谷沢が一目散に駆け出した先にはベンチメンバー。広がった歓喜の輪。菅生が1点のアドバンテージを手にしました。
衝撃は3分後の34分。それまでまったくと言っていいほどチャンスのなかった修徳は右からのクロスも流れてしまいますが、拾った許享文(3年・修徳中)が左へ繋ぎ、雪江を経由したボールをSBの中村大志(2年・ジェファFC)は再びクロス。一旦は菅生もクリアで逃れたものの、このこぼれを拾った雪江がエリア外から右足を振り抜くと、ボールはゴール右スミギリギリに突き刺さります。「まぐれで1対1になったのは良かったんじゃないですか」とは岩本監督ですが、スタンドもざわついたのはおそらく修徳のワンチャンスを生かす集中力に対して。最初の40分間は1点ずつを取り合うタイスコアで終了しました。


ハーフタイムを挟むと、ゲームの様相は一変。43分は修徳。伝統の6番を任されたボランチ小澤翔(2年・南千住第二中)が左へ振り分け、和田裕太(2年・三郷JY)のクロスは弾き返されたものの、44分には左のハイサイドを攻略してCKを獲得。小野寺のキックに飛び付いた足達広大(3年・レジスタFC)は当て切れませんでしたが、45分にも小野寺のヒールを和田が返し、小野寺が左クロスまで。前半には見られなかった修徳のサイドアタックが左を中心に見られ始めます。
やや差し込まれた菅生も47分に決定的なシーンを。左SBの吉田大泰(3年・田無第四中)が裏へフィードを送ると、トラップで左へ持ち出した平城はうまくバウンドを合わせてボレー。ボールは鋭い弧を描いてGKを破りましたが、直後に聞こえたのは金属音。クロスバーの跳ね返りに菅生のアタッカーも詰めるも、ここは修徳のCB河野哲志(3年・ナサロットSC)が懸命にクリア。頭を抱える菅生ベンチ。勝ち越しとはいきません。
同時に両ベンチが動いたのは52分。岩本監督は和田と宮腰一生(3年・江東大島西中)の交替を決断。手塚監督は氏家と大関倖弥(2年・東海大菅生中)の交替を決断。お互いに対面のサイドアタッカーをそのまま入れ替え、縦への推進力アップに着手しましたが、やはり攻勢を強めたのは全国8強の岩本軍団。
54分には左サイドで中村が縦へ放り込み、収めた雪江が右へ送ると、「これまでCチームとかDチームにいたけど、この前から抜擢した」と指揮官が話した石原海(2年)のシュートはDFのブロックに阻まれましたが、左右の幅を使った好アタック。56分にも右から小野寺が鋭いFKを蹴り込み、ニアでフリーになった足達のヘディングはわずかにゴール右へ。58分にも雪江が投げた左ロングスローのこぼれを中村が拾い、雪江が今度は足で中央へ届けたクロスは球足が伸びて右のポストを直撃。「結局あそこにボールを運ばないことには、セットプレーも取れないからね」と岩本監督も言及した通り、サイドをきっちり使うことで前半とは逆に菅生のファウルも増加。セットプレーの連続で押し込み続けます。
とはいえ、菅生も倉澤巧(2年・東海大菅生中)と小村で組むCBコンビと、アンカーで奮闘した梶原烈(3年・石神井マメックスFC)を中心に水際で保ち続ける高い集中力。64分に雪江の直接FKが枠を外れると、以降はボールアプローチも厳しくフェアに。逆に68分には矢沢の右FKから、わずかに届かなかったものの倉澤が果敢に飛び込み、72分にも梶原の左FKは修徳ゴール前へ。1-1のままで試合は最後の5分間へ。
76分の咆哮はやはりセットプレーから。雪江のロングスローを含めると、相手ゴール前を襲った修徳の後半12回目を数えるセットプレーは小野寺の左CK。ファーまで届いたボールに、頭から突っ込んだのは170センチの雪江。ゴールに向かった球体へカバーに入ったDFも、必死に飛び付いたものの一歩及ばず。「アレで上はなかなか強いから」と岩本監督も認める9番のドッピエッタ。残り4分で修徳がとうとうスコアを引っ繰り返しました。
追い込まれた菅生は失点直後に森と三平涼平(2年・青梅第三中)をスイッチさせると、78分に谷沢が投げ込んだ左ロングスローを、その三平が頭ですらしましたが久保井がキャッチ。後半はクロスバーを直撃した平城のシュート1本のみに抑え込まれたまま、残された時間は2分のアディショナルタイムのみに。
80+1分、菅生が獲得したFKを梶原が放り込むも、修徳DFがクリアするとボールは小野寺が確保。少し運んで左へ付けたボールを、宮腰は一旦DFにぶつけてロストしかかったものの、跳ね返った浮き球をそのまま利き足の左で叩くと、ボールは20m近い距離をものともせずにゴール右スミへ飛び込みます。途中出場のレフティがトドメの一撃。「一番になる力というのはまだまだないけれども、2つ勝ち抜けたのというのは相当力が付いてくると思いますよ」と岩本監督も一定の手応えを口にした修徳が、逆転勝利で2次トーナメントへの進出権をもぎ取る結果となりました。


1次トーナメントの難しい連戦をモノにして、今年もきっちりここまで勝ち上がってきた修徳。「堀越だって菅生だって全国経験チームですからね。力が付いてこないと困るし、凄く良いブロックに恵まれたと思ってますよ」と笑った岩本監督の言葉は間違いなく本心。リーグ戦では黒星が先行している中でも、やはりノックアウトコンペティションではさすがの勝負強さを発揮しています。これで2年ぶりとなる夏の全国まではあと3勝。どのチームも嫌がる"修徳魂"が今年のチームにも確実に芽生え始めていることを再確認させられる逆転劇でした。       土屋

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