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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2014年04月01日

T2リーグ第5節 多摩大目黒×日本学園@大井第二

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ooi0401①.jpg無傷の4連勝は首都を掻き回さんとする決意のファンファーレか。今シーズンの主役候補にも挙げられる多摩大目黒と都内屈指のスタイルを持つ日本学園の4月決戦は大井第二です。
昨年のチームから主力を務める選手も多く、「彼らには1年生から色々と伝えてきたので、今はその貯金があるだけ」と塩川岳人監督が話していたのは、オープニングゲームを6-2という大勝で飾った1ヵ月前でしたが、その貯金にライバルも迫りつつあるこの時期までに残した成績は無双の4戦全勝と、"貯金"へのプラスアルファを着々と積み上げている多摩大目黒。目標の都内制圧へ向けて、さらなる勢いを加速させたい一戦です。
ボールを大切にしながら、個のアイデアをミックスしていくスタイルはもはや不変。都内でもその攻撃的なポリシーは確実に認識されてきている日本学園。ただ、それ故に一度崩れると失点が嵩む傾向も。ここまでのT2で0-4と0-6という大敗を含め、4試合15失点という数字はリーグワースト。とはいえ、ならば守り切ろうとする弱気は一切見せず、撃ち合い上等の精神で難敵に挑みます。会場の大井第二は春休み中ということもあって学生の姿も。バックスタンドには咲きかけている桜も自らの使命に向けてラストスパートを掛ける中、日学のキックオフでゲームはスタートしました。


6分のファーストシュートは日学。3トップの中央に入った遠藤龍之介(2年・FC.GIUSTI世田谷)が高い位置でボールを奪うと、そのままシュート。ボールはDFに当たったものの、積極的なチェイスからの好トライ。11分も日学。右から菊池壱星(2年・FC.GIUSTI世田谷)が蹴ったCKに、CBの荒木祐二(3年・FC多摩)が飛びついたヘディングはヒットしませんでしたが、まずは日学が2つの手数を繰り出します。
一方の多摩目に最初のシュートシーンが訪れたのは12分。辻川嵩人(3年・多摩大目黒中)のパスを石井亮佑(3年・FCトリプレッタJY)は一発でDFラインの裏へ。走り込んだ堀越大蔵(3年・多摩大目黒中)のシュートは、果敢に飛び出した日学GK渡邉慎吾(2年・FC GLORIA)が体でブロック。19分には左サイドの高い位置へ侵入したCBの小山義隆(3年・多摩大目黒中)が中央へ折り返し、頭から突っ込んだ赤坂敦也(3年・府ロクJY)のシュートも渡邉慎吾が体でブロック。先制点とは行きません。
12分のシーンが象徴するように、前半のキーエリアは日学の"裏"。「前に1枚2枚残してほぼディフェンスするという形」と塩川監督も評したブロックを敷くには敷く中で、それでも岩村寛太(2年・三鷹FA)と荒木のCBコンビはかなり強気のハイラインをキープ。裏のスペースは渡邉慎吾がケアするスタイルは、一定以上の成果を発揮。23分にはその高いラインが奏功し、右SBの石渡汐那(3年・FCトリプレッタJY)が持ち出したボールを、左SBの田口竜也(3年・FC府中)がミドルレンジから狙うシーンも。25分には多摩目のボランチ井上衛(3年・川崎南加瀬中)が左へ送ったスルーパスから、辻川が抜け出しかけるも荒木がしっかり追いかけてクリア。「『いや、そこは裏だろ』って所も見れてなかったり、『そこは落として前向いているヤツが裏に走れ』とかいうことが、いつもはコンスタントにできているけど、今回はそのタイミングでという所で出なかった」と塩川監督。攻撃のギアを上げ切れない多摩目。
逆に30分前後からは日学にも攻撃のリズムが。30分には菊池と宮下流阿(3年・FC多摩)の連携で獲得した右CKを菊池が蹴ると、岩村が懸命に残し、田口のシュートを宮下が薄く触るも多摩目GK渡辺稜(3年・川崎フロンターレU-15)がキャッチ。36分にも増井海斗(2年・インテリオールFC)がドリブルでFKをもぎ取り、菊池のキックをニアで合わせた増井のシュートはDFが何とかブロック。繋がり出したフィニッシュへの流れ。
39分は多摩目。辻川と赤坂との連携から堀越がラインの裏へ飛び出すも、シュートまでは持ち込めず。45+1分は日学。アンカーを務める冨久田祐太(2年・FC渋谷)のショートパスを受け、菊池がゴールまで35m近い位置から狙ったループミドルは、渡辺稜が何とかファインセーブで回避。直後も日学。菊池の左CKはファーまで届き、岩村が叩いたヘディングはゴール右へ。45+2分は多摩目。小池寿茉(3年・川崎西中原中)が後方からのパスをダイレクトで裏へ放り込み、独走となった堀越が飛び出したGKの鼻先で触ったシュートは、わずかに枠の右へ。「前半の45分なんて何をしていたのかなと思った」と塩川監督もおかんむり。スコアボードの数字に変化はなく、スコアレスのままでハーフタイムを迎えました。


後半はスタートから双方に交替が。多摩目の決断は2枚替え。2トップの赤坂と辻川を下げて、竹下聖真(3年・インテリオールFC)と長南龍哉(3年・多摩大目黒中)を送り込み、「向こうは中盤が3枚いて、こっちは2枚だったので、そこの対応がちぐはぐだった」(塩川監督)対処として、竹下を1トップ下に置く4-2-3-1で中盤の数的不利解消に着手。一方の日学ベンチは左SBを田口から落合武(2年・ジェファFC)へシフト。先制点をモノにするべく、新たな風をピッチへ吹き込みます。
2本のCKを堀越が蹴ってスタートした多摩目のラッシュ。48分には竹下、石井と繋ぎ、長南の左足ボレーはDFが何とかブロック。51分には金城英也(3年・多摩大目黒中)が左のハイサイドへ送り、堀越のグラウンダークロスは長南へわずかに届かず。52分にもルーズボールを小池が粘って収め、廣田雄哉(3年・S.C相模原)のボレーはクロスバーの上へ。53分にも左サイドで素早い囲い込みからボールを奪うと、堀越があわやという超ロングシュート。一気に2段階アクセルを踏み込んだブルーの若武者たち。
歓喜の瞬間は56分。左サイドの深い位置から金城が蹴ったFKを小池が落とすと、堀越は優しい浮き球を裏へ短く。このボールに反応した長南がボレーで綺麗にミートしたボールはゴールネットへ突き刺さります。「勝っている中でも11人を固定するのは、私の中では違うと思う」という塩川監督のポリシーの下、このゲームはベンチスタートとなったストライカーが一仕事。多摩目がスコアを動かしました。
さて、62分には遠藤と三浦大雅(3年・FCトリプレッタJY)を入れ替え、1点のビハインドを追い掛ける日学は、その交替に伴って最前線に一番"持てる"菊池を配して基点創出を狙いますが、なかなかボールを動かせず、収まるポイントを見い出せず。63分は多摩目。CBの原幸平(3年・川崎西中原中)が放り込んだFKに金城が競り勝つと、長南のボレーはわずかにゴール左へ。69分も多摩目。左から金城が嫌らしいワンバウンドで入れたアーリークロスに、頭から突っ込んだ堀越のシュートはわずかにゴール左へ。「後半は中盤を3枚にして修正できて、ある程度支配はできたと思う」と塩川監督。勢いはリードしている側に間違いなく。
到来した同点機。73分、丁寧に左サイドへ展開したボールを増井が折り返すと、フリーで突っ込んだ宮下は、しかし触るのが精一杯で枠へはボールを飛ばせず。直後のCKを右から菊池が蹴り込むと、ファーでフリーになっていた岩村のヘディングは、しかし渡辺稜ががっちりキャッチ。79分にも三浦のFKがこぼれたボールを小嶋将太(2年・FC多摩)がボレーで枠に収めましたが、ここも渡辺稜がキャッチ。どうしても追い付けません。
84分には竹下がDFラインの裏へ飛び出すも、渡邉慎吾が懸命に飛び出して間一髪でクリア。90分にも冨樫諒(3年・川崎犬蔵中)の左CKを原が完璧に合わせたヘディングを、ファインセーブで掻き出したのは渡邉慎吾。90+2分にも廣田が高い位置で奪い切り、そのまま打ったミドルも渡邉慎吾がキャッチ。2年生守護神は奮闘を見せましたが、これがこのゲームのラストチャンス。「合宿から帰ってきて中2日でハードな日程だったんですけど、そこが原因なのか彼らの気持ちが原因なのか、ちょっと帰って反省しようと思います」と塩川監督が振り返ったように、決して楽な試合ではなかったものの、しっかり勝ち点3を最小得点差でもぎ取った多摩目が、開幕5連勝を見事に達成する結果となりました。


敗れた日学は今日に限って言うと、懸案の守備陣がよく奮闘していたと思います。ハイラインを何とか保ち続けながら、渡邉慎吾も広いカバーエリアをきっちり潰し切るなど、セットプレーから1失点こそ喫したものの、一定の合格点は叩き出したと言っていいでしょう。あとは当然攻撃面のブラッシュアップになりますが、菊池や増井など2年生のアタッカーにも好素材がズラリ。次は是非撃ち合う試合を見てみたいですね。
「キレのなさや重さを感じましたね。疲れだったのかな」と塩川監督も振り返った多摩目は苦しみながら、それでもきっちりと勝ち切ってこれでリーグ戦は5連勝。徐々に各方面から集める注目も大きくなっている感があります。「関東大会予選は今の勢いとは別の戦いになってくるので、それを打破していくには、まずこのTリーグの試合をいい流れで勝たないと繋がっていかないという話をした」と指揮官。勝利を続けた流れで5日後に対峙するその相手は、T1に所属する都立三鷹。ある意味で今年の東京を占うような試合の行方が今から楽しみです。          土屋

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