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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。
ちばぎんカップから遅れること1週間。トップに続いて実現したのはU-18の"ちばダービー"。舞台は柏のホーム、日立台の人工芝グラウンドです。
1年前に最終節で優勝を逃したプリンス関東を、リベンジとばかりに堂々制覇。迎えた参入戦でも、ジュビロ磐田U-18と愛媛FCユースを相次いで破り、ようやくプレミア昇格という大目標を達成した柏レイソルU-18。昨年からの主力も多く残っており、いきなり優勝候補に推す声も聞こえる中で、「まずは1個1個の目標を果たしていきたいので、タイトルは全部取って行きたいと思っています」と語ったのは新キャプテンの中山雄太(2年・柏レイソルU-15)。ならば今年初のダービーをモノにして、1つ目のタイトル奪取へ弾みを付けたい所です。
昨シーズンはプリンス関東2部で3位という十分な結果を手に入れながら、リーグ再編のあおりを受けて、今シーズンから県リーグ1部に主戦場を移すことになったジェフユナイテッド千葉U-18。リーグ戦ではおそらくある程度余裕を持って戦えることを考えると、この一戦は今後の指標としても大事な90分間に。U-17ワールドカップにも出場した仲村京雅(2年・ヴィヴァイオ船橋)や浦田樹(2年・ジェフユナイテッド千葉U-15)など年代別代表の選手も揃え、ダービー制覇に照準を合わせています。天候にも恵まれ、試合会場には多くのギャラリーが。今年一発目のユースダービーは、柏のキックオフで幕を開けました。
25秒で迎えた決定機は柏。左サイドへ展開したボールを会津雄生(2年・柏レイソルU-15)はピンポイントクロスで中へ。CFの大島康樹(2年・柏レイソルU-15)がスタンディングで合わせたヘディングは枠の右へ外れたとはいえ、開始早々にビッグチャンスを創りましたが、その柏は6分に左SBでスタメン出場した麦倉捺木(2年・柏レイソルU-15)が負傷退場。中島玲央(2年・柏レイソルU-15)との交替を余儀なくされてしまいます。
そんなやや波乱含みの立ち上がりを経ると、先にスコアを動かしたのも柏。7分、右サイドの崩しからゴールまで約30m近い位置でボールを受けた中山が、「立ち上がりだったし日頃から意識している」というミドルシュートにトライすると、相手をかすめたボールはドライブ気味に変化して、そのままゴールネットへ突き刺さります。先月のブラジル遠征を経験し、「ミドルシュートの質の差を感じたりしていたので、ブラジルに行ってからミドルシュートの意識がちょっとずつ高まってきた」と語るキャプテンの先制弾。柏が早くも1点のリードを奪いました。
畳み掛けた太陽王子。先制から1分後の8分、中央を細かく繋いで崩しに掛かると、大島、会津を経由したボールは左から走り込んできた山本健司(2年・柏レイソルU-15)へ。今シーズンから10番を背負うレフティはGKとの1対1も冷静に制し、ゴールへボールを送り届けます。電光石火の2点目。あっという間に点差が広がりました。
以降も「ポンポンとゴールが奪えたので、そのまま前半はいい流れで行けた」と下平隆宏監督も話した柏が、ボールを圧倒的に支配しながら主導権を奪取。12分には会津が左へ回し、中島が折り返したボールを大島、会津と繋いで、中山のシュートはDFに当たってゴール右へ。13分と18分には共に中盤アンカーに入った手塚康平(2年・柏レイソルU-15)が、右CKからゴール前を脅かすなど、攻勢を強めます。
もはや国内ではおなじみであり、前述したブラジル遠征でも現地で高評価を得たという柏のポゼッション。そこに加え、CBでコンビを組んだ上島拓巳(2年・柏レイソルU-15)と張ヶ谷知樹(2年・柏レイソルU-15)が時折見せる長いボールも効果的。これに関しては「あの2人がうまいので、その判断でロングボールを出してくれると、自分たちの中盤も開放する労力が少し減ってラク。去年よりは幅が広がっていくかなと思う」と中山。このバリエーションは昨年より豊富かなという印象を受けました。
さて、なかなかボールを奪うことができず、攻撃の時間を創れない千葉は20分にセットプレーからファーストシュート。安藤真樹(2年・三井千葉SC)の左FKに飛び込んだCBを務める秋山翔(2年・ジェフユナイテッド千葉U-15)のヘディングはクロスバーを越えたものの、キックとフィニッシュ共に好チャレンジ。24分には相手の横パスを奪った御船翔太(2年・三井千葉SC)が右へ送り、岩田尚樹(2年・ジェフユナイテッド千葉U-15)のクロスはDFにクリアされましたが、30分にもカウンターから仲村が左へ振り分け、安藤のクロスは張ヶ谷のクリアに遭うも、速い攻守の切り替えから少しずつチャンスを窺います。
37分は柏。山本が左へ展開し、会津が打ち切ったシュートは千葉のGK辻周吾(1年・ジェフユナイテッド千葉U-15)がしっかりキャッチ。38分は千葉。バイタルでボランチの大塚一輝(1年・ジェフユナイテッド千葉U-15)がボールを奪うと、仲村のラストパスは少しズレてしまい、岩田のクロスはゴールキックへ。39分も千葉。大塚のパスから安藤が放ったミドルは枠の左へ逸れたものの、お互いに手数を出し合い、千葉にもゴールの可能性が漂い始めます。
ところが次にゴールネットを揺らしたのもホームチーム。42分、山本が1本のフィードを裏へ落とすと、走り込んだ会津とGKが交錯し、エリア内でルーズボールが発生。ここにいち早く反応した大島は、戻ったGKとカバーに入ったDFをものともせずに、落ち着いてゴールへねじ込みます。トップチームのキャンプにも参加し、「当然意識は変わってますね。凄くポジティブに帰ってきた」と下平監督も語った、絶対的なストライカーの大きな追加点。3-0というスコアで最初の45分間は終了しました。
後半もポゼッションの柏、カウンターの千葉という構図に大きな変化はない中で、チャンス自体はお互いに迎え合う展開。先にチャンスを創出したのは千葉。50分と54分には安藤が右CKを蹴り込み、あわやというシーンも。55分は柏。カウンターから中山のスルーパスは会津へわずかに届かず。56分も柏。右サイドでボールを持った白川恵士朗(1年・柏レイソルU-15)が中へ入れると、大島は左へ流し、会津のシュートは辻が何とかセーブ。ゲームリズムに変化が出てきます。
下平監督の決断は63分。手塚と会津に替えて、同じ位置に安西海斗(1年・柏レイソルU-15)と山﨑海秀(1年・柏レイソルU-15)を送り込み、中盤と前線の変化に着手すると、ここからにわかに動き出したゲーム。65分は千葉。右サイドの展開から仲村は左へ最高のラストパス。走り込んだ浦田のシュートは枠の左へ外れましたが、千葉にとってはこのゲーム最大の決定機。67分は柏。安西が右へ鋭いパスを送り、「ウチの中では異色というか、アクセントを加えられるヤツ」と指揮官も評した白川のカットインシュートはヒットせず辻がキャッチ。68分は千葉。岩田が左へ振り分けたボールを浦田は高速クロス。DFがクリアし切れず、目の前にこぼれたボールを安藤が打ち込んだ決定的なフィニッシュも木村に阻まれましたが、「ジェフさんがプレッシャーを前から強めてきた」と下平監督も話し、横山玄徳(1年・ジェフユナイテッド千葉U-15)をアンカー気味に、ボランチに入っていた大塚もかなり前方にポジションを取り出した千葉の勢いが、少しずつ柏を侵食し始めます。
「内容面で言うと特に後半は押し込まれていた」と振り返ったのは中山。74分には千葉にこの日3度目の決定的なチャンス。仲村が左から枠へ飛ばした強烈なミドルは木村がファインセーブで応酬し、こぼれに御船と岩田が詰めるも、ここはよくカバーに入った張ヶ谷が懸命にクリア。76分には柏が加藤颯人(2年・柏レイソルU-15)と浮田健誠(1年・ミナトSC)を、77分には千葉が氣田亮真(1年・カナリーニョFC)と安藤一哉(1年・ジェフユナイテッド千葉U-15)をそれぞれピッチへ解き放ち、ゲームはいよいよ最終盤へ。
80分は千葉。右から氣田が蹴ったFKは柏DFが何とかクリア。82分も千葉。左サイドを駆け上がった浦田のクロスは、ここも柏DFが何とかクリア。86分には副島博志監督も3枚目のカードとしてFWの伊藤大将(1年・ジェフユナイテッド千葉U-15)を投入し、全体もかなり前掛かりにシフトさせて、何とか1点を返しに最後の勝負へ打って出ます。
大トリを飾ったのは「スケールは大きいので期待しています」と下平監督も言及した1年生ストライカー。90分、自陣でボールを持った浮田は、全員が上がっていた千葉を尻目に預けてダッシュ。白川のリターンをもらうと完全に独走状態へ入り、GKとの1対1も冷静に左スミへ流し込みます。「ジェフさんはセオリー通りじゃない3対3とかで来ていたので、『後ろは1対1になってるんだぞ』と言っていた」という指揮官の言葉を、最後の最後で体現した4点目はこの日登場した8人目のレフティ浮田。終わってみれば柏が4ゴールを奪い、今年最初のダービーで勝利をもぎ取る結果となりました。
結果的には4失点で敗れた千葉でしたが、特に後半に関してはかなり攻撃的にシフトした上で、高い位置でボールを奪ってからのカウンターには見るべきものがありました。仲村や浦田、岩田を筆頭にした昨年から主力を務める新3年生に、ドイスボランチを組んだ大塚や横山のような活きの良い新2年も融合していけば、今後面白いチームになっていきそうな雰囲気は十分に感じさせる90分間だったと思います。
ダービーを制した柏は、後半のパフォーマンスに各選手ともやや不満顔。ただ、感心したのはキャプテンを務める中山の言葉。曰く「チームメイトを見ていると少し過信している部分もあるので、それを抑えるのがキャプテンの役目だと思っていますし、ピッチ内では自信を持ってやってくれればいいですけど、ピッチ外にそれを持ってきて過信していると、どこかで痛い目に遭う。全体的に内容が悪かったらそこを話すべきだと僕は思いますけど、1つのプレーが良かったら、『自分のプレーが今日は良かった』という思い込みがたまに自分でもあるので、『じゃあさっきのシーンはどうなんだ』というのがあれば自分は促していきたいですし、それがチームの成長に繋がるのかなと思います」とキッパリ。「アイツ自身あまりやったことがないし、そういうのが苦手な部分もあるから逆にやらせたいなという願望も籠めてキャプテンに任命した」とは下平監督ですが、前述の言葉を耳にする限り、中谷進之介という強烈な個性を放った男から腕章を受け継ぐ今年の主将にも大いに期待して良いのではないでしょうか。 土屋
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