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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2014年04月20日

関東大会東京予選準々決勝 修徳×都立東久留米総合@駒沢第2

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koma2 0420.jpgトーナメントコンペティションに強さを発揮する名門同士の、さらなる高みへ到達する過程とも言うべきクォーターファイナル。舞台はおなじみ駒沢第2です。
共にセミファイナルで敗退した関東予選とインターハイ予選を経て、迎えた選手権予選では奇跡的な大逆転劇で東京を制すると、そのままの勢いで全国8強まで駆け上がった修徳。昨年のレギュラーはほとんど卒業し、リーグ戦でもここまで黒星先行。3月に行われた都立東久留米総合とのゲームも大敗を喫していますが、彼らが本来の力を発揮するのは一発勝負。1ヶ月前のリベンジを果たし、関東大会進出へ王手を懸けたい一戦です。
T2リーグでは6試合終了時点で5勝1分けと無敗の首位。中でも1試合平均3得点を超える、強力攻撃陣が注目を集めているのは都立東久留米総合。ディフェンディングチャンピオンとして臨んだ今大会も、初戦で日大豊山から3ゴールを奪って快勝すると、先週の2回戦はT1で無敗を堅持する実践学園を、土壇場で追い付かれながらもPK戦で振り切ってこのステージへ。「この間全国に出た3年前の代のタレント性と、個の能力の高さでは同レベルくらいになっているんじゃないかなと思います」とは齋藤登監督。"連覇"へ向けてここで星を落とすわけには行きません。会場はやや肌寒さすら感じる駒沢第2。注目のゲームは修徳のキックオフでスタートしました。


開始2分で創り合ったチャンス。先に久留総。左から保池瑶(3年・三菱養和調布JY)が蹴り込んだFKはDFがクリア。後に修徳。宮腰一生(3年・江東大島西中)のパスからボランチに入った許享文(3年・修徳中)が狙ったミドルは、久留総の右SB工藤勝哉(3年・ジェファFC)がブロック。お互いに手数を繰り出すと、5分は久留総。右から工藤が上げたクロスに、頭で飛び付いた朝倉一寿(3年・練馬FC)のシュートは枠の左へ外れましたが、立ち上がりからゲームは積極的に動きます。
ただ、5分を過ぎるとゲームは一気にクローズされた状態に。「相手がもっと強くプレッシャーに来るかなと思っていたけど、ブロックを創って構えているだけだった」状況を見た齋藤監督は、当初の予定を変更して「蹴るな。繋げ」と指示。久留総はCBの柴田寛生(3年・三菱養和調布JY)と野田竜太(3年・杉並アヤックス)で丁寧に回し、ボランチの小島樹(3年・あきる野FC U-15)も少し落ちてボールに触りながら、じっくりと修徳の穴を窺う展開に。19分にはゴールまで約25mの距離から保池が直接狙ったFKは、修徳のGK久保井寿(2年・クリアージュFC)がキャッチ。静かに経過していく時間。
さて、ある程度は守備に軸足を置いた修徳が、カウンターに出る時のキーマンはやはり昨年の全国8強を経験している10番。21分には小澤翔(2年)、宮腰、星尚人(2年)と回ったボールを、エースの小野寺湧紀(3年・荒川第五中)はフィニッシュまで持ち込み、最後は柴田にブロックされたものの、醸し出す"何かをやりそうな"雰囲気。
21分は久留総。朝倉からのリターンを受けた白井穂(3年・Forza'02)が、ループ気味に狙った左足ミドルはわずかにクロスバーの上へ。27分も久留総。小島のフィードに保池が競り合うと、こぼれたボールへの反応に修徳守備陣がもたつき、収めた後藤勇也(3年・クリアージュFC)はGKの位置を確認しながらミドルを放つも、ボールはわずかに枠の右へ。直後には修徳も中村大志(2年・ジェファFC)が短く付け、シザースで2人かわした小野寺のシュートは久留総のGK井上大地(2年・杉並西宮中)がキャッチ。変わらないゲームリズム。
31分も久留総。後藤が左へ振り分け、保池が突き進んだドリブルは修徳のCB河野哲志(3年・ナサロットSC)が体でブロック。33分は久留総の波状攻撃。左SBの勝又勇祐(3年・東京久留米FC U-15)が右へ放り、後藤のシュートは修徳のボランチ田原迫隼人(3年・Forza'02)が懸命にクリアしましたが、再び右からクロスが入ると、久保井がパンチングしたボールを保池は枠の左に逸れるダイレクトボレー。34分も久留総。ペナルティエリアのすぐ外でボールを奪った白井穂が、そのまま放ったシュートはゴール左へ。「ちょっとプレッシャーが弱かった」(齋藤監督)相手を尻目に、打ち出すゴールへの迫力。
耐えていたトーナメントマスターの決壊は前半終了間際の39分。左サイドで久留総が獲得したFK。直接狙ってもおかしくない位置から、レフティの勝又が選択したのは中央への浮き球。修徳ディフェンスがクリアし切れず、ゴール前に生まれた混戦の中、ボールが当たった格好ではあったものの、最後に押し込んだのは野田。欠場したキャプテンから腕章を託されたCBが貴重な先制弾。勢いそのままに久留総が最高の時間帯でスコアを動かして、前半の40分間は終了しました。


後半も先にチャンスを迎えたのは久留総。43分、修徳の最終ラインが少し軽率なプレーでボールを失い、かっさらった白井穂はフィニッシュまで。ここは河野が体を投げ出してブロックしたものの、あわやというシーンに意気上がるスカイブルー。44分にも右から保池が蹴り入れたFKはDFが何とかクリア。ハーフタイムを挟んでも流れに大きな変化なし。
ビハインドを追い掛ける岩本慎二郎監督は早めの決断。45分に右SBを小澤から國分洋輔(2年・柏イーグルス)に入れ替え、整えたサイドと最終ラインのバランス。46分には小野寺が左へ付けたボールから、宮腰が素早く上げたクロスはゴール方向へ向かい、井上が辛うじてセーブしましたが、このワンプレーで生み出された東京王者の勢い。
47分、左に開いた小野寺がクロスを上げると、ニアで星が潰れたこぼれに左足アウトで反応した宮腰のシュートは、わずかにゴール右へ外れるも、このゲームで初めて修徳が掴んだ決定機。49分にも宮腰が左サイドで果敢に仕掛けてFKを獲得。小野寺が蹴ったボールは中央でオフェンスファウルを取られましたが、左サイドでの推進力を得た修徳が、一気にゲームリズムを引き寄せるべく躍動し始めます。
危険なムードを断ち切ったのは伝家の宝刀。52分の疾風。左サイドでボールを持った保池は迷いなくドリブル開始。運んで運んでマーカーをものともせずにえぐり切り、中央へ折り返したボールを朝倉が難なくプッシュ。久留総伝統のサイドアタックをここは単騎で。8番を背負ったサイドアタッカーのスーパーなドリブルを、「生徒任せで好きな番号を付けているけど、なぜ3番なのかはわからない。目立ちたいだけじゃないですか」と指揮官も笑った"3番"のストライカーがきっちり成果に。次の1点は久留総に記録されました。
2点の差を付けられた修徳は、失点直後に2人目の交替を。1トップの星を下げて、和田裕太(2年・三郷JY)を左SBへ送り込み、中村をCBへスライド。さらに、そのCBに入っていた河野を最前線へ上げる大胆な采配で勝負に出ると、セットプレーから迎えた3度のピンチを何とか凌ぎ、58分にサイドを朝倉に切り裂かれ、折り返しを狙った保池のシュートが枠を外れた直後にビッグチャンス到来。
60分、田原迫のパスを引き出した宮腰はニアサイドへ好クロス。DFとGKに挟まれながら河野が突いたボールはゴール方向へ。岩本監督の采配ズバリで1点差かと思われた瞬間、執念でゴールカバーに帰っていた柴田はライン上で決死のクリア。「今の流れの中で1失点していたら、まだまだメンタリティがあやふやな人間が揃っているので、流れが変わったかもしれない」とは齋藤監督。今年に入ってポジションを掴んだ柴田のファインプレー。流れを簡単には渡しません。
すると、訪れたのはさらなる追加点のチャンス。62分、保池の左CKがこぼれ、エリア外から柴田が狙ったミドルはDFにブロックされましたが、そのブロックがハンドと判定され、久留総にPKが与えられます。キッカーは昨年から主力を務める10番の小島。勇気を持って中央に蹴り込んだボールは、久保井も足に当てたものの、勢いが上回りゴールネットへ到達。失点を救った柴田が、ここではPK獲得で得点にも貢献。0-3。決定的なゴールが久留総に入りました。
必死に気持ちを奮い立たせる修徳も、最後まで諦めないメンタルを前面に。68分には右から國分が蹴ったFKを足達広大(3年・レジスタFC)が残すも、井上が難なくキャッチ。73分にもカウンターから大畑雄亮(2年・ジェファFC)が右へ流し、開いた河野のシュートはここも柴田が寄せ切ってブロック。74分に小野寺が右サイドでショートコーナーを試み、許からのリターンを放り込むも、誰にも届かずゴールキックへ。どうしても1点を奪うことができません。
逆に「この間はここでやられたんだぞ。緩めるなよ」とベンチから指揮官に檄を飛ばされた久留総は、4点目への意欲満々。75分には後藤が左へスルーパスを送ると、2分前に投入されたばかりの川上翔(3年・Forza'02)が驚異的なスピードでマーカーを置き去り中央へ。保池のシュートは久保井が超ファインセーブで回避するも、そのCKを保池が蹴り入れ、野田が叩いたヘディングはまたも久保井が驚異的な反応で弾き出し、ボールはクロスバーへヒット。80分にも小島のパスをルーレットで収めた後藤のミドルは枠の上へ。沸き上がる水色の応援団。
80+2分に繰り出された最後のチャンスも久留総。途中出場の永井恒輝(3年・AZ'86 tokyo-ome)が左へ展開すると、川上は抜群の加速力でサイドをぶっちぎって中へ。このパスはやや正確性を欠き、並走していた工藤には届きませんでしたが、終わってみればファイナルスコアは0-3。「去年は関東で勝って、あとはコケちゃいましたから、今年は"関東"と言っているんじゃなくて、『1試合1試合君たちは良い経験ができているよね』と。『もっともっと先にある目標のためにベース作りになっているんだ』ということを随時言っています」と齋藤監督が語った久留総が、完勝と言っていい内容とスコアでセミファイナルへと駒を進める結果となりました。


「完勝と言えども、もしかしたらという危うい場面はいくつかあったと思うので、運が良かったと言ってもいいかもしれないですね」と口にしたのは齋藤監督ですが、新チーム結成後の公式戦はいまだ無敗が続く久留総。今日はボランチの大畑和輝(3年・三菱養和調布JY)と今村優太(3年・三菱養和巣鴨JY)をスタメンから欠く布陣でしたが、終わってみれば3点差での勝利。「核となる人間が2人欠けていても、サブでああいう選手を取って置けるというあたりは、今年の層は厚いですよね」と指揮官。チーム力も日増しに高まっている様子が窺えます。3年前の佐々木翼(東京農業大)や多田和明(拓殖大)を擁したチームは、夏も冬も全国を経験するなど、近年で最も結果を出した代。そのチームを引き合いに出した齋藤監督の口調からは、今年のチームへ抱く確かな自信がハッキリと見て取れました。         土屋

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