mas o menos

メルマガ

お好きなジャンルのコラムや
ニュース、番組情報をお届け!

メルマガ一覧へ

最近のエントリー

カテゴリー

アーカイブ

2014/04

S M T W T F S
    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30      

このブログについて

J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2014年04月03日

T1リーグ第5節 成立学園×関東第一@駒沢補助

mas o menos
  • Line

komaho0403.jpgプリンス関東を経験するなど、ここ数年の東京を代表する強豪の対峙。成立学園と関東第一。私学同士の一戦は引き続き駒沢補助です。
先制し、逆転を許し、逆転し、土壇場で追い付かれ、延長で修徳の前に屈した選手権ファイナルから早5ヶ月。あとほんの少しの壁を乗り越えるため、再びそれに挑むのは成立学園。「公式戦じゃなかなか経験できないから、今は本当に色々な選手を使っている。練習試合で使うのとは訳が違うし、いい感じで来ていますよ」と笑顔を見せたのは太田昌宏監督。前線はケガなどもあってやや駒を欠いていますが、逆にその状況をプラスに転じさせようとするスタッフの下、好敵手との90分間に臨みます。
昨シーズンはインターハイ予選、選手権予選と共にまさかの初戦敗退。新チームにとって初めての公式戦となった新人戦も、地区大会でPK戦をモノにできず、厳しいシーズンの幕開けを強いられた関東第一。ここまでのリーグ戦は2勝2敗とまったくのイーブンですが、「この子たちはノッたら凄くやっちゃうと思う。どういう感じに転ぶのかはだいぶ掴めてきたのでこれからですね」と小野貴裕監督。関東大会予選がない分、このT1の舞台も一戦一戦が非常に大事な実戦経験の場になります。3試合目のキックオフは14時。少しずつ怪しくなり始めた空模様の下、関東第一のキックオフでゲームの幕が上がりました。


先にシュートを放ったのは関東第一。9分、右SHの万代勇輝(3年・FC府中)がピッチ中央を鋭いドリブルで切り裂いて獲得したFK。ゴールまで約25mの位置から、キャプテンマークを託された右SBの菊池優生(3年・三菱養和調布JY)が直接狙ったボールはカベに当たりましたが、らしいプレーからファーストチャンスを創出します。
関東第一はもはや「他の学校からすると、やり方が誰しもわかる」(小野監督)所まで徹底した、ボールを大切に運ぶスタイルは当然今シーズンも。森俊太(3年・FCトッカーノ)と伊藤寿高(2年・横浜FC JY)のCBコンビを中心にパスで動かしながら、縦へのスイッチを探しつつ、続ける相手の"穴"を見極めてのボール回し。
一方の成立は「関一さんが上手な選手が多くてああいう風にやってくるのはわかっていたので、粘り強く守備をしようと言っていた」と太田監督が話したように、前線からしっかりプレスを掛けつつ、まずは守備から入るスタートを選択。アタッカーに欠場者が続出した状況を受け、本来は中盤で力を発揮する注目のレフティ上田悠起(3年・成立ゼブラFC)も起用された最前線で急先鋒としてハイプレスを掛け続けるなど、チームで統一した前半の戦い方をしっかり堅持します。
30分は関東第一。ボランチの坂東智也(3年・VIVAIO船橋)が左へ振り分け、SBの佐藤勇斗(3年・VIVAIO船橋)がファーまで送り届けたクロスに鈴木隼平(2年・Forza'02)が合わせたヘディングは枠の右へ。33分と36分に続けて万代が左右からCKを蹴り入れると、38分にはビッグチャンス。高い位置で坂東と鈴木がボールを奪い切り、右に持ち出した鈴木のシュートは枠の右へ外れたものの、「プレシーズンの柏レイソルを見てから、今シーズンは2トップでやっている」と小野監督も話した、その2トップの一角を占める鈴木が、フィニッシュに連続して絡みます。
42分には成立にもようやくチャンスが。素晴らしいトラップでボールを収めた上田がそのままスルーパスを敢行し、2トップの相棒を務める秋和飛竜(3年・成立ゼブラFC)はわずかに届きませんでしたが、やはり好機は上田から。43分には関東第一も坂東、音泉翔眞(3年・VIVAIO船橋)と細かく繋ぎ、鈴木のアイデアヒールを経由したボールは、上がってきた菊池もシュートまでは持ち込めなかったものの、らしさ溢れる好トライ。やや動きの少なかった最初の45分間はスコアレスでハーフタイムに入りました。


早くも後半開始時に動いたのは、前述したように「この時期というのは競争が激しいし、チームが固まってくるのはインターハイだったり選手権だったりなので、今はあえて色々な選手を使っている」という太田監督。最前線の秋和に替えて、吉村伸(2年・アセノSC)をそのままの位置に投入。「今まではTリーグで15分くらい使っただけかな」という2年生に残りの45分間を任せます。
すると、勢いを持って後半へ入ったのはゼブラ軍団。47分には左サイドをSBの中村樹生(3年・クリアージュFC)がえぐり切り、入れたクロスはシュートまで繋がらなかったとはいえ、前半はなかなか見られなかった積極性をいきなり披露。48分には右SBの田島大資(3年・東松山ペレーニャFC)がチームファーストシュートとなるミドルをクロスバーの上へ放つなど、両SBのアタックがチームにもたらした勇気。
52分はまたも成立。左サイドでしっかり形を創り、最後に上田が放ったミドルは関東第一のGK岸将太(3年・FCクラッキス松戸)がキャッチしましたが、繰り出す手数。53分は関東第一に決定機。坂東と万代が絡んだアタックから、鈴木が右へ流れながら枠へ収めたシュートは成立のGK八木優樹(3年・東急SレイエスFC)がファインセーブで回避。58分も関東第一。ボランチの浦川眞世(2年・三井千葉SC)が左へスルーパスを送ると、マーカーと競り合いながら音泉が放ったシュートは枠の右へ。にわかに動き出したゲーム。
60分は関東第一。左サイドでボールを持った音泉が前へ付け、外を回った佐藤のクロスを鈴木はボレーでゴールに叩き込みますが、ここは佐藤がクロスを上げた時点でラインを割っていたというゴールキックの判定。61分は成立。CBに入った小池拓斗(3年・武南高)の好フィードから獲得した左CKを上田が蹴ると、伊東優介(3年・大津高)がうまく頭に当てたボールはクロスバー直撃。63分には同時に動いた両ベンチ。関東第一は岡崎仁太朗(2年・大宮ソシオ)と角口大征(3年・FC府中)をスイッチさせ、成立は「今日が初スタメンだったけど頑張ったと思う」と指揮官も称える田島と替えた小林悠人(3年・成立ゼブラFC)を右SHへ送り込み、昨年からレギュラーを確保していた吉田将也(3年・成立ゼブラFC)を本来の右SBへ落とし、サイドの推進力増強に着手します。
先制点は意外な形で。ゴールまで約30mの距離から角口が直接狙ったFKを、八木がキャッチした2分後の67分。関東第一のビルドアップをかっさらったのは吉村。目の前に開けたのはGKとゴールのみ。運んで運んで、右スミへ冷静に流し込んだボールはゴールネットへ到達します。大仕事を果たしたのは「初めて長い時間で出た、今日唯一の2年生」(太田監督)。成立が1点のリードを奪いました。
「割合で言うとイニシアチブを持ってはいるんだけど」(小野監督)気付けばビハインドを背負う展開となった関東第一と、「ボランチの2人はここの所頑張って出ている」と太田監督も言及した柴田知樹(3年・成立ゼブラFC)と守屋怜治(3年・三菱養和巣鴨JY)のドイスボランチと、その後方に構える内田悠磨(3年・東松山ペレーニャFC)と小池のCBコンビもきっちり相手のパスワークに食らい付き、失点を許さない成立。73分には吉田のパスから吉村が中へクロスを放り込み、上田のワントラップ右足ボレーは岸にキャッチされるも、追加点への意欲も滲ませながら、ゲームは最後の15分間へ。
77分は関東第一。鈴木のリターンを佐藤が左から上げ切り、万代が残したボールを菊池がミドルレンジから叩くもゴール左へ。78分は成立。柴田を起点に吉田がアーリークロスを落とすと、こぼれを途中出場の増田稜(3年・成立ゼブラFC)が残し、上田のシュートはわずかに枠の右へ。83分は関東第一。カウンターからドリブルで運んだ坂東が溜めて溜めて左へはたくと、マーカーを外して枠へ飛ばした角口のシュートは八木が気合いのファインセーブ。直後のCKを万代が蹴り込み、角口と伊藤が頭で繋いだボールを菊池がかぶせたボレーもクロスバーの上へ。「選手自身が個の能力がない分、みんなでやらなきゃいけないんだという雰囲気になっている」と太田監督。粘る成立。押し込む関東第一。
90+2分は関東第一のラストチャンス。佐藤がDFラインの裏へ落としたフィードはやや長く、飛び出した八木が果敢にヘディングで掻き出すと、このボールを坂東はミドルレンジからボレー。誰もが見守るゴール方向へ高く上がった球体の行方。響いた金属音。クロスバーへヒットしたこぼれに堀内学(3年・FC杉野)が頭から突っ込むも、八木ががっちりキャッチして万事休す。「変わった選手がキチッと仕事ができたという意味でも、今日のゲームは良かったかな」と太田監督も納得の表情を浮かべた成立が、ウノセロで星をまったくの五分へと戻す結果となりました。


「守備は夏以降でお互いに高まってくるし、セットプレーは時間を掛ければできてくると思うんですけど、感性の部分というのはこの時期にやっておかないと、夏頃までに膠着したゲームを動かせなくなっちゃいますから」と今は"感性"を磨くタイミングだという小野監督の判断の下に、我慢の時を過ごしている関東第一。ただ、「イケイケにもっと前に迫力を出すと行けるんですけどね」と指揮官も苦笑した時々出てくる"イケイケ"感はやはり魅力的。関東大会予選がないことで、水曜日のみに公式戦が続くという少し難しいスケジューリングを強いられてはいるものの、彼らの"化ける"タイミングはそう遠くないかもしれません。
この試合を経て、「3年生は脱臼しているGK以外は全員Tリーグを経験したと思います。短い時間の子もいるけど、ほとんどの選手が半分以上出ているかな」と明かしてくれたのは太田監督。この日もなかなか出番のなかったアタッカー陣が攻守に奮闘を見せ、しっかりと勝ち点3の獲得に貢献していました。今年の2月開幕というリーグ戦のレギュレーションを問うと、「最初は嫌だったけどやってみればね。何でもそうじゃないですか。ウチはこんな感じなので『何でも対応していくよ』と。『やるしかないでしょ』みたいな」と豪快に笑った太田監督。どこまでも明るいスタッフ陣に率いられた十条のゼブラ軍団は、今年も東京を必ずや沸かせてくれることでしょう。         土屋

  • Line