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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2014年02月11日

東京都クラブユースU-17サッカー選手権大会3位決定戦 東京Vユース×横河武蔵野FCユース@西が丘

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nishigaoka0211.jpg1年前に同じ舞台で行われたファイナルのリターンマッチ。シーズン最初の公式戦を白星で終わりたい両雄の対峙は、東京サッカーの聖地・西が丘です。
2連勝で意気揚々とライバルをホームに迎えた"ダービー"は、「今週のトレーニングは本当に良かったし、前向きにできていたので非常に楽しみにしていたんですけど」と冨樫剛一監督も首を傾げる完敗を喫し、今日の3位決定戦へと回ってきた東京ヴェルディユース。「ヴェルディとしての姿を見せることで、『養和とヴェルディがやったらどうなるんだろう?』『プレミアちょっと楽しみだな』って思わせられるようにしたい」と前述の指揮官も話したように、このゲームをリスタートの一戦として勝ち切りたい所です。
決勝リーグは昨年のこの大会で下した三菱養和SCユースと同居。その養和とのゲームは1-1のドローに持ち込み、FCトリプレッタユース、杉並アヤックスには勝利を収めたものの、得失点差で西が丘の"12時"を戦うこととなった横河武蔵野FCユース。「今年に関してはここまでくれば最後はオマケ」と言いながら、「西が丘ではどうなっても勝ちますけどね(笑)」と冗談交じりに勝負へのこだわりを見せたのは増本浩平監督。例年よりも縦に速いアタックを武器に、昨年のリベンジを聖地で狙います。正午の西が丘には灰色の低い雲が。試合前には雪もチラつくような寒さの中、東京Vのキックオフでゲームはスタートしました。 
3分のファーストチャンスは東京V。相手のミスパスを奪った中野雅臣(2年・東京ヴェルディJY)が左へ送り、神谷優太(1年・東京ヴェルディJY)は素早く中へ。室町仁紀(2年・東京ヴェルディJY)のシュートはDFにクリアされましたが、直後にも神谷が2本連続でCKを蹴り込むなど、まずは緑の戦士が西が丘の雰囲気に馴染んでみせます。
ただ、最初の決定機は「日曜日は雪かきしたのでちょっと動いた部分はあるけど、ほぼ3日間オフで今日がゲーム」(増本監督)という横河。5分にキャプテンの渡辺悠雅(2年・横河武蔵野FC JY)が左足ミドルを枠へ飛ばした1分後。左のハイサイドでボールを奪った太田翔(1年・三菱養和調布JY)は丁寧に中へ。フリーで受けた渡辺は冷静にワンテンポ取ったものの、懸命に戻ったDFが足を伸ばし、シュートブロックされたボールは東京VのGK山下貴矢(2年・東京ヴェルディJY)が何とかキャッチ。先制とはいきません。
すると、先にスコアを動かしたのは東京V。14分にショートカウンターから飛び出したのは、それまでも再三に渡って右サイドを上下動し続けていた安在達弥(2年・東京ヴェルディJY)。右へはたいたボールを中野が中央へ入れると、最前線まで駆け上がった安在がスライディングでニアサイドへ流し込みます。SBの積極的なオーバーラップが呼び込んだ先制弾。東京Vが1点のアドバンテージを手にしました。
以降は東京Vのラッシュ。19分に三竿健斗(2年・東京ヴェルディJY)が1本で裏にフィードを通し、抜け出した室町のシュートは横河GK吉江竜太郎(2年・横河武蔵野FC JY)がファインセーブ。同じく19分にも安在のパスから、富樫凌央(1年・東京ヴェルディJY)が左足で狙ったミドルは枠の左へ。20分には三竿が、28分には中野が、共に枠こそ外れたもののミドルにチャレンジ。29分にも自分で奪ったボールを安在がブレ球で枠内ミドル。「悪くなかったんじゃないかなと思うが、簡単に点を取られ過ぎてしまった」(増本監督)相手を尻目に、チャンスを連続して創り出します。
横河は中盤の構成こそ変化はあっても、基本布陣は4-3-3で戦うことの多いチームですが、今日採用したシステムは3-4-2-1。「今年のチームになる時に、『どうするのか』と『いつやるのか』というのはずっと考えていたし、強い相手にやってみないとどうなるかわからない」と指揮官も話したように、構想の中にはあった布陣を強豪相手にトライ。守備面では左サイドで東京Vの右FWに入った室町への対応との兼ね合いから、安在へのチェックで苦労した場面こそ目立つ中で、狙い通りにボールを奪うシーンもあったものの、「せっかく前向きで奪った後に、あまりにも雑で失うのが多かった」と増本監督。渡辺も1枚は剥がせますが、独力で敵陣を切り裂くまでには至らず、危険なゾーンには侵入できません。
30分も東京V。CBの品田竜之介(1年・東京ヴェルディJY)が好フィード。室町を経由し、上がってきた安在の折り返しへニアに飛び込んだ横山暁之(2年・東京ヴェルディJY)はシュートまで打ち切れず。33分も東京V。中野を起点にしたアタックから、横山のリターンを室町が狙った決定機は吉江がファインセーブで回避。この前後から冨樫監督は最前線に位置した中野を中盤に下げ、横山を"偽9番"的に配すと、41分には左からSBの林昇吾(1年・東京ヴェルディJY)が中へ折り返し、その横山はダイレクトで枠内シュート。44分にも中野が吉江にファインセーブを強いるシュートを繰り出すなど、前半は安在を推進力に攻勢を強めた東京Vが1点をリードして、45分間が終了しました。
後半はスタートから両チームに交替が。東京Vは横山に替えて国体優勝メンバーの井上潮音(1年・東京ヴェルディJY)を中盤へ投入。横河は3バックの左に入っていた添田賢司(2年・BANFF横浜)を下げて、高木涼介(2年・横河武蔵野FC JY)を1トップに送り込み、最終ラインは右から春日聖弥(2年・横河武蔵野FC JY)、加藤優志(1年・横河武蔵野FC JY)、槇廉(1年・芝中)、菅波錬(2年・横河武蔵野FC JY)の4バックへ。関口雄大(2年・横河武蔵野FC JY)をアンカーに置いて、いつもの4-3-3というよりは、4-1-4-1気味の並びで残りの45分間へ臨みます。
緑の歓喜再び。50分、中盤から右サイドに長い球足のボールが出ると、オフサイドポジションに東京Vの選手が。副審も思わずフラッグを上げてしまいましたが、ボールに関与する意思はなく、後方から飛び出してきた室町の独走はオンサイド。そのままカットインしながら、丁寧にコースを突いたシュートはゴール左スミへ突き刺さります。やや横河にとっては不運なシーンでしたが、室町が見せた突破からのフィニッシュはお見事。点差が広がりました。
「カウンターから簡単に失点しちゃうのは痛い」と渋い顔の増本監督。51分には右から中央に流れた渡辺が、裏へ浮き球でスルーパスを通し、逆サイドから斜めに田代雄大(1年・Forza'02)が走り込むも山下がキャッチ。52分にも太田の右CKから、中盤で奮闘していた関口がミドルを狙うと、ここも山下が横っ飛びでキャッチ。立ちはだかる東京Vの、山下の牙城。
55分には東京Vが冨樫と谷口友星(2年・東京ヴェルディJY)、57分には横河が田代と山田樹(2年・横河武蔵野FC JY)をそれぞれスイッチすると、63分には両チームが頂く絶対的な中心選手の競演。先に三竿。中盤から持ち運び、安在との大きなワンツーからエリア内に潜り、抜け出してのシュートは飛び出した吉江がファインセーブ。後に渡辺。右サイドでボールを持つと、運んで運んでそのまま狙ったシュートは、わずかにDFへ当たって山下がキャッチ。前半から局面では激しくぶつかり合っていた三竿と渡辺が、ゴールへの意欲を短時間に打ち出し合ったこの1分間は、かなり見応え十分でした。
66分は東京V。もはやオーバーラップマシンと化した安在が、エリア内で井上からのスルーパスを受け、1人外して放ったフィニッシュは吉江がこの日5本目のファインセーブ。67分も東京V。室町の落としを谷口はダイレクトで裏へ付け、ここも安在がダイレクトで叩いたボレーはクロスバーの上へ。72分は横河。右サイドで渡辺が繋ぎ、途中出場の宮川湧弥(2年・JACPA東京)が鋭いグラウンダークロスを中へ入れるも、よく戻った中野が懸命にクリア。76分は東京V。中野が蹴った左FKのこぼれを井上が拾い、右に持ち出しながら狙ったシュートは吉江がワンハンドで阻止。スコアは2-0のままで、試合は最終盤へ。
徐々に攻撃にも迫力が蘇ってきた横河が、久々に迎えた決定的なチャンスは79分。山田が右サイドへ振り分け、ワントラップでいい位置に置いた渡辺は冷静に中央へ。途中出場の見木友哉(1年・横浜FC鶴見JY)が浮かせて狙ったシュートはゴール左スミを襲うも、カバーに入っていた品田が冷静にクリアで逃れると、これが両チーム通じて最後のビッグチャンス。結果的に高い安定感を誇ったCB渡辺太貴(2年・東京ヴェルディJY)以外のフィールドプレーヤーを全員交替させながら、横河をシャットアウトした東京Vが今大会を勝利で締め括る結果となりました。
「3日間オフだったにしては、動けたんじゃないかなと思うんですけどね」と増本監督が語った横河は、失点シーンこそ悔やまれるものの、全体的には今年の"縦に速い"スタイルの一端を、特に後半はある程度出せたのではないでしょうか。T1の開幕戦を今週末に控える中で、「『自分たちがどう繰り出すと相手はこうしてくる』とか、そういった所がわかって欲しくて、色々な子を出して、色々な形でやっているので、狙いとしては凄くいい大会だったかなと思っています」と指揮官。東京連覇へ向けた横河の今シーズンにも大いに期待したいですね。
「単純に一生懸命やるとか、最後まで手を抜かないとか、まず人間的なベースを上げていければ、よりヴェルディらしくなっていくはず」と冨樫監督が話す東京Vの中で、抜群の存在感を放ったのはやはり三竿。ともすれば両SBも相当前に上がっていく中でも、アンカーの位置でしっかりバランスを取りながら、がっつり行く所でボールを取り切る強さも披露。彼のような選手が"一生懸命"や"手を抜かない"を体現することで、「チームの基準が明確に高い所にある」(冨樫監督)状況が間違いなく生まれているようです。こちらのリーグ戦開幕は約2ヵ月後。それまでのベースアップも含めて、東京Vがトライするプレミア奪還への挑戦にも是非注目したいと思います。       土屋

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