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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2014年02月01日

東京都クラブユースU-17サッカー選手権大会決勝リーグ 横河武蔵野FCユース×FCトリプレッタユース@横河G

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yokogawa0201.jpg今年から同じT1のステージで戦う両雄の対決は、西が丘を懸けた直接対決。横河武蔵野FCユースとFCトリプレッタユースが激突する"石原ダービー"は今週も横河電機グラウンドです。
初戦では粘る杉並アヤックスに2-0で競り勝つと、プレミアEASTに所属する三菱養和にはかなり押し込まれる中で先制を許したものの、今シーズンの特徴でもある"縦への速さ"を生かしたカウンターから、キャプテンの渡辺悠雅(2年・横河武蔵野FC JY)と太田翔(1年・三菱養和調布JY)の連携で同点に追い付き、勝ち点1を獲得した横河武蔵野FCユース。2年連続の西が丘へ駒を進めるためには、引き分け以上の結果が求められる一戦です。
新チームで臨む初めての公式戦となった三菱養和戦は0-5で大敗を喫し、背水の陣で挑んだ先週の杉並アヤックス戦も相手の粘り強い守備の前に苦しめられながら、90分の決勝ゴールで辛くも逃げ切ったFCトリプレッタユース。「公式戦2戦目であの勝ち方はかなりデカい」と米原隆幸監督も言及したように、総力戦でもぎ取った勝ち点3を勢いに変えて、西が丘行きの切符を強奪したい所です。照明の灯る三鷹の夜は、先週と比べれば天と地ほどの暖かさ。観戦環境も整った中でゲームは18時にキックオフされました。
お互いに少し慎重に入ったゲームは、なかなか手数の出てこない展開で立ち上がりますが、しっかりボールも回ってリズムを掴んだのはトリプレッタ。「守備のラインの所が、ピーターゼンの圧力や雰囲気、トリプの勢いにちょっと引いちゃった所があったと思う」と横河の増本浩平監督が話したように、少しラインの低い相手を尻目に、CFに入ったピーターゼン世隠(1年・FCトリプレッタJY)が前でしっかり収めつつ、中盤インサイドの宮澤俊太朗(2年・FCトリプレッタJY)や左FWの名幸龍平(2年・杉並アヤックスU-15)がそこに絡みながら、スムーズなアタックも披露。15分には高い位置で相手の横パスをピーターゼンが奪い、金子甲弥(2年・芝中)が放ったシュートはDFがブロックしましたが、チャンスの1つ前まではボールを運び続けます。
すると、先制ゴールはやはり攻勢のトリプレッタ。16分、左へ展開したボールを上がってきたSBの高見幸樹(1年・三鷹FA)は好クロス。一旦は横河のGK吉江竜太郎(2年・横河武蔵野FC JY)が懸命にパンチングで弾き出したものの、混戦の外側で冷静に待っていた金子は果敢にシュート。ボールは飛び付いた吉江も一歩及ばず、ゴール右スミへ吸い込まれます。「あの1点は完全に木曜日にずっと練習してきたパターン。ああいう二次攻撃、三次攻撃に行けるようになってきた」と米原監督も納得の1点。まずはトリプレッタがアドバンテージを手にしました。
19分にようやく左SBの田代雄大(1年・Forza'02)がファーストシュートを打った横河苦戦の一要因はトリプレッタのスコアラー。ただし、それは得点を挙げた攻撃面ではなく守備面で。「あそこは相当良かったんじゃない。前半は確実にイヤがっていたから」と米原監督も評価したように、先制点をマークした金子は相手のキーマンである渡辺にマンツーマンで対応。それに対しては「悠雅に対してマンツーマンで来るのは予想していたけど、どうにかしてこそだと思っているので、やらせるだけやらせてみた。相手の11番も凄く良かったし能力が高かったので、四苦八苦してましたね」と増本監督も言及するなど、金子の守備が渡辺のプレーをうまく制限することに成功。24分には山田樹(2年・横河武蔵野FC JY)が右へ振り分け、サイドに開いた渡辺がゴリゴリ縦に運んで上げたクロスも、トリプレッタGK清水優乃介(1年・和光高)がしっかりキャッチ。横河が上げたい攻撃へのギアは上がってきません。
24分はトリプレッタ。ピーダーゼンが丁寧に落とし、名幸が枠へ飛ばしたシュートは吉江がキャッチ。25分もトリプレッタ。ここも名幸がミドルレンジから狙ったシュートは枠の左へ。攻撃をフィニッシュで終わるトリプレッタに対して、横河に発生したアクシデント。CBの小林雅実(2年・横河武蔵野FC JY)が負傷交替を余儀なくされてしまいます。この窮地に「人を入れ替えてどうにかしようかなと思っていた所だった」という増本監督は、高木涼介(2年・横河武蔵野FC JY)を最前線へ投入。ボランチの槇廉(1年・芝中)とCBの加藤優志(1年・横河武蔵野FC JY)を入れ替え、加藤を1アンカー気味に置いて、その前に北原祐希(2年・JACPA東京)と山田を配置。右SBの添田賢司(2年・BANFF横浜)がCBへ、右FWの春日聖弥(2年・横河武蔵野FC JY)が右SBへ、3トップ下の渡辺が右FWへスライドという、大幅なシフトチェンジを敢行します。
それでも「前半のシフトチェンジは予想していた」と米原監督も話したトリプレッタの続くアタック。31分には宮澤の左FKから、最後は廣瀬友紀(1年・FCトリプレッタJY)が枠へ収めたミドルは吉江がキャッチ。38分には宮澤が華麗に右足アウトで右へスルーパスを通し、オーバーラップした永谷孔明(1年・FCトリプレッタJY)のクロスはDFに引っ掛かったものの、司令塔の宮澤も躍動したトリプレッタの勢いは止まず。ゲームの流れは大きく変わりません。
35分過ぎには太田を右サイドに、山田を左サイドに、渡辺を再び中央に移した横河。38分、渡辺のパスから春日が打ったシュートはDFがブロック。41分には相手のパスミスを見逃さず、かっさらった北原が繋いだボールを高木が狙うも枠の右へ。43分には左サイドでのCKを太田が短く出すと、田代のクロスをファーに入った北原が頭で叩くも、バウンドしたボールはクロスバーの上へ。ホームチームも終盤はシュートシーンを創り出すも、同点には至らず。「相手の方が凄く戦ってきたし、いつものトリプレッタさんの魂入ったサッカーをされた」とは増本監督。勝つしかないトリプレッタが1点をリードして、最初の45分間は終了しました。
縦へのスピードにやや傾倒した流れから、相手にボールを持たれる展開に直面して、「後半はボールを握れる所は握って、ゲームの主導権を握れるようにとは伝えた」(増本監督)という横河が、後半はスタートから明らかに一段階踏み込んだアクセル。開始早々の46分、右に流れた渡辺のアーリークロスから、北原のシュートはオフェンスファウルを取られたものの好トライ。49分にも渡辺が中央から左へ流れながら裏へ落とし、抜け出した北原のシュートは右サイドネット外側を揺らしましたが、ビハインドのブルーが同点への意欲を前面に押し出します。
歓喜を呼び込んだのは「少しビルドアップができたりとか、ボランチを経由してというのが出てのロング」(増本監督)。51分、徐々にボールを握り始めた中で、左サイドでボールを持った北原は右へ1本のロングパス。受けた太田はマーカーを切り返しで外すと、GKの正面から冷静にゴールへボールを流し込みます。「切り返した時には『何で打たねえんだよ』と思ったんですけど」と笑った指揮官も、「ハーフタイムには結構個人的にハッパを掛けたので、後半はやってくれるだろうと思っていましたけどね」と話した太田が期待に応える3戦連発の同点弾。横河がスコアは振り出しに引き戻しました。
以降は横河が圧倒。52分には高木が収めて右へ振り分け、上がってきた春日のクロスに山田がボレーで合わせるも、ボールはゴール右へ。60分にはペナルティアーク付近で相手ボールを奪った山田が、そのままシュートまで持ち込むも清水がキャッチ。63分にも田代の左クロスから、山田が打ち切ったボレーは枠の左へ。増本監督も「後半は春日が前に出るようになった」と話した通り、春日と太田が推進力になった右サイドで主導権を完全に奪取。66分には高木と2トップ気味になるような高い位置を取り出していた渡辺が、綺麗なマルセイユルーレットから枠内ミドル。67分にも北原がクロスバーを越えるミドルにチャレンジするなど、しっかり勝ち切る姿勢を前面に打ち出します。
70分にはようやくトリプレッタにも後半のファーストチャンス。左サイドで獲得したCKを名幸が小さく出すと、宮澤のクロスにCBの氏橋寛(2年・三菱養和調布JY)が飛び込むもヘディングはヒットせず。73分は再び横河。左からのFKが直接ゴールを襲い、清水が何とか掻き出したボールを北原がヘディングで押し込むも、ここはカバーに戻っていた氏橋がライン上でクリア。直後に横河は渡辺将矢(1年・浦和レッズJY)を、宮澤のミドルを挟んでトリプレッタも78分に坂下由真(1年・FCトリプレッタJY)を送り込み、突入する最後の10分間。
81分の咆哮。右から太田が蹴り込んだ後半1本目のCKは、中央の密集を越えてファーまで。ここで待っていたのは「もともとやれる選手で、シュートも上手」(増本監督)という山田。この日自身4本目となるシュートを頭で放つと、ボールはゴール左スミをしっかり捕獲します。「ちょっとボールを失う場面が多かったですけど、そのへんで帳尻を合わせてきましたよね」と増本監督も笑顔を見せた山田の貴重な逆転弾。横河がとうとうスコアを引っ繰り返しました。
「リスタートも絶対与えないでとやってきたが、あそこで出ちゃった」(米原監督)トリプレッタも最後の意地。87分には上がってきた氏橋が繋ぎ、宮澤のミドルはDFが執念でブロック。90+1分にも左サイドで坂下が縦に付けると、「比較的勝負できていた」(米原監督)名幸が切り返しで1人外してから、枠へしっかり飛ばしたシュートは、しかし吉江が確実にキャッチ。「最初の45分間を何とかやりくりできれば、90分をトータルで考えてまだ分があるんじゃないかという所はあった」(増本監督)という横河が、90分での駆け引きでわずかに上回り、逆転勝利を収める結果となりました。
「今日は比較的スイッチが入った試合かな。相手が横河というのもあったと思うけど」と米原監督が話したトリプレッタは逆転こそ許したものの、粘り強い戦いを見せてくれました。特に「珍しくやってきた守備練習がかなり効いていた」という指揮官の言葉通り、玉川由(2年・FC PROUD)と氏橋のCBコンビと特に中盤でボールに食らい付き続けた佐々木龍(1年・FCトリプレッタJY)を中心として、横河攻撃陣をここまで抑えたという事実は自信にしていいのではないでしょうか。2週間後からはいよいよ辿り着いたトップディビジョンでの戦いがスタート。今年のT1リーグでは、彼らに注目しておいて損はないと思います。
「最悪というか、こんなもんだと思います」と増本監督も厳しめの評価を口にした横河は、苦しみながらも2年連続となる西が丘への進出権はきっちり確保してみせました。「昨年はあまりに固定し過ぎちゃった部分があったので、今年は今の時期は色々なことを試してやりたいなというのがあって、積極的に人を動かしています」と指揮官が話したように、各ポジションで様々な選手が入れ替わりながら試されている現時点でもきっちり結果を出してくるあたりからは、チームとして着実に積み重ねているものがあることを窺わせます。西が丘での相手はどっちが来てもJクラブ。「今年に関してはここまでくれば最後はオマケ」と言いつつも、「どっちとやってもどうなってもウチが勝ちますけどね」と相変わらずの増本監督。来週の西が丘は午前中から会場へと足を運ぶ必要がありそうです。       土屋

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